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生の感動に触れる機会

唐突な話ですが、日本の男性アイドルの中でも「新御三家」と言われた方々のうち、西城秀樹さんが歌われた「走れ正直者」という楽曲をご存知でしょうか。著作権上の問題があるため具体的なリンクはここでは紹介しませんが、楽曲名で検索をかけたり、ストリーミングによる有料の音楽サービスを利用すればわざわざショップに買いに行かなくてもパソコンやスマートフォンから直接その曲を聞くことができるかと思います。

この曲はTVアニメの「ちびまる子ちゃん」のエンディング曲として使われたものですが、ネットですぐに出てきたウィキペディアからの情報によると、元々西城秀樹さんのファンだった作者のさくらももこさんが西城さんサイドにお願いし、アニメのエンディング曲として西城さんご自身が歌唱することになったということで、西城さんのシングル曲としてはちょっと毛色の変わった楽曲になっています。

「ちびまる子ちゃん」を読まれている方には今さらという話なのかも知れませんが、まる子ちゃんの同世代の方々で、彼女の生まれ故郷である静岡市周辺にお住まいの方なら、なぜ作者自身の投影であるまる子が西城秀樹さんの事をこれほど好きなのかということについて、ピンと来るものがあるのではないかと思います。

静岡県におけるテレビの民放はTBS系列の静岡放送(SBS)が最初で、今もラジオとテレビの放送を行なっています。その静岡放送が8月のイベントとして過去に行なっていたのが「フェスタしずおか」という夏休みに行なわれていた企画で、静岡市中心部の駿府城公園に仮設されたオープンステージには様々なアイドルや歌手が登場したのですが、今のロックフェスのように入場券などは必要なく、誰でも無料で見られたという事に大きな特徴がありました。

「ちびまる子ちゃん」の作品の中に、『「まる子フェスタしずおかに行く」の巻』という回があるのですが、この回はもちろん作者のさくらももこさんが実際にイベントに出向いた時の経験がちりばめられています。

ネットで調べると何でも書いてあるもので、この回は1975年の第4回だったのだそうですが、西城秀樹さんは1973年の第2回からの出演で、何とその後も出演を続け、「フェスタしずおか」といえば「西城秀樹」というようなイベント自体の顔として特別に静岡県民に親しまれたという事があります。

これは、誰でもそう思うことでしょうが、テレビで見ているだけでなく実際に目の前で歌っている姿を見たり、周りが人だらけで全くステージが見られなくても、同じ場所に有名人がいるという経験をしただけでも、それが後も自分の記憶として強烈に心に残り、その人がテレビに出ていたりすると応援したいと思うこともあるはずです。

これは私がさくさももこさんに確認できるはずもないので、あくまで推測の域を出ないところではあるのですが、彼女の小学生の時の強烈な「西城秀樹体験」が大人になっても心の中に残っていたからこそ、西城さんのファンを続ける中で自分の作品のエンディング曲として歌ってもらう機会が現われ、見事にそれが実現したのではないかと考えることもできます。

どちらにしても、もし静岡放送が夏のイベントで誰でも自由に招聘したタレントを間近に見られる機会を作っていたからこそ、当時の小学生・中学生など、とても自分のおこずかいではコンサートへ行くことも難しかった中で当時の一流のショーを見る機会に恵まれたのでした。そんなショーを見た多くの子供たちは、さくらももこさんのように直接何か目に見える方ではなくとも、何らかの影響があったのではないかと私には思えます。

現代は音楽については細分化が進み、なかなか家族そろって同じコンサートを見に行く機会もないと思いますので、なおさらこうしたイベントを開催する意味があるのではないかと思います。実は今年になって「フェスタしずおか」は静岡放送開局65周年の行事として復活し、昨日は西城秀樹さんも出演しました。残念ながらその日のセットリストには「走れ正直者」はないのが残念でしたが、ツイッターのつぶやきを見ると、ヤングマン(YMCA)を歌ったときにはステージは大盛り上がりだったそうです。私はというと、前日の土曜日に出掛け、その日のトリであった「サンプラザ中野くん」と「パッパラー河合」さんのステージを堪能させていただきました。

来年以降もイベントがあるかはわかりませんが、単なるイベントであっても、このような機会を作ってくれる所に住んでいたり、家族で出掛けられる方々は幸せだと思います。ここでは音楽フェスティバルの話になってしまいましたが、人の人格形成において、小さな頃に本物を体験することは改めて大事な事であるとも思えます。

旅行に出掛けてテレビでしか見たことのない物が実際のところどうなっているかを感じたり、普段食べることのできないご当地食を食べるだけでもその後の人生において大きな価値を生み出すことになるかも知れません。皆さんも、もし出掛けられる時間とお金があれば、普段の生活ではなかなか経験できない事を経験できるうちにやってみてはいかがでしょうか。


限られた時間の中で流す曲にも思い入れを!

