先日「ドコモがガラケーとiモードのサービスを終了する」という見出しのニュースが流れてきました。この内容に誤りというものは全くないのですが、ここで言う「ガラケー」の定義は何か? ということについてしっかり認識しておかないと、自分の身近な人が本来は使いたくないのにスマートフォンに機種変更して、その操作の難しさにあえぐような未来が見えてくるようで、何ともいやな気分がするのです。
まず、ガラケーと言うのは「ガラパゴス携帯」の略で、世界の流れとしては特別に携帯電話用のインターネット接続を利用しなくてもインターネットに接続できるにも関わらず、日本国内のみで主流になった、ドコモや他の大手キャリアは自ら作ったインターネットサービス及び情報提供サービス(有料)に引き込むための仕組みであるiモードをはじめとした携帯インターネット接続サービスを搭載したフィーチャーフォン(テンキーの付いた音声通話で利用することを主目的にした通信端末)です。
「ガラケー」と「フィーチャーフォン」というのはイコールではなく、現在ガラケーのように売られている折りたたみ式の昔のガラケーを彷彿とさせる端末というのは「ガラケー」ではなく、「フィーチャーフォン」です。ですから、ガラケーが終わるとしても通話専用に使えるような昔ながらの携末というものは今後も売られると思いますので、これで世の中にはスマートフォンだけになってしまうということはありません。この点ははっきりと伝えるようにしないといけないと思うので、マスコミの方々には表面的な情報を出すだけでなく、しっかりとその内容について伝えるべきだと思うのですが。
私自身もスマートフォンを使っているのでその便利さはわかりますし、キャッシュレス決済を使うためにはネットに接続することも必要なので、フィーチャーフォンよりスマホという考え方もわからないではありません。しかしネットをずっと見ていれば電池も早くなくなります。仕事や用事でどうしても通話を中心にした使い方をしたいという人にとっては、スマートフォンよりもフィーチャーフォンを通話専用として持っていた方が便利で、さらに連絡は音声通話とショートメールで十分だという人にとっては、スマートフォンよりもフィーチャーフォン利用の方が便利で、さらに料金的にも安く使えるということは今も変わっていません。
今回のドコモの発表ではガラケーと3G(ドコモでは「FOMA」と言った)、およびiモードの終了が2026年3月ということになりましたが、それは固定電話のメタル回線が終了しADSLが終了するより後の事で、まだあと6年ちょっともあります。今、古いガラケーを使っている人がいたとしても、現在月千円以内の安いプランでインターネット接続なしのものを利用している場合、スマホに変えると必ず今より毎月の利用額が高くなりますので、そのまま使い、必要に応じて電池を交換するのがおすすめです(スマホの場合は電池交換ができない機種が多い)。もし交換電池の用意がなく、新機種の変更を勧められた時でも、スマホにはしないで通話契約だけで当分は安心して利用できる現在主流の通信サービスである4Gで使えるフィーチャーフォンはどのキャリアでも用意されているので、そちらの方を選びましょう。たとえ通話のみでインターネット契約なしでも契約は可能で(現に私はネットなしで契約しています)、それでも電話番号へ直接文字を送信する「ショートメール」は使えますので、心配することはありません。
今現在でもそうですが、大手キャリアはシニア層をフィーチャーフォンからスマートフォンへ移行させようと躍起になっている気がしますが、それならなぜ、MVNOではできている月3GBくらいのデータ通信料金を通話料+1,000円くらいにできないのでしょうか。スマートフォンに使われている基本ソフトであるAndroidで動いているフィーチャーフォンなら、画面が小さい分必要なところでしかデータ通信を使いませんし(つまり利用するデータ量がスマホに比べて少ない)、電子マネーを利用するためのチャージに使うくらいなら、いわゆる「らくらくフォン(フィーチャーフォン)」を使っている人にとっては一番安いデータプランでも十分です。MVNOがやれているのですから、月3千円くらいで通話もネットも十分に使えるプランの出現を期待します。逆に言うと今はそんなプランはないので、そこまで待つのが個人的にはいいと思います。
未来の日本の高齢化社会の中、年金だけでは立ち行かない人が増える中で、これから通信費にかける家計の割合を増やすような方向に独占企業の方から持って行くというのは、下手をすると大きな社会問題にもなり得ます。個人的には高速でなくてもいいので中の下あたりの速度で動画くらいはストレスなく安く見られるようになって欲しいという気持ちはありますが、データ通信は使わない人は全く使わないので、いくら利益が減っているからと言ってもお金のないシニア層からお金をしぼり取るような事はせず、いわゆるヘビーユーザーからお金を取る仕組みの方をちゃんと考えて欲しいものだと思うのですが。