旅行・交通関連ニュース」カテゴリーアーカイブ

車の旅だけにこだわらず、旅全般の面白いにゅーすがありましたらこちらで報告します。

静岡県中部と東部で分かれた新しい「富士山満喫きっぷ」は指定席券売機でも買えるので暇つぶしにも最適か?

JR東海は静岡県の東部と中部をまたいで様々な乗り物に乗ることができるものの、ちょっと中途半端な感じで料金分使い切れない感じがしていた「富士山満喫きっぷ」をリニューアルすると発表しました。今までは大人3,120円でしたが、新しいきっぷは中部(金谷~富士~芝川など)と東部(富士~熱海、沼津~駿河小山、三島~修善寺など)のエリアに分かれそれぞれが一日乗り放題で大人2,200円と使いやすくなりました。2025年5月30日から従来のきっぷと入れ替えで使えるようになるそうです。

今までの富士山満喫きっぷで使えていた駿河湾フェリー(清水~土肥)は中部エリアの方で使え、さらに日本平から久能山東照宮へのロープウェイも乗り放題になっています。東部エリアでは三津シーパラダイスまでのバスや、富士駅から岳南鉄道も乗れます。

正直言って今までのきっぷだと範囲が広すぎてかなり無理をしても全てのエリアを回ることは不可能ではないかと思って使っていなかったのですが、明確にエリアが分かれたことで、静岡駅が最寄りの自分としては、一日まるまるやる事がないような日に使うのも有りかなと思う感じのきっぷになりました。

中部エリアの場合、静岡駅からバスに乗って日本平のロープウェイ乗り場まで行き、そこから国宝の久能山東照宮を参詣して来た道を戻り、清水駅から先日紹介したばかりの江尻埠頭から出ている駿河湾フェリーに乗って土肥港まで海上クルーズを楽しみ、土肥港から徒歩15分で行ける土肥金山で現在瀑上がり中の金塊を見て、帰りにフェリー乗り場の隣りにあるリニューアルされた河岸の市で食事をして帰ってくるような旅の交通費が2,200円で済んでしまうということになります。

東部エリアの場合、静岡から富士までの電車は別料金(往復1,080円)になりますが、富士から熱海まで行き、温泉を楽しんでから三島経由で修善寺を観光、さらに沼津からは沼津港までバス移動して食事・観光を楽しみ、お好みで三津シーパラダイスに行くか御殿場方面まで足を伸ばすなどして時間をつぶした後、富士まで戻ってそこから工場夜景で有名な岳南鉄道からの車窓を楽しんで帰るような日帰り旅が可能になります。

県外から来る場合、東からだと熱海まで、西からだと金谷までのきっぷを買ってそこから富士山満喫きっぷを使うのが良いですが、県内で一泊できるようだったら中部エリア・東部エリアどちらの出発点にもなる富士駅周辺にホテルを取って一日目と二日目で使うエリアを変えれば、かなり中味の濃い観光がこのきっぷで回るだけでもできるのではないでしょうか。

私自身は、さすがに真夏には徒歩移動が大変なので利用は控えると思いますが、多少歩けるような気候になったら、単に暇つぶしということでもこのきっぷを使って色々エリア内を移動しまくるのも楽しいのでは? と思ったりもします。地元民からすると日帰りで回ることで宿泊費がかかりませんし、一人で色々な交通手段を使いながらぼーっとするだけでも面白いと思います。JRは乗り放題きっぷを止めるという傾向があるため、このニュースを最初に聞いた時にはまた改悪か? とも思ったのですが、意外と使えそうな内容なので、また気が向いて暇を持て余した時にはこのきっぷを使っての日帰り旅のレポートでも書こうと思っています。

東北新幹線の走行中に連結が外れる事故は今の社会全体に向けた警鐘かも知れない

JR東日本は、分割民営化された結果できた会社です。郵便局や日本たばこ産業、NTTと同じようにそれまでは公的な事業として行なわれていたものを順次民営化していく中でできた会社の一つです。歴史を紐解くと、明治の殖産興業でできた官営の産業を民営化することで社会が活性化していったこともあるわけですが、民営化してより成長する産業とそうでないものの差というものを感じることも最近はします。

民営化された会社は利益を上げないと存続していけないので、事業の目的として安全について出しておくことはあっても、やはりどうやって利益を出していくかに向いてしまうということは仕方のないことです。と同時に、お金を使うばかりで儲けにならない部分はカットしないと利益を出すことについては大きなマイナス材料になってしまうので、現場は苦渋の選択をしてもカットしなければいけない部分があります。