本日、車を運転しながらラジオを聴いていたのですが、たまたま付けていたのがNHK第一放送で、午前中の放送は「すっぴん!」という帯番組でした。番組で一つテーマを決めてそれに沿ったお便り・メールの紹介や、それらしい曲を掛けたりするというバラエティー色の濃い番組なのですが、2017年2月16日木曜日のテーマは「不器用」ということでそれに関する話や曲が流れていました。

番組で流れている曲はテーマを基にして選ばれたものが多いのか、本職でなさそうな人が歌ったり、いわゆる下手ということで有名な歌手の方の歌が多く流れたのですが、時間的には午前9時半前、関東や関西では交通情報を流すバックグラウンドで流れる曲として紹介されたのが(交通情報のない地方都市ではそのまま曲が流れます)、私の大好きな「生活向上委員会大管弦楽団」の「A列車で行こう」でした。

「A列車で行こう」というのはゲームの方ではなく、ジャズの超有名曲であってそのメロディを聴けば多くの人がわかってくださるほどジャズとしてはメジャーな曲なのですが、恐らくラジオから流れてきたものは、もはや器用だとか不器用だとかいう以前に、どこが「A列車で行こう」なのかわからないまま終わってしまいました(^^;)。

個人的にこの「生活向上委員会大管弦楽団」の事を良く知っている身としては、あまりにもこの曲を「不器用」というキーワードの中で選曲されたこと自体が信じられませんし、曲の長さ的には9分以上あり、実際に聴けるのがさわりの2分くらいだけという状況の中、なぜこの曲を選んだのかという気持ちが沸き上がってきました。

恐らくこのバンド名をいきなり出してもすぐにわかる人などいないだろうくらいのマイナーなバンドで、せっかく全国放送で流れたのに、何やらわけのわからないでたらめな演奏を「A列車で行こう」と称して世に出したのではと誤解を受けるように多くの人に思われてもこちらがいやな気持ちになります。そこで、興味のない方がほとんどだと思いますが、具体的に今回放送された内容について紹介させていただくことで、いかにNHKのラジオ担当の人がいいかげんに曲を流したかという一つの例として紹介させていただくことにします。

このように、文字だけで音楽を語ったとしても、その曲を聴いた事がない人にとっては何が何やらわからないというのが正直なところだと思いますので、今回流れた「A列車で行こう」がたまたまYouTubeにアップされていたので、最後のところにリンクを貼らせていただきましたので、読みながら音楽を聴ける状況にある方はぜひ曲を聴きながら以下の文章をお読みいただけると幸いです。

この曲のポイントは複数ありますが、まず有名なメロディーに入る前に、当時はやっていたフリージャズの演奏家としても活躍されていた原田依幸氏のピアノソロがおよそ3分間に渡って繰り広げられます。演奏者の頭の中に浮かんだフレーズを、がむしゃらにピアノに向かって叩き続けるさまは、こうしたジャスが好きな人にはたまらない時間なのですが、ジャズと言えばスイングジャズというイメージを持っている人や普通の人が聴けば単にピアノをメチャクチャに弾いているとしか感じないでしょう。

この辺は抽象画の評価が人によって違うことにも似ています。ピカソの絵ならどんなにひどい絵だと思ってもそれなりにかいがいしく見るのが一般人の絵の見方なのかも知れませんが、名前も知らない日本人の描いた抽象画を前にしても、自分には全くわからないとそのまま通り過ぎるような形でラジオからピアノのアドリブが一通り流れてきたわけですので、後からこの曲が「A列車で行こう」と言われても知らない人は訳が分からないでしょう(^^;)。

しかし、この曲は原田氏のピアノソロが終わったとたん全く違った印象を聴く人に与えるものに変わっていきます。というのもバンドの名前が「生活向上委員会大管弦楽団」と称するように日本の当時のジャズ界でも有能なソリストが集まった集団であるので、まさにジャズのビッグバンドが演奏する体で、有名なメロディーの演奏が始まるのです。

その後、さらに日本の鉄道に乗って旅をしているのではないかと錯覚するほどに、きわめて日本的な情緒を持ったアドリブを挟んで、最後は実に格好良く曲が締まるように終わります。個人的には日本人のバンドが演奏した「A列車で行こう」の中では一、二を争そうくらいのアイデアが詰まった素晴らしい演奏だと思っているので、もしこの曲を「不器用」というキーワードで選んだ人がいたとしたら、がっかりしてしまいます。

