ラジオの電源は、前回紹介したような乾電池を入れて使うことが普通のラジオでは当り前ではありますが、いわゆる防災ラジオについてはそれだけでない聞くための方法が色々と考えられています。阪神・淡路大震災から2年度にソニーから発売されたICF-B200にも乾電池を入れて使えるのですが、何とも目立ったのが、大きな折りたたみハンドルが付いていて、そのハンドルを回転させることで内蔵の充電池に充電し、乾電池を使い切ったり電池の用意がなくてもラジオを聞くことができるというコンセプトでした。
この流れはまたたく間に広がり、もはや手回し発電のない防災ラジオはないとでもいう感じに防災ラジオは手回し発電による利用ができるようになっています。手回しの場合は、回す回数とラジオを聞ける時間の関係が当然乾電池よりも少ないので、あくまでも緊急用という感じにはなりますが、乾電池しか使えないラジオと比べると、使えるケースが増えるという点で、防災ラジオとしては使いやすくなります。
また、ちょっと大き目のいわゆるホームラジオの場合、ACアダプターやメガネ型のACケーブルをラジオ本体に差すと、家庭用のACコンセントから電源を使ってラジオを聞き続けることができるものがあります。こうしたコンセントにつながるラジオは、停電時には全く役に立たないと思われるかも知れませんが、最近になって状況が変わってきました。
というのも、防災意識の高いご家庭では、停電時でも家電製品が使える「ポータブル電源」を用意している場合があるので、ポータブル電源のコンセントにラジオを繋げば、電池の減りを気にすることなくラジオを災害時でも流し続けることができるようになったからです。
また、一部の防災ラジオには、本体上のほんの僅かなスペースにソーラーパネルを付け、そこから内蔵電池に充電できるというものがありますが、いくら消費電力が少ないラジオと言っても、太陽の力だけでラジオを聞けるようにするのは難しいと思います。そうした装備の付いたラジオを買うよりも、ポータブル電源およびそれなりの大きさのソーラーパネルをセットで用意し、晴れたら一気にポータブル電源を充電してしまうことで、かなり実用的に使うこともできます。もしすでにポータブル電源とソーラーパネルをセットで持っている場合、あえてAC電源で使えるラジオを防災用ラジオとして選ぶということもそう悪くない選択肢になるのではないかと思います。
また、私が先日購入したキュリオムのYTM−R100は、疑似ACアダプター(USB出力)が使える本体内蔵充電キャパシタへの給電機能があります。USB出力だけでなくUSB入力ができるので、USB端子の付いたACアダプターだけでなく、モバイルバッテリーを直接接続することでラジオを鳴らせるので、手回しよりも楽で早く使え、まさにスマホの充電をするようにモバイルバッテリーを使ってラジオを鳴らせるようになっています。
スマホ用のモバイルバッテリーをラジオの給電に使えるということになると、大きなポータブル電源は必要なくなるので、もしソーラーパネルから充電するにしても、バックパックに展開させるような小さなソーラーパネルでも何とか充電が可能になります。そうした機能のない防災ラジオを使う場合でも、本体にソーラーパネルが付いた防災ラジオよりも、別に購入したより大きなソーラーパネルを使って、あくまで自己責任にはなりますが、エネループのようなニッケル水素電池を充電して使うことも可能になるので、そちら方面への投資(USB接続で充電できるニッケル水素電池の充電器とソーラーパネルの組み合わせなど)を考える方が合理的だと私は思います。そもそも、本体内蔵のソーラーパネルから直接屋外で太陽光を当てるという行為は、ラジオの回路や内蔵電池へのダメージが出るほど本体が高温になってしまうのではと思うので、私などはとてもそういうラジオを買う気になれません。
実際にラジオを使う場合、乾電池でどのくらい使えるかということも大事ですが、手回しだけでなく、様々な外部電源を使っての利用が考えられている防災ラジオもあるので、今持っている防災グッズがあればそれに合わせて充電が可能であれば、その活用を考えてもいいでしょう。何もない状態で一からの購入の場合は、ここまで書いたことを考えた上で、できるだけ動かせる電源回りの数が多い製品を選ぶということも考えてみて下さい。