モバイルインターネットの回線を安い価格で提供するmineoの「マイそく(スタンダード)」は税込990円/月という価格で平日お昼を除いては最大1.5Mbpsというスピードが出るわけですが、今回はそのポテンシャルについて具体的に考えていきたいと思います。このスピードでは何がどのくらいダウンロード・アップロードできるのかということについてまずは見ていくことにします。
1.5Mbpsというのは、1秒あたり1.5Mbitのデータをダウンロードできますが、ここで言う「1bit」というのは、アプリなどの容量を表す単位として使われているものではあるものの、私たちがよく使っているデータ容量についての単位は、「1byte(1B)」を基本にしています。したがって、ここから単位への変換が必要になります。bitとbiteとの関係は「1byte=8bit」ということになるので、1.5Mbitは8で割って0.18MB(正確には0.1875byte)となります。これは1秒あたりにやり取りできるデータ量なので、1分間(60秒間)かけてこのスピードを保ってダウンロードした場合には、大体ですが、10.8MBのデータをダウンロードできるということになります。
例えば、50MBのアプリをダウンロードしようと思った場合、「マイそく」で1.5Mbpsが出ていれば、5分弱でダウンロード完了になるという風に計算ができるわけです。これは、外出で早くダウンロードしたいと思う場合にはイライラして待たされると思う人もいるかも知れませんが、ダウンロードサイトではそのアプリの容量についてはちゃんと記載されているので、ダウンロードする前に完了するまでのだいたいの時間はわかります。買い物をしていて、そのお店のアプリをその場でダウンロードしたいような場合には、お会計の間際ではなく、買い物の途中に作業を行なってしまえば、それほどストレスが溜まることはないとも言えます。ただし、かなり容量が大きいアプリの場合にはその容量に比例してダウンロードする時間も増えますので、注意が必要になります。
今回、こうした計算をしてみたのは、mineoの「マイそく」には、3日間で10GBを使うと最大32kbpsの低速制限が起こるということなので、計算上だけでも一日どのくらいまでならダウンロードしまくりという状況に近い、ネットでの動画視聴ができるのかということを具体化したかったという個人的な欲求からスタートしました。規制を受けない1日のデータ使用量の目安として、10GBの3分の1は3.3GB(少数点以下四捨五入)で、MBに直すと3333MBとなります。このデータ量を1.5Mbpsのスピードでやり取りするとどのくらいで指定容量に到達するのかということがここでの問題になります。
先ほどと同じように計算すると、1分で約10.8MBであるので、1時間(60分)だと648MBとなります。3333MBを使い切るには、3333MB÷648MB/時=5.14時間(少数点以下四捨五入)となります。もっとも、時間や混雑具合によって、最大スピードの1.5Mbpsまで出ない場合もよくあると思うので、実際にはこれ以上見られる可能性はあります。
ちなみにこの数字は、1.5Mbpsのポテンシャルでダウンロードを続けた場合のものなので、動画の質を落としたりすることによって、さらに動画視聴時間を伸ばすことも可能ですが、電波の状況に合わせて何の設定もしないで自動で動画を見ても、一日毎にしたら「マイそく」の回線だけでもだいたい5時間は余裕で動画が見られるということになるわけです。
車を使っての旅行などにおいては、車の中で動画を付けっぱなしにしてゴールデンウィークの渋滞対策とする場合も考えられます。事前に渋滞の中を走ることが想定できる場合には、旅行前日にデータを利用することをあえて止め、行きと帰りの車中だけ動画を見まくり、旅行翌日にはまたセーブするように使用前後一日を空白にすることができれば、一日5GBくらいまではデータ使用量を伸ばすことも可能ですので、その場合は5000MB÷648MB/時=7.71時間くらいまでは利用時間を確保できます。
個人的には渋滞対策としては動画の他に、「radiko」や「らじる☆らじる」というアプリを使った全国のラジオ放送を聞きながら移動することや、お気に入りの音楽をストリーミングサービスで利用するようなこともできると思いますので、車内や出先での動画視聴が一日4時間を超えそうだったら音声のみサービスを利用して車内での時間を過ごすようにすれば、1ヶ月税込990円でも旅行用の暇つぶしとしての動画視聴は十分できるのではないか? という気がします。
ただし、今回紹介したmineoの「マイそく」は、平日の昼間もそうですが、3日で10GBに到達した場合の低速制限が最大32kbpsと、ほとんどの作業において使いものにならないと思われるので、mineo一回線だけではなく、できれば速度制限を受けた場合の予備回線を持っておくのが良いと思います。利用している端末がソフトバンク回線に対応しているSIMフリーの端末なら、LINEMOのミニプランは月3GBまで(LINE電話などの利用は残量0でも常に高速で利用可)は昼夜問わずソフトバンク回線に準ずるスピードが得られますし、もし容量を使い切っても最大300kbpsで月末まで制限なく利用できますので、個人的にはその組み合わせがおすすめですね。恐らく、「マイそく」の低速制限対策に使うなら、月3GBも使わないと思いますので、2回線でだいたい2,000円くらい(通話料は除きます)の通信費で、どちらかの回線がトラブルで使えなくなってもストレスなく利用は可能ではないかと思います。その際は2つのSIM(eSIMを含む)を同時に利用できるスマホの利用がスマートです。
もし端末を複数持ち運ぶことに抵抗がなければ、スマホにはLINEMO、そしてmineoの「マイそく」のSIMカードは8インチクラスのタブレットに入れると、動画視聴用としては申し分のない結果が出るのではないかと思います。私も同じような使い方をしていますが、メイン使いのスマホ上で動画を見ずにその他の利用をするくらいなら普通に使っていれば月3GB以内に収まると思いますし、いざという時にはタブレットからスマホにテザリングして、アプリのダウンロードや低速ではもたつくサイトやアプリの利用をすることができますので、双方の回線で低速制限を受けた場合の対策もばっちりです。
さらなる応用として、二台持ち可能で通話定額も付けたい場合には、そのままLINEMOの通話定額を使うのも良いですが、タブレットは「マイそく」のままで、スマホの方にau回線を使っているpovo2.0をLINEMOと同時に使い、povo2.0の通話トッピングを付けるようにすれば、povo2.0の自動解約の恐れもなく大手3キャリアの回線を維持しながら安くても安心なモバイル通信を確保できるわけです。
このように回線の整理をして、その時々のベストな組み合わせを利用できるように、携帯電話の契約に縛りを付けるような事についても見直すことが、安くても十分な外でのインターネット利用を行なうためのコツと言えるかも知れません。生活に関わるあらゆる価格が上がっていく中で、通信費だけは工夫をすればまだ下がる余地があります。まずは今の通信費がいくらかかっているかを考えた上で、戦略的に通信会社の乗り換えを考えていきたいものです。