JR東日本だけでなく、全国で展開する鉄道事業は、当初は公共交通を全国に巡らすことを目的に始まったものの、そのうち「儲かる」線線と儲からないどころか続けるだけで赤字を垂れ流す「赤字ローカル線」とに分かれるようになり、少しでも儲けにならない路線を維持するために、駅の無人駅化が進んだり、先日から流れているように駅から時計を撤去したり、乗り放題のフリーきっぷを順次廃止したり、人が対応する「みどりの窓口」を減らしたりするような事をしないと、事業がやっていけないくらいまで追い込まれてしまっているように思えます。

それと同時に、非鉄道の事業で収益を上げることも行なうことで、本業である鉄道事業に回せる人がそちらに回ってしまうのでは? と思うところもあります。ただ、他の民営化した事業と違い、鉄道事業は現場でのミスが大きな事故につながり、それによって乗客や乗務員の命にも関わる大きな事故も起こり得るという点があるので、人員不足だからと言って、少ない人数で今までやってきた仕事を振り分けることでの不安感を個人的には感じていました。

今回の東北新幹線における、走行中に連結が外れてしまった事故は、たまたま人命が失なわれる事故にならなかったと私は思っています。それくらい衝撃的な内容でした。JR東日本の新幹線は、東北・山形・秋田新幹線は連結運行をすることで、始発から乗り換えをすることなく、途中で連結を外すことでそれぞれの目的地(青森・山形・秋田)へストレスなく乗客を運ぶことができていました。現状では連結をしての運行を中止しているため、山形・秋田方面へ向かう人は途中駅での乗り替えが必要になるなど、一気に昔の状況に逆戻りになってしまっています。

と同時に、長野・上越・北陸の各新幹線を利用している方も、ダイヤの変更を強いられるなどかなりいつもの移動とは違ってきていると思うのですが、そうした「いつもと違う」状況は重大な事故を引き起こす原因になるかも知れません。

個人的には少なくとも、公共交通機関として今後も営業を続けていくためには、大きな事故につながるような事にならないようにきちんと人員を配置し、事故予防にもなる体制を整えるための費用についてはきちんと出せるような仕組みを考えることが今後は大事になっているのではないかと思っています。現在、政治の世界では高校の学費無料化の議論が盛んですが、多くの人が利用する公共交通機関(私鉄含む)を安全に運行する状況を維持するための費用を企業の自助努力だけではどうにもならなくなった場合には、その部分だけでも支援することが必要になってくるのではないでしょうか。

それと同時に、今もまだある赤字ローカル線の走る地域においては、鉄道を止める代わりに無人運転で走るバス(マイクロバス)の実現を急ぐなど、JR各社の負担を減らしつつも保線や安全対策をないがしろにならないようなやり方をしながらどうしても公共交通の利用が必要な人のために事業を続けていって欲しいと思っています。現場の方々が疲弊してしまう事がないような将来に向かっての解決策をぜひJR各社の方々にはお願いしたいところです。

高知駅前観光の高速バスでモニター運行される「ソメイユプロフォン」とは何か?

高知で観光バスの事業を行なっている「高知駅前観光」では、2025年3月から試験的に新たな高速バスで東京~高知のモニター運行を行なうことを発表しました。料金は片道7300円(東京~高知間)ということですが、このバスは今までどの夜行バスでも実現できなかった座席を変形させることで、フルフラットで足を伸ばして寝られる座席を高知県内の企業とコラボして作った特別なバスなのだということです。

ソメイユプロフォン・高知駅前観光

上記リンクの「ソメイユプロフォン」とは、フランス語で「熟睡」を意味するということで、まるでかつての寝台列車のように就寝時にフルフラットのベッドスペースへと変身させられる座席を用意したバスということなのだそうです。

政府の安全基準もクリアし、落下や飛び出し防止のためのガードを用意し、二点式のシートベルトと組み合わせることによって何とか運行にこぎつけたということです。

こうした仕組みは特許を取得し、希望する他社にもこの仕組みを売っていくとのことですが、まずは自社運行でどのくらいのニーズがあり、実際に乗車した場合の乗り心地というのも普及には関わってくるとは思います。ただ、鉄道の夜行寝台が壊滅的に無くなっている中、気軽に乗れて、しかも一応一人一台のベッドを作ってそこで休みながら移動できるということになれば、高知の方々の利用とともに、東京の方が高知に旅行に行く場合の交通機関について大きな選択肢となり得るのではないかと思います。

私の場合は、いったん東京まで行ってから使うしかないので、すぐに使うというわけには行きませんが、今後の動向次第では他の会社のバスがソメイユプロフォンを採用したバスに変わる可能性もあります。仕組み的には個室を作るのではなく、座席を変形させるだけなので、通常のバスの座席を取り外して変えるという手間だけなので、大都市から地方への夜行バス路線にこうした装備の付いたバスが運行するようになれば、かなり選択の余地が増えるので期待したいです。

