大変長くなってしまい、こうした内容に興味のない方には大変申し訳ありませんでした。今回でこのシリーズは終了するので、次回からまたランダムな話題を紹介していきます。
この項目の終わりに書きたいのは、「理想の防災ラジオ」の姿は、常に一つではなく、時代とともに変わっていく可能性が大きいということと、その時代に沿ったものを使っていくことが、スムーズに防災ラジオを使えるということです。
実は、このブログを始めた頃にそれなりのアクセス数を出した投稿というものがありました。それが、下のリンクにある「SONY ICF-B100 の再販を望む」というブログ記事です。
このラジオは未だに自宅でテレビ台の中に鎮座していて、今も変わらず使えています。ただ、上記のブログを書いた時からかなりの時間が経過した今となっては、単体での防災ラジオとして単一・単二・単三の電池を全てアダプター無しで使用できるICF-B100が万人におすすめできる防災ラジオであるか? と言われるとちょっと考えてしまいます。ラジオ発売当初は、大きな豆電球で光る懐中電灯で使われている電池が主に単一であった時代で、ラジカセを動かすための電池に単二が使われていたり、乾電池全盛の時代でした。
また、単三電池についても、今のようにデジカメはなく旅の途中で写真を残したいというような場合、レンズ付きフィルム(商品名では「写ルンです」が有名)を旅先で購入して使っていた時代、カメラのフラッシュ用に使われた電池は単三アルカリ電池で、現像・プリントのために写真屋さんに出された後にはほぼ使われていない電池が残ってしまうので、カメラ店の中にはレンズ付きフィルムの中に入っていた単三アルカリ電池を「ご自由にお持ち下さい」的な事をしていた時期もあったように記憶しています。そうした電池を入手できる環境がある時代とはかなり変化してきているのです。
今は、アルカリ単三電池を非常用持出袋に入れることはあっても、日常的にアルカリ電池を持ち歩くという人はいないのではないでしょうか。その代わり、スマホを充電するためのモバイルバッテリーを持ち歩く人は多いでしょう。そうした状況の中で使いやすい防災ラジオの条件は、やはりモバイルバッテリーを接続して充電できたり、バッテリーを外部電源として連続使用できたりするラジオの方が役に立つのでは? と思われます。
そんなわけで、今後の技術の進化が防災ラジオに搭載され、例えば電気自動車を市内走行くらいなら十分走らせるだけの容量を持った大型のキャパシタが実用化されたなら、今の内蔵電池に手回し発電で電気をためるのではなく、モバイルバッテリーから内蔵キャパシタの容量をいっぱいにすれば数十時間ラジオが聞き続けられるような高容量キャパシタを内蔵した防災ラジオが出てくるかも知れません。
また、ラジオ自体の進化とは違いますが、今後ペロブスカイト太陽電池が普及し、安く提供されるようになると、ラジオの小さな面に付けるのではなく、非常用持出袋を覆うように全てがソーラーパネルのようなバックパックが出現し、そこにラジオ自体を接続することで、野外における晴天時であれば、防災リュックを持ち出すだけで最強の防災ラジオ環境が出来る可能性もあります。そうなることを見越してラジオを購入するならば、内蔵電源を外部電源で充電できるものを買っておけば、新たなバッテリー事情が進化すればその恩恵を受けられるということになります。
実際、大きな災害が身の回りで起こり、電気・ガス・水道が長期間止まった場合、電気については夜を明るくするために確保しつつスマホの充電をするだけでも結構大変になると思うので、スマホの充電を切らさないように大切に使うため、常時テレビ番組やニュース動画などを流し続けるというのはあまり得策ではないと思います。ポータブル電源を使う場合には、情報以外にも照明・冷蔵庫・給湯器(水道が使えて停電のみの場合)・調理家電・扇風機(夏の場合)など使いたい場面が多くあると思うので、少ない電力でも長時間動かせるラジオをずっと付けなながら情報収集するという方が効率的にポータブル電源にためた電気を使えるように思います。
今後、どのような進化を防災ラジオが遂げるかはわかりませんが、電源回りの進化に合わせて、さらに便利な製品が出てくることを期待します。そんな製品が出ましたら、改めて購入した上でこのブログでレポートをさせていただきたいと思っています。
(追記)
今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。
☆防災ラジオについての考え方
・前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
・その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
・その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
・その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
・その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
・その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
・その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
・その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
・その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
・その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
・おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく