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音楽定額配信時代を見越したデータ通信サービスの条件とは

 スマートフォンの普及率が上がってくるにつけ、さまざまなソフト配信サービスが新しくなっています。かく言う私も、ストリーミング再生で見放題というドコモのdTVを月額540円(税込)で契約していますが、音楽においても、従来のダウンロードして音楽ファイルを所有するという形式から、クラウドにある膨大な数の楽曲を好きな時に好きなだけ楽しめる、毎月定額の音楽配信サービスが始まっていて、日本でもいよいよ一般化しようとしています。

 こうしたサービスが一般化すると、本体のメモリが少ないスマートフォンであっても、安定した通信ができさえすればどこにいても膨大な中から好きな音楽を指定して聴くだけでなく、好みの組合せをプレイリスト化して存分に楽しむことができるようになります。昔はまず音楽ソフトを手に入れて、テープに大変な思いをして編集する必要があったものが、今では手元のスマートフォンを使えば一瞬でプレイリスト化が完了し、そのリストを不特定多数の人たちに向かって公開することもできるようになるので、自分の音楽の趣味を公に問えたりもします(^^)。そんなことは昔はラジオのパーソナリティぐらいしかできなかったのですから、単に音楽を聴くことだけでない新たな可能性さえ開けるわけですね。

 ただ、この種のサービスにはまり込むと、数々の物理的な問題につき当たります。スマートフォンで音楽を聴きまくるのは外て利用することがほとんどでしょうから、電池容量の少ないものではとても一日電池か持たないものもあるので外付バッテリーが必要になることがまずは一つです。そして、もう一つは高速通信容量とスピードの制限の問題です。一般的に携帯電話会社での月間における高速通信容量は基本的には月7GBで、それ以上データ通信を行なおうとしたり、3日間で特定の容量以上のデータ通信を利用すると、急に128kbpsとか会社によっては他の規制事項にひっかかると128kbpsからさらに制限されたりする場合もあるようです。現在、携帯大手3社は大量のデータ通信はWi-Fiで行なうことを推奨していますが、Wi-Fiであらかじめ音楽ファイルをダウンロードするなんてことすらめんどくさいと思うユーザーが増えれば増えるほど、いつでもどこでもストリーミングで音楽が聴けることが大切になってくるのです。過去のエントリーで、いわゆる低速SIMでどのくらい音楽のストリーミング再生が使えるかということを試しましたが、だいたい200kbps程度平均的に出ていれば、ラジコのストリーミングが途切れなく聞けるので、同程度のスピードをこれ以上下げることなく提供することができるかというのが運命の分れ道になると思います。ちなみに、現在無料でのお試し利用ができるLINE musicアプリを使って、auのMVNOであるmineoの高速OFFで接続した場合、問題なくストリーミング再生を楽しむことができました(ただし、mineoのホームページには『ネットワーク混雑回避のために、直近3日間(当日を含みません)に3GB以上のご利用があったお客様については、KDDI社より通信速度が終日制限される場合があります』という記述がありますので、終日音楽を聞きまくるような使い方はできないかも知れません)。

 これからの定額の音楽配信サービスが一般的になるにつけ、高速通信を制限した低速でどの程度のクオリティが出るかが問題であり、現状では月千円以下で低速回線が200kbps程度で速度制限の心配なく使えるMVNOなら、動画は諦めるにしても音楽専用と割り切れば、安くてしかも制限を気にすることなしに使えそうです。三大携帯会社のプランで高速通信制限時のスピードが今どのくらい出るかはわかりませんが、音楽配信サービスが一般化するとともにこの最低スピードの数値およびデータ量規制が緩和されるようでないと、月額料金を払っていても、まともに音楽が聴けないという事にもなりかねないので、これからの低速回線のスピードの変化には注目したいですね。逆に、MVNO各社も音楽ストリーミング完全対応というような謳い文句でサービスを安い金額で展開すれば,スマートフォンを音楽プレーヤーとして目一杯使いたい人たちにはアピールできるように思います。定額の音楽配信サービス「AWA」を利用されている方がネット上に書き込んだ情報によると、一時間音楽を聴いた場合音質Normalでのデータ通信量は約150MBくらいとのこと。もし一日かけっぱなしにしたら、それだけで3GBを超えてしまいますし、移動中に常にストリーミングで音楽を聴き続けているような使い方をしている場合、低速でも3日間のデータ通信量で制限を行なうところでは、現状では部屋や外出先で有線放送のように流し続けるような使い方は難しいと言えるかも知れません。

