カテゴリー別アーカイブ: 車中泊全般

車中泊の環境は転用可能なものを選ぼう

年末には毎年一部では盛り上がるNHK総合テレビで放送されている「ドキュメント72時間」の2018年の年間ランキング発表の番組を見ていたのですが、第二位にランクされた競馬の日本ダービーの席取り(席は開場から15分で今年は埋まってしまったそうです)のための行列に密着した回は実に面白かったです。

最も早くから並んでいる人はダービーの5日前くらいから並んでいるそうで、仕事の休みを取っていい席でレースを見るために並ぶ人達のバイタリティには感動すら覚えてしまいました。

行列には様々なルールが有り、そのルールを知らないで並んでいるとJRAの職員が列の整理と称して容赦なくその場にいない人の席取りのシートを剥がしたり、行列を少し進ませたりして、そこまでずっと並んだ苦労が大無しになってしまうこともあり、単に並んでいるだけでは駄目であることをこちらも見ていて理解しました。

行列は比較的環境の良い西門への行列と、屋根がなくヒルも出るという過酷な正門への行列に分かれているものの、どちらも固いコンクリートの上に座ったり寝たりしながら行列に加わる必要があります。テレビではヨガマットを敷いて凸凹を解消する人が羨ましがられていたり、自立式のハンモックを持ってきている人もいましたが、意外と多くの人が寝る対策をしないで来ていることが意外に思えました。

もちろん、紹介したようにJRAの列整理に対応するために、一人で来ている人はお隣りで並んでいる人と仲良くなり、情報を仕入れたりトイレや買い物に行った時に列を守ってもらうことも大事なので、自分ばかり快適な環境を見せ付けることで、かえって周りに反感を買ってしまう恐れもあるのかも知れませんし、さらに入場時にいの一番に走って席を取ろうとしている人にとっては装備が大きく重くなればなるほど機動力が落ちるわけですが(^^;)、やはり2日も3日もコンクリートの地面にブルーシートを敷いただけのところで寝るというのはその後の体調にも心配なところがあるので、せめて銀マットだけでも敷いた方がいいのではと思う方もいました。

私自身はそこまでして行列に並ぶような機会が今後あるかどうかはわかりませんが、どうしても行列に並ぶようなことがあれば、今まで車中泊用に用意した様々なグッズが効果的に使えると思います。夏の暑い季節ならコットにキャンプ用のマットを組み合わせて、寝るのにも日中に座るのにも使いながら、正直快適とまでは言えないまでも、体を痛めたりすることなしに一応の楽な姿勢は取ることはできる環境を作る自信はあります。あとは、それほど目立たずに快適な環境を維持するための工夫をすることになるでしょうが、一概に行列の場に仰々しいテントを立てて過ごすというよりも、その場に馴染み前後の列の人との交信を遮断しない環境なんてことを考えると、あえてキャンピングカーではない普通の車で車中泊をするか試行錯誤することとオーバーラップしたりします。

日本ダービーの行列は一年に一回で、恐らく多くの人は毎年一回行く人もいるでしょうが、つい思い付いて並ぼうという風に考えた人にとってはそのためにキャンプ用具を一から揃えるというのは無駄だと思っているのかも知れません。ただ、車中泊を楽しみ、いざという時の野営対策をしている中では、こうした行列に参加したいと思った時には使える道具を揃えてあると、車で出掛けてそのままスムーズに行列に移行できるでしょう。

コットが電車での移動の際に持ち運びが大変ならば、空気でふくらませるマットや、きれいに折り畳めるマット、さらに冬の極寒時にも耐えうるコンパクトに畳める寝袋と雨が降っても大丈夫なシュラフカバーあたりを日頃から車に揃えておいて、何かあった時に持って行けば災害時にも車中泊にも、ついでに行列に並ぶ場合でも役に立ちます。車中泊の環境を整えるために揃えるグッズは、あくまで車中泊だけのためではなく、様々な場合でも使えるようなものということで考えて購入することが改めて大切ではないかと思うところです。


インドネシアの津波の恐ろしさから車中泊の旅を考える

インドネシアで起こった大きな地震を伴わない津波の被害は、日を追うごとに大規模になっていくようで、まだまだ増えるのではないか? という感じもします。それは、いわゆる何らかの「予兆」が全くない中、さらに周りも良く見えない深夜に起こったという悪い条件が重なったことにより、まともに津波を受けてしまった人が相当いるだろうと思えるからです。

今回のケースは、少し離れたところにある火山の噴火によって土砂崩れが起き、その土砂の勢いで津波が起こったという、地震とは関係なく突然やってくる津波ということなのですが、テレビでは何故か日本で同じような地震による被害の可能性について、多少の報道はあったものの(九州の阿蘇山の噴火で地すべりが起き、別のところで津波が起こった事例があるとの話はテレビで見ました)、自分の住む南海トラフに接する地域ではどうなのか? ということについては説明はなかなかされません。

そんな中、これは2017年10月のニュースなのですが、正に今回のインドネシアで起きた津波と同じようなメカニズムでの被害が過去に出ていたのではないかとする研究が発表されたというものがありました。

それは、日本の歴史では戦国時代初期の1498年に起きた、南海トラフ巨大地震と考えられながら全体像が不明確な「明応地震」について、駿河湾内で海底地滑りが原因の局所的な津波が発生した可能性が高いと指摘する研究があるというのです。

駿河湾は数々の深海魚が生息する深い海溝があることでも有名ですが、そんな高低差のある海底内では海底に震源域がある地震や、海底火山の噴火活動によって崩れてしまった場合、場所と規模にもよると思いますが、通常の津波よりも早く陸地に到達する津波となって沿岸部を襲う可能性も拭いきれないという話もあります。

このニュースは、津波工学が専門の阿部郁男常葉大教授が執筆した論文、「駿河湾内の津波痕跡に着目した1498年の明応東海地震の津波波源の検討」、土木学会論文集B2(海岸工学),Vol.73,2017.が発表される前に地元の新聞社が報じたものですが、今のところ大きな地震に伴う津波警報・津波注意報は出てくるものの、海底での地すべりが地震とは関係ない原因で起こった場合、すぐに警報を出して告知することは難しいでしょう。

今回のインドネシアでの津波は、暗くて海の様子が見えない深夜に起こったことで、全く津波が来ることを考えていない中で被害に遭ったという点で、やはり車で出掛けて海の近くで車中泊スポットを探す場合でも、高台で車中泊をできる場所を探した方がまさしく予想もできない災難から逃れるためには、そこまでの配慮も必要になってくるのかと思うところもあります。

海に限らず自然は様々な恵みを私たちにもたらしてくれるものの、ほんの気まぐれで容赦なく破壊を起こす恐い存在でもあります。車中泊場所を決める場合、多くの車が集まる道の駅や高速道路のサービスエリアを嫌い、人や車の来ない場所を見付けるような方もあると思いますが、今の世の中ではスマホのアプリに防災用の危険箇所を表示してくれるアプリもあります。私が入れているのはAndroid用になりますが「地理院地図++」というアプリで、防災関連のハザードマップの他、道路の冠水危険箇所や事前通行規制区間など、いざという時に役立ちそうな様々な情報が記載されたマップを利用できるので、車中泊場所のチェックや、通行時の安全を確保するために必要になれば使いたいと用意しています。ただし、最初に紹介した通り津波というのは現在の学問をもってしても正確な被害範囲を予測することは難しいと思いますので、各種データはあくまで参考とした上で、安全に車中泊できる環境について考えていきたいものです。


ヒッチハイクを甘く見ない方が良い

先日このブログでも紹介しましたが、NHK総合テレビの「ドキュメント72時間」で名神高速道路の草津パーキングエリアに密着した際、本線への入り口のところで車に乗せてもらおうとするヒッチハイカーにも取材していました。

びっくりしたのは、単に交通費節約のために乗せてもらうのではなく、自らの行動を生配信することが目的でヒッチハイクをしている人がいたことです。その方は男性でしたが、髪を長く伸ばしていて、遠目から見ると女性に見えることで、男性のドライバーを騙すと言っては何ですが、あわよくば自分の姿を見てドライバーがどんな変化を見せるかということをあわよくば配信して自分のチャンネルを見てくれている人を楽しませようとしているフシがありました。

こうした事はユーチューバーの鏡というべき演出方法なのかも知れませんが、お金の無い若者の移動を援助しようと思った人の心をないがしろにさせてしまう可能性もあるので、事前事後に十分な説明があって運転手がその演出意図に理解を示した場合なら許されることもあるかも知れませんが、生配信ではすでに世界中に向けて先に流れてしまうので、後からいくらフォローしても許されないという可能性も出てきます。

私自身はそういう事に巻き込まれるのはあまり好まないので、番組を見た後には今までケースによっては乗せてあげてもいいかなと思っていたところもあったのですが、今後は慎重に相手を観察した上で誰でも乗せてあげるようなことは慎もうと思えてしまいました。他の方はわかりませんが、いきなり自分の車の中で生実況を始められたら、相当の違和感を感じるというのが普通ではないかと思うのです。

そんなヒッチハイカーについて、前々から言われている「車に乗せる方のリスク」がそのまま事件になってしまったニュースが有りました。40代の女性が自宅付近まで送って欲しいと通り過がりの車に乗り込み、降りる際に助手席にあった運転者のカバンを掴み、半ば強奪するような形で降りた強盗の疑いで逮捕されたという事です。運転者に気付かれないように置き引きをするのではなく、相手に抵抗されることを見越しての行為は、下手をすると運転者が怪我をしたり最悪の場合は命を落とす可能性もあります。こんな事が普通に行なわれる社会にこれからの日本がなっていくのだとしたら、正直怖いですね。

私自身は見知らぬ人との間でヒッチハイクをしたこともされたことも経験はないのですが、まだ車を持っていなかった学生の頃、男女別相部屋というとほ宿とかユースホステルを利用していた時には、たまたま知り合った車で来ていた社会人のお兄さんに私ともう一人いた旅行者の人が車に乗せてもらい、電車やバスでは行けない観光地へ連れていってもらったことに感謝し、逆に自分が車で旅をするようになって同宿になった人と団体行動をする際に複数の車に分乗してプチ団体旅行のように楽しんだことはいい思い出です。ただ、その場合は事前に宿で食事をしたり談話室でお話しをする中でこの人は、翌日に車に同乗させても大丈夫なのか判断することは可能でしたし、もし何か問題があった場合は宿に宿泊者のデータを聞けばその人の素性は明らかになったので、お互いに納得の上で車に同乗させたりさせられたりという付き合いをしていましたが、今ではちょっとそんなことはできないかも知れません。

そんなことを考えながら書いていて、小説家の坂口安吾のエッセイ「エゴイズム小論」の事を思い出しました。童話の赤ずきんちゃんが親切心から森のお婆さんをお見舞いに行ったものの、その先でおばあさんに化けていた狼に食べられてしまう(最後には狩人によってお話では助け出されますが)という、話を引き合いに出して「親切」という行為について書いています。その中で心に残っているところを今回ご紹介します。

(ここから「坂口安吾/エゴイズム小論」からの引用)

親切にしてやったのに裏切られたからもう親切はやらぬといふ。そんな親切は始めからやらぬことだ。親切には裏切りも報酬もない。(中略)親切のおかげで殺されても仕方がないといふ自覚の上に成立ってゐる絶対の世界なのである。

(引用ここまで)

確かに、自分の今までの行動というものを顧みるに、ほいほいと知らない人の車に乗るのもこちらから知らない人を車に乗せるのも、ある程度は性善説に基づいて行動をしていますが、最悪の場合にとんでもない事件に巻き込まれる危険はあっただろうと思うものの、基本的には恩に着ることはあっても着せたことはありませんでした。まさに「情けは人の為ならず」の精神だったように思います。

今後、車にどうしても乗せてほしいと頼まれた場合、もし最初からの同行者がいた場合は自分の判断で何らかのトラブルに巻き込んでしまう危険性がないとも言えないので、同行者の方から乗せてあげてほしいと強く頼まれない限りはヒッチハイカーは乗せないと思います。一人で運転中にそんな場面に出食わした場合は、紹介したニュースのように貴重品を見えるところに置かないで、簡単に車内の荷物を盗まれないように、事前に車内の座席に物を置かないようにするなど(こうした心掛けは車上荒らしの被害防止にも役立ちます)の対策は今後必要になると思います。くれぐれも軽い気持ちでヒッチハイカーを乗せることは避け、自分なりの結論というものを見付け出してみることをおすすめします。


大型サービスエリアはどんな利用のされ方をしているか

NHK総合テレビで毎週放送されている「ドキュメント72時間」という番組があります。ある場所にカメラクルーが常駐し、取材開始から72時間の中で起こったドキュメントを放送するというもので、2018年11月30日の放送は名神高速の草津パーキングエリアでの取材でした。大阪~名古屋~東京へと続く西日本最大のパーキングエリアで、当然のごとく24時間営業です。一体どんな人たちに取材したのかと気になって先日録画したものを見てみました。

このパーキングエリアは観光バスや夜行バスの休憩スポットにもなっており、自家用車を運転してこなくても利用ができるので、単身赴任の地から家族の待つ家に帰るのに新幹線を使わずに夜行バスに振り替えることでその差額で家族にお土産を買って帰るんだという男性がいて、その方は関西全域のお土産を入手できる大きなパーキングエリアであるため、かなり時間を掛けてお土産を選んでいたのを取材されていました。

私も東京から夜行バスで静岡まで帰る時に、そういったサービスエリアの使い方というものをすることがあります。東京~静岡路線の場合は足柄サービスエリアで休憩になるので、おみやげの購入とともに、中日本高速道路株式会社の直営するうどんや「足柄麺宿」でぶっかけうどんを食べるのが定番になっています(^^;)。元々は同じ東名高速道路の中井パーキングエリアで営業する「中井麺宿」を立ち上げる際に社員を四国まで修行に行かせて、四国の腰のあるうどんを提供するお店の姉妹店としてできたお店だと把握していますが、うどん好きということもあって、車で通る時だけでなく高速バスの休憩の時間を利用して深夜のうどんをいただくのが定番になってしまいました。

番組で紹介された草津には京都まで車で観光に行く際には通るのですが、高速道路を降りる大津のインターがサービスエリアを併設しているので、どちらかというと草津は素通りすることの方が多いのですが、今回取材を受けていた方を見て思い出したことがありました。

というのも、大津在住の友人宅に電車利用で泊まりに行った時、朝ごはんの用意がなく、近くにはそれほどおすすめの場所がないということで友人の車で連れて行かれたのがどこあろう草津のパーキングエリアだったのです。このパーキングエリアには一般道から入場できる入口と駐車場があり、さらに早朝から走るドライバーのための朝食メニューが安くて量も多く、確かその時には豚汁の定食を食べたと思いましたが、ある意味朝食らしい朝食をいただくことができました。

その時の私と同じような利用方法をしている人が番組に出てきまして、その方は深夜3時過ぎにかなりのハイテンションで現われたところを取材されていました。その方は近くにあるスナックのママさんとその常連さんの一団でしたが、全員お酒を飲んでいたら当然車を運転できませんので、お店終わりを待っていつも集まるメンバーの中に代行運転のドライバーを入れて(時間からして恐らく代行運転の営業が終わった頃だろうと思われます)、その人に運転させることでお店終わりに軽食をいただきながらまったりしているという、取材クルーからしたらちょっと変わったサービスエリアの使い方をしていると思われたようでした。

実のところ、このブログでもちょくちょく紹介していますが、一般道から高速道路のサービスエリア・パーキングエリアを利用するというのは結構ニーズがあって高速道路会社の売上に貢献しているところがあるということです。例えば、私の地元である東海道沿線には東名高速と新東名が並行して走っているのですが、特に新東名の沿線というのは山の中を走っていて、大きな国道も通っていないので、周辺で遅い夕食を食べたいと思った場合、地元にある食堂などが軒並み閉まっていると、かなり車を走らせて市の中心部に出なければならないというのが新東名ができるまでのことでした。一般道からのサービスエリアの利用というのは週末の日中にはかなり駐車場から車が入ってきますが、夜間から深夜にかけてならそこまでの利用者はいないと思います。加えて一部の飲食スポットやサービスエリア内のコンビニは24時間利用できますので、もし街の中で24時間営業しているお店に行くより高速道路のサービスエリアの方が近くにあるのだったら、無難に食事をしたいと思った場合にはサービスエリアに一般道から入る方が便利だということになります。

番組では、その他のサービスとして草津パーキングエリアで設置されているコインシャワーを利用するトラックの運転手の方にも取材していましたが、お風呂でなくコインシャワーであるということがパーキングエリアらしく、時間が限られた中で汗を流すのに利便性という点では十分です。地方を車で走りながら車中泊の旅を続ける場合、常に利用できるお風呂がない場合には事前にサービスエリアの施設内容を調べた上でコインシャワーのあるところを利用できれば、リフレッシュもできますし、そこそこ長い距離を連続して走ることができるようにもなるので、積極的な利用もありだと思います。

