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NHKを批判する前にスポーツ中継を平気で途中で切ってしまう民放テレビについてその事例を見ていく

NHKは受信料という名目で、NHK自体ほとんど見ない人からもお金を徴収することが一部の人の間では批判的に語られています。私自身はNHKの番組は見るほうで、しかも最近はネット動画配信サービスでの詳細を知らされないまま先に値上げ(しかもけっこう高い)のニュースが入ってくる状況に、今の時間のコンテンツ利用という点では見たい番組を人質に取りながら身代金(利用料金)をつり上げるような商売を見る中ではいくらかましなのかなとも思える出来事が昨日また起きてしまいました。

興味のない人には全くないと思うので、私の憤りは伝わりにくいかも知れませんが、普通テレビ局が生放送の番組を作る場合、最初から最後まできちっと伝えるということがまずは大事なのではないかと思います。例えばコンサートの中継の場合、一通り演奏が終わってアンコール曲をやろうと再度アーティストが出て来た時に放送終了になってしまったら、これこそ金返せとテレビ画面に向かって叫んでしまうでしょう。こうした状況というのはスポーツ中継においてよく起こるのですが、これは競技の種類によって変わってきます。

試合時間がある程度決まっている競技については多少余裕を持った放送時間にすることであらかた試合の内容が尺に収まると思うのですが、タイムリミットが基本的にない競技というのも存在します。昔はテレビでのプロ野球中継で、試合が終盤になって本日のクライマックスになった時点で放送時間が終了してしまい、多くの家庭内でテレビに向かって悪態をつくような状況が頻発していたと思います。しかし、テレビがアナログからデジタルに変わったことで、この状況も劇的に変化しました。

昔は夜9時過ぎまで野球を中継していた局に変わり、地域の放送局が「リレーナイター」というちゃっかりと中継が終了したところから試合終了までの時間野球中継を行なうという番組がありましたが、今はそんな事をしなくても、同じ放送局の中で中継を続けることが可能になっています。というのも、各キー局には「サブチャンネル」という仕組みがあり、予定通りの放送を続けながらメイン以外のサブチャンネルを使って本放送で終了した中継を継続することができるのです。リモコンボタンを操作することによって、画質は落ちるもののそのまま中継を見続けられます。今は野球中継でNHKだけでなく民放もサブチャンネルに移行するという方法で、試合開始から終了まで私たちはスポーツを普通にテレビで見ることができるようになっています。

野球は延長戦になることだけでなく、投手交代にも時間がかかるので、試合内容によってはとんでもなく長い試合時間になることがあるのですが、それにもサブチャンネル移行で対応できているので、ある程度時間が読めるスポーツにおいても、基本的に試合開始から終了まで中継をすることが当り前という風に視聴者も思っている状況が今はあるように思います。

そんな中、昨日は男子の高校サッカーの決勝戦が行なわれたのですが、サッカーは野球に比べれば多少試合時間が伸びたとしても、野球中継よりは時間は読めるスポーツです。ただ、決勝戦のみ前後半で決着が着かなかった場合は延長戦(前後半それぞれ10分)が行なわれます。それでも決着が着かなかった場合にはPK戦になるのですが、PK戦は準決勝までにもあるので、決勝戦は他の試合に比べて20分+α取り、もし何らかのハプニングがあって予定時間に終わらなかった場合にサブチャンネルで中継を続けるというのがセオリーだと思うのですが、昨日高校サッカー決勝を中継した日本テレビは肝心なPK戦の終わりまで中継せず、突然何のアナウンスもなくCMに入り結局かなり時間が過ってから後のニュース枠で報じるにとどまりました。

こうした、きちんとしたスポーツ中継という観点で見ると、個人的には民放よりもNHKの方が優れていると思えます。臨機応変にサブチャンネルを使うところもNHKのスポーツ中継はやりますし、相撲で結びの一番が終わるまでは決してニュースに入らないというようなスポーツ中継に対する律儀さを感じるところもあります。

今回高校サッカーを最後まで中継しなかった日本テレビは、大リーグが東京ドームで開幕戦を行なう試合を「無制限延長」で放送するのだとか。個人的には多くの人が見たいと思っていて、当然最後まで放送すると思っていた試合を何のアナウンスも無く途中で放送を打ち切るような放送局に本当にちゃんと試合の中継ができるのか不安に思います。

やはり日常的に持ち歩くバッグは肩掛けバッグよりバックパックが良いのかと乗り換えを考え中

日常生活を送る中で、もし何かがあっても大丈夫なような感じのものを入れて持ち歩くのに、できるだけ小さくしようと思ったものの、あれこれ私が必要だと思うものを入れているうちに、どんどん重くなってきてしまいました。本来こういうことは本末転倒なのですが、通勤は自転車が多く、移動は車がメインなので、多少重くても運ぶことに問題はないのですが、そのバッグを持って移動する場合に大変な思いをしてしまいます。

冬の時期は厚着をすることが多いので、上着のポケットに色々入れて手ブラで出るようになりがちになってしまうのですが、それはやはり持ち歩くにはバッグが重いからということになってしまいます。

