車中泊を前提の旅行を考える場合、車中泊になるシチュエーションは大きく分けると2つあるのではないかと思います。日常生活での就寝時間を守り、いつも寝ている時間より前に車中泊場所に到着して、日付が変わる前にはもう車内で就寝し朝早くから改めて移動するようなパターンが1つ目です。もう一つは夜通し走るつもりで深夜から未明まで移動し、このままでは限界が来ることを自分で確認して初めて仮眠のために車中泊をするというパターンです。
今回は特にこの2つ目のように、深夜でも構わずに高速道路を移動するような方にとっての興味深いニュースがありましたので、紹介させていただきたいと思います。中日本高速道路と遠州トラックは、新東名高速道路の浜松SA隣接地域に、長距離トラックドライバーのための中継物流拠点を共同で整備することを発表したのです。
具体的には下りSA西側の中日本高速道路所有の土地に30台分の新しいトラック駐車場を整備し、入出管理のゲートを使って出入リできるようにし、遠州トラックがその物流拠点を運営・管理するというものです(1回の利用について500円~800円の利用料を想定し、自社以外の運送会社にも利用を打診しているとのこと)。
もしこの試みがうまく行くようになると、それまで大阪から東京への荷物を運ぶ場合、一人のドライバーが往復することになっていたものが、東京や大阪のドライバーは浜松で折り返して帰ることができるようになり、仕事の「日帰り度」が増すということになります。これは、トラックドライバーの負担を軽減するだけでなく、新たに労働力として働き手を求めたい運送会社にとっても、現場の仕事時間を少なくできるため新人に応募してもらいやすいというメリットにも繋がることが期待されているということです。
一般ドライバーにとっても、深夜のトラックの数が減る可能性もありますし、過去に起こった悲惨なトラックの居眠り運転が原因となる事故に巻き込まれるような事も起こりにくくなる可能性があります。さらに、中継拠点が新東名の浜松SA付近にできるということになると、どうしてもその付近にはトラックが集中するということがあるので、普通車はその区間では新東名を避けて東名高速の方を走行することで、運転中もSAPAで休憩する時も、トラックに囲まれるようなことも少なくなる可能性も出てきます。
運送業者のドライバー確保についての取り組みは、前のトラックに自動運転でついてくるもう一台のトラックとの2台体制での荷物運びなんてことも考えられているようですから、本格的にレベル3(高速道路での自動運転まで)の自動運転車が市販されるようになった場合には、こうした拠点がもっと広くなれば浜松が日本のトラック運送の貨物ターミナルとして集まってくることも考えられます。もっとも、それが普通になれば全国の他の高速道路でも多くの中継物流拠点ができることで、地元のドライバーが運転して運ぶ範囲が狭くなり、全国的なトラックドライバーの負担軽減につながってくるといいのにと思います。
このニュースによると、早ければ今年の夏から営業を開始するということなので、普通車で旅行を考えておられる方は、この中継物流拠点のオープンによるトラックの流れの変化についても頭の中に入れておくとスムーズな深夜移動ができるようになるでしょう。