最後に、番組ではこのパーキングエリアからヒッチハイクを試みる若年層の方々にも取材していましたが、単なる交通費の節約でヒッチハイクをするのではなく、ネットに自分がヒッチハイクをしている姿を同時中継しながら登録ユーザーに見てもらうためにヒッチハイクをしているような感じのユーチューバーの人もいて、時代も変わったものだとしみじみ思いました。そのユーチューバーの方はまさかの同じユーチューバーの集団と知り合い、その車に乗せてもらえましたが、番組でハンドルネームとは言え身分とだいたいの経歴を晒してしまったというのは、今後ネットでの同時中継を中心に活動するというのは、どんな人が見ているかわかりませんし、放送後の活動を考えてもかなりリスクの伴う行為だと私は思います。そこまで頑張ってどのくらいの収入があるのだろうと思いつつ、せめてその体験が彼の後の人生に何らかの役に立つように願うしかありません。


「無人販売所」が将来なくならないために

日本では季節によって様々な作物が収穫でき、春夏秋冬どこかでおいしくいただける名物があるものです。そんな中、シーズンを迎えた温州みかんの地域ブランドで、抜群の糖度があり人気も最高の「三ヶ日みかん」の農家さんの受難に関することが地域のニュースとなって配信されてきました。

全国どこの地域でもある「無人販売所」は、売る方にも買う方にもメリットの多い手法です。自分の田んぼや畑の近くに販売所を設置し、お金を入れる箱を設置すれば道の駅のように許可をとったりしなくても、すぐに自分の所で収穫した農作物を販売することができます。人気の無人販売所では近所からだけでなくわざわざ遠方から来てくれる人もいるかも知れませんし、人件費がかからずに販売ができるというのは、現金収入のない農家さんにとっては大変ありがたいものでしょう。

また、購入する側にとっても、まさか無人販売所でその土地とは全く関係ない作物を売るということはないでしょうから、生産者の顔を想像しながら安心して購入することができますし、金銭の授受を簡略化しているがゆえのメリットもあります。それは、お店だとどうしても細かい価格になっていて支払いがめんどくさいところ、無人販売では利便性の面から細かい端数の出ない売値にしている状態で量も多くなっていたりして、あくまで原価に近い状態で安く購入できるということです。

そんな貴重な場所である無人販売所の状況が色々と変わりつつあるというのが全国的な傾向なのだそうで、今回ニュースで見た三ヶ日みかんの産地でも起こっています。ここまで書けば多くの方はおわかりでしょうが、無人店に出ている作物を持って行っているのにお金を入れなかったり記載されている価格を無視して、少ししかお金を入れないで持って帰る万引き行為が後をたたないのだそうです。

地元紙の取材に応じた老夫婦は不本意ながらも販売所の中にお金を出して監視カメラおよびカメラ稼働用のバッテリーを数万円のコストを掛けて設置したところ、ひどい時には商品の半分が万引きの被害に遭っていたこともあった以前と比べて、カメラに写った姿から窃盗犯の特定ができたこともあって被害額が目に見えて減っていったとのことです。しかし、そうした設備投資をしないと、タダではないとわかっていても持って行ってしまう人が無くならないのでは、ダミーの監視カメラが見破られたり、何の対策もしていない善意の無人販売所が万引きの被害に遭ったまま泣き寝入りしてしまうことを意味します。今後の無人販売所のあり方についても、販売所そのものを閉鎖する事を含めて生産者は考え直すことも予想されます。

農産物の窃盗については、収穫直前ですぐに売れる人気の農産物に狙いを付けて、一気に収穫しながら盗んで行く事件は全国で起こり、問題になっています。そうした事件と比べると無人販売所での万引きは規模こそ小さいですがやっていることは同じで、罪も大きいということを忘れてはいけないでしょう。

今後、従来の形の無人販売が継続できなくなるくらいの万引き行為が深刻な被害を農家の方々に与えるくらいになってしまったら、ごくごく零細にやっているところを除いては、卵やイチゴの無人販売で良く見るような自動販売機形式での無人販売を考えるところも出てくるかも知れませんし、生産者自体が手広く商売をしているところの中には、クレジットカードや電子マネーをかざすことで目的の品物が入っているケースを開けて商品を取るような機材を導入して、料金もしっかりと消費税込みのものを取るようなことにもなってくるのかも知れません。ただそうした機械を販売目的で使えるところというのはある程度限られてしまい、そういうところにも大規模にやっている農家と、あくまで小規模にやっている所との格差がさらに広がってしまい、買う方としても今までのような素朴な無人販売所での買い物を楽しめなくなってしまうような気もします。

日本が欧米と違うのが、行き届いた公衆道徳を多くの人が守ることだと言われていた時代もありました。それこそ誰でも開けることのできるクッキーの缶にお金を入れるような形式の無人販売でも、夕方に生産者が行けばきちんと売上げと金額が一致しているようなことが普通だったのです。現代の日本は国内でも一部のマナーの悪い旅行客が場を荒らす事例もあるなど、そうした過去の状況とは違うことは当然わかってはいますが、せめて昔から無人販売があったことを知っている人の間では、やはり購入した分のお金はきちんと箱に入れて、小規模で消費税も取らないで販売してくれる農家さんに感謝する気持ちを持って無人販売所を利用するというのが大事になっていくのだろうと思います。


日本初の「液体ミルク」は江崎グリコから

昨日のニュースで、以前このブログで紹介したそのまま赤ちゃんに飲ませることができる「液体ミルク」について、2019年春に日本のメーカーとしては初めて江崎グリコが発売するということを発表しました。すでに製品化には成功しているとのことです。販売時は紙パック入り125ミリリットルを想定していて、大方の予想通り粉ミルクよりは高めの価格設定になるようです。

