サッカーワールドカップのロシア大会から、得点にからむような審判のジャッジについて、実際に確認が必要な場合にはVTRを見て確認することになりました。ここまで予選リーグの試合が行なわれ、日本チームはアジア諸国の中では唯一決勝トーナメントへの進出を果たしたわけですが、今後の結果はともかく大会全般の内容がVARというこのビデオ判定のおかげで勝っても負けてもかなりすっきりした感じがありました。これから決勝までの間でも同様なジャッジが行なわれることをまずは期待したいと思います。
今大会のここまでの日本の試合でもポーランド戦では前半にポーランドのシュートがゴールラインを割ったか割らないか微妙な状況があったものの、CGでボールがラインをまたいだかまたがないかのゴールラインテクノロジーで得点になっていないことを確認できましたし、日本と同時刻に行なわれていたコロンビア対セネガル戦でもいったんセネガルがペナルティキックを獲得したかに思えた状況をビデオ確認した結果ノーゴールとなり、後半にコロンビアが得点しそのまま試合が終了したことで日本に決勝トーナメント行きの切符が転がり込んできました。セネガルを応援する方々にとっては悲しいことだとは思いますが、結果については審判が非難されるようなこともなく、もし微妙な判定で日本が予選リーグ敗退になっていたとしても個人的には審判を恨むようなことはなかったのではないかと思います。
個人的に予選リーグを見て素晴らしいと思ったのは、ブラジル対コスタリカ戦で、ブラジルのスーパースター、ネイマールがペナルティエリアで倒されていったんペナルティキックの判定になったものの、ビデオで確認したところネイマールがわざと倒れたのではないかという(相手選手がネイマールが倒れるほど押していなかった)ことがわかり、判定が取り消されてノーゴールになった事実です(その際、ネイマールはシミュレーションとまで悪質とは判断されませんでした)。これで、今回出場しているチーム全てにおいて、審判の見ていないところでズルをしたとしてもそれが得点にからむ重大なものはしっかりと再ジャッジされ、最悪の場合シミュレーションと見なされて自分のチームの立場を危うくする可能性を自覚したことでしょう。
これは、過去に大会で目覚ましい活躍をした選手を暴力的な手段で潰して試合に出られないくらいの怪我をさせるような戦い方が許されていた状況を変え、イエローカード・レッドカードによる制裁措置を生んだ状況と似ています。その時は1966年のイングランド大会でブラジルのペレが予選リーグ対戦国の選手に露骨で執拗なファウルを受けたことが、サッカーにおけるカード導入の一つの理由になったという話があります。また決勝戦では今でも語り継がれるイングランドの「疑惑のゴール」もありました。はからずもこうしたゴールラインを割ったかどうかという点は、今大会のゴールラインテクノロジーですっきりと決着がつけられるようになったのも、ついにここまできたかという感じがします。今後は「これがサッカーだ」というような言い方もできないでしょうし、いかに実績があるサッカー王国であっても、公正にジャッジされて今までのような「演技力」は通用しないということだけでもこれから出てくるであろうサッカー新興国に勇気を与えてくれたことは間違いありません。
今の時点で今後の日本チームがどうなるかはわかりませんが、今後の試合は一発勝負になるのでぜひ正々堂々と戦って、胸を張って日本に帰ってきて欲しいと思っています。