防災ラジオについての考え方 その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか

ここまで、私が考える防災ラジオについてロッドアンテナがあり、スピーカーがあるものということで書いてきました。次に考えたいのは、チューニングをする場合の違いについてです。その方法については大きく2つに分かれるだろうと思います。

ひとつが、昔からのラジオではおなじみの、ダイヤルを回して表示されている周波数のところにダイヤルを合わせ、選局する「アナログ方式」で、もう一つが液晶画面があり、画面に直接周波数が表示される「デジタル方式」の二つに分類されます。あと、細かいことを言うと、デジタル方式の中でも、内部の回路をICチップにして全ての処理をデジタル化した「DSPラジオ」をデジタル方式のラジオとして紹介するこします。そこで、従来のアナログ方式のラジオとの違いについて簡単にまとめてみることにします。

DSPラジオは、アナログラジオのように複数の部品を組み合わせるのではなく、一つのICチップに全ての機能が入っているので、アナログラジオと比べて故障しにくく細かな調整が不要です。さらに、混信も少なく本体も小さく作ることができます。そして、選局もデジタル表示・オートチューニングができるので、ラジオ局の周波数がわからなくても、聞こえる局だけダイレクトに同調でき、よく使う放送局をプリセットしておけば、放送局をいちいち探さなくても一発選局できます。今まであまりラジオを使ってこなかった人にとっては、アナログと比べて使いやすいラジオになっています。

逆にアナログラジオは、長く使っていると部品の不具合が起き、故障する可能性があるとか、使い慣れていないとそもそも放送局の選局ができない(ちょっとでもずれているとうまく受信できないため)とか、デジタルと比べるとアナログの悪い面が際立つようなところがあります。ここまで読んで、「アナログラジオはめんどくさそう」と思った方は、素直にデジタルの「DSPラジオ」を防災ラジオとして選択するのが良いだろうと思います。

ただ、デジタルのDSPラジオにもウィークポイントはあります。まずアナログラジオと比べて電池食いであることです。これは、乾電池を入れて使っている場合には感じにくいかも知れませんが、容量の少ない内蔵の充電池(手回し発電でためるところ)で利用できる時間がアナログと比べて短くなります。同じ回数回しても、満充電に手回してして聞ける時間が少なくなり、それが実用に耐えないと思う方もいるかも知れません。

また、音量について、アナログではボリュームを微調整することができますが、DSPラジオはテレビと同じで音量を数字で示すような感じで変化していくので、無音(0)と鳴りはじめ(1)の間がありません。アナログラジオの場合は微調整することによって、0.5とかの音量を出すことができますが、DSPラジオの場合はそういうことはできません。枕元でスピーカーを使って聞いたり、イヤホンで聞いている時も、音量1でも大きいと思ったとしてもそれ以下の音量になるような調整ができないのです。

また、アナログラジオはDSPラジオと比べて少ない電力でも動きます。アナログラジオを使っていて、手回し充電で満充電にした場合の持続時間が長くなるだけでなく、充電池が空になる前に音量が小さくなったとしても、無理にボリュームを上げることで、電池の切れるギリギリまで何とかラジオを鳴らす時間を伸ばすことも可能です。特に手回し発電しかできないようになってしまった場合の使い勝手(電池持ち)はアナログラジオの方が良いと言えるでしょう。

選局についてはデジタル一発選局と比べると難しいですが、これは慣れもあると思います。旅行などで地方に行った場合、適当にダイヤルを回しながら良く聞こえる局を聞く(場所によっては全く予期しない遠方のAM局が聞こえることもあります)ような事はアナログラジオならではの楽しみだと私は思うのですが、これは個人差があるのでその事からアナログかデジタルかを選ぶ理由にはならないと思います。

最後に自分なりの結論として、アナログかデジタルかを決める目安について書いておきます。防災用という観点からすると、同じ電池を入れたり、同じように手回しした場合により長くラジオが聞けるアナログの優位性はありますが、そもそもいざという時にラジオを使えないと意味がありません。アナログのチューニングが難しいと思うなら、素直にデジタルのDSPラジオを選ぶのが良いと思いますし、日常的に使いながらアナログラジオの操作方法を自分のものにしたいと思えるのであればアナログラジオの方を選ぶとか、その人のニーズに合ったラジオを選ばれるのが良いでしょう。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

カテゴリー: ラジオ | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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