すでに予定されていた事ではありますが、今後世界的な流れとして、日本独自の50ccのバイクである「原動機付き自転車(原付)」がもはや生産されないというのは何か淋しいものです。
ホンダが、一時代を築いた「スーパーカブ」を始めとする原付の生産を終了することを発表しました。これを受けて他のヤマハやスズキのような国内メーカーも新たに原付バイクの生産から手を引くだろうと思われます。これは、原付の出力だと排ガス規制への対応がかなり難しくなるので、国際的なバイクの排気量である125ccクラスの生産に切り替え、そのバイクに普通免許があれば乗れるようにする方向であることも合わせて発表されています。
私は現在、原付は廃車にして自動車と自転車で移動を行なっています。新しい基準のバイクに自分なら乗るかということを考えた場合、二つの理由で難しいと考えているのですが、その理由について自分なりの考えを書いていきたいと思っています。
まず第一に、今まで制限速度30km/hの原付でしかバイクの運転をしたことのない人間にとっては、法令上二段階右折がなく、道路も流れに乗って走行できるクラスの排気量のバイクに乗ることは、自分の命の問題が起こるほど危険なのではないかと考えてしまうのです。
というのも、自分の知り合いが原付二種で通勤していて、二車線ある右車線を流れに乗って走っていたところ、急にUターンしてきたトラックにぶつけられてしまい、貴重な命をなくしてしまったのがトラウマになっています。彼はバイクが趣味で、休日には大型バイクで良くツーリングをしていたのですが、バイクの運転技術は私などより数段上で、私はヨタヨタと原付でビクビクしながら道の左端を走っていたのですが、バイクの弱点としては車のように全面が全く守られていない状態で走ることになります。その知り合いもツーリングに行く時には皮のツナギを着て安全対策をしていましたが、毎日の通勤に利用する原付二種ではそこまでの安全対策はしていなかったようです。これは私が単に臆病だからかも知れませんが、単独事故で一コケしても大怪我になるか、運が悪ければ命の問題になるのが恐いというのが正直なところです。
また、現在私の免許証はブルーなのですが、これは車で違反をしたのではなく、原付に乗っていて一時停止違反を取られたことによる減点が響いています。どうしてもバイクは事故になると大変なので、交通違反を取り締まる警察の方も、その様子についてはしっかりと見られているのではないかと思います。違反を摘発され、反則金を払うことで運転に注意し、結果命に関わる事故を起こしていないので、当時私を止めた警官の方を恨むことはありませんが、自動車と比べると色々と気をつかう分がバイクにはあるということが、もう一つのバイクを持たない理由ということになるでしょうか。
バイクの場合、出掛けた先に駐車スペースがないということだけでなく、集合住宅では駐輪場には停められず、別にスペースを借りることになると思うのですが、なかなかバイク用の駐車場を提供してくれるところは少なく、これも今後は今の原付より大きくなると思うので、駐車関係の事は何とかならないと、物理的に購入すること自体難しくなるのではないかと思います。
原付というのは元々、自転車にエンジンを付けて、なかなか人力では登れないような坂のところだけでもエンジンを使って登れるようにするというような使い方から始まっていると思われます。ただ、そうしたニーズであれば現代の「電動アシスト自転車」で十分カバーすることはできます。ただ、最近は自転車の歩行者に対する深刻な事故も起こっているので、単に電動アシスト自転車にするのではなく、安全に乗ることができないと、力を入れずにそれなりの速度で走れてしまう電動アシスト自転車は危険ということもあります。
私は現在普通の自転車を使っていますが、電池の性能が上がって長期間使い続けられるようになったら、その電気はソーラーパネルからの発電で賄って使いたいとは思っているのですが、そうなってくると本当にバイクというのは選択肢から外れてしまいます。
今後は今の原付クラスの電動バイクが主流になるかも知れませんが、これも駐車の問題とバッテリーの問題、そして何より安全の問題がクリアされないと、なかなか私自身は使えないのではないかと思ってしまいます。
行けるようならバイクで長距離ツーリングというのにも憧れるのですが、近い将来は車の運転にも支障が出るような年になった時、もはやバイクに乗ることすら考えられない状況になるかも知れません。
安全の面から言うと専用レーンで自動運転ということも考えられますが、今の道路にバイク専用道を作ることも難しいのではどうにもなりません。保険ということでは、車の保険に任意で付けられる「ファミリーバイク特約」は新基準のバイクでは補償されるのかというのも気になります。バイクメーカーにとっては大変な時代になるとは思いますが、充電のための施設および専用道の整備も今から行なっていかないと、国内での新型車両の普及にも影響するのではないかと心配になります。