電子掲示板といっても一体何のことやらわからない方もいるかも知れません。昔は、個人が情報を発信するのにSNSなどがない状況で、自分でホームページを公開するような事が流行ったことがありました。
そのホームページでは自分の発信したい情報を公開するのですが、そうした情報について読んでくれた人や、元々知っている人だったりネット上で知り合ったりした人と交流することを目的にして、自分で更新するまで反映されないホームページではなく、誰でも書き込んでコミュニケーションできる「電子掲示板」をレンタルしてくれるサービスが流行ったことがあったのです。
電子掲示板には有料のものと無料のものがあり、無料のものは広告が出たり一部制限があったりしましたが、無料のものでも十分にホームページを訪れる人との交流をはかることができたので、私もそうですが友人でホームページを作成していた人の殆どが設置していると言っていいくらい流行っていました。その中でも一番メジャーで設置している人が多かったのが「teacup.」の電子掲示板だったのです。
誰でも書き込めるようにしておくと、こちらの知っている人だけではなくいわゆる通り過がりの人とも接点ができ、それを通じて実際にお会いした方も過去にはいました。そもそも私自身がインターネット以前に文字のみを使って交流していたパソコン通信も使ったことがあったので、パソコン通信の延長として導入しやすかったということもあると思います。
ただ、ホームページより簡単に分類された情報別に写真や動画を付けて自分の書いたものを公開できるブログが無料で簡単にできるようになって、電子掲示板の役割というのは限定されていったのではないかと思います。ブログではこの文章でもそうですが、記事ごとにコメントを付けられる機能があるので、あえてブログ全体に別の電子掲示板を付けることはあまり意味がなくなったように思います。
中には、掲示板そのものが目的というようなサイトにおいては、今でも電子掲示板の需要はあるとは思うのですが、レンタルサーバを借りて(中には無料で利用できるサーバもあります)そこにプログラムを置いて電子掲示板システムを自分で運営した方が広告も付きませんし、文字だけのコンテンツならフリーのプログラムを利用させてもらえれば、多少設置のための知識は必要ですが、レンタル掲示板を利用するのと比べてもできることは多いように思います。
そうした状況も踏まえてでしょうか、「teacup.」電子掲示板は2022年8月で有料・無料のサービスを終了するというアナウンスがあり、過去に利用していた私のところにもサービス終了の案内メールがやってきました。現在は全くこうしたレンタル掲示板サービスは使っていないのですが、いざ終了となると感慨深いものがあります。
そもそも、私が使い始めた頃にはインターネットを使って未知の人々と交流ができる事自体が醍醐味であったわけですが、今は全く素性がわからないアカウントを持つ人と実際に会うこと自体がNGになっていますし、旧知の間柄ならLINEのようなコミュニケーションツールを使えばいいでしょうし、ネットだけの付い合いの人との交流をするためには別のSNSやアプリを使うようになっているので、わざわざ掲示板をレンタルしたり、自前でサーバーを借りて掲示板プログラムを設置するような事はニーズ自体が無く、あっても自分の力で何とかできる人がやる事だと思うので、これも一つの時代の終わりかなとちょっと感傷的になってしまいます。
ちなみに、レンタルサーバーに設置するタイプの各種掲示板については、私も過去にお世話になった、「kent-web」で今も様々なプログラムが公開されています。今では炎上を避けるため、あえてブログのコメント欄を閉じたり掲示板自体を設置しないウェブサイトも多いですが、ロシア・ウクライナの戦争によってツイッターなど有名なコミュケーションツールをブロックするようなケースも見受けられますが、こうしたプログラムを一時的に利用することで、ゲリラ的に外からの情報を得て公開することができるというのも電子掲示板の一つの使い方だとも思います。最後に「kent-web」さんへのリンクを紹介しますので、興味がある方はこうしたプログラムを使ってみるのも面白いのではないかと思います。