日本通信のIDEOSを検討される方の中には、1月28日からサービスが始まった、同社のb-mobile U300で使える050番号がもらえるIP電話サービスが使いものになるのかどうか注目されている方も多いのではないかと思います。
ご存じない方のために簡単に概要を説明しますと、元々日本通信のデータサービスはNTTdocomoの広いエリアで使えるということが売りであるため、データ用でしか使えないSIMカードで音声通話を実現するために、最大300kbpsの3G通信でも何とか実用になるだけのIP電話を別料金で実現するというものです。もちろん、無線LANなどで300kbps以上のネット接続環境がある場合はそちらの回線を使ってIDEOSから通話することもできます。ただ、IP電話契約のためには、b-mobile SIMとIDEOSを購入する必要があるそうです。
初期手数料は3,150円で、特殊なプリペイド方式という性質から、その後は本人名義のクレジットカードで利用料金を本体にチャージしていく必要があります。月額基本利用料は490円で、30秒あたり10円という通話料の300円分が無料通話料として提供されます(無料通話分の翌月繰越はありません)。毎月の利用料を支払うためのチャージ料金は最低500円からとなっていますが、利用開始時には500円が自動的にチャージされるとともに初月の月額基本料がただちに減算される仕組みになっているので、最初は最低1,000円分をチャージしておく必要があるとのこと。チャージする方法は手動と自動がありますが、常に使いたい場合はデフォルト設定の最低額の500円自動チャージを選択しておきましょう。いざという時だけでいいのなら、番号は残高失効から180日保持されるということなので、とりあえず契約しておき、チャージを手動にして残高が0になったとしても、山の中などで手持ちの携帯電話が圏外になる様な非常事態になった場合、そこでチャージするような利用方法も車中泊の旅の場合は想定できます。ただ、チャージが発生するタイミングは月初ということなので、月をまたいで旅行するような場合は2回手動でチャージする必要性も出てくるかも知れません。なお、このサービスは110, 118, 119などの緊急通報や0570や0990が頭に付く番号には掛けられませんので、その点にもご注意を。
まだサービスが始まったばかりで正当な評価はできないかも知れませんが、上で挙げたような後者の使い方ならば、サービスを申し込んでみても個人的には面白いと思います。というのも、私はドコモの携帯電話を持っていないので、旅先での緊急的な発信について常に不安に思っていたからです。
今、全ての通信業者において携帯電話を購入する場合、いわゆる通話のみの最安プランを契約することは大変難しいと言えるでしょう。本当はドコモにプリペイド携帯電話のサービスがあればいいのですが、かなり前にサービスを休止してしまっているので、音声通話をドコモのエリア内でしたい場合は、通常契約をせざるを得ない状況があります。今、普通に携帯電話を使っていて、それがドコモ以外のものである場合、あえて非常用のためだけに通常契約をして毎月の基本料や、高い機種代金を払うというのはいかにも非効率でしょう。また、IDEOSのIP電話をメインに使おうとすると只でさえ減っていく電池の減りがさらに加速する恐れがあるので、携帯電話を一本化するためにこのIP電話を導入しようと考えておられる方がいらしたら、少なくとも外付けの大容量バッテリーを用意する必要があるでしょう。とりあえずは一通りのレビューが出尽くすまで待った方が無難です。
また、通話品質についてどうかという問題もあります。今ある携帯電話の契約を全て解約してIDEOSに一本化しようと思っている方がいたとしたら、日本通信が出しているtalking simを利用するという方法もあります。こちらはb-mobile U300と同じデータ通信に加えて、最大25分の090か080番号での(いわゆる普通の携帯電話と同じ)無料通話が付いて月額3,980円というものです。こちらも、旅に出る前に用意しておき、旅行期間中だけ差し替えて使うなどの方法があります。ただ、常に番号を維持しようとする場合、契約を続けなければならないというディメリットもありますので、個人的にはこれらの電話サービスは今使っているものの補完的に使うのがいいように思います。
最後に、エリアの話は置いておくとして、SIMフリーなIDEOSならではの方法として、以前紹介したソフトバンクのプリペイド契約をしたSIMを用意し、差し替えることで通話ができるようになります。ソフトバンクのプリペイドは初期費用無料で、通話カードの最低3千円分で1年以上着信が可能になるので(発信をする場合は二ヶ月ごとにチャージが必要)IDEOSを単体で購入し、日本通信のSIMを利用せず電話機として使うというパターンも考えられます。ソフトバンクのプリペイド契約というのはインターネット接続ができないようになっているため、知らない間にネットに繋がってデータ通信料を請求される恐れがないというのも使う側からしたら安心でしょう。これからさらに性能のいいスマートフォンが登場してきたとしても、つぶしが利くハードであるというのは実にありがたいものです。