個人の自由について人々が意見を言う姿というのは、なかなか日本ではできないと欧米でのデモを映し出すテレビニュースにはある種の憧れを持っていたこともあるのですが、先だって飛びこんできたドイツ・ベルリン発のデモのニュースは新型コロナウイルスのドイツ政府が行なう感染対策に反対するというものでした。
一部のマスコミがこのニュースを報じる際に「反マスク運動」とし、「個人の自由だからマスクの着用の強要されない」とデモの参加者がインタビューに答えていたことは一部では確かではあるものの、デモに集まった人々の運動の目的はそれだけではないことはきちんと理解しておきたいものです。具体的には個人の行動について、家や地域からの移動を政府に規制される状況になっている点も、これだけ多くの人が抗議のために集まっている理由にはなるでしょう。
さらに、集まっている人の中にはそれだけではなく、元々新型コロナウイルスなど存在しないという「陰謀論」を唱え、政府批判のために集まっている人たちや、ワクチン接種不要論を唱え、あえてウィルスに感染して抗体を多くの人たちが持った方が流行がおさまっていくと考えている人もいたりなど、強制的な政府の対策について良いとは思っていないながら、集会に集まっている人の考え方は千差万別ではないかと思います。
それでなくてもドイツには強制的に人々が行動の自由を奪われたナチス・ドイツが政権を担った時の記憶があり、いかなる場合でも個人の行動の自由は保証されなければならないという考えというのは決して間違っているとは思いません。ただ、一部の政府の政策に反対している人たちが、今後その象徴として「マスク」を利用するようなことがあると、今度はマスクをして外出している人に非難が集まるという状況も起きてくるかも知れず、そうなったらそうなったで、マスクをする自由が侵される危険性が出てきます。
このような報道を見て、一部の自由であろうとする理念には感服するものの、私自身はあえて自分の身を危険にさらして集会に出るかというと、そこまでの覚悟はないですね。自分ももしかかったとして、軽症で済めば体内に抗体もできるかも知れず、その後の行動も変わってくるかと思いますが、かかっていきなり重症化してしまったらそれ以前の行動は後悔してもし切れないのではと思います。年令によって重症になるか否かはまだはっきりした根拠があるわけではなく、若いから大丈夫とも言い切れません。マスク云々は別にして、自分および家族がいかにして感染しないような生活をしていくかということが大事だと思っています。
今後、こうしたデモはヨーロッパ全体に広がっていくのではないかとする見方もありますが、たとえ手作りの布マスクでも、自分から飛沫を拡散させない効果はマスクを付けていない場合よりはあるという分析結果が出てきたりしているので、日本国内においてこれからは別に政府に言われなくても(というか一部の方は政府を信頼しきれていない方も多いので)、自らの意志でマスクを着け続ける日本と、マスク着用は個人の自由だとして一部ではマスクの着用を拒否する人が増えることも考えられる欧米との差は、これから秋になり冬になっていく中でどう変わっていくのか、継続しての検証が必要になるでしょう。
もちろん日本でもこのまま自粛だけしていては生活自体が成り立たなくなってしまうわけで、最低限の外出も必要にはなってくるでしょうが、個人的にはあまり風評に惑わされず、感染症についての確かな事がわかるまでは外出を控えマスク着用での生活は続けたいと思っています。秋になる前にしっかりと感染対策の行動を考え、自らの無意識な行動で感染症を引き込まないように注意しましょう。