調理のために必要な「火」をどうするかによって、持って行くものは違ってきます。ソロキャンプブームは「焚き火」の魅力もあり、薪や木炭などを使っての焚き火調理をしたい方も多いかと思いますが、焚き火は火起こしが大変ですし、燃え残りや炭の後片付けもあるので時間があれば行なっても良いと思うものの、小型化を追求し、極力ゴミの持ち帰りを避けたいということになるとアルコールストーブに落ち着くのではないかと思います。
ただ、ゴトクとして最小のポケットストーブを使う場合、トランギアなど市販のアルコールストーブの多くはポケットストーブとセットではトランギアの大きさゆえセットでの使用は無理でしょう。よって多くの人はメスティンとポケットストーブを使って自動炊飯を行なう場合には固形燃料を利用するケースが多いようです。しかし、エスビットの固形燃料は煤が付きますし、アルコールを染み込ませた固形燃料でも燃えカスは残ります。
さらにアルコール系の固型燃料は購入したものの長期間使用しないと痩せてしまい、購入時の性能を出せないという問題点もあります。アルコール燃料の場合はきちんと容器に入れて保管しておけば、使いたい時に使えるということもあるので、何とかポケットストーブとセットで使えるアルコールストーブはないのか? と思ってネットで探していて見付けたのが、今使っているアルコールストーブです。
この2種類のアルコールストーブの構造は同じものですが、ケースの大きさによって一度に投入できるアルコールの量が変わります。どちらも厚さは18ミリでポケットストーブに収納したまま持ち運べるので、今では持っているトランギアの真鍮製アルコールバーナーや、エバニューのチタンアルコールストーブを使わなくなってしまいました。
このアルコールストーブは個人の方が製作されたものをネット上で販売しているもので、これを書いている現在は、手作りのグッズを売ることのできるサービスである「Creema」と、ネットオークションの老舗ヤフーオークションで購入することができます(直接のリンクは控えますが、「薄さ18ミリ アルコールストーブ」でネット検索すれば見付けられると思います)。写真左の丸い小さい方が「TYPE: G」、右の四角い灰皿ケース(鉄スズメッキ)流用のものが「TYPE: H」です。TYPE: Hの方にはフタがあり、アルコールを40ml少々まで入れられます。TYPE: Gはフタがなく、アルミ製のため傷やヘコミが付きやすいですが、アルコールは30ml少々入れられ、小さいものではあるものの必要十分の調理ができます。ちなみに、室温20℃の状況でのアルコールの量と燃焼時間の関係は以下の通りです。
20ml → 約 15分
25ml → 約 17分
30ml → 約 22分
40ml → 約 35分(TYPE:Hのみ)
私自身自動炊飯をこのアルコールストーブで行ないましたが、20mlで一合、30mlで二合の自動炊飯が可能です(室温20℃前後で風の影響がない場合)。アルコール燃料は安いものでは500mlのものが300円前後で購入できますので、一回の炊飯にかかるコストは相当に低いです。
なお、これらのアルコールストーブの内部にはセラミックフェルトが入っており、アルコールを染み込ませて燃やしても、フェルトは十分に熱に耐えるのでスチールウールやカーボンフェルトを入れたアルコールストーブと比べて中味が痩せる影響は最少限に抑えられ、大事に使えばかなりの回数を買った当時の状態で使えるという長所もあります。
自動炊飯など、燃焼時間をアルコールの量で決めるため、きちんとアルコール容量を計るには、計量カップより便利なものがあります。化粧品を小分けするために100円ショップで売られている注射器を流用するのが無難だと思います。ダイソーでもセリアでも最大20ml分を計ることのできる注射器(実際は針ではなく長い金属性の管が付いているので保管ボトルから容易にアルコールを移せます)が売られているので、セットで使えばかなり厳密に燃焼時間をコントロールできます。アルコールストーブへの注入もそのままできるので、注入時に燃料をこぼすような事もありません。
このアルコールストーブを使い始めてしまうと、私の場合ですがガスはもとより固形燃料すら使う機会がなくなってしまいました。大きい方のTYPE: Hなら最大量注入で30分以上燃焼するので、料理の幅も広がります。固形燃料を複数持って行くならTYPE: Gのストーブを2つ持って行って燃料が切れた時点で別のストーブに入れ替れば、長時間の煮込みも可能です。火力の調節はできませんが、燃料を複数のストーブで共通化できるというのは小さくて扱いやすいからこその特徴です。
購入サイトでは30ml入るアルコールボトルがセットになっていたり、複数個がまとまったセットになっている形で売られていますが、ボトルはあればあったで便利なので、これからアルコールストーブを使い始めたいと思われる人にはボトルとのセットを購入して、ポケットストーブと風防、メスティンと合わせてみるのがおすすめです。