私の場合、何と言ってもモバイル関連の機器を持ち出すとそれだけで結構な重みになってしまうのが問題と言えば問題です。そうしたモバイル機器を持って行くのは止めてスマホとモバイルバッテリーだけにするというのも一つの考えなのですが、やはり外でもプチ防災リュックのようなものを揃えたいとなると、やはり両手を空けて背負えるバックパックに持ち出すバッグを変えるべきなのかも知れません。

今持っている26Lのデイパックは、両サイドにボトルが入るスペースがあり、パソコンの入るスペースもあります。ただ、細かい入れ分けはできないので、今のバッグにしたという経緯もあるので、やはり工夫は必要になってくるのではと思っています。バッグの中に必要に応じて目的別のバッグを入れるなどして、中味がごちゃごちゃにならないような工夫も必要だろうと思います。

つまり、多機能でポケットが多いバックパックというのはなかなか見付からないので、用途別に小物を分けて入れ、常に必要でないものを底に入れ、よく使いそうなものはすぐに出せるようにして別のバッグに詰めるとか色々と考えることは多そうです。

こういう事を考えると、どうしても新しいバッグを買いがちになってしまうのですが、今回はそういうことはとりあえず止めて、今あるバックパックを活用するように考えています。というのも、今持っているのは一応登山用品店で買ったもので、今まで日帰りだけでなく数泊の旅にも持って行って結構長く使っているものですが、耐久性はそれなりにあり、さらに最初から雨が降ってもバッグが濡れないようなレインカバーが付いています。こうした事を考えて新しいものを買うということになるとやはりそれなりに値が張るものを考えなければなりませんし、逆に安いものを買ったとしても耐久性に問題があることがほとんどなので、新品より使い慣れた頑丈なものを使うのが今のところ無難かなと思えるのです。

一つ問題は、会社のロッカーが小さいので、色んなものを入れると26Lのバックパックが入らないということなのですが、それを避けるには全体をパンパンにしないで、収納に余裕を持たせることによってバックパック自体を折り曲げてロッカーに押し込むことも可能かなとは思います。

ということで、時間がある時にでも今の荷物の内容をもう一度考えて、バックパックにかなり余裕のあるくらいに持ち物を抑えることも考えてみたいと思います。ただ、出掛けた先で大きな災害に遭遇する可能性もあるので、そうしたケースでも何とか家に帰らない状態で不自由な状況にならないようなものは入れて出たいと思っているのですが。

昨日は、まっすぐに自宅に帰らないでちょっと途中でショッピングモールに寄ったのですが、長くウロウロすればするほど、手持ちをするバッグの重さが身にしみたので、これを背負うことができればと深刻に思いました。ということで、しばらくは持ち物と入れる物のバランスを考えて、再度持ち出し荷物の再検証を行ないながら、バックパックに乗り換えるつもりで考えます。これは、今後出掛ける旅の荷物を考えるについても、ある程度無駄なものを持ち出さないようにするためには必要なことだと思うので、じっくり時間を掛けて仕上げていきたいと思っています。

沼にはまらないためには一つのことに一途ではなく多くのものに興味を持ち関心を分散させることも大事かも

ネット上で「ポータブル電源依存症」という事について書いてあるのが目に入りました。これは、ポータブル電源に限らず、あるものにハマってしまうと、必ずしも実生活で必要ないと思っていてもつい買ってしまってその分生活するお金が足りなくなり日常生活にも影響を与えかねないという状況の事を言うのだそうです。

一つの商品を買うことで(この場合はポータブル電源)、さらに性能の良い商品や、ポータブル電源を充電するためのソーラーパネル(関連商品)を複数買ってしまうことにより出費は雪だるま式に増えていくという流れになります。私も一昨年から昨年にかけて複数のポータブル電源だけではなく、複数のソーラーパネルを買ってしまい、今考えても一部は無駄なことをしたと実は思っています。今は購入したポータブル電源は両方使っており、ソーラーパネルについては高額なものは買わずに追加購入もしていません。ポータブル電源もソーラーパネルも、日常的に使う電気を自家発電させるためには、下手をしたら100万コースの「沼」がありますので、そういったところへ行かないように、今回は色々と考えてみたいと思います。

今の世の中は、生活費が増えているというのに、本日からアマゾンのニューイヤーセールがあったりと物欲を刺激しまくりといった感じがします。私の場合、興味を持つ範囲が広いので、ポータブル電源と同じように沼にはまってしまうと100万単位でお金が飛んで行ってしまうジャンルに片足を突っ込んでしまっているものが複数あります。

そうした趣味の一つに天体観望があるのですが、高性能な望遠鏡は一本で数十万かかり、天体写真にはまったりしたら、望遠鏡だけでなくデジタルカメラの方面でもさらにお金がかかるようになっています。私の場合は、たまたま手放してしまった気軽に夜空を見ることのできる望遠鏡の代わりに、たまたまバーゲンセールで6割くらい下がっていた時期に望遠鏡と双眼鏡の一式を揃えてしまいました。元々、数十万もするような高いものではなく、初心者用ともいえる安い機材ではあるので使っているうちに不満点は出てくるだろうと思うのですが、趣味的には一つあれば長く使えるものなので、今後も大事に、できるだけ買い増しすることなく使っていきたいと思っています。天体望遠鏡の世界は、最終的には自宅に観測所を作ってしまうという、突き詰めていけば百万では済まない大沼の世界でもあるので、逆にそのくらいでも割り切れると言えないこともないですが。購入時に考えるまでもなく、他にもお金を出して買いたいものの種類はたくさんあるので、一つのところに数十万という形にはならないことで逆に救われているというところもあります。

パソコンについてもそうですね。新品で高性能なものは一つ買うだけで10~20万くらいかかってしまいますし、さらにタブレットやスマホまで特定のメーカーで揃えようと思ってしまうと、これはもう他の事など何もできなくなるということは十分理解できます。色々考えて、現在使っている用途であれば新品でなくてもOSを入れ替えて使えば十分だという結論に達したことで、新しい中古パソコンやブランドにとらわれず必要な事のできるスマホやタブレットを買いながらポータブル電源や望遠鏡を買うというような事をそれほど無理をしないでできてきたというわけです。これが、全てアップル製品で揃えようと思ったら、もはや他の全ての趣味を捨てる覚悟が私には必要になりますね。

基本的には、毎月そうした趣味のものに使える金額を決めておくということと、大きな買い物をする場合には安易に分割払いやリボ払いにすることはせず、生活費に手を付けない状態で出せる金額が貯まるまでは我慢します。私の場合は、そうした物だけでなく旅のための費用についても考えなければならないので、「旅を削ってでもあった方が良いものなのか?」という問い掛けは常に行なっています。

あと、私と同じポータブル電源症候群になりそうな人のために、これだけは避けた方が良い購入先について最後にお知らせします。最近のポータブル電源はリン酸鉄リチウムイオンを採用することで、3~4000回の充放電を行なっても容量80%ぐらいの劣化で済むので、理論的に10年使い続けられるという製品が多数出ています。ただ、それはあくまで理論的な話なので、内部の充電池以外のところで故障する場合も当然あります。
ただ、大手メーカーでは2年から5年くらいまで、正常な方法で使っていて故障した場合の保証をしてくれるものがあります。その保証をうまく使えば、4年くらい使って調子が悪くなっても直してもらえば理論値の10年に近づけて使い続けられる可能性が出てきます。しかしそれは、正規のルートで自分が購入した場合です。

ボーナス時期やお正月、期末などメーカーが処分価格で売り出しをした場合、安値で購入してそれを再販売するためネットオークションやネットフリマに流す例が多くあります。普通の製品であれば良いのですが、ポータブル電源については保証を受ける際に購入者の登録および確認が必要になる場合が多いので、個人売買で保証書をもらったとしても、もし何かあった場合にメーカーからその保証書では対応できないと言われる可能性は十分にあります。私などいくら安い「新品・未使用品」であってもポータブル電源の新古品は買う気にはなれません。買うとしたら、正規のルートで安値で買えるタイミングで購入できる状況で買えるならということになりますね。

実は、昨年は注目していたポータブル電源がコストコで日常的に、メーカーのスーパーフライデーセールより安値で売られている(コストコのネットショップでも)という情報を入手していたのですが、私の住む場所にはコストコが無く、会員になっても車でわざわざ出掛けるにはコスト的に合わないので、コストコで安く購入するということは今はしないだろうと思います。もしかしたら、近い将来に家の近くにコストコが出来るかも知れないという話はあるので、その話がもし本当になったとしたら、その時に改めてコストコの会員になって日常生活に必要な買い物が普通にできるのかということを考えようとは思います。ただ、すでにコストコの会員で、近くに店舗があるという方であれば、わざわざネットフリマで買うという考えを捨てて、店舗に行った時にお買い得なポータブル電源が置いていないか探した方が良いでしょう。ただし、くれぐれも「沼」にはまらないように気を付けて下さい。

ベルーナのおせちが届かない問題は物流業者とは関係ない注文システム上のミスではないか?

おせち料理の通販は、実はそれなりに利用しています。買い物をして正月料理を揃えようとしても、最近は物価上昇の影響もあり、ほんの少しの具材を揃えても結構な額になってしまう状況になっているので、1万円前後でそれなりに味がよく、全ての正月用の食べものがそろったおせち重はなかなか便利なのです。私のところで注文したおせちの到着は本日の予定ということで、注文時には昨日から本日(29か30日)ということだったのですが、少し前にはがきで到着日が決定したという連絡があり、さらに発送業者のヤマト運輸から、事前に連絡が届いたので、何とか無事に本日中に来ることを期待しています。

そんな中、今回問題になったベルーナのおせちは2024年12月29日に到着する予定の冷凍おせちで、冷蔵庫で12時間置いておくことで解凍されるということで、少なくとも31日の午後一番くらいに来ないと、お正月の朝に解凍された状態で食べられないということになります。そういったことから届いて解凍し忘れても何とかなりそうな29日に到着するような形で注文を取っていたのだと思うのですが、今回はベルーナがテレビで頻繁に宣伝をしていたものを含め、同社のおせちを注文した人のうち約1万5千個が期日までに届かないことが明らかになり、ニュースになっています。