米原駅で駅弁を提供していた「井筒屋」さんの駅弁からの撤退は日本の駅弁文化を考える上で複雑な思いが

先日のブログでJR東日本で消えるフリーきっぷについて書きましたが、個人的にはちょうど今の時期に形を変えて販売されている「青春18きっぷ」の仕様変更により、週末のみ休みの自分などはとても使いにくくなったので前回も今回も購入していません。今後は、いわゆる各駅停車の旅よりも、ピンポイントで新幹線や特急を使って移動したり、移動だけではなく様々な装備がセットになった観光列車の運行を増やすことで利益を上げるビジネスモデルに変化していくような感じになると、駅に集まる人をあてこんだ商売の中には深刻な影響を受けるものも出てくるように思います。その一つが今回紹介する駅弁を駅で売る事業ではないかと思えます。

たまたまニュースを見ていたら、新幹線が停まる駅で、近畿地方の交通の要所である米原駅で駅弁を販売している「井筒屋」さんが、駅弁事業から2025年2月いっぱいで撤退することがニュースになっていました。米原の井筒屋さんと言えば、「湖北のおはなし」という地元の食材を使った名物弁当や、私自身かつて近江牛の美味しさに感動した「近江牛ステーキ弁当」、さらには安くてもおなかがいっぱいになる「やきそば」「たこ焼き」「缶コーラ」が一緒になった「たこ そば こーら」という駅弁があったのも懐かしく感じます。

駅弁の販売を終了することについて、当の井筒屋さんはマスコミの取材は受けない方針らしく、詳しいことはわかりませんが、発表したものを見ると、やはり手作りの味を小規模で今後売っていくことに限界を感じているということがわかりました。今や駅弁は列車内で食べることはなくなり、いわゆる「駅弁大会」で買ってくるというよつな時代にもはやなっています。

ただ、それで駅弁を製造している企業が生き残っていけるかと言うと、そんなことはありません。人気駅弁を売るわずかなところだけのようで、さらに先だって製造元の工場から駅弁大会を行なう場所まで運んでいる途中に弁当が傷んでしまい、大規模な食中毒のなった事件も記憶に新しいところです。つまり、多くの駅弁販売業者は正直なところ大規模に販路を広げるということも業績にはつながらないところもあるのかも知れません。

さらに、フリーきっぷや18きっぷを使って各駅停車をしながらのんびり旅をしていた一定の人たちがいなくなるということは、井筒屋さんに限らず、全国の駅弁の老舗も、これから同じように営業を止めてしまうような所が出てくると考えることは、そうあてが外れている考えでもなさそうに思います。もちろん、井筒屋さんにはずっと駅とともに営業をしてきた鉄道会社を恨むようなことは無いと思いますし、他の業者も同様でしょう。

つまりは、今後の駅弁屋さんは全国の駅弁大会を回ってその売り上げで何とかする方向に走るか、あるいは駅売から別の販路を作ってかつての有物駅弁を売る(おぎのやの峠の釜めしのようなパターン)ような形に業態を変える方向に行くぐらいしか、生き残っていく方法は無くなっていくのではないかと思えてきてしまいます。

全国津々浦々の名物を盛り込んだ有名なお弁当が消えてしまうのは淋しい事ですが、今後は今回紹介した米原駅の井筒屋さんのような事例は多かれ少なかれ出てくることでしょう。やはりゆったりとした鉄道旅行がなくなって行けば、駅弁も無くなる方向へ向くというのも仕方ないことなのですね。かといって、全国のコンビニの出す弁当が駅弁にとって変わるのか、全国チェーンのファーストフードを旅先でも食べるようになるのか、そうなるとますます車中泊でスーパーを回って土地の名物を仕入れて自炊した方が良いのかなとすら思えてきてしまいますね。

途中下車自由のフリーきっぷが次々と廃止される中で今後の旅のスタイルを考えていくと

JR東日本が出していた首都圏と南東北のエリアを週末に限って乗り降り自由にしてくれる「週末パス」の発売を2025年6月一杯で終了することを発表しました。JRの他の地域会社ではむしろこうしたフリーきっぷを積極的に出している地域会社もあるものの、全国でシーズンには便利に使えていた青春18きっぷも一人での利用でしかも連続する日でしか使えなくなったということで、鉄道旅行を中心に旅を楽しんでいた方にとってはショッキングなニュースになるのではないかと思います。