さらに何よりも、最初の2分しか流れないのがわかっていて、全部で9分以上ある曲で、さらに中盤から終盤に盛り上がりのあるこの曲の最初の2分間だけを切り取って流すというのは、演奏する人の気持ちがまるでわかっていないことが悲しいです。お笑い芸人の出てくるネタ番組でさえ、同じように少ない時間で切ってはしまうものの、その時間の使い方は演者の考える余地があるわけであり、今回のように演者の意図をまるで考えずに単に面白そうだからとスタッフに好き勝手に切られるというのは、ラジオで音楽を流す資格すらないのではないかと、そこまで思ってしまったのでここまで書かせていただきました。よろしければ、リンクした曲の方を一通り聴いていただき、最初の2分でこの曲を切るのが有りなのか考えていただけると幸いです。


日本のポップス文化の特徴を備えた「ギンギラギンにさりげなく」

車中泊のブログではありますが、ちょくちょく音楽ネタを書いてすみませんm(_ _)m。一応、車で長距離ドライブをする場合にはいろんな音楽を車内で聞く機会が増えますので、心地いいドライブ用の音楽を求めて試行錯誤する中で、こんなお話もたまにはご容赦下さい。

2015年のNHK紅白歌合戦についての情報がニュースの形で入ってくることが多くなりました。アイドルはどのグループが出るのかが話題になり、アニメのあのキャラクターも出てきたり、一時は紅白に出られなかった人が出てきたり、今回限りで紅白出場を最後にするという人もいたりと、今年も数々の話題を提供してくれていますが、一番の大きな話題というのは、白組紅組の最後(トリ)の人選と歌われる楽曲についての話ではないかと思っています。

特に白組の最後になった近藤真彦さんが昔の曲である「ギンギラギンにさりげなく」を歌うというのはちょっと想定外でしたが、日本のミュージックシーンを考えた時、確かにこの曲は日本のポップスの傾向を表わしているという意味で最後にもってくるのはなかなか面白いのではないかと思っています。というのも、この「ギンギラギンにさりげなく」は、当時からヒットすべき使命を帯びて作られた曲であるのです。まずはYou Tubeを利用できる通信環境のある方は、原曲を聴いてみて下さい。

当時はジャニーズ事務所の看板タレントでヒット曲を連発していた近藤真彦さんの新曲ということでヒットすることは(多くのファンが買うので)わかりきっていたのですが、当時の賞レースを勝ち抜くためにはもっと対象を広げて多くの人の支持を得ることが必要だったでしょう。

そこで、曲のアレンジの中で当時ヒットしていた曲のアレンジをうまく取り入れて耳なじみのある曲調に仕上げてしまおうと、ヒット曲作りのテクニックが発輝されることになります。この説というのは私が独自に言っているわけではなくで、当時のテレビの音楽番組で解説されていたことをそのまま書いているので、ネットで調べれば同じような話が出てくるかも知れません。

この「ギンギラギンにさりげなく」のイントロについて、参考にしたのではないかと言われているのが当時の大ヒットナンバー、ロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」です。「ギンギラギンにさりげなく」の方がアップテンポで、「アイム・セクシー」の方がスローでけだるい感じはありますが、かなり似たメロディになっています。比較のために「アイム・セクシー」の方と聞き比べてみてください。

これだけなら聞いている方もなかなか気付かないレベルでの似せ方ですが、この曲のサビ前にはもう一盛り上がりさせる間奏があります。この間奏はテンポといい感じといい、クインシー・ジョーンズの「愛のコリーダ」のサビ前とほとんど同じなのですね(^^;)。こちらもサンプルがありますので聞いてみて下さい。

このように、「ギンギラギンにさりげなく」という曲はパクリでは決してありませんが、いかにして多くの人の耳に馴染むものとして仕上げるかという課題を見事にクリアーし、今年の紅白のトリで歌われるほどに日本のポップスの代表曲となったのです。

考えてみれば、日本の歌謡曲というのはその始まりから外国のヒット曲を日本語でカバーすることから始まり、その後うまく外国のポップスのいい所を取り入れながら独自の進化を続けてきました。それが、今海外で受けているのですから不思議なものです。こうしたヒットのエッセンスをまぶした楽曲というのは今も作られ続けており、それがある意味日本らしいポップスの形ではないかとも思えてきます。