ニュースについて一般ユーザーが付けているコメントを見ると、「だから日本の物流は」というような、宅配便の配送業者への批判のようなものもかなりあったのですが、今回の報道を見ていくと、必ずしも配送業者が悪いのではないのでは? と思うことがあったので、少しニュースの内容を良く読んでみました。今回は、その内容について見ていきたいと思います。

今回のニュースは販売元のベルーナによる謝罪文が公表されています。その中には、「商品出荷準備の手配にミスがあり、商品をお届けすることができなくなったことが判明いたしました。」とあります。ちなみに、ベルーナのおせちについては2024年12月に入っても小さい方の1万円のおせちについてはテレビコマーシャルをかなりの数流していて、ぎりぎりまで販売をしていました。そうなると、実際に用意した商品数が足りなかったということは考えにくく、恐らく注文されたおせちを宅配業者に渡すための手続きがされていなかったか遅れてしまっていたことが考えられます。

流通業界についてはベルーナだけでなく多くの業者のおせち料理の宅配を請け負っていると思います。そのために業者は宅配業者と打ち合わせをして、宅配業者が請け負うことのできるぐらいの個数の全国配送を依頼することになります。宅配業者の配達能力を超えてしまうような注文は当然受けられないでしょうし、今回のことは実際に注文を受けたデータの一部が処理できておらず、商品(おせち)を宅配業者に引き渡すことすらできていなかったことが考えられます。そうなると、もはや宅配業者の能力云々という話ではなく、ただただ注文を受けた自社の不手際ということで、ベルーナがお詫びの文章を出しているのだろうと思います。

おせちのような「早期割引」のある商品というのは、かなり前に注文していて配達までかなりの時間があることから、担当者のついうっかりしてのミスが、最悪の結果をもたらしてしまう可能性を秘めています。最初に紹介した私が注文した業者の場合は、最初から配達日が決まっていなかったからかも知れませんが、配達日が決まったという連絡を電子メールだけでなく郵送のハガキでも出すことによって、事務レベルでも届け漏れを生むことを防いでいると言えます。

さらに個人でできる対策として私は大手の業者(佐川・ヤマト・郵便局)の登録会員になって、荷物の配達が始まる前にLINEやメールで「荷物お届けのお知らせ」が届くようになっています。こうした手続きにより、業者から追跡番号の付いた発送の通知が来たのに物流の方で止まっているような状況があれば、全てネット上でわかるようになっています。今回は昨日の段階では自分の住んでいる地域の営業所まで来ているので、販売業者にも物流業者にも問題はないということがわかるわけです。

ベルーナではお詫びとして千円分のギフトカードを出すということですが、配達予定当日にまだ業者にも渡っていないかも知れない荷物を超特急でお願いしようとしても、恐らく年内には難しく、正月になってもいつ来るのかわからない状況になることも予想されます。企業の不祥事では一律500円という対応が多いですが、今回は期日指定でしかも日本人には大切なおせち料理の遅配ということで、それなりの誠意は見せていると思います。ただ、通販専門としてやってきた会社であるだけに、その信頼を回復するのは大変だろうと思います。

今回のニュースで、普通に注文して普通に届くことは当り前であるという事が、ちょっとしたミスで台無しになってしまう可能性はどんなところでもあることがわかりました。私も来年おせちやクリスマスケーキなどの注文をどうするかはわかりませんが、少なくとも今回のような最悪の状況になる前に気付けるような予防線を張っておき、異変があっても早目に気付いて対処できるようにすることは忘れないようにしたいと思っています。ネット通販は思いの他、こうした不達のトラブルに遭遇する可能性がありますので、余裕を持って注文することを心掛けようと思います。

年末年始の生活に必要な施設の営業情報をしっかりと把握しておく必要を感じた2024年

2024年から2025年にかけて、テレビを始め多くのメディアが「奇跡の9連休」というような感じで、この年末年始の休みについて紹介しています。基本的に土曜と日曜、そしてお正月の三が日しか休みのない人にとっては、今年の曜日の並びは長期休暇を取りやすいことから「奇跡の9連休」という言葉でレジャー情報などを流しているのですが、実はそうではありません。

というのも、官公庁・銀行・保険・郵便局など生活と密着しているところは、昔は12月31日まで仕事があったように記憶しているものの、現在は12月31日はそうした場所は休みになっているものの、その前日の12月30日は休みではないという事実があります。2024年から2025年にかけても、12月30日は月曜日になっているので、その日は各種窓口は開いているわけで、その日を意図的に休みにしない限り(有休を取るなど)、「奇跡の9連休」は実現しないわけです。

かく言う私も、9連休になるという話を無批判に受け入れてしまっていたので、年内は12月27日であとは来年の1月6日までは銀行の窓口に行けないと思い込んでいたのですが、昨日友人にその話をしたら「30日は開いているよ」と言われて改めてその事実に気付いたといった感じになります。