私自身は、紙のきっぷ自体がなくなっていく中で、今後アプリ内で使えるようなフリーきっぷは残っていって欲しいと思いますが、海外からの旅行客が移動に鉄道をよく使うということになると、格安な値段でユーザーに便利なきっぷを出すことが混雑の原因になったり、利益的を会社にもたらさないということなら仕方ないと思います。ただこれで、今後私が東北地方を旅する場合には完全に自動車にシフトすることになるなという感じがしています。

車を所有している場合、多くの税金を取られて全国の道路整備が行なわれているので、もう少し安いコストで移動できればとは思うものの、それでも鉄道を利用するよりも時間に縛られず、高速道路を乗ったり降りたりしながら車で様々な観光をしながら目的地まで行くだけでなく帰りの通行料も込みという周遊プランが全国で利用可能になっています。列車の場合は駅での途中下車になりますが、車の場合には駅とかインター出口とか関係なく好きな場所に車を停めて散策することも可能ですし、当然ながら予約も必要ありません。

私自身、車を所有できることになってその便利さを感じる中で、車中泊のブログを立ち上げで今に至ります。個人的には、車中泊に切り替える前に電車を使った乗り降り自由のフリーきっぷが安く購入できたことで、次の旅にも役立っているとも思っています。

以前も、青春18きっぷ改変の際に書かせていただきましたが、安いフリーきっぷは若者向けとして購入制限を行なって出し続けて欲しいとは思います。目的地を決めての旅も良いですが、行くあてを決めずに、いわゆる予定外のハプニングも追加料金を必要としない旅ができることで、今の旅を自分が考える中でかなりその体験が生きていると感じています。そうした手段が無くなってしまうと、そもそも鉄道を使った旅をすることをしないという選択肢を取るのが普通になってしまい、目的地に直接行く「移動」として使うものが鉄道の利用という感じになってしまう気もします。

むろん、今のJRはビジネス利用を主に利益を上げているので、それで良いという感じではあると思いますが、単なる移動手段としてしか鉄道が捉えられなくなると、あえて鉄道にこだわらずに他の交通手段に乗り換えてしまっても問題ないわけで、社会全体がそういった感じになっていくのは寂しいなと思います。

東京都の「シルバーパス」値下げのニュースを受けて感じる「地域格差」と高齢者ドライバーの問題

対象年令にならないとあまり気にならないのが、ある程度年を取ってから受けることのできる国や地方自治体が圃場して利用できるサービスについてです。今回はたまたま漫画家のすがやみつるさんがXの発言として挙げていた、東京都の「シルバーパス」(満70才以上の東京都在住の方が購入可能な公共交通機関が利用できる交通パス)の値下げのニュースに地方在住者としてびっくりしました。

ニュースによると、現在は年間20,510円(月にすると約1,709円)で利用できているのですが、新年度となる2025年10月からは約4割値段が下がり、年間12,000円にするということです。

ふるさと納税の影響で、東京都をはじめとする都市部の税収は減っているという話がありますが、都はそれ以上に高齢者自らが自分で外出して、健康状態の維持や社会参加につなげることにより、将来的な医療費の支出を減らそうという意図があるということです。東京都内はバスだけでなく、都電や地下鉄も利用可能になるので、日常の買い物だけでなく、シルバーパスを使ったちょっとした旅行も可能になるということで、シルバーパスを使っての旅について書かれたエッセイ『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』もあるので、この話題に敏感に反応したのだろうと思います。

公共交通機関のバスについては、運転手の労働問題によって便の減少が都市部でも起こっているのですが、その結果高齢者の外出の機会が減るだけではないかと思っていたところ、そうした状況に逆行するような東京都の対応に、同じ日本に住んでいてもその地域差というものをどうしても感じてしまいますね。

もっとも、地方で公共交通機関が発達していない場所は、東京と同じようなシルバーパスを作ったとしても乗ることのできるバスが無いというような事も起こり得ます。地方はその反動として家族一人に一台というような自動車が普及していった面もあるのですが、ここに来て、高齢者がハンドルを握ることは加齢による反応がにぶることで、事故の危険性も増し、高齢者自らの意志で免許返納をすることが推奨されていますが、公共交通機関が発達していない地域の場合だと、それこそ家に引きこもって寝たきりになってしまう高齢者も増えてしまうことが予想されますので、この問題については多方面から様々な対策を考えなければならないと思います。

まずは、都市部以外でも必要な時に車を持たなくても移動ができるようなシステムを作ることです。個人的にはこの点については運転手を雇う必要のない無人運転の車をスマホアプリで呼び出し、高齢者であれば無料とはいかなくても日常的に利用できるくらいの「無人タクシー用シルバーパス」を作ることを意識して地方の交通インフラを再構築する必要があると思います。それだけの社会的インフラが整備されれば、買い物やお出掛けを自家用車がなくてもできるようになってくると思うので、地方でも状況は変えられる気がします。

ちなみに、私の住む静岡市では市の方でこうしたシルバーパスに対する効果を認識していないので、市や県が補助しない状態で地元のバス会社が高齢者パスを出していますが、割高で私の知っている人に聞いても利用している人は多くはないようです。今後、東京都の高齢者医療費が減るような形で推移してくれば、安い価格で公共交通を高齢者が使えるパスの効果を今までやってこなかった地方公共団体も感じてくれるようになると思うのですが、果たしてどうなるのでしょう。個人的には自分がそうしたパスの対象年令になった時に、それなりに使えるものが出ていて欲しいものですが。

日本の有名な温泉地で日帰り客を含めた入場規制を行なうようになったニュースを聞き旅の変化を思う

山形県の銀山温泉といえば、川を挟んで古い木造建築の旅館が立ちならび、そのひなびた雰囲気は昔から温泉ファンの間でも人気がありました。特に海外の方々がイメージする日本の温泉というものに近いイメージがあるからなのかも知れませんが、新型コロナ騒動が落ち付いた今、内外から相当の観光客が押し寄せていて地元の方々を巻き込んでた大変なことになっているようです。

2025年1月7日から、温泉地付近のマイカー規制を行ない、利用者は近隣の駐車場に車を停め、有料のシャトルバスを利用しないと旅館の立ち並ぶエリアには行けないようになったそうです。ただ、問題なのは宿泊客だけではありません。場所柄新しく宿泊施設を作るわけにもいかない中、その雰囲気を求めて多くの宿泊しない「日帰り客」も押し寄せることがさらに問題になっているので、その対策として宿泊しない17時以降の観光利用者に1人1150円のチケット制にして、ネットでの予約でチケットを販売しているものの人気で多くの日はキャンセル待ちになっているそうです。

有料のチケット制というと白川郷の入場にも今はお金がかかるようになっているようですが、私は幸いにも多くの観光客が押し寄せる時期よりかなり前に訪問することができました。銀山温泉にはちゃんと宿泊してその様子および共同湯を楽しみました。ただ、その頃も観光地としての銀山温泉は大人気で、第一候補としてリストアップした宿は予約でいっぱいで泊まれませんでした。また、私たちが泊まった宿も、川に面した部屋はかつての客室だったようですが、私が泊まった時には食堂として使われていて、夕食時に窓から川を挟んだ旅館のライトアップや橋に人が出て花笠温度を踊っている様子を見ることはできました。まだインターネットがそこまで普及していない時代で、当時海外からやってきた女将さんがいる「藤屋」さんを正面に見ながら(泊まった宿はその反対側でした)、いい雰囲気の温泉情緒を楽しんだものでした。

改めて銀山温泉について調べてみると、先述の藤屋さんはもうなく、私たちの泊まった宿も名前を変えてリニューアルして営業されています。ちなみに私たちが泊まった時の宿泊料金は一泊二食付きで9千円くらいだったのですが、今同じ旅館に泊まろうとした場合一人25,000円くらいから泊まれるものの、今からだと3月いっぱいは予約すらできない大盛況でした。

ひなびた温泉が好きで自分が体験したことなどを作品として発表している漫画家のつげ義春さんのエッセイを以前読んだことがあって、ひなびた温泉宿に泊まる時の予算は、一人1万円でお釣りが来るかということを基準にしているという話を読んだことがあります。私が行った当時の銀山温泉はその条件にはまっていたのでした。

私も以前このブログで紹介し、私の温泉趣味の師匠とも言えるジャズ・ライブハウスのマスターで本人もジャズ・ピアニストとして活躍され昨年逝去された明田川荘之さんから教わった宿も、人もそれほどいないひなびた温泉宿の雰囲気を楽しめるような宿でした。

確かに時代は変わり、以前はつげ義春さんの出す条件を満たすだけの宿はどんどん減っているというのが正直なところでしょう。物価の上昇などを考えると一泊1万5千円から2万くらい出せばそうした温泉の雰囲気を楽しみながらゆっくりできる場所に泊まりに行きたいと思いますが、現在は東京で温泉もなにもないホテルに泊まっても相当高額だったりしますから、古き良い日本の温泉を宿で楽しむことはだんだん難しくなっているように思います。

ちなみに、もうすぐ来てしまう阪神・淡路大震災が起こる直前、私は友人たちといっしょに明田川さんから教わった岩手の大沢温泉・山水閣に泊まり、前日の夜中に帰って17日の月曜日は代休を取って家で寝ていてその状況をテレビで見ることになりました。楽しかった湯治場の雰囲気の残る温泉宿から、一気に現実に引き戻されてしまった思い出があります。その時の衝撃は大きく、たまたまその直後知人から被災地に未使用のタオルを届ける役目をお願いされたので、現地まで他の支援物資を持って訪れたことも連動して記憶しています。

