昨日、YouTubeの動画を色々見ていたところ、恐らくYouTuberの方でしょうか、防災ラジオについての動画があるのを見付けました。興味ある内容だったので見てみたところ、今まで自分で考えていた結果とはかなり違ったアプローチをしていました。
そこで、改めて「防災ラジオ」と検索をして出てきた動画を色々見てみたのですが、多くの動画で「防災=手回しラジオ」という感じのものが多く、その手回しラジオについても、手回しで発電する電気でスマホを充電するような形の紹介もありましたが、ガラケーの時代なら通話やメール用の電気をためようと思ったかも知れませんが、スマホのバッテリーを充電するにはかなり気の遠いくらいハンドルを回さなければならず、現実的ではないような気がします。
ちなみに、いわゆる全部入り防災ラジオとして売られているものは、手回しハンドルとともに小さなソーラーパネルも装備されており、色んな形での電源が取れるので安心といった論調で紹介している動画もちらほら見受けられました。ただ、本格的にソーラーパネルを使ってポータブル電源を充電されている方は、小さなラジオの僅かなスペースにソーラーパネルを置いたとしても、緊急時にはほとんど使えない可能性が高いと私は思います。さらに、普通の手回しラジオを非常用持出袋に長く入れていても、いざという時には内蔵のニッケル水素電池が劣化してしまっていて使い物にならない可能性が高いと思われます。手回しはあくまでラジオを聞いたり、本体に付いているLEDライトを光らせるためだと割り気った方が私は良いと思います。
では、お前はどんなラジオを防災用とするのか? という疑問はおありかと思います。ただその前に、手回しラジオの呪縛から離れてみると、違ったものが見えてきます。
まず、多くの防災用をうたった多機能ラジオというのは、本来のラジオとしての性能については疑問を持ってしまいます。当然、今後は日本の民放AM局は無くなる方向で進んでいますので、「ワイドFM」対応(古いラジオでもアナログテレビの1~3chを聞けるものであれば大丈夫です)のラジオを揃えるという点については異論はありませんが、現状での手回し発電ラジオの中では、電源として劣化しにくいキャパシタを内蔵していてニッケル水素電池搭載機よりかなりマシな東芝の「TY-JKR6」、「TY-JKR5」や、太知ホールディングの「ECO-5」でも、FMロッドアンテナも短いので、ラジオの受信感度はかなり低いと言わざるを得ません。
大きな地震でラジオ局の送信設備がだめになり、遠方からの放送局が出す電波の受信が命綱になるような場合は、手回しして充電してもいっこうに放送が聞こえないというような事も起こり得ます。私は、そういう場合にはニクロム線をロッドアンテナに付け、そのニクロム線を家の窓際にあるカーテンレールに垂らすことで簡易的なアンテナを作ることで、多少感度は改善するものの、ラジオ自体の感度が低ければ、雑音の奥から放送された情報を引き出すことは難しくなるのではないかと思います。
だとしたら、まず考えたいのは、ロッドアンテナが長くて感度もよく、単三乾電池あたりで動くアナログチューニングのできる機種、例えばパナソニックのRF-P155(横型)かRF-P55(縦型)あたりで十分だと思います(ソニーの同型機は高額になってしまっているので今回紹介は割愛します)。両方とも単三電池2本で動きますが、電池は入れっ放しにせず、そもそもアルカリ乾電池を使わないようにすることで、防災用としてのメリットが多く出てきます。
どういう事かというと、アルカリ電池の代わりに充電式の単三型電池であるエネループを使うのです。エネループは購入してすぐ使えるように充電されており、長期間使わなくても電池の残量が結構残っているという特徴があります。メーカーホームページによると、スタンダードタイプであれば、一年後の残量は約90%、十年後でも70%が残っているということです。ちなみに、上記ラジオの仕様では、マンガン電池を使ってスピーカーを鳴らしても、24時間以上連続で使えるくらいの消費電力なので、スタンダードエネループの4本パッケージを買って、電池を入れないラジオと一緒に非常用持出袋に入れておけば、一緒に入れた非常用食料の賞味期限切れのタイミングで動作テストをしつつ、エネループを充電しておけば、次の非常食のリセットのタイミングでは余裕で使える状況だろうと思います。
エネループはラジオ用だけにしてはもったいないです。メーカーではUSB経由で充電が可能な充電器も売っていますので、いざという時にはモバイルバッテリーやポータブル電源を使ってエネループの充電が可能になるので、非常用のランタンや懐中電灯、ヘッドライトも単三で利用できる(単一仕様のランタンの場合、単三を単一として使えるスペーサーがあるので、その利用が便利です)ものに統一しておけば、情報以外に明かりの問題も解決します。
実際、私のところではかなり多くのエネループを持っているので、いざという時には手回し発電ラジオを使うより、より高感度で聞くことのできるラジオから安定した感度で情報を聞くようになると思います。もちろん、手回しラジオにも良い点はありますが、外に出ていて夜に罹災し、電池の購入が不可能なケースには役立つでしょうが、その場合(地震直後)にはスマホから情報を得ることができる可能性も大きいでしょう。でしたら、小さなスピーカー付きラジオとイヤホン(スマホ用の有線イヤホンでOK)、さらにエネループをかばんの中に入れておき、いざという時使うようにした方が合理的です。同時にライトの電源として使い、使った分はローテーションさせながら常に満充電されたエネループを持っていれば、単三が使える別の家電にも使える可能性があるので、手回し発電で何とかするよりも緊急時には役に立つと思うのですが。防災ラジオの機能に注目するのではなく、実際に何か起こった場合にすぐ使えるか、きちんと放送を聞くことができるか、という観点から考えた方が良いのではないかと思います。