改めて思うのですが、テレビでもネットでも、一気にやってくる情報をきちんと咀嚼して自分のものにしないと、思わぬところで事実と違うことを信じてしまうことはこうして起きるんだなという感じですね。今回の営業か休みかという話はそれほど問題のある誤解ではないということはあるかも知れませんが、今回の場合は「12月28日から1月5日まで休み」という情報を信じたがために本来年内にできるはずの用事ができなくなる可能性はあるわけですから、情報を出す方もそうした誤解を過度に与えないような配慮くらいは欲しいですね。

今後の社会を見ていくと、今回の事以上に様々な情報が入り乱れて発信されることも多いので、少なくとも自分の行動に関係する情報については、テレビやネットからの情報についてはきちんとチェックし、出ている情報の全てが正しいのか、例外はないのかなど、しっかり検証する散要は出てくると思います。

ひどいケースだと、単なる噂話(真実という確証がない)を真実のように伝えることで、事実と異なる事を真実だと多くの人が信じてしまうような事もあるかも知れません。自分にとっての最悪な状況は、詐欺などで直接自分に被害が発生するようなこともあると思いますし、不確かな情報に踊らさせて自分で発言することで、自分に対する信頼を失なう可能性もあります。「自分は絶対に騙されない、ミスリードされない」と思っていても、いつの間にかミスリードされているという場合も十分に考えられますので、来年は本当に慎重に、様々な情報に触れながら自分で色々と考えていこうと思っています。

スズキの鈴木修・元会長の訃報を聞き一つの時代の終わりを感じることに

自動車メーカースズキの鈴木修・元会長が94才で亡くなりました。強烈なリーダーシップでスズキを大企業に成長させるとともに、政界への関わりもあり、静岡に住んでいる人は何らかの影響を受けていたのではないかと思います。

私の世代だと本田技研の本田宗一郎氏は伝説の存在ですが、鈴木修氏も小さな企業を大きくし、今にいたる軽自動車の発展を牽引したという点では同じくらいのパワーを持っていたと言えるのではないでしょうか。

スズキの車というのは、他車と比べて「安さ」を前面に打ち出した戦略で大きく伸びました。47万円で新車として発売された「アルト」や、その後出た「マイティボーイ」は新車の最低価格は45万円という、同車のコマーシャルの「金はないけど目立ちたいからマイティボーイ」というはっきりとしたコンセプトで売り上げを伸ばしました。

その代わり、中古車で購入する場合ほとんどの装備がない状態だったり、細かなところの耐久性に疑問が付いたりと、安かろう悪かろうという部分は当然ありました。それでも、安い車ということを追求したのは企業の個性であるという開き直りのようなところもあったように思います。

かつて私も「ワゴンR」のオーナーとして車中泊ではかなりお世話になりましたが、そのころでもエアコン・オーディオ・パワーウィンドといった一通りの装備が付いた特別車をディーラーのワンプライスで販売していて、他車と比べると十分安く新車でも100万かからずに買えたので、そうした車に世話になった方も多いのではないかと思います。

鈴木修氏の話としては、先日車検をお願いした修理工場の担当の方が元々スズキのディーラーで働いていた方で、お話を伺ったことがあります。スズキはディーラーで車を売るだけではなく、街の中古車屋さんに新車をおろして売ってもらうというような販売方法も多く活用していたそうです。新車販売の成績が良いお店は、その成績に応じて招待旅行があるのですが、その懇親会には必ず鈴木修氏は出席し、中古車店の店主さんと会い、握手をして写真を撮るという一連の流れを続けていたそう。そうすると、中古車店の方は、あの鈴木修氏が自分のために色々やってくれたと感激し、新車販売のモチベーションになっていたのだろうと思えます。

その反面社員にはかなり厳しかったようで、徹底したコストカットをして新車を安く売るための方法を考えさせるような厳しさを出していたのだそう。昔気質の経営で会社を大きくしていった伝説の人物として今後も語られるようになるのではないかと思います。

一つ残念なのは、現在の軽規格からさらに排気量を上げる新軽規格を鈴木修氏存命中には達成できなかったことではないでしょうか。スズキが進出したインドでは、実に魅力的な車を多く作っているのですが、800・1000・1200の車は日本国内の規格では普通車になってしまい、利用コスト的には不利です。もし今後軽自動車の規格が800ccまで良くなれば、スズキのインド工場で作っている車を即投入できるので、かなり面白いことになるのでは(800ccの軽ワンボックが実現すれば車中泊には最強?)と思っていたのですが、政治的な問題がからんで来るので、もし鈴木修氏の剛腕でこの状況が打破できていたらと思うこともあります。

もはや自動車はガソリンから電気へと移行はしているものの、そう単純なものではありません。今後スズキがどういった方向性で進んでいくのかはわかりませんが、軽自動車というキーワードで大きくなっていった企業であるだけに、他のメーカーとは違ったアプローチで魅力的な車の数々を出したり、軽自動車規格の変更に向けても政治への働き掛けは行なっていって欲しいですね。

ネット配送の遅延について今後はそうした事は起こるものと考えた方が良いのでは?