災害の記憶とは悲しいものですが、温泉の仕組み自体も地震の原因にもなる火山との関係もありますし、日本で生きていくということは、その場所の様々なところを見て、それを楽しんだり涙を流したり、そうしたことを記憶していくことが大事だと思っています。今後、様々な場所を訪れたいとは思っていますが、チケットで入場制限するような場所というのはどうしても人気で海外からの人が集まりやすいように思います。私自身は、今までの思い出などともからめながら、単純に景色がきれいというような事ではなく、色々なものを読んだりしてその場所に思い入れを作ることで、その思いを共有する人が少ない場所へ行ければいいなと思っています。

もはや「周遊券」という言葉は鉄道では使えなくなっているので車の旅に「周遊パス」を活用する旅にシフトへ

昨日のニュースで、瀬戸大橋を走るJR四国の快速列車「マリンライナー」が朝7時過ぎにあろうことか瀬戸大橋の上で動けなくなり、乗客がおよそ6時間くらい車内に閉じこめられたというニュースを聞き、昨日が日曜日ということもあり乗客の多くは四国から岡山へ行く途中であったことが考えられる中、かなり大変な目にあったのだろうなと思い同情を禁じえません。

鉄道を使う長旅ということでは、先日発表された「青春18きっぷ」の改変の影響もあり、個人的にはもう仕事をリタイヤするまでは連続使用が条件のこのきっぷは使わないと思いますが、悪天候ではないトラブルで6時間身動きが取れなくなってしまったら、このような割引されている代わりに使用条件が限られるきっぷというのは変更が効かないので色々と大変だと思います。

鉄道に関して、現在は個人的に使ってみようと思えるものはないのですが、以前は18きっぷではなく遠方への旅行には「周遊券」を使っていました。このきっぷは、出発地から目的エリアまでの往復乗車券と目的地周辺の乗り降り自由なフリー区間のきっぷが付いているようなもので、当時はまだたくさん長距離列車が走っていた「急行」での往復ができるのが特徴でした。

上野発では内陸を通って早く目的地に到達できる青森行の「八甲田」と、日本海回りの「津軽」に乗れたので、東北の観光地はかなり回りました。当時は18きっぷでも青函連絡船に乗れたので、北海道函館までであれば、予約なしでもいつでも出発でき、さらに学生に対しては周遊券を学割価格で購入できたので、学生時代は18きっぷよりも周遊券の方をよく使って、四国にも周遊券で行ったことを今回の事故で思い出しました。

現在の旅はもうJRに固執することなく、私鉄や高速バス、LCC利用の飛行機、フェリーなど様々な交通手段を考えて行った方が良いと思いますが、現在でも昔の周遊券と同じような仕組みの交通手段はあります。それがNEXCO各社で出している高速道路をETCで利用する場合に使える「高速道路周遊パス」です。

かつての周遊券と比べるとそこまでのバリエーションもなく、関東在住の方と私のような地方都市在住者とでは出発地までの高速代が別にかかる(自宅近くのインターから乗っても定額な周遊パスの設定がない場合が多いので)という不便な点はありますが、出発地から目的地までの往復の高速代が入っていて(発着付きプラン)、フリー区間では高速道路を途中で降りてまた乗ってというまさに周遊券的な使い方ができます。電車と違って車であれば一般道も自由に走ることができるので、車を使って地域をくまなく観光したい場合には、むしろこちらの方が便利なのではないかと思いますね。

また、周遊パスにはフリー区間のみ利用できるプランもあるので、例えば、目的地まで一般道で行くとか、フェリーを使って目的地まで行くとか、さらに言うと現地まで公共交通機関を使って目的地からレンタカーを借りるような形で利用も可能です。その際、自分のETCカード(周遊パスに紐付けしたもの)を持って行くことが前提になりますが、現地の移動手段が少ないような場合、単にレンタカーを借りるだけでなく、高速道路の周遊パスをセットにすることで、うまく使えばかなり交通費を節約できる可能性があります。

目的地までJR(新幹線含む)を使う場合、同乗する人数が多ければ「レール&レンタカー」という仕組みを使うと、乗車券2割引、特急券1割引という特典が受けられる商品があります。申込み方が独特なので、手間はかかるかと思いますが、これだと過去の周遊券を使ったような旅ができるのではないかと思います。そうなると、まだまだ色々な旅行プランを立てる面白さというものはあるような気がします。