こうした傾向に我慢できないという方もいると思いますが、そうした反発から生まれてくる名曲というものもあるわけですから、お互いに目くじらを立てるのではなく、出てくるものを楽しむのが大事だと私は思います。ただ、2015年にちょっとしたパクリ騒動があったことも思い出してみて下さい。平浩二さんの楽曲がMr.Childrenの曲の歌詞とが似過ぎていることで回収騒ぎになったことからもわかるように、あまりにあからさまにパクることはこの日本のミュージックシーンにおいても許されることではありませんので(^^;)、その点は注意して作品を出して欲しいですね。


インターネットでうろ覚えの楽曲を探す難しさ

今の世の中がインターネットでたいがいの事が調べられるようになったということはあるのですが、どうしても難しいものがあります。今年の大きなニュースになった東京オリンピックのエンブレムに関する話の中で、なぜあれだけすぐにパクリ疑惑が出てきたのかというと、インターネットで語句や文章だけでなく画像でも検索ができるということによる部分は大きいでしょう。しかし、今回私がはたと考え込んでしまったものに音楽があります。

以前聴いた曲で鼻歌で歌えても、それをマイクから入力してもなかなかOK!Googleとはなりません(^^;)。その前にきちんとした音程で自分が歌えているのかという疑問もありますし、なかなか目的の曲までたどり着かないというのが実際のところでしょう。

たまたま昨日、ふと思い出してこの曲は誰が歌っているの?という疑問が頭から離れなくなりました。ただ、曲名はわかっています。曲名は「カントリー・ロード」なのですが、オリビア・ニュートン・ジョンやジョン・デンバーの歌った曲ではない同名曲です。カントリーのような雰囲気のある曲だったのですが、少々もの寂しい曲調で、何で曲名が「カントリー・ロード」と知っているかというと、たまたま昔聞いていたラジオでリクエストがかかり、皆さんご存知の方のカントリー・ロードをリクエストしたのが、今回私が探している方のカントリー・ロードが間違って流れてしまい、後でオリビア・ニュートン・ジョンのカントリー・ロードの方を流し直したというのが記憶に残っていたのです。

とりあえず、検索サイトでさまざまなキーワードを使って調べてみたのは、この曲はジブリのアニメに採用されていることもあってそちらの情報の方が先頭に来たりしていて、とても同名曲の事まで見つけることができなかったのです。ちなみに、「カントリー・ロード」の表記についてもいろいろあり、有名な方は「Take Me Home Country Roads」という表記が一般的のようですが、「Country Road」とあっても同じ曲だったりするので調べても始末が悪いのです。

そんな中、一縷の望みを託して試してみたのが、いわゆる音楽配信サービスの検索です。私の使っているAmazon Prime Musicで「Country Road」と入れてその曲を歌っているアーティストをピックアップしてアルバムの中に入っている「Country Road」という曲を片っ端から聞いてみることを繰り返したのですが、リストの最後の方にあった曲を再生してようやく探していたものにたどり着きました。私の記憶通り曲名は「カントリー・ロード」で間違いありませんでした。歌っていたのはジェイムス・テイラーだということがわかり、すっきりしましたが、本当に大変でした(^^;)。私は有名な方よりもこちらの多少けだるい方のカントリー・ロードの方が好きです。興味のある方は下のリンクからどうぞ 。


美輪明宏の歌う「人生の大根役者」

2013年8月21日にNHK総合テレビで放送された「真夏の夜の美輪明宏スペシャル」は久しぶりにじっくりとテレビに集中して見てしまいました。テレビというのはどうしてもその場その場を切り取り、制限時間もあるので、なかなか見ているこちらの見たいものすべてを見られるわけではありませんが、その中で心に残った言葉があります。主に若い人に向けてのアドバイスですが、「文化を学べ」ということです。

文化とひとくちに言ってもいろんなものがありますが、個人的にはまがい物ではない本物と思うものを見たり聞いたり読んだりすることで、それが自分の中の血や肉になるのではないかと思います。先日紹介した博物館や美術館に行くのも、紙に印刷されたものではない実物の有名な作品や、実際に歴史の中で使われたものを直に見ることでいつかはそうした体験が役に立つのではないかと思うので行くという感じでもありますし。

私がそんな考えを持つようになったきっかけの一つが、実は美輪明宏さんが歌ったシャンソンだったりします。私自身、ずっと日本で過ごしていて、育ってきた環境にシャンソンなんてものは全くありませんでしたから、もし美輪明宏さんがシャンソンを歌っていなかったら、シャンソンというジャンル自体を聞きもしないで軽蔑していたかも知れません。

この曲は美輪明宏さんが作ったものではありませんが、まさにこの唄の精神を実践されているかのような生きざまを感じるとともに、単なる表面的な面白さということだけでなく、その奥に何があるのかということを考えながら文化的