来年のおせち料理をネット通販で予約していたのですが、申込んだ時に「12月29日から」とひどくあいまいな表記になっていました。どちらにしても、年末のそのくらいの時期は誰か家にいると思うので、あまりその辺のことは考えずに申込んだのですが、昨日、そのおせちについてのハガキが自宅に届きました。

そのハガキとは、おせちを注文したタイミングによって違いもあるのかも知れないのですが、品物の到着予定日が12月30日に決まったというお知らせでした。ただし、ハガキには道路事情の関係で到着が一日くらいずれる可能性があるということが書かれていました。

もしこれが12月31日の到着予定で、実際の到着が翌日の1月1日になってしまったとしたら、私が注文したおせち料理は冷凍状態で届くものを一日掛けて解凍するタイプのおせちなので、肝心のお正月に食べられなくなってしまうところだったのですが、今のところそれだけは回避できたのかなと思うと同時に、わざわざ事前にはっきりした到着予定日を知らせてくれること自体にはありがたいことだと思います。

今年はもう残り少ないですが、来年以降も宅配便の遅配というものは今後起こってくるのではないかと個人的には感じています。大手の宅配業者の方は私自身がネット経由で買い物をする事が多いので、ヤマト、佐川、日本郵便の方が結構まんべんなく来てくれるのですが、夜に配達される方などはかなり大変そうな感じがあります。先日はたまたまちょっと家から外に出ていた時にヤマトの配達員の方が来てくれていたみたいで、その時には登録していた私の携帯電話の方に電話をいただき、急遽置き配をしていただくことにして、急いで自宅に戻り、配達ロスを防いだということがありました。

現状では私がネットで物品を購入した場合には、大手三社からの配達の場合、各会社のメンバーとして登録をしているので、メールやLINEの通知で、事前にどこかから荷物が届くということはわかっているので、そのタイミングでどこか知らない携帯電話の番号から電話がかかってきた場合は、迷惑電話の可能性があっても極力電話は受けることにしています。もし配達員の方からの電話だったら、その場で荷物の受け取り方の打ち合わせをして、どうしても置き配は避けたい(天候の影響など)場合には、いったん持ち帰ってもらって、後で営業所に取りに行くような形でお願いすることになると思います。

配達時間午前中を除くとだいたい2時間刻みで希望を出せるようになっているのですが、気が短い方は「午前中」にしない方が良いと思います。経験上、朝の8時過ぎに来ることもあり、逆にお昼直前になって来ることもあります。その間の時間の幅は4時間もあるので、家の出入りが激しい場合には少なくとも2時間在宅しているうちに来てくれる可能性の高い、午後か夜にした方が、そこまで神経をすり減らさずに済むと思います。

そうは言っても、これから年末にかけて市内の道路も渋滞しますので、ある程度タイムオーバーになったとしても寛容でいた感ものです。普通の配達員の方であれば、明らかに遅くなることが決まってしまった場合には連絡先宛に電話が来ると思います。そのまま待てるのであれば待ち、どうしてもその後に出掛ける用事があるような場合には、改めて時間を打ち合わせるか、営業所に取りに行くような感じで話をした方がよいように感じます。

忙しくてイライラしてしまうことは誰にもあると思うのですが、最近のヤマト運輸に関するニュースを見ると、現場の人手不足のツケがセールスドライバーにまるまるかかってしまうような状況も見えてきます。他の宅配業者でも人員が足りているという話はまるで聞きませんし、先日ブラックフライデーセールは終わったばかりですが、ネット通販各社も手を変え、品を変え色々なセールを打ち出すことで売上をキープしようと躍起です。

普段と違って安く買えるのは有難いですが、今までのように注文翌日に届くのが当り前というような事が来年も続くかどうかについては個人的にはどうかと思っています。ネット通販の場合、翌日届くとなっていても欠品のため届かないというような事も起こりますので、どうしても今欲しいという場合には多少の価格差を我慢してでも実店舗での購入をするように考え方を変えることで、その時の状況によっての買い物ができるように思います。ちなみに、先日ネット通販で注文したパソコン周辺機器の中に、到着予定は来年の1月中旬という荷物が一つありますが、それは気長に待つことにしたいと思います。

ジャズ・ピアニストでオカリナ奏者の明田川荘之さんに教わったこと

私の人生において「師匠」と呼びたいくらいお世話になっていた方はそれほどいないのですが、私が車中泊をしながらの旅をするきっかけになった方が、先月16日にお亡くなりになっていたという話を昨日聞きました。一般的には馴染のない方ではありますが、今回は今だに私の人生の師匠だと思っているジャズ・ピアニストでオカリナ奏者の明田川荘之(あけたがわ・しょうじ)氏について思うところを語らせていただきたいと思います。興味のある方もない方も、どうかお付き合いしていただければと思います。

明田川さんはお父さんで彫刻家の孝さんが、大量生産が可能な土を焼いて作る「オカリナ」についての製法特許を取り(粘土を整形してから焼くので同じ音が出るオカリナを大量生産するのは難しいのです)、自宅兼工房で全国に卸すオカリナのメーカー「AKETA」を運営されている中で(オカリナで有名な宗次郎さんは、明田川孝さんの孫弟子(?)くらいになるのだそうです。)、音楽に関わりながら育ちました。ピアノを習い大学の時にプロのジャズ・ピアニストとしてデビューしたものの、ある種の不安を持つことになります。

それは、芸能全般にわたって言えることですが、デビューするのは簡単にできるものの、その後どこからもお呼びが掛からなければ自分がいくら好きな事であっても続けていくことができないということです。そんな中、明田川さんは絶対に自分の夢を諦めなくて良い方法を思い付きます。それが、自らのお店を持ちそこで演奏する場を確保するというものです。そのお店が東京・西荻窪に今もあるジャズ・ライブハウス「アケタの店」です。お店の経営は大変なところもあったそうですが、彼の著作の中で「店は僕の命、絶対につぶさん」と書くぐらい、大切なものだったと言えるでしょう。

お店だけでなく、店内で録音した音源をレコードにして売り出すマイナー・レーベル「アケタズ・ディスク」も興し、自らのリーダー作を次々と発表しました。お店は日本のジャズ奏者が多数出演し、初期のレーベルの作品も現在多くがCD化されて今もネット配信で聞くことができるようになっています。

明田川さんの演奏の特徴は、とにかく演奏自体が面白いということではないでしょうか。私が最初に聴きに行ってどぎもを抜かれたのは、「ピアノを足で弾く」ということです。本人の言によると、フリーのような展開になると音域が偏ってしまい、どうしても激しく弾いている中で反対の音が欲しくなるような時に足でピアノを弾くような事をするのだそう。また、タオルを手に持って鍵盤を削るように弾く「カンナ引き」など、ピアノを壊してしまうのではないかと思うほどのとんでもない演奏をされます。後年はそうした噂が広がり、地方の会場でどこもピアノを貸してくれないのではと思ったそうで、調律についても知識を得、実際に地方での演奏後にきちんと調律をしてから帰ったのだとか。

こうした、常識では考えられないような自由な演奏はポピュラーの世界とは相容れないとは思いますが(テレビでの演奏を私は見た記憶はありません)、日本のジャズを愛好するファンの間では有名でした。一時期、スランプ(?)でジャズから離れていたというジャズピアニストで作曲家の渋谷毅さん(NHK「おかあさんといっしょ」での様々な有名曲を作っていることで知っている方もいるかも知れません)が、明田川さんの演奏に触れる機会があり、そこで今まで難しくジャズについて考えている自分に気付き、演奏を再開したという話は有名です。テレビとはあまり縁はなかった感じでしたが、それだからこそ自由に色々な音楽を私たちに提供してくれたのではないかと思ったりもします。

明田川さんはお店を拠点にし、様々な人とつながる中で、全国を回るライブ・ツアーに出ます。ただ、お金はないので当時の自家用車・スバルで全国を回る楽旅に出ていました。私がまだ学生の頃、学園祭のコンサートに氏のトリオを招聘したことをきっかけに交流ができ、一度ご自宅に泊めていただいたこともあります。その時にジャズの演奏以外に教わったのが、楽旅をしながら回った地方の温泉の事でした。乗用車でのツアーで宿泊費もないので車中泊をしながら回った中でも岩手・花巻周辺の温泉を勧められ、花巻温泉・台温泉・鉛温泉・志戸平温泉・大沢温泉など、近い範囲で多くの温泉がある東北地方や北海道の温泉についてその魅力を語っていただきました。そんな車旅へのあこがれがあって、私も車中泊をしようと思ったということもありまして、明田川さんの存在なくしては、このブログもなかったのではないかと思います。

ジャズというのは息の長い音楽で、今デビュー当時の音源を聞いても時代を越えて聞けてしまいます。お店がある事で、スケジュールで出演される日にお店へ出掛けて、色々とお話しさせていただいた事を今も思い出します。お店を続けるのは今のご時世で大変だと思いますが、後進の方々にはぜひ明田川さんの作った「場」を残していって欲しいなと思っています。興味のある方は、YouTubeや各音楽配信サイトでその演奏を聞けると思いますので、ぜひどうぞ。

今年の感染症対策にはとりあえずインフルエンザワクチンを打ってきました

新型コロナは実際のところ流行っているのか? ということについては、周りに感染している人がいるので、それなりに気を付けてきたものの、予防接種についてはしてきませんでした。ただ、毎年会社の方で地域のお医者さんに来てもらって集団でのインフルエンザワクチンの接種は行なわれているので、とりあえずインフルエンザだけでもということで、昨日受けてきました。

幸いなことに、かつて一連のコロナウィルスに対応するワクチンを打った時にも後遺症などとは無縁でしたが、今回のインフルエンザワクチンについては、打ったところが最初にかゆみを持った程度で済み、これを書いている現在も体調に問題はありません。