逆に言うと、旅行に行く時に自分もしくは同行者の中に運転免許証を持っている人がいるかいないかで、かなり旅の自由度が変わってくるということも言えます。運転免許を取得するにもコストはかかるので、なかなか取るのも今は大変だとは思いますが、車を今後所有する予定はなくても、免許を取得してレンタカーやカーシェアリングサービスを使いながら運転のカンは維持できるようにしておくと、これから旅に出るような場合には選択肢が増えます。

ただし、自分の車やレンタカーで移動するについて注意しなければならない事もあります。公共交通機関の場合、計画運休を含めて災害に見舞われそうな場合には運行自体が取り止めになります。車の場合は運転手の意志で出すなら、どこにでも行けるわけですが、進んだ先で冠水している場所に入り込んで車をダメにしてしまったり、無理に峠などを走り、土砂災害に巻き込まれて命の危険を生じる事もあります。新幹線が止まっていても高速道路の通行止が解除されたような場合だったら良いのですが、あらゆる乗り物での移動に危険が伴う場合には大人しく現地で宿泊できる場所を探すようにして無理に旅を続けない勇気も必要ではないかと思います。

もはや自転車だから許されるということは無くなる? 自転車に関する道路交通法改正内容

自転車運転に関する法令が2024年11月から改正されています。私自身、日常的に自転車を使うことが多いので、この情報をテレビニュースで初めて知ったということで、かなりナーバスになっています。今後、甘い考えで自転車を使うと、大変な事になってしまう可能性があります。普段全く自転車に乗らない方でも、旅先などでレンタサイクルやシェアサイクルを使って移動する場合に、今回の改正に伴って人生が変わってしまう可能性もあるので、ここで自戒の念を込めて、その内容について備忘録的に記録しておこうと思います。

今回の改正の要点は次の2点になります。

その1 運転しながらスマホ操作をすると大変なことになる点

その2 たとえ自転車でも飲酒運転をした側だけでなくさせた側も厳しい罰則がある点

まず、自動車と同じようにスマホを見ながらの運転で厳罰になります。違反者は6月以下の懲役または10万円以下の罰金、交通の危険を生じさせた場合には1年以下の懲役または30万円以下の罰金ということになりました。逆に言うと最大の懲役は6ヶ月から1年、罰金の場合は10万円から30万円の支払いが必要になるということで、これはかなり大きな罰則ではないでしょうか。

ちなみに、スマホを自転車に固定させていても、画面を注視して運転していたことが明らかになった場合には罰則が適用される可能性があります。赤信号で停止中にスマホの画面を見る分にはそれ以上追求されないようですが、自転車でスマホをカーナビ代わりにしている場合には、音声案内の機能も併用して、周辺に注意しながら事故を起こさないような運転を心掛ける必要があります。

次に、飲酒運転についても、違反したら3年以下の懲役または50万円以下の罰金とかなり大きな罰則になります。今回の改正では、飲酒をした人に自転車を貸した人がいた場合、違反者と同じ3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるというのは、ちょっとした気持ちで自転車を貸すと大変な事になるわけです。さらに、酒類を提供したら飲酒運転になることを理解した上で提供した人(お店だけでなく家飲みで同席していた人も含まれます)にも2年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられてしまうのです。

この改正によって、地域によっては大きな影響が出てきます。自転車の台数がかなりの数にのぼり、シェアサイクルも発達している私の住む静岡市の場合、多くの人が自転車を日常的に利用しています。自転車通勤をしている人も少なくありません。その場合、仕事終わりにちょっと飲んで帰りたいというような場合、最後に紹介した酒類の提供者も厳罰ということになると、いくら帰りは自転車を押して歩いて帰ると言っても、つい飲んで気が大きくなって自転車に乗ってしまうことも可能性としてはあるわけですから、今後自転車で飲食店に来店したお客について、酒類の提供をしないという感じになっていくのではないでしょうか。

今後、自転車で外出をした場合には外で飲むのはノンアルコール飲料にするか、いったん自宅へ戻ってから公共交弱機関を使って出直しをするように、罰則を恐れるのであればきちんと対策をしてから飲むようにしないと、下手をしたら自分の人生がおかしくなってしまう可能性がある法改正であることは確かでしょう。

日常の生活で自転車を使っている人に大きな影響が出る改正ですが、観光地を訪れ自転車を借りて軽い気持ちで飲み歩きをしてしまい、警察に止められたら旅行中止どころの騒ぎではなくなります。車中泊の場合、深夜まで飲んでから寝て、翌朝にお酒が残った状態でレンタサイクルを使った場合も危ないかも知れません。少なくとも、今後は自動車と自転車の区別なくながら運転と飲酒運転は止める強い意志の力か大切になるでしょう。