さらに江崎グリコでは災害時の備蓄用のミルクとして「液体ミルク」を東京都文京区に災害時の備蓄品として供給することも発表しました。製造過程で殺菌が行なわれており、常温でもそのまま赤ちゃんに飲ませることができる液体ミルクは、災害用品としても有効であることが言われています。そうして知名度を上げていく中で、普段の子育ての中でも使ってくれる需要を喚起したいというところは当然あるでしょうから、今後他のメーカーを含めて「液体ミルク」の市場がどのように育っていくかによって、日本の子育ても変わってくるのではないかと思います。

今回、江崎グリコが手を挙げてくれたことで、もし全国のコンビニにこの液体ミルクが置かれるようになれば、今までは車で出掛けた先でお湯をもらえるところを探して粉ミルクを溶かして与えるようなことをしなくても、液体ミルクの容器自体に吸口を付けて赤ちゃんに吸わせるだけで(発売される容器の形状によってはできない場合もあります)急にお腹が空いて泣かれても一瞬で対応が可能になる分、気軽に家族全員で車での旅も行ないやすくなるような気がします。

もちろん、災害用に液体ミルクを使わなくても、水・カセットコンロ・粉ミルク・哺乳瓶という形て別々に備蓄することによってその水を様々な用途に使うことができますし、コンロは家族全員に暖かい食事をするために使うことも可能です。お湯についてはいったん真空断熱ステンレスボトルの中に入れて保存するようにすれば、前日に熱湯を入れたボトルの中味は翌日にはうまい具合に冷めて適温になっていますので、ボトルから出したお湯を粉ミルクに溶かせば冷ますことなくすぐに与えることができます。こうしたことを家族旅行の時に行なっていれば、災害の際にもスムーズに必要とする時に赤ちゃんのミルクを作ることができます。すでに実践されている方も少なくないでしょう。

ただ、どちらかがどちらかを駆逐するというものでは決してなく、普段粉ミルクを使っている方でも長期間断水が続いて飲み水すら入手できなくなったら、そもそもお湯を調達することができなくなります。そんな場合でも赤ちゃんのミルクは何とか調達できるように、粉ミルクとは別に液体ミルクを購入してから賞味期限切れになる前に使えるものを備蓄しておいたり、旅先やちょっとしたお出掛けの際、あった方が良ければその場で購入していざ必要な時に備えるというような形で状況に応じて使い分けることができるようになるという風に考えると、特に男性の子育て参加にもいい影響が出てくるように思います。

今回の江崎グリコの発表を受ける形で、他のメーカーは様子見をするのか、それとも先行者利益を挙げるのは許さないとばかりに同じような製品化の話を具体化させるのかはわかりませんが、今回の発表からスムーズに進めば来年のお花見の時期には液体ミルクを持ってお出掛けする家族が増えてくるのではないでしょうか。


しばし車のない生活をして考えたこと

先週の金曜日から車を車検に出し、代車も使わずに週末を過ごしていました。つまり、全く自分で運転する車のない生活になってしまったのですが、常に使っていた車がないというのは思いの外大変でした。

というのも、自分一人だけで移動するためには自転車も原付もあるので不自由はないのですが、人を乗せての外出が一切できないというのは、買い物や外食もすぐには行けないということで自然と外に出ずにテレビを見て過ごすだけになってしまいました。

電車やバス、地下鉄などの公共交通網が発達している地域ではそこまで自動車の必要性を感じない方もいるかも知れませんが、数日間だけではありますが車のない生活をしてみて改めて高いお金を掛けて車を維持することのメリットを感じるとともに、もしこのまま車を手放した場合、そこまで公共交通網が整備されていない場所でどのように活動していくのかということも考えてしまいました。

バスは途中に目的地があればいいのですが、そうではない場合はタクシーを呼ぶというのが普通でしたが、最近ではカーシェアサービスというものもあります。カーシェアのサービスを利用したいと思っても当日急に車が使いたいと思った場合に車があるのかというのが差し当たっての問題になります。また運良く使える車があったとしても車のあるところまで出向かなければならないとしたら、何とかして現地まで行ける交通手段を考えなければなりません。人を乗せて出掛けたいと思っている場合、一緒に車のあるところへ他の公共交通機関で移動するか、一人が取りに行って残りの人が待つかということになります。

事前に予定がわかれば届けてもらう方法も無いことはないと思いますが、どちらにしてもこうしたカーシェアリングサービスは、徒歩圏内で車が借りられるような場所になければスタートするまで時間が掛かることになり、距離によってはタクシーを呼んだ方がいい場合の方が多い地方がまだまだ日本にはたくさんあるのではないでしょうか。

もし今後カーシェアリングが普及するなら、全国どこへ行っても存在し、駐車スペースもある場所にサービスを広げていかないとなかなか使いものにならないような気がします。ガソリンスタンドでもコンビニでもいいですが、スマホやパソコンで近くの配車場所にあるかどうかの確認および、すぐに用意できない場合でも拠点まで運んでくるまでの大まかな時間がわからなければ気軽にはなかなか使えないでしょう。でもさすがに、すぐ使いたいのにすぐに使える車がなく、車を回送するための待ち時間が相当あるとなった場合は、サービスを使うこと自体に躊躇するかも知れません。そういう意味では多くの車が近い場所に用意しやすい、狭い地域に人が集まっている首都圏でこそ使えるサービスという感じもします。

車を持つコスト面で言うと、購入時の価格の他、毎年の自動車税、2年おきの車検代に損害保険料、そして毎月のガソリン代やもしもの時の整備費用ということを考えると、必要な場合にタクシーを使うようにしても十分なのですが、むしろ今後もなかなか地方でカーシェアリングの組織化が難しいことを考えると、もう一つの可能性というものを考えてみたくなります。それは「自動運転によるバス・レンタカー・カーシェアリング」という考え方です。