 その問題とは別に、現在のLINE musicの内容を見ると、私の音楽の趣味が変だからかも知れませんが、絶望的に聴きたい音楽が少ないということも実は気がかりだったりします。こうしたサービスは、大きなCDショップにあるソフトを全て試聴できるくらい全ジャンルをカバーしないと、多くの人たちの要求に応えられないので、契約者数は爆発的には伸びないような気がするのですが。


未来を予見したかのようなJAGATARA「つながった世界」

 自分でも突然という感じなのですが、思い立ってしまったので音楽のカテゴリーを新たに増やすことにしました。というのも、テレビの音楽番組を見ていて、確かに素晴らしい楽曲を流しているのですが、テレビに出てこない音楽にも面白いものはあるんじゃないかということで、そうした思いなどもたまにはここで紹介したいなと思ったのでした。

 これからする話はその思いとちょっと矛盾するようですが(^^;)、先日NHK総合テレビの再放送で、宮城県女川町のコミュニティFM局を題材にした特集ドラマ「ラジオ」を拝見する機会がありました。何の予備知識もないまま見たので、見るのをやめるという選択もあったのですが、最後まで見てしまったのは個人的な理由がありました。先日のゴールデンウィークに東北の東日本大震災の被災地を回ったのですが、岩手県の陸前高田から宮城県の気仙沼へ入り、南三陸町へ入ったところで日没になってしまったので女川へは行けていなかったという後悔の気持ちがあったからかも知れません。

 ドラマの内容はNHKのサイトや他のサイトを見ていただければよろしいかと思いますが、そこで効果的に使われていたのが、テレビの歌番組ではなかなか出てこないだろうと思われる、実にストレートな日本のロックでした。スターリン「負け犬」、ザ・ルースターズ「Let’S Rock」、ソウル・フラワー・ユニオン「満月の夕」、THEイナズマ戦隊「応援歌」……。これらの楽曲はドラマのために選曲されたものではなく、ドラマの原作となったブログを書いていた女子高生アナウンサー(当時)の「某ちゃん。」が選び、実現にラジオでかかった曲だったとのこと。

 音楽の効用というのはいろいろあるとは思いますが、普段ならとても口に出して言えないような青臭い事でもメロディに乗せて歌う事によって違和感なく口ずさむことができるというところもあるのではないかと思います。ドラマの「某ちゃん。」の選曲には私にはない若々しさを感じますが(^^;)、ある程度年を食った私にもおすすめしたい曲はあります。

JAGATARA アルバム「それから」(1989)より「つながった世界 – Fuck Off!! Nostradamus」

 題名の「つながった世界」とは、破壊から再生へと連動して動いているような世界というように私には思えます。ただ、この曲が発表された当時の経済力豊かな日本では、歌詞の内容はちょっと現実離れしていたように思いました。テレビで世界中から配信されるさまざまな悲惨な映像が流れても、多くの人はまさか自分達の身に降りかかってくるとは想像もしていなかったでしょう。

 詞を書いたリードボーカルの江戸アケミさんはそこまで考えて書いたのではないでしょうが、今改めてこの曲を聞き返してみると、現代の日本を予言するかのようなメッセージソングのようにも聞こえてきます。でも江戸アケミさんは決して預言者なのではなく、当時の多くの人が見えていなかったものを見て、その想いをストレートに言葉に乗せて歌ったに過ぎません。

 こういう音楽というのはヒットチャートとは無縁なものであるため、当然テレビの音楽番組には出てこない種類のものですが、1980年代にこんな活動をしていたバンドがあったということは、もっと多くの人に知られてもいいのではないかと思います。今回こんなことを書こうと思ったのは、ブログに動画サイトの映像を埋め込んで、読みながら聴くことができるようになっていることに今さらながら気付いたということもあるのでした(^^)。このカテゴリーは頻繁に更新することは無理だと思いますが、動画サイトから持ってこられるようなものを見付けたら続きを書いてみたいと思っています。