NHKは受信料という名目で、NHK自体ほとんど見ない人からもお金を徴収することが一部の人の間では批判的に語られています。私自身はNHKの番組は見るほうで、しかも最近はネット動画配信サービスでの詳細を知らされないまま先に値上げ(しかもけっこう高い)のニュースが入ってくる状況に、今の時間のコンテンツ利用という点では見たい番組を人質に取りながら身代金(利用料金)をつり上げるような商売を見る中ではいくらかましなのかなとも思える出来事が昨日また起きてしまいました。
興味のない人には全くないと思うので、私の憤りは伝わりにくいかも知れませんが、普通テレビ局が生放送の番組を作る場合、最初から最後まできちっと伝えるということがまずは大事なのではないかと思います。例えばコンサートの中継の場合、一通り演奏が終わってアンコール曲をやろうと再度アーティストが出て来た時に放送終了になってしまったら、これこそ金返せとテレビ画面に向かって叫んでしまうでしょう。こうした状況というのはスポーツ中継においてよく起こるのですが、これは競技の種類によって変わってきます。
試合時間がある程度決まっている競技については多少余裕を持った放送時間にすることであらかた試合の内容が尺に収まると思うのですが、タイムリミットが基本的にない競技というのも存在します。昔はテレビでのプロ野球中継で、試合が終盤になって本日のクライマックスになった時点で放送時間が終了してしまい、多くの家庭内でテレビに向かって悪態をつくような状況が頻発していたと思います。しかし、テレビがアナログからデジタルに変わったことで、この状況も劇的に変化しました。
昔は夜9時過ぎまで野球を中継していた局に変わり、地域の放送局が「リレーナイター」というちゃっかりと中継が終了したところから試合終了までの時間野球中継を行なうという番組がありましたが、今はそんな事をしなくても、同じ放送局の中で中継を続けることが可能になっています。というのも、各キー局には「サブチャンネル」という仕組みがあり、予定通りの放送を続けながらメイン以外のサブチャンネルを使って本放送で終了した中継を継続することができるのです。リモコンボタンを操作することによって、画質は落ちるもののそのまま中継を見続けられます。今は野球中継でNHKだけでなく民放もサブチャンネルに移行するという方法で、試合開始から終了まで私たちはスポーツを普通にテレビで見ることができるようになっています。
野球は延長戦になることだけでなく、投手交代にも時間がかかるので、試合内容によってはとんでもなく長い試合時間になることがあるのですが、それにもサブチャンネル移行で対応できているので、ある程度時間が読めるスポーツにおいても、基本的に試合開始から終了まで中継をすることが当り前という風に視聴者も思っている状況が今はあるように思います。
そんな中、昨日は男子の高校サッカーの決勝戦が行なわれたのですが、サッカーは野球に比べれば多少試合時間が伸びたとしても、野球中継よりは時間は読めるスポーツです。ただ、決勝戦のみ前後半で決着が着かなかった場合は延長戦(前後半それぞれ10分)が行なわれます。それでも決着が着かなかった場合にはPK戦になるのですが、PK戦は準決勝までにもあるので、決勝戦は他の試合に比べて20分+α取り、もし何らかのハプニングがあって予定時間に終わらなかった場合にサブチャンネルで中継を続けるというのがセオリーだと思うのですが、昨日高校サッカー決勝を中継した日本テレビは肝心なPK戦の終わりまで中継せず、突然何のアナウンスもなくCMに入り結局かなり時間が過ってから後のニュース枠で報じるにとどまりました。
こうした、きちんとしたスポーツ中継という観点で見ると、個人的には民放よりもNHKの方が優れていると思えます。臨機応変にサブチャンネルを使うところもNHKのスポーツ中継はやりますし、相撲で結びの一番が終わるまでは決してニュースに入らないというようなスポーツ中継に対する律儀さを感じるところもあります。
今回高校サッカーを最後まで中継しなかった日本テレビは、大リーグが東京ドームで開幕戦を行なう試合を「無制限延長」で放送するのだとか。個人的には多くの人が見たいと思っていて、当然最後まで放送すると思っていた試合を何のアナウンスも無く途中で放送を打ち切るような放送局に本当にちゃんと試合の中継ができるのか不安に思います。