「青春18きっぷ」の想い出と今後鉄道から他の交通手段へ移行する準備について考える

いよいよ来る時が来てしまったというのが今回のニュースでは大きいなとしみじみ思います。かつては国鉄が学生の休み期間に売上が落ちる対策として当初は6枚綴(その後5枚綴に変更)で一枚一日(一人)、国内の国鉄(のちにJR)線の普通列車乗り放題という「青春18のびのびきっぷ」として誕生した「青春18きっぷ」が大変革を迎えてこの冬からの販売になります。

当初は1枚ずつ別々に使うことが可能でしたが、使い残したきっぷを転売する人への対策として、一枚に5日(5人)分のスタンプを押す場所のある形に変化し、複数の人で使う場合は同じ行程で同じ列車に乗るような形で使うように変わりました。

それでも、回数分が残った切符の転売は続きました。これはきっぷの目的からするとあまり良いことではありませんが、今回の改定では連続する3日・5日分という形で売られることになり、期間中自由に使うことはできなくなりました。その代わり自動改札を使えるということにはなったものの、今後は一人の人間が学生の休み期間に3泊4日ないしは5泊6日の旅に出掛けられるような人でないと、まるまるこの切符のメリットを享受することはできなくなりそうです。恐らくこれでJRの転売対策としては万全で、今後は金券ショップでの取り扱いもされなくなると思われます。ただ、北海道用のオプション券とともに青春18きっぷを複数枚購入し利用期間をフルに使えば、期間内に安価に日本一周は可能でしょう。そういう意味では長い休みをフルに乗り鉄旅行できる人にはまだ利用価値はあるとは思いますが。

私はそれこそ学生時代もそうですが、かなり無理な日程で出掛けても大丈夫な時期には、一人旅でも5人までの団体旅でも大変にお世話になりました。私が最初にこの切符を使っていた当時には、まだ青函トンネルも瀬戸大橋もなかったので、国鉄が運行していた青函連絡船や宇高連絡船にも乗れたので、かなり安く旅をすることができました。そして、そうして安く全国を旅した経験によって、自分の人生は豊かなものになっていると思っています。

もはや今では、若い人でもなかなか青春18きっぷを使って旅をする人はいないかも知れませんが、安い値段で旅に出るということになると、飛行機のLCCでのセールを使うか、高速バスで深夜移動するとか、あとは車中泊を使ってマイカーで出掛けるかということになります。ただ、かつてはこのきっぷの趣旨に沿うような形で、中学生くらいのグループで利用しながらとあるユースホステル(男女別相部屋の若者向けの宿)でご一緒したのを大学生の時に経験しました。今回の改定で、本当にお小遣いをためて旅行に出掛けるしかない中・高校生が、家周辺の風景しか知らないところから、まるで冒険のように旅立つ手段の一つが無くなってしまいます。個人的には中・高生用に月々のお小遣いくらいでも旅立つことのできるような形で、年齢制限を付けででも現行のきっぷを残して欲しかったなと思いますが、それだけ世の中に余裕が無くなったことの現れなのだと納得するしかないでしょう。

私がこのブログを立ち上げたのも、今まで自由に使えていた青春18切符の5枚綴での販売が終了したことで、ふと思い付いて遠くに出掛けられる旅というのは、車中泊の旅にシフトせざるを得ないのではと思ったことがあるかも知れません。

今年は新型コロナの影響も癒えて、ようやく普通に出掛けられる状況が整ってきたので、全国色々なところに出掛けていたので、この勢いでこの冬は青春18きっぷを使っての旅をしようかと思っていたのですが、一人で3日間の旅はできるかも知れませんが、同行者がいる旅では18きっぷの利用は難しいと思うので、私が仕事を辞めて完全にフリーになるまでこの形態で18切符が販売され続けていない限り、もうわざわざ購入して使えないなと思います。ただ、これも社会全体が疲弊している状況の現れだと思うので、仕方のない事ですね。

今後については、自分の車で出掛けられる範囲での旅行や、高速バスやLCCでの移動とレンタカー・バス移動を組み合わせたり、宿が有料で用意している送迎バスの仕組みを使ったりと色々知恵を絞りながら、今後は学生の休みの時期に関わらずに旅行の計画を立てていこうかなと思っています。

今回の改定での影響は、これでますます地方のローカル線に乗って旅をしようとする人たちがいなくなるだろうということがあります。車で回ればさらに色々なところへ行けますが、もはやのんびり各駅停車で乗り継ぎの時間に駅周辺をぐるぐる回りながらの旅というのは無くなる傾向になるということなのでしょう。路線バスがなくなって人々の生活が変化したように、今回の青春18きっぷ改革の影響が悪い方向に出なければ良いなと思います。自分としては、今後についても気ままにふと出掛けられる旅を安くできるようなノウハウについて実践し、このブログで紹介していくことができればと思っています。