ネットで様々な情報が入ってくる中で、副反応が自分に起こったらどうなるのか? という不安は今の時代にはあるわけですが、インフルエンザの予防接種についてはそこまでの副反応が問題になってはいません。ただ、今回の予防接種についても全てのインフルエンザに対応できるわけではなく、特定のインフルエンザに効くもので、これから流行するのではないかと思われるものの免疫ができるような形になっています。

以前はこうした仕組みを知って、もし予想と違う形のウィルスが流行したら予防接種を打っていても意味がないということで、長らく予防接種はしなかったのですが、今は自分で感染症を防ぐための方法として予防接種を打つことにしています。ただ、今年は会社でも昨年と比べると、感染症の影響も薄れてきたからかも知れませんが、そこまで混み合うことなくスムーズに打つことはできました。

感染症対策の基本は手洗いやうがいでウィルスをできるだけ体に入れないことと、そもそも睡眠不足や極度の疲労などで体内の免疫を弱まらせないように体調管理に気を付けることがまずは大事で、その上での予防接種ではあると思います。ただ、コロナやインフルエンザにかかってしまうと、家族にもうつしてしまう可能性もあり、一定期間休み続けることを余儀なくされてしまいます。

とりあえず今年から来年にかけては、コロナは打たずインフルエンザだけ打つという形で何とか乗り切れればと思っています。まだ承認されていないのがインフルエンザとコロナの混合ワクチンですが、これが来年の職場で打てるようになれば(ということは、会社の方で推奨されているということになる)、そうしたワクチンの接種についても考えていきたいと思っています。

これから秋の行楽シーズンになりますが、日中も気温が上がらないようなところに紅葉を見に行く機会も増えるのではないかと思います。限られた休みの中で色々なところに行きたいと思っている人は多いと思いますが、今年もここまでコロナだけでなくインフルエンザの感染も増えてきているということなので、決して無理はせず、自分の免疫を守るような生活を心掛けたいものです。

谷川俊太郎さんの業績についてその作品とともに考えてみることにした

詩人の谷川俊太郎さんの訃報が流れてきました。車中泊とは関係ありませんが、今回は故人を偲ぶということで少々書かせていただきたいと思います。

私の谷川俊太郎初体験は、記録をひもとくと彼の初めての絵本という和田誠さんと組んだ「ケンはへっちゃら」という本に出会ったことでした。当然ながら本を見ていた時にはそこまで内容について深く考えられるような年齢ではなく、和田さんの絵と子どもが好きな「おなら」の擬音がことにつけ印象には残っていました。

その後、チャーリーブラウンとスヌーピーが登場するチャールズ・M・シュルツ氏のコミック「ピーナッツ」の日本語訳者としてその名前を目にしました。学校の授業では彼の「二十億光年の孤独」を読みましたが、最初の絵本の内容はともかく、世の中から至極まっとうに評価されている方であるという印象は持っていました。

その後、高校時代に何かのステージにご本人が出ているのを見る機会に恵まれました。ご本人は個人としての講演会というものは行なわず、ご当地の若い人との座談会という形であれば出るというようなスタンスだったらしく、一緒にステージに立った地元の子や会場からの質問に答えるような形でその座談会は進行していきました。その際、私が思った、教科書に載るような詩というのはあまり日常的には触れることがないのでとっつきにくい(?)というような話をした人がいました。それに答えた谷川さんの言葉は確か「でもぼく『鉄腕アトム』を作詞してるのよ」という感じだったと思います。なかなか地元在住だと有名な詩人の人柄というものに触れる機会はないのですが、この言葉だけは今でも覚えていて、それから彼に対する印象が変わりました。

その後、漫才の世界で大人気だったビートたけし(北野武)さんが、漫才の世界だけでは収まらないくらいに、深夜のラジオだけでなく映画の世界や歌にも挑戦している時期があって、その中で強烈な印象だったのが、谷川さんの詩に坂本龍一さんが曲を付けた「たかをくくろうか」は大人の味で、かなり印象的でした。北野さんの歌も良いですが、その後谷川さん自身が歌ったバージョンも良く、高校時代の事を思い出したりしました。

私にとっては、谷川さんはまさに日常的なものから詩の世界の扉を開かせてくれたような存在で、どんな人でも名前を知られているというのはやはりすごい人であるという感じがあります。ここまでだらだらとした駄文を書き連ねている身からすると、言葉を選んで短い表現の中で強い印象を読んでいる人に与える詩人というのはすごいと思います。最近では紛争の続くパレスチナのガザでソーシャルメディア上から作品を発表し続けていたリフアト・アライール氏の作品を読むと、詩というものは高尚なものではなく、人間の叫びを具現化してその気持が多くの人に伝わる文学の奥深さを感じずにはいられません。

谷川さんの死因は老衰だということですが、今の社会について谷川さんの言葉が聞けないというのは本当に残念です。むしろこれからの日本でこそ詩人の叫びが必要になってくるのではないでしょうか。私にはさすがに詩をひねり出す才能は無いので、国内で谷川さんに続く詩人の方の作品に今後は期待していきたいと思います。今生きる多くの人たちの不安を具体的に言葉として紡いでくれるような作品を目にできるようにと今は願っています。