この前提には一般道でも安全に自動運転できる車が市販されることが必要になりますが、自動運転車が普通に利用できればコミュニティバスの運行経費の削減になり、地域を担う交通手段として将来にも残る可能性が大きいでしょう。コミュニティバスの路線として成り立たないようなところでも、シェアでの利用が可能な自動運転車がスマホのアプリで呼出されれば、自走で呼出場所まで来てくれて、タクシー代わりに使っても良く、借りた車でそのまま旅行にも行くことができれば、現在のレンタカーやカーシェアリングにおける大きな問題が解決されることで、現状よりも更に利用しやすくなるでしょう。

というのは、もし借りた車で事故を起こした場合、決められた料金に加えて車の修理代だけでなく、車を修理に出している間に営業に使えない分の休業補償相当額まで追加で請求されるか、その分の自動車保険の加入が必要になるのですが、自動運転車がその自動車の欠陥のせいで事故を起こしたとしたら、それはメーカーの補償案件となるので車に乗っている借り主やコミュニティバスを運営する団体側には金銭の負担はなくなるはずです。その分料金も安く使えることになるかも知れませんし、将来的にはタクシーや路線バスが担っている地方での移動手段にとって変わることも考えられているようですから、そんな未来も想像してみたくなるというものです。


消費税引き上げ後に起こるかも知れない道の駅の受難とは?

消費税の8%から10%への引き上げによって起こるかも知れない事はいろいろ予想することができますが、このブログで主に書いている車中泊の旅において影響は出てくるのかということを考えた場合、やはり一番考えられるのは食品を「持ち帰る」と8%のままで、外食はもちろんですが、出来合いのお惣菜や弁当、すぐに食べられる食品を購入した場所で食べた場合にも消費税は10%が請求されるようになりることについての影響でしょう。

具体的には、コンビニやスーパーに併設されている「イートインスペース」を利用するか否かによって請求される消費税の額が変わってきます。さらに最近の報道ではコンビニの前にあるベンチでの飲食も消費税10%の対象になるという方針を国税庁が発表しました。実務ではお店側はどのように判断するかというと、会計時に「お店の敷地内でお召し上がりになりますか?」という風にいちいち聞く必要が出てきます。スーパーのレジは最近「セルフレジ」という方式のものも導入されていますが、ここでも「店内飲食」が「持ち帰り」かの表示が画面に出て精算前に選ぶような新たな手間ができると思いますが、その後「持ち帰り」としたのにイートインスペースで買ったものを食べようとしたり、カップ麺のお湯を入れて外のベンチで食べようとしたり、店内電子レンジの使用をするかどうかまでいちいち確認するような事までお店側がやることが普通になる可能性もあったりします。

というのも、事は税金のことですから、とにかく外食分として2%余分にお金を出したくないと思う人は、お店のイートインスペース内では食べなくても、店の外にあるベンチの所で食べようとする人もいるかも知れません。そうした行為が予想されるがための「店の前のベンチでの食事も10%」という指針を出しているのだと思うのですが、それはそれでお客さんの利便性を損なうこともあるでしょう。コンビニではさすがに難しいでしょうが、スーパーの敷地内に休憩用のベンチが設置されているような場合、あえて「ベンチでの飲食禁止」というルールを徹底し、お店の敷地内で食事をしている実態がないことが確認できないと「店内で食べない」ことを証明できないため、8%しか消費税を払っていない人たちに対して、店内および敷地内でも決して飲食はしないというルールを徹底させてくることは十分に考えられます。

しかし、それでもなお少なくない人たちがお店のイートインスペースでは食事はしていないものの、外のベンチで食べていることが常態化してきた場合には、お店と8%分しか払っていない買い物客との間でトラブルになる可能性があります。最悪の場合、彼らが払わない2%分の負担をお店の方でしなければならなくなったとしたら、一年のトータルで考えるとかなりのお店負担になると思いますので、冗談ではなく次のきちんとした対応をお店はやってくるでしょう。

この辺は、本当にちゃんとできるのかという疑問点はありますが、店内でのルール徹底がうまくいかなかった場合、会計時にあいまいな返事しかしないお客さんに対しては一律消費税10%をお店側が請求してトラブルになるような事も考えられなくもありません。どちらにしても食品を扱う小売店にとっては、最悪の状況を常に考えた対処方法を考えておかないと、思いもよらないトラブルが出てくるかも知れません。

さて、ここからが本題ですが、コンビニやスーパー、ファーストフードでお会計をする際に「ここでは食べずに持ち帰り」と宣言した場合、普通の人はそのお店を出て他の場所で食べるようになるわけですが、自宅に戻って食べたりする状況ではなく、車中泊でもドライブでも旅行で来ている場合、お店の中でなくどこで買ってきたものを食べるか? というのが旅をする人間としては重要になってきます。

車で移動しながらそれなりの設備の整った場所を探すか車の中で食べるかということになると思いますが、車の中で食べると車の中が汚れますし、もしベンチやテーブルがあって誰でも使える場所があればという時に一番思い当たる場所が「道の駅」ではないかと思うのです。もちろん、公園や河川敷というような場所もあるものの、24時間利用可能でトイレも併設されていますし、カーナビでは簡単に今いる場所から近い道の駅を検索して直行することもできるようになっているのは大きいでしょう。

しかしここで、道の駅の運営をされている方の立場になって考えてみますと、コンビニやスーパーと同じように、お弁当やファーストフードを店内や屋台で売っているような道の駅の場合、先に紹介したスーパーのように、店外のベンチでの飲食を簡単に禁止するわけには行かないでしょう。そもそもスーパーと道の駅とでは作られた目的が違います。道の駅に直売所があっても、長距離ドライブに疲れてトイレ休憩だけの目的で入ってくる車を追い出すこともできません。そうなると、道の駅が外で買ってきたお弁当やファーストフードを食べる場所として使われてしまう可能性も出てくるわけで、さらにそうして食べた後のゴミだけを道の駅のゴミ箱に置いていかれてしまうようだと、道の駅での車中泊の可否という問題以上に、道の駅の利用方法について揉める可能性が出てくることが考えられます。

大変なのは実際に道の駅の運営に携わっておられる方々だろうと思います。このように外からやってきて食事だけしていく人とともに、店内で買い物をしてそのまま持ち帰るのか店内でなく外で食べるのかという事をいちいち確認したら、それなりにきちんとできるかも知れないスーパーやコンビニとは違って、かなり現場は混乱するのではないかと思います。道の駅としては全ての買い物を一律で消費税10%にしてしまうのが楽なのですが、そうなるとますます外から食べ物を持ち込んで道の駅で買わない人が増える可能性もあります。

そうなると、今回「持ち帰り」8%「店内飲食」10%と分けたガイドラインについて、本当にきちんと区分けすることができるのかということが改めて問題になってくることも考えられます。実際に消費税が引き上げられた場合、今回挙げさせていただいたコンビニやスーパー、道の駅での対応はどうするのが正解で、利用者の側はどのように利用すればトラブルに巻き込まれないのかということも実務として様々なパターンが出てくる中で解決策も出てくるかなという気もしますが、どちらにしても車で出掛けて食事について考える場合、食事を持ち出して他の場所で食べる際には十分に注意する必要がありそうです。


尾畠春夫さんに学ぶお金を掛けない車中泊旅のスタイル

2018年9月23日にTBS系で放送された「情熱大陸」で、過去このブログで書かせていただいたことのあるボランティア活動家の尾畠春夫氏に密着取材した様子が放送されました。ご覧になった方も多いかと思いますが、このブログでは主に尾畠さんの車中泊生活はどうなっていたのかという点について、番組を見てわかったことを書いてみようと思います。

まず、取材当時にボランティア活動をしていた広島県呉市天応地区には軽のワンボックス車を使って入り、特別扱いではなく毎日ボランティアの活動票のような紙に記入して主に民家の中に入った土を取り除く活動をやっていました。そうした正式な手続きに乗っ取って活動をしているところから、避難所となっている天応地区の小学校の校庭に車を駐車することを許されているようでした。

また、学校の水道を使って一日働きづめで汗だくになった衣類の選択を折りたたみバケツを使ってやり、洗濯物は車が停めてある横にあるアスレチック系の遊具のロープの網のところに掛けて乾かしていました。その様子だけ見ると、過去に何度もネットで叩かれた道の駅に住んでいる長期滞在者の様子と変わらない行動であるのですが、一つ大きく違うのは、地元の人のために活動をしにきてくれ、さらに正式な手続きに沿って活動をしているということから、校庭での車中泊生活を地元の人が認めてくれているということです。

いくら尾畠さんと言えども、最初は地域の人からするとよそ者なわけですから、それなりに地元の人からすると警戒感を持って見ていることはあったと思います。しかし現地での働きぶりや、山口県周防大島での行方不明のお子さんをすぐに見つけた能力の高さを知るにつけ、一目置くような形で接するようになったであろうことが番組を見ている中でも出てきていました。現地ではできるだけ地元の人と会話をするように心掛け、有名な赤のつなぎにも背中に自分の名前を書くことで、誰だかわからなくて地元の人が不安になるような事は極力避けているようです。そうした尾畠さんの人柄が逆に人を引き付けることもあるようです。

お昼休みの休憩中に尾畠さんを訪ねてきた男性がいて、その方のお母さんが尾畠さんに食べてもらいたいとお好み焼きを渡したら、尾畠さんは相当恐縮しているようで何度も何度も頭を下げ、感極まったような表情をしていたのですが、自分から困っている人のところに行って活動するのには慣れていても、他人から施しや好意を受けたりすることには慣れていないという印象でした。単にテレビを見ていただけの私でも尾畠さんの事が好きになってしまったので、地元でその人となりに触れている地域の方々はなおさらでしょう。改めて私達が旅行であっても地元でない土地を訪れる時には基本その地域のローカルルールには従い、単に地元の方の好意に甘えるだけでなく、何か現地でお返しができるような事はないかという風に考えることが、一般の方から見られる車中泊の旅行に悪いイメージを持っている人の考えを変えるきっかけになるのではないかと思ったりまします。

番組では車の中までは取材していなかったので、個人的には見たかった車中泊のための工夫など車内の様子は見ることはできませんでした。しかし、その後大分県の自宅の中で取材を受けているのを見たところ、けっこう男の一人世帯で部屋は散らかっていて、何となく車の中もそんな感じでした。車内は日常的に使うものが無造作に散らかっている風だったので、全く同じとはいかないまでも、日々の自宅で暮らしている環境と同じような状態で車中泊をしているということが考えられます。ただ気になるのは後部はフラットなスペースだとは言っても、ゴザを敷いたくらいの感じだったので、今後エコノミークラス症候群に決してならないとは言えません。せめてキャンプ用のマットを敷いた上に寝るようにして欲しいものですが。

食事はボランティア先ではおにぎり2個だけとか、家に帰ったらパックごはんとインスタントラーメンを鍋で煮て、そこに味付けに焼肉のたれを掛けるといういかにも男の味気ない料理(^^;)でお腹を満たしているのを見ましたが、あれなら車中泊でもコンロがあれば簡単に作れるので、お金も掛からないだろうと思いました。

また、活動先でお風呂は呼ばれないものの温泉はお好きなようで、何せ地元が温泉の宝庫である大分県で、原付バイクで少し走ったところに無料で入ることのできる露天風呂の温泉があるので、そこの熱い湯に浸かり、体が熱くなったら外に出て休むということを繰り返して3時間くらいは温泉を楽しむそうです。いつもお風呂に入りに来る人とのコミュニケーションが豊富なので、その場に帰って入る温泉が尾畠さんにとってのお風呂なのだという気もします。

このように、粗食で携帯電話も持たず(情熱大陸のスタッフも連絡が取れないので活動先に出向いて直接コンタクトを取ったそう)、かかるのは移動のためのガソリン代くらいということで、決して費用を掛けなくても車中泊中心なら割と長期間の旅でも行けるのではないかと思うわけです。

個人的に今回の尾畠さんの活動を見るにつけ、さらにコストを掛けずに車中泊する方法について考えてみました。パックごはんは手軽ですが、さらにお金を節約するなら、お米をそのまま持って行き、灯油や車用のガソリンでも使えるバーナーを持って行ったり、拾った流木や小枝の使えるネイチャーストーブを使って火事の心配のない河原のような場所を使って調理するようにすれば、後は車を停める場所さえ確保できればそれほど毎日お金を使うこともありません。

それにしても、年金の受給が始まる65才から今のような車を使ってのボランティア活動をし出したというのは、実に興味深いところです。現在お仕事をしていてなかなか長い休みが取れないという方にとっては同じくらいの年齢になったら、車中泊をしながら日本一周の旅をしたいと思っている方もいると思いますが、尾畠さんの行動に学ぶところは少なくないのではないかと思います。粗食でも不満に思わず車中泊の長丁場にも耐えられる健康な肉体をキープすることが大切であるとしみじみ思いました。


車中泊旅行でのごみ問題

日本人とゴミというと、サッカー観戦の後にゴミ拾いをして帰る日本サポーター存在がクローズアップされたり、例えばパリの街中でのごみ問題はポイ捨てをする人が多いのだそうで、かなりパリの街中が汚れているのは確かなようです。その流れの中で、パリの街のゴミ問題について、東京の繁華街の綺麗さに学ぶべきだというような内容のニュースが、テレビを付けたら放送されていました。ニュースに限らず最近のテレビバラエティでは、日本人の素晴しさをことさらに強調するような内容が多い中、「本当に私を含めた日本人は街をきれいにしているのか?」と思うこともあります。

というのも、車で移動中に感じることが多いのですが、高速道や国道のバイパスに入ったり出たりする道で特に目立つのが明らかに車からポイ捨てされたペットボトルやゴミで左右の側道が目立っていることです。

私の通った所では「ポイ捨て禁止」の看板も整備されていましたが、結局のところ人が見ているところでは捨てないような人でも、車で、しかも夜など人が見ていなくてさらに罪悪感が少ないような場所では他の国々と同じく公衆の場所にゴミを捨てることは普通にあり、決して日本人はきれい好きだとまでは言えないのではないかと思ってしまうわけです。

また、高速道路のごみ箱が明らかに溢れているのにその中に更に押し込んだり、ごみ箱でないところにゴミを置き去りにしたりするケースもあり、「旅の恥はかきすて」という言葉そのもののような所があるのではないかと思っています。

私自身は車で出掛ける場合はある程度のゴミはビニール袋にためて、有人のガソリンスタンドでゴミの処理を行なってくれるところではゴミ袋ごと渡して処理をお願いするということはあります。今までの経験上、逆にガソリンを入れている時にお店の方から「ゴミはありませんか?」と聞かれることが多いので、もしスタンドの従業員の方にゴミ処理を断わられるようなことがあったら、ゴミは車内保管して別のスタンドで改めて聞くか、もち帰りを考えます。
また、高速道路のゴミ箱を使う場合は、大きなゴミ袋をまとめて入れるというよりも、片手でつかめるくらいのゴミを入れたり、その場で飲んだ缶やペットボトルを入れるくらいにとどめるようにしています。

そうは言ってもなかなか旅先でゴミを捨てる場所が見つからず、さらに弁当のカラなどで匂いが気になる生ゴミが出る時もあるかも知れません。その場合には真剣に蓋の閉まるゴミ箱を車内に置くことも考えた方がいいでしょう。私の場合は専用のゴミ箱ではありませんが、ゴミ袋をそのまま車内に放置したくないような場合には、アイリスオーヤマの出している「RV BOX」シリーズの蓋付きバケツを使ってゴミを持ち運びます。

「RV BOX」シリーズの蓋付きバケツには2つの大きさのものがありますが、より活用できそうなのは大きい容量20リットルのRV-25Bです。実はこのバケツ、最初からゴミ箱の用途として購入したのではなく、蓋の上に乗った場合の耐荷重が約180kgもあるので、踏み台として使ったり、蓋の上にクッションを敷いて椅子代わりに使ったり、災害で断水した場合の水入れ(その場合には大き目のビニール袋をかぶせることで、ゴミ箱にも水入れにも使うことができるようになります)に使うことも可能です。さらにこれ自体に座れることから、携帯トイレをこのバケツの上に置いて使い(もちろん蓋の上にビニール袋をかぶせるなどして漏れないようにして)、使い終えたものはバケツの中に入れてトイレセットとしても使えないことはありません。

臭う生ゴミや使用済の携帯トイレを中に入れる場合は、さすがにその匂いまでは遮断できないので、消臭スプレーも同時に用意しておけば車内での匂い対策もできます。日帰り程度の車旅ではゴミは基本持ち帰りで十分だと思いますが、数週間から数ヶ月かけて車で色んなところを回るような場合は基本的にゴミ処理は自分ではできないと思いますので、できるだけゴミを溜めない旅を目指しつつ、どうしても出てしまったゴミについてはこうしたゴミを収納するスペースに一時的に保管し、ガソリンスタンドで処理してもらえるような一連のサイクルを作ることをおすすめします。くれぐれも、もう行くことはないからと言って車の窓からポイ捨てなんてことはやめましょう。