防災コラム」カテゴリーアーカイブ

山間部だけでは起きない土砂崩れの怖さを感じた50年前の豪雨の記憶

5年間の長い間、多くの人が待ちわびた松山の道後温泉本館がようやく再オープンした、まさにその時、松山城の裏山が崩れ人的な被害が出たという一報を聞きました。そのニュースを見て、私の住む静岡市で起きた集中豪雨による被害状況についてあらためて思い出すことになりました。というのも、1974年7月7日の七夕の日に起きた「七夕豪雨」は静岡県の特に静岡市・清水市(現静岡市清水区)に大きな被害をもたらしたのでした。

具体的な雨量は7日朝から翌日朝までの24時間連続雨量は508mmにも及び、今でも観測史上最高値になっています。今回の松山と比べるとだいたい倍の量でした。自宅は床下浸水でしたが、床上浸水した家も多く、翌朝は学校が休みで道路には水が溢れていたことを思い出します。

その時の豪雨では、洪水被害だけでなく人命に関わる別の災害が起こっています。当時の静岡市だけで27名の命が失なわれました。そのうち、土砂崩れで亡くなった人は21人もいたのです。私の住む静岡市は自転車を利用する人が多いほどなだらかな土地ですが、市の中心部にはまるで丘のような低い山が点在しています。豪雨では特に市民が初詣には多く訪れる静岡浅間神社があり、「静岡」という名前の元となったと言われる賤機山(賤機山)が崩れました。

先日、テレビでその時に13棟が被害にあって8名が亡くなった静岡市葵区丸山町の様子を見たばかりでした。その時は同じ賤機山に地元の静岡鉄道が営業して市民がこぞって利用していた「浅間山リフト」が崩れ、再開も叶わず廃止になったことが、毎年大晦日にリフトに乗って初詣に行っていたので、廃止の報を受け大変残念だった事を覚えています。

それ以来、静岡市内にある小さな山での山崩れはありませんが、いくら小さな山だったとしても多くの水を含むことで崩れる可能性は0ではありません。幸いにして現在住んでいるところは平地で山とは離れていますが、この静岡市は、賤機山の他、谷津山、八幡山、有東山などちょっと見ると小高い丘に過ぎないような山はあるので、山の近くに住んでいる人は、本気で命を守る行動について考えるべきだと思います。

今回の松山の土砂災害も、そこまで住民が避難を考える前に起きてしまいました。果たしてどうしたら命を守れるかということを考える場合、以下のリンクにある「重ねるハザードマップ」から「土砂災害」をクリックすると、危険な区域の場所がすぐにわかります。そうした場所に住んでおられる場合、本気で避難所への移動についても考えてみる必要があるのではないかと思ってしまいます。

https://disaportal.gsi.go.jp/maps/

また、自分の知らない土地で車を運転しながら車中泊場所を探す場合、今自分の居る場所がそうした災害発生の可能性のある場所でないかを上記リンクで確認した上で休むようにしたいものです。


災害時に利用するエネルギーとして私がアルコール燃料を用意しているわけ

大きな災害に遭遇した場合、あっという間に生活必需品の入手が難しくなります。私の体験は大したことはないのですが、大雨で以前私の親戚の住んでいる地域で断水が起こったことがありました。

自宅周辺では断水もなかったのですが、その親戚のためにお水を買ったり、水道水を分けるための水タンクを買おうと近くのホームセンターやスーパーを回ったものの、見事に全て売り切れになってしまっていました。

結局、こちらでは何ともできず、その親戚の方が自らちょっと離れた地域にあるホームセンターで水タンクをゲットしてきたのですが、それまでは普通にスーパーに行けばペットボトルの水が安く置いてあったり、ホームセンターで水タンクを買うことも簡単だったのに、これが災害の恐ろしさだとしみじみ感じました。

そうした経験を受けて、備蓄用のペットボトルの水を備蓄するようになりましたが、他には18リットルの水タンクを備えていて、給水車が来た場合に一気に水をもらうことはできるようになっています。ただ、水だけではどうにもならないので、お湯を使って食べられるインスタント食品をローテーションさせているのですが、そもそも都市ガスが止まり停電になったら、調理どころか湯沸かしもできなくなってしまいます。そんな場合に何とかできるのか? というのが今回のお話しです。

まず、家庭内で備蓄して用意する熱源および調理器具として一番ポピュラーなものは、カセットガスコンロになると思います。私自身はカセットコンロは持っていて、一応使えるようにはできているのですが、最初に紹介した断水時の水と同じように、安いカセットガスはお店から一気になくなって、安定的に自宅での料理ができるくらいの量をストックしておくのも大変です。カセットガス自体も使用期限があります。岩谷産業のホームページでは、サビが無いことを確認した上での期限は製造年月日から約7年ということです。

頻繁に野外やキャンプでバーベキューや、冬の鍋を主にカセットコンロで使うなら、ストックしたカセットガスを使いながら一定数保存しておくことも一つの考え方ですが、缶の場合はどうしても不燃ごみが出てしまいますし、自宅の場合はその置き場所にも困ります。

そこで、私の場合は湯沸かしや炊飯をはじめとした簡単な調理ができるように、様々な燃料用アルコールを使えるバーナーを準備しています。ただ、気になるのは非常時に燃料のアルコールを入手できるのかということになります。
過去、少ない燃料で湯わかしや炊飯を試したことがあります。市販の製品では旅館の食事に出てくる鍋を温めるための青色の固型燃料1つで自動炊飯ができるセットが売られていましたが(今でもあるかも)、青色の固形燃料は便利ですがちょっと割高で、長期保存に耐えられないというディメリットがあったので、それなら同じ原理で燃やすことのできる液体のアルコール燃料を使おうと思い立って今に至ります。

問題は、ライフラインが復旧するまでにどのくらいかかるのかというところなのですが、今使っているアルコール燃料では、30ccでご飯2合の炊飯ができ、20ccあれば500ccの水を沸騰させられます。薬局で売っているアルコール燃料は主に500ccのものが多く、価格的には300円くらいですが、お米と水があれば、だいたい一週間くらいの調理には一本くらいあれば何とかなり、あとは別の燃料(牛乳パックの紙を細長く切って燃やせばお湯を沸かすことも可能)やソーラーパネルからの電気を使ってご飯を炊いたり調理をすることと併用すれば、何とかなるのかなとは思います。

問題は、ストックしてある分が無くなってもまだライフラインが使えなくなっているような場合、アルコール燃料の再調達は可能なのか? というところだと思います。恐らくそんな状況ではカセットガスの入手は難しいかも知れませんが、アルコール燃料はどうでしょうか。新型コロナウイルスの影響がある時には、消毒用を中心としたアルコールの入手が難しい状況がありましたが、燃料用と消毒用はそもそも使用目的が違いますし、何とかネットが使えてネットショップから入手することができるなら、何とかなりそうな淡い期待を抱いているのですが。

まあ、そうは言っても過信は禁物です。現在自宅では500cc2本分くらいのアルコール燃料を備蓄していて、単にお湯を沸かすだけなら先述の牛乳パックの紙を利用したり、冬であれば灯油を買って石油ストーブで暖を取っているので、灯油を使って調理したりもできるようになっています。もちろん、ポータブル電源に蓄えた電気を使うこともありえますが、自宅のソーラーパネルで発電できる電気はたかが知れていますので、主にスマホやパソコンを使ったネット利用を中心にする予定です。それでも、カセットガスを使わずに温かい飲み物と食事をできるような手段として、今後もアルコール燃料を中心にいざという時の備えをしていこうと思っています。


充電池よりキャパシタを利用した方が長期保存には強いもののそれが全てではないと思った事

テレビを何気なしに変えたら、通販番組を放送していて、普段あまり見ることのない防災用品を扱っていました。その商品は、番組で出ていた実物と製品名を控えておき、後から検索したら、懐中電灯で「ナイトスターJP」という商品なのですが、リンク先の価格が定価という、結構いいお値段がする商品でした。

この懐中電灯は、持ってシャカシャカ振ることで内蔵のキャパシタ(コンデンサとも言います)に少量の電気を溜めることでLEDを光らすことができるという仕組みです。さらにこの懐中電灯は水没や落下しても使えるなど、その堅牢性がポイントになっています。通販番組では商品の説明として、蓄電に「キャパシタ」を使っていることのメリットについて、かなり細かく語っていて、その点はきちんと説明をしていると感心しました。確かに、普通の充電池を使ったライトやラジオを非常用持出袋に放り込んだままにしておくと、その内蔵電池が化学変化を利用して蓄電する電池を入れている場合、長期にわたって使わないでいると、購入時の能力を出せない事は起こってきます。そんな恐れのないキャパシタを使った懐中電灯というのは、確かにいざという時には使える防災グッズです。

かく言う私も、持ち歩くもののほとんど非常時以外使う機会がないLEDライト付き手回し発電ラジオをバッグの中に入れていますが、そのラジオも充電池ではなくキャパシタを採用したものです。ただ、そのラジオは防水機能こそありませんが、価格はそれほど高くなく、懐中電灯の代用にもなりますので、個人的にはおすすめの品です。

太知ホールディングス 手回し充電備蓄ラジオ ECO-5

ちなみに、テレビの通販では定価より500円くらい安く案内されていましたので、テレビを見ながらネットで検索していた人も、そこまで悪い印象はなかったとは思います。私自身もこうしたテレビのネットショッピングでキャパシタに電気をためておける製品を紹介しているのは、正直びっくりしました。こうした知識が広まって、新たに画期的な製品が今後出てきてくれるようになれば嬉しいですね。

ここからは、せっかくなので私が考える家に備えている明かりを選ぶに至っての方法論について書かせていただきます。家庭内において、懐中電灯は別にずっと非常用持出袋に入れておくような事もありません。私などは、薄暗い時に家具の隙間に入ってしまった物を認識するなど、停電でも夜でなくても光を出してくれるライトが使えるように常に用意しています。そのための電池は、充電式ではありますが、消耗したら本体から出して交換・充電可能なニッケル水素電池の「エネループ」です。

日常的に利用していく中で、電池を使い切って、暗くなってきたら電池を交換するわけですが、普通のエネループの場合およそ600回繰り返し充電して使うことができます。他に使う機器があれば共用もできます。

そうでなく、災害対策用としてどうしても非常用持出袋に懐中電灯を入れたいと思った場合も、普通の防水のあるエネループが使える懐中電灯とエネループを分けて袋の中に入れておけば、いざという時には役立ちます。これもエネループの特徴なのですが、満充電した状態で1年間放置しても90%の残存容量があり、10年放置しても残存容量は70%だということです。これなら、いざという時に備えて、懐中電灯だけでなく同じ単三型の電池を入れれば使える、小型ラジオを袋の中に入れておけば、懐中電灯もラジオも、いざという時にエネループを入れて使うことは可能です。ちなみに、先に紹介した私が持っている手回し充電ラジオのECO-5は、手回し充電のみでしかラジオもライトも使えないので、長時間使いたい場合はエネループと普通の懐中電灯+ラジオという組み合わせの方が実戦向きとも言えるかも知れません。

また、懐中電灯とは別に、自宅には天井から吊るすことで部屋全体をそこそこの明るさで照らすことのできる電池式ランタンにもエネループが使えるものがあります。夜間移動する場合には懐中電灯よりも両手が塞がらないヘッドライトの方が便利な部分もありますが、ヘッドライトにもエネループ対応のものがあります。最近のトレンドであるUSB経由での充電可能なライト・ランタンも良いですが、最近ではUSBでエネループを充電できる充電器もありますので、ポータブル電源と組み合わせれば、少なくとも部屋の明かりとラジオの電源をエネループに統合し、小さめのポータブル電源でもかなりの回数のエネループの充電を続けることができるでしょう。

地震の後の余震が心配な中で、部屋に明かりを求める場合、手回しを続けたりやシャカシャカ振り続けて明かりを保つには限度があります。かといってろうそくでは、大きな余震が起こった場合に火事の心配があります。そんな時でもLEDライトを充電しながら使い続けることができるような環境をエネループを使った商品で揃える方が継続性が見込めるのではというのが、私の現在のベターだと思える環境になります。ただ、今後大容量のキャパシタを搭載した明かりやラジオが出てきたら、それはそれでまた状況は変わるかも知れません。そんな防災用品の進化に期待したいですね。


災害対策としてのポータブルバッテリーの用途を限定させることで購入費用を抑えられるか

現在、自宅で用意しているポータブルバッテリーは実質2台で、どちらも容量は200Wh程度の、セール価格で約2万円くらいで購入できるものです。基本的にそれで使える家電製品は上限300Wくらいのもので(出力の高い家電をブースト機能を使って使えるようにする機能はあるものの容量が少ないので連続稼働時間が短くなってしまい実用的ではないため)、そんな出力が制限されたものが、いざという時に役に立つのか? と思う方もいると思います。

夏場にエアコンを付けて、さらに照明を付けながらテレビも見るというような状況を考える方がいたら、かなり容量の大きなポータブル電源が必要になり、数十万くらいの費用を考えなければいけないでしょう。

しかし、停電ということになると何も用意がなければまっ暗な中で生活をしないといけなくなります。少なくともリビング内を明るく照らし、テレビは無理としてもスマホを使ってネットとの同時配信のテレビを見て、クーラーは無理でも扇風機を付けて、汗をかいたらお風呂に入りたい(ガス湯沸かし器を使っている前提)というぐらいの事をやるなら、小さなポータブルバッテリーを用意しておけば何とかなるのではないかと思います。

今年に入って大きな地震が起こったことで、同じような災害を想定する方も多いと思いますが、ここでは自宅には影響がないものの、雷や大雨の影響で送電が止まってしまい、水とガスは使えるものの電気だけがずっと止まってしまうような状況を想定することにします。この状況であればトイレの使用については普通にでき、IH調理器は動きませんがガステーブルであれば料理も普通にできますが、電気が止まってしまったら困ることについて考えてみました。

・冷蔵庫が動かなくなり中のものが痛む
・クーラーが使えず暑い
・部屋の明かりが付かないので夜になると真っ暗になる
・テレビが付けられないので情報が入ってこない
・ガス給湯器が動かないので台所のお湯が出ず風呂にも入れない
・光回線のインターネットおよび固定電話(IP化しているもの)が使えない

まず、肝心なのは夜間での明かりを確保することです。この場合はあえてポータブル電源を使わなくても、レジャー用で上からつり下げて使うようなLEDランタンがあれば、普段よりは多少暗くはなるでしょうが、リビングを明るくできます。吊り下げ用のものと、手に持って移動できるものを2つ以上用意しておけば、調理やトイレ、お風呂などの用事で移動する時にもその場所が明るくなります。私は安いアマゾンの単三型充電池を入れてLEDランタンを使っていますが、内蔵充電池のものの方が、それまで全く使っていないような場合でもポータブル電源のUSB端子から充電できますので、お好みで用意すれば良いと思います。私の場合はリビングに吊るすものには1000ルーメン以上の明るさがあるものを使って、移動させるものについてはそれほど明るくなくても大丈夫だと思っています。

次に、停電時の冷蔵庫の対策ですが、大きな冷蔵庫を使っている方については、普段から保冷剤を凍らせておくことをおすすめします。それと同時に大き目のクーラーボックスを用意し、冷凍庫の食材から食べて、すぐに食べられないものや調味料類を保冷剤を入れたクーラーボックスに移します。車で出掛けられてスーパーで氷がもらえるなら、そうしたもので補充しつつ早めに冷蔵庫の中味を食べ切ってしまうようにしましょう。私の場合は出力30WくらいのDCから電源を取れるミニ冷凍冷蔵庫をレジャー用に持っていますので、それを冷凍庫として使い、保冷剤をそこで凍らせて、クーラーボックスに入れる保冷剤をローテーションすることによりクーラーボックスを冷蔵室くらいの温度に日常的にキープしています。自宅の冷蔵庫が小さいので、大きくて入り切らない飲み物類を今は入れています。夏に停電になった場合、冷たい飲み物が欲しいという方は、飲み物を入れられるくらいのモバイル冷蔵庫を用意しておくと便利です。私のようにシガーソケットから給電するものだと、電力の変換ロスが起きず、小さなポータブル電源でも比較的長く使うことができます。

部屋の暑さ対策については、ポータブル冷蔵庫が使えるなら氷枕を冷やして扇風機と一緒に使いながらしのぐ事くらいしか、電気を節約しながら使う場合には考えつきません。ちなみに、扇風機の使用電力はDCモーターのもので比較的強い風を起こした場合は30Wくらいで、これも十分夜を明かせるくらいは使えます。もっとも冷蔵庫と扇風機を同時使用する場合には利用時間が少なくなりますので、もう一台のポータブルバッテリーの購入を考えましょう。

停電時のインターネットは、スマホからのテザリングに頼るのが良いと思います。スマホを充電するにもポータブル電源のUSB端子から直接少ない電力で充電できるので、効率的にスマホを使って情報収集しながら充電もできます。スマホの小さな画面では見ずらいと思う方は、私も持っている「モバイルモニター」を使うのはいかがでしょうか。これに「Amazon FireTV Stick」を繋いでスマホのインターネットを共用することで、各種ウェブサイトや、民放のTVer、NHKのNHK+というネット配信の地上波テレビを省電力のまま利用することができます。私の場合、モバイルモニターとAmazon FireTV Stickの組み合わせだと5~10Wくらいの電力消費量しかありませんので、200Whクラスのポータブル電源があれば、同時にスマホを充電していても(さらに扇風機を使っても)、十分に余力があります。

また、お風呂に入りたいがガス給湯器が動かないような場合も、屋外にある給湯器がつながっているコンセントをポータブル電源のACコンセントに接続すれば、ちゃんと動きます。自宅のガス給湯器の定格電力は40~50Wくらいで、厳冬期にヒーターを付けても125Wということで、瞬間最大でも200Wを使うことはないと思います。お風呂に入るためお湯を出す時間というのは限られますので、これも十分小容量のポータブル電源でカバーできると思います。こうしてみると、300Wくらいまでの家電しか使えないポータブル電源でもかなり停電時には役に立つと思えるのではないでしょうか。実際、夏場はシャワーを使って汗を流すだけでもずいぶん涼しく感じますので、給湯器を動かすことは夏の暑さ対策にもなるのではないか? と思います。

今回想定した水とガスは使えて停電だけという状況は、それほど長くは続かないと思いますので、停電したその日の夜だけ何とか凌ぐというコンセプトで考えてみました。基本的には1つポータブル電源を用意しておけば何とかなると思いますが、リビングでスマホの充電などもろもろをしながらお風呂にも入りたいような場合には、大きな容量のものを1つ買う予算があるなら、小容量のものを2個以上用意しておくと、使い分けができて便利でしょう。

冷蔵庫の中味はいざという時には用意した保冷剤と一緒にクーラーボックスに入れ、部屋の明かりはLEDランタンで照らし、情報収集はラジオとスマホで十分だけど、風呂には水とガスが使えるなら入りたいぐらいなら、小容量のポータブル電源を1つ導入し、利用可能にして置いておくだけで十分安心感を持てると思います。ちなみに、小容量のポータブル電源はソーラーパネルだけでなく、車のシガーソケットからも充電可能で、走行充電であれば2~3時間で空の状態から満充電にできますので、ポータブル電源を買う場合、自家用車があるなら、同時にソーラーパネルよりもシガーソケット経由での充電をするための部品が揃っているかにも注目しておくことが大事です。

ソーラーパネル自体は100W~200Wくらいのものがあると、日光がありさえすれば何もしていなくてもポータブル電源に2~4時間くらいで空の状態から満タンにできるので便利ですが、今回の想定ではそこまで停電長びくことはないと思うので、あえて必要な装備とまではおすすめしませんでした。ただ、もし備蓄用としてだけでなく日常的に使いたい場合には購入を考えるくらいに考えておいた方が良いかと思います。


いざという時に浄水器を通して使える雨水を得るには居住環境の再点検が鍵になる

先日のブログで、自宅の環境(集合住宅で川からも遠い)中で、少なくともどんなものが入っているかわからないものではなく、濾過器に掛ければ飲料用となり得る水を得るためには「雨水」の活用が大事だと書かせていただきました。

昨日は日本列島で雨や雪になって、一時的に強く降ったことによって、自宅周辺でどのように雨水を得るかということについて考えながら色々と考えてみました。集合住宅の場合、ベランダがあればそこに雨を受けるものを置いて集めるということが考えられますが、自宅のベランダには天気が悪くても洗濯物を濡らさないように庇が出ていて、風の具合で正面から吹き込むようでないと、なかなか雨でベランダすら濡れないという住むには良い環境ではありますが、雨を集めるという点でいうと残念な仕様になってしまっています。もっとも、大きな器を多く並べて雨を受けるというのもなかなか大変なことなので、とりあえずはベランダから雨を集める事は、よほど外に出るのが難しい時だけにチャレンジするようにしました。

次に考えたのは、現在自分が車を停めている駐車場周辺の状態です。一応、今の駐車場には屋根が付いているのですがちょうど自分の車の置いてあるところで屋根が切れてしまっていて、雨の時の運転席からの乗り降りでは雨に濡れやすいというストレスがありました。しかし、改めて自分の駐車位置をよく見たら、ちょうど屋根の切れ目ということですぐ横に樋が伸びており、うまい具合にそこからかなりの雨水が出ているのを発見しました。

実際問題、大きな地震の際に屋根部分は無事なのかという問題もあるのですが、もし無事な場合は、車の中で待機しながら樋の下にバケツや水用のタンクを設置して待っていれば、それなりに雨水を集めることは難しくないことを発見したのです。実際問題、この雨は誰のものなのか? という問題もあるのですが、雨が降ってくる間ずっと落ちてくるわけなので、給水車がなかなか回って来ないような時には、とりあえず雨水を汲んで、その水を浄水器にかけて飲用水にすることはできそうです。

また、集合住宅に住んでいる他の人のために飲用でなく生活用水として水を分けるような事もできるのではないかと思っています。大き目のバケツに水が溜まったら、小さな子供でも持って上がれるように500mlの空ペットボトルに移してまとめて一階にカゴにでも入れて置いておけば、必要な分だけ持って行ってもらうことは可能です。駐車場の建物には反対側にも樋があるので、実際に大きな災害が起きた時にはそちらも使わせてもらって雨水を溜め、ペットボトル入りの生活用水を作りながら、全く水を飲んでいない住民の方がいたら、その人用に浄水器を通して飲めるようにした水を渡すこともできるのではないかと思います。

この辺は管理人の方との話し合いも必要になるかと思いますが、例えばペットボトルに付けて使える浄水器を複数用意してもらえれば、いざという時には自分だけでなく他の住人の方の水を用意することもできそうなので、もしマンションなどの共用部分から雨水が得られそうな場合には、そうした用意を個人でしておくと、自宅の分だけでなく他の人のためにもなると思いますので、皆さんのところでもまずは雨水を利用できる環境はないか、点検してみてはいかがでしょうか。


災害用の備えとして湯沸かし用に考えたい「熱源」の分散化について

災害用の備えには絶対というものはありません。ただ、少なくとも水とトイレ、食料だけは必要になるので、そのための備えについて考えるべきだと改めて思います。水については日常的にスーパーの買い物ついでに純水を定期的に給水はしているものの、災害はいつ起こるかわかりません。ペットボトルの水を常に大量に買っておくという方法もありますが、自宅は広くなくあまり普段使わないものを置いておくのもどうかと思うので、今後は違う観点で水の用意や利用を考えておきたいと思っています。

基本として、もし大きな地震が起こった場合、水道の蛇口をひねって水が出た場合は、とりあえず浴槽に出尽くすまで水をためるようにまずはしたいものです。私の住む地域では、数年前に一部地域で断水が続いたこともあり、その時に用意した水用のポリタンクは持っています。ただ、タンクや浴槽に水を貯められても、飲める水が手に入るのかという心配が付きまといます。

そもそも、普通の水道の水でも浴槽に入ったものをそのまま飲みたくないと思う方もいると思います。そんな場合に備えて、今後はペットボトルに付けて水をろ過するフィルターを非常用として用意するのも有りだろうと思います。最悪の場合には近所の川から水を汲んできて、その水を飲めるようにする事も可能かと思います。ただ、フィルターを通しただけでは心配になる場合もあると思うので、その際にさらにできることと言えば、ろ過した水を煮沸消毒することではないかと思います。

しかし、災害によって自宅の水道だけでなく、電気・ガスも使えないという場合も有り得ます。そんな時にどうやって水を沸騰させる熱源を得るか、これは大切なことです。今まで、自分が準備してきたライフラインが遮断されても湯沸かしのできる手段としては以下の準備をしています。

・ポータブル電源と家電製品を使った湯沸かしシステム
・カセットガスが使えるカセットコンロやキャンプストーブ
・アルコール燃料を使ったキャンプ用の湯沸かし・炊飯セット
・ペレット燃料をウッドガスストーブで燃やす湯沸かしセット
・灯油を使ったケロシンストーブ(冬季は石油ストーブの方が実用的)

ポータブル電源の充電はソーラーパネルから可能ですが、ポータブル電源はミニ冷蔵庫の方を優先させたいので、どちらからと言うとキャンプ用品の流用と、日常的に冬季には使っている灯油を使った暖房とともに湯沸かしもするという形で考えています。

今の時期であれば、ある程度は灯油が自宅にストックされているので、そこまで考えなくても湯沸かしと暖房を兼ねることができるので、やかんをストーブの上に乗せておくことで安全な飲水を作れます。あとは沸かしたお湯をキープしたい場合は保温ボトルの準備もできると良いでしょう。

家に灯油の用意がない時期には、お出掛け先での湯沸かし用に一定のアルコール燃料は実は用意してあるので、湯沸かしからメスティンを使った自動炊飯まで何とかできるようにはなっています。災害時に追加のアルコール燃料が入手できるかはわかりませんが、さすがに多くの人がアルコール燃料を買い占めた、なんて話は聞かないので、ホームセンターやドラッグストアが営業をしていれば、何とかアルコール燃料は入手できるのではと思うのですが、すぐに入手できなくてもある程度のことを続けられるように、日々最小限のアルコール燃料で色々できるようにと考えます。

では、具体的にアルコール燃料を使って湯沸かしや炊飯ができるようにするためには何を用意したら良いのでしょうか。その辺については色々なパターンがあるのですが、今回改めて自分で持っているギアを再点検してみました。次回はちょっとマニアックになりますが、基本的には小さくまとまって全国どこでも入手できるもの(一部にはキャンプ用のギアもあります)のセットについて紹介させていただこうかと思います。


「今日でなくて良いや」ではなくできるなら「今日から行動する」気持ちを持つことの大切さ

昨日、お正月の食生活の影響なのか、突然歯が欠けてしまいました。こうした場合、仕事や学校の関係なのですぐに歯医者に行けない状況である方も少なくないので、全ての場合に当てはまることではないと思うのですが、幸いにというか昨日はたまたま休みだったので、ダメ元で行き付けの歯医者さんに電話してみました。

その歯医者さんは、結構人気があって当日に連絡してもほぼ翌日以降の予約しか取れなかったのですが(もちろん直接出掛けることは予約制のため緊急時以外は遠慮)、その日は何とか夕方の最後の枠が空いていたそうで、無事に予約が取れ、その日のうちに応急措置をすることができました。今後、どれくらい治癒までに時間がかかるかはわかりませんが、普通に処置していただけばそれほど時間はかからずに済みそうです。

今回は歯の不調の話でしたが、自分の体とは言え突然何が起こるかわららないということは2024年になったばかりで本当にとんでもない地震が起こったことで、1日の夕方を境に、生活のベース自体が変わってしまった人を多く見ていて改めて思いました。地震から10日間が経過した今、普段通りの生活ができない事により、感染症対策や口内ケアの必要性について語られる中、避難生活をしながらいかに健康を守っていくかという事にも考えを巡らせ、日頃から次の瞬間何が起こっても良いように、今日できることは今日のうちにやる(特に自分の体について)という事を今年は考えながら生活していくべきではないか? と思っています。

全く健康に問題がない人はあまり考えないかも知れませんが、もし何かの拍子で体を痛めた場合、病院に行くのを躊躇しても、数日のうちに通院することができれば、通常の時期であれば体にも問題は生じないでしょう。しかし、先伸ばしをしたその翌日に大きな災害に見舞われてしまったとしたらどうでしょう。災害時には病院に行っても、シビアに症状で分けられてしまいます。地震の被害に遭った人がいるのでなかなか受診できないと思っているうちに、後々に大変な事になってしまうような事もあるような気がします。私の場合は特に、歯に不調が出て、そのままにしているうちに歯医者に行くどころではなくなってしまったら、これは単なる歯の不調だけでなく感染症にかかってしまう可能性も出てきます。それは実に恐ろしいと思ってすぐに歯医者さんに電話してしまいました。

その他、定期的にかかりつけ医に行って薬を定期的にもらっている方についても、あまり早くだとだめかも知れませんが、ギリギリで行くようにはしないで、ある程度日程に余裕を持って追加の薬をもらってくるようにするなど、薬が無くなって慌てることがないように、早めの行動が大事でしょう。ちなみに、今回出している問題提起とは違いますが、毎日飲んでいる薬がある方で、罹災中に薬が切れてしまった時に備えることも大事でしょう。お薬手帳の携帯が無理なら、処方されている薬の一覧があればそれか、スマホのカメラでその一覧や、薬そのものを写真に撮ってスマホ本体だけでなく、クラウド上に収めておけば、もし全く何も持たずに逃げることになっても、最悪避難所にあるインターネットに接続されたパソコン上からログインして自分や家族のお薬情報を見て、現地に救援に入っている医療スタッフに、いつも飲んでいる薬を正しく請求することができるようになります。

ただ、そうした用意が無い場合でも、かかりつけ医と連絡を取るなどして処方されていた薬のリストを取り寄せることは可能でしょう。その手間を掛けたくない場合には、説明したようなやり方で、事前に自分の方でちょっとした準備をすることが大切だと思います。

日頃の準備ということだけでなく、ちょっと無いと困るものを失くしたりとか、自分の体の事で不安があったら、時間を置かずにすぐ補充やその対策を行なうために動くことが大事だということです。今回の地震は他の地域に影響を及ぼすことは無いとは言われているものの、関連はなくても、いつでも起こる可能性があるのが災害だと思います。常に非常時の事を考えて暮らしていくというのもあまり良くないとは思いますが、災害への備えということよりも自分の前に起こったことで対処しなければという風に考えて、それを先伸ばしにするのか、それともすぐ解決するような方向で行動するのか、今だからこそじっくりと考えるのも良いと思います。


テレビは大丈夫でリモコンだけ壊れたり故障した場合にはダイソーの550円リモコンという選択を

今回の北陸地方での地震で、テレビなどで報道されているような大きな被害だけでなく、全く報道されなくても何らかの被害が出ている方もいるかと思います。小さなことであっても、その問題の解決にはお金がかかります。今回はそういう立場から、問題の解決の一助になればと思って今回購入したテレビの汎用リモコンについて紹介します。

我が家の場合、地震とは全く関係ありませんが、使っていた家電量販店で2千円くらいでかつて購入した汎用リモコンの調子が悪くなり、ボタンを押す場所によって全く反応しなくなってしまいました。すでに純正のリモコンも調子が悪くなっていたのですが、そんな時でも基本的な操作だけは利用可能な汎用リモコンがあれば、十分テレビを楽しむことができます。

実は、それ以前から気になっていたのですが、100円ショップのダイソーに500円商品として(税込550円)で、国内各メーカーのテレビで使える汎用リモコンが売っているのは気になっていました。ただ、使っているリモコンはそれまで元気だったので購入する余地はなかったのですが、今回まさかの故障ということで、新品のリモコンとしては破格のこのリモコンを買いに走ったわけです。

パッケージとリモコン本体ですが、普通に家電店で売っているものと遜色ありません。中には説明書があり、テレビの電源を入れた状態で電源ボタンを押しながら四桁の数字(各メーカーごとに異なります)を入力することで、自宅のテレビをリモコンで操作できるようになります。もし、複数台のテレビで使うことがある場合には、説明書は取っておいた方が良いでしょう。

今回の地震でテレビ本体は何とか正常に動くものの、リモコンが水に浸かってしまったり壊れてしまったような場合、人によってはテレビそのものの買い替えを考える方もいるかと思います。しかし、今回紹介したような汎用リモコンを使えば、基本的な動作は十分使えるようになるので、主に見るだけであれば十分使えます。ですから、テレビを安易に買い替えたり廃棄する前に、こうした汎用リモコンで使えるようになるということをまずは覚えておいて欲しいと思います。

そして、ある程度落ち着いてからで良いというなら、もしたまたまダイソーに入ることがあったら、550円の汎用リモコンが置いてあるかどうかチェックしてもしあれば買っておけば、普通に家電量販店で購入するよりも安く上がり、リモコンが壊れたことでテレビを買い替えるかと思っていた方にとっては、本当に格安でテレビを見続けることができるようになります。ちなみに、本体用には単四電池2本が必要ですが、パッケージには入っていません。リモコンの場合はアルカリ電池ではなく同じ価格でも多くの本数のパッケージが買えるマンガン電池の方が合っているのですが、私は充電式のエネループやアマゾンの充電池で使っています。マンガン電池も充電池もダイソーで売っていますので、すぐ使いたい場合は別に電池も買っておきましょう。

最近はテレビ離れとは言っても、自宅ではネットを使った動画配信の映像を見たりもしますし、やはりいざという時に備え、今ならダイソーで基本動作に特化した汎用リモコンなら安く買えることは覚えておきましょう。


「弾性ストッキング」とは何かわからなければネットでどういうものか調べてから発言するか決めるべき

ネット上の個人的な発言のやり取りは主に私はXで目にすることが多いですが、今回は直接見たのではなくネットニュースになって初めて知りました。何があったのかと言うと、徳島県が防災についての発言をするXのアカウントで、支援物資として、弾性ストッキング1,000セット、マスク6,800枚を提供したことを報告したことに始まります。

その発言にリプライが付き、その中に「必要なものは他にたくさんある」「まず水と食料送ってあげてよ」というものもあったのだと言うことです。個人的には、こうしたリプライについてはあまり発言した側は気にする必要はないと思うのですが、発言をして物資を送った方について、個人的にはこれらの品は現在だけでなくこれからも必要になる支援物資として実に考えられた選定だと感心します。

しかし、まだ十分「弾性ストッキング」とは何か? という点については知られていないのでこのようなリプライが上がるということも確かだろうと思います。そこで、ここではまず「弾性ストッキング」とは何か? というところから書いていきたいと思います。

まず、ニュースでは徳島県の担当者に聞いた話として「弾性ストッキングはエコノミークラス症候群対策を目的に備蓄していた」そうなので、恐らくこれは一般に売っているストッキングではなく、「医療用」の弾性ストッキングだと思われます。このストッキングは、かなり足首を締め付けるようなものですが、指導された履き方に基づいて履き、足を圧迫することで血液を足に滞留させずに心臓に戻しやすくして下肢静脈瘤の進行を防ぐ効果があります。エコノミークラス症候群対策で、このストッキングが利用されており、特に車中泊など無理な体制で就寝したりずっと同じ姿勢を取っている中で血栓が出るのを予防するために使われているのです。

おそらく、リプライした方々も発言の前に「弾性ストッキング」とは何か? と思って、書き込みをするスマホやパソコンから事前に調べれば、それが大きな災害が起きた後に関連死の原因の一つとなる症状に対応するものだとわかるのではないでしょうか。今回こうしてニュースになったことで、もっと医療用の弾性ストッキングについての認知度が広がることを願います。そして、多くの人が同じ場所で過ごす中で感染症対策になるマスクとともに、災害が起きてからの期間に関わらず、避難所が開かれている状況では必須ともいえるこの2つの支援物資を選んだ徳島県の担当者の慧眼さが改めてわかるのではないかと思います。

ただ、ここ数日のテレビニュースを見ても、狭い車内で家族全員が車中泊をしている人にインタビューをしている状況が普通にあることを想うと、とにかく早く車中泊からきちんと整備された避難所のスペースに生活環境を移せるようにして欲しいと切に思います。医師の指導の元、医療用の弾性ストッキングを履くことも震災関連師を防ぐ意味で大事ですが、それと同時に、車中泊を人々に続けさせるのではなく、普段と同じように十分に手足を伸ばして寝られる環境を被災者の方々にと願わずにはいられません。


災害が起こった直後「仕方なく」車中泊避難をさせないために行政に考えて欲しいこと

ここ数日、令和6年能登半島地震について、自宅から避難している方に、恐らく避難所と思われる所で取材している映像を見ていましたが、その様子が2011年の東日本大震災の時の状況とあまり変わっていないことに愕然としたのは私だけでしょうか。

たまたま映った避難所では例によって床に直接座って、酷い寒さに耐えながら薄手のアルミシート(これは避難所で支給されたものだと思えました)で体をくるんでうずくまっている人の様子が本当に痛々しく思いました。

同じ場所で、車の中で避難している人にもインタビューしていましたが、なぜ車の中に(車は普通車で車中泊をするために適したものではなさそうでした)いるのかの質問に、とにかく寒いからと答えたことも、自分は何年前の罹災状況を見ているのか? と思ってしまうほど、現在の国内の避難所の状況が良くないところも多いのではないかと思ってしまいました。

これは何も今回の地震が起きたから書くのではありません。以前から、車内をフルフラットにできたり、車自体がキャンピングカーでベッドが完備されているような車でない場合、無理な姿勢で車中泊を続けると「エコノミークラス症候群」で、最悪の場合命の危険もあるということは過去の災害で避難したケースを見ていけば明らかです。何の予備知識もなく普通の車で車中泊をすると、エコノミークラス症候群になる危険だけでなく、車内でストーブを使うなどすると、一酸化炭素中毒で命の危険も出てきます。それでも人々は車中泊を選ぶ傾向にあるのですが、その理由について考えていくと、今につながる災害時の避難所のあり方がおぼろげながらわかってくるのです。ここは、その理由について自分なりに想像する事を箇条書きにしてみます。

・プライバシーを保ちたい
・ペットや赤ちゃん・高齢者などと一緒なので避難所に入れない
・避難所は寒い(暑い)ので
・多くの人が集まる場所での避難はストレスになる
・犯罪に巻き込まれる恐れがある(特に若い女性がいる場合)
・避難所に便利な道具を持ち込んだ場合に他人の目が気になる
・貴重品の管理が大変

ぱっと思い付くものを書いてみましたが、日本の避難所というのは災害直後は冷たい床に毛布やアルミシートのみでプライバシーもなく、弱者への配慮もなかなかできません。避難所というのは今回のような地震の場合だけでなく、台風や集中豪雨でも避難所が開設されるので、もう少し事前に快適に避難所で過ごせるようなものを用意できないのか? と思うのです。

まず、今回の場合で言うと体に掛ける毛布やアルミシートだけでなく、床からくる寒さをシャットアウトするキャンプ用のアルミシートだけでも用意してあると、地べたに直接座ったり寝たりするよりも、かなり寒さの感じ方が違います。たったそれだけの用意もしていない避難所であれば、人々は無理な車中泊へと移行してしまい、結果として災害で直接ではなくても、間接的に体を壊したり、最悪の場合には命を落とすような状況にならないとも限りません。

以前、避難所支援について罹災地域以外からその場で簡単に組み立てることのできる段ボールベッドを支援物資として送り、現在でも避難所の環境を整える取り組みをされている榛沢和彦氏のいた当時の新潟大学を訪問したことがあります。その内容については、以下のリンク先で参照していただきたいと思いますが、果たして今回の地震によって住むところを無くしてしまった被災者の方に、このような装備をどこでも使えるようになっているのか。その点は私にはわからないのですが、東日本大震災から10年以上が経っているわけですから、早めにプライバシーの確保された安心して寝られる段ボールベッドを設置した避難所が当り前になって欲しいものです。

災害時の「車中泊者」を避難所に誘導するために

さらに言うと、単なるプライバシー確保だけではなく、ペット・高齢者・赤ちゃんがいても安心して使えるような場所を避難所の方で提供できるようでなくてはいけないでしょうし、もし避難所で若い女性に対しての暴行などを防ぐ目的で、鍵のかかるような女性専用のスペースを作るとか、トイレなどへの移動の際には現地スタッフが付き添うようにするとか、現地の警察と連携して通報窓口をきちんと作り、避難所への巡回を強化するとか、事前に考えておくことは山のようにあるものの、こうした点を一つずつつぶしていかないと人々は不完全な状況の中でも避難所の中でなく車内で生活することを選び、その結果血栓が原因で命の危険に見舞われるという事になってしまいます。

すでにキャンピングカーや大きなワゴン車を車中泊用に仕上げているなら、今の状況であれば避難所の駐車場に停めながら車の中で寝つつ、情報や支援物資をいただくような形での避難生活の方が今でも無難ではあるのですが、それだとそもそも車を持っていない人、持っていても車中泊に適さないばかりか健康を害してしまう恐れのある体勢でしか寝られない車で無理に車中泊を強いられるような場合には、相当のストレスを感じたままの避難生活になってしまいます。

災害だからそのくらいは我慢すべきというご意見もあるのかも知れませんが、そこまでお金を掛けなくてもみんなで知恵を出し工夫をすることで避難所において少なくとも健康を損なうことなく、ストレスも今より軽減できる生活を提供できるように行政は日頃からその方法について考えていただきたいと切に思います。今回の地震も今後多くの人がストレスを抱えることになるでしょうが、今後の対応次第により、状況は変わっていくと信じています。今後、地震の被害を受けた人たちが、何とか無理な車中泊へと行かざるを得ない状況を止めて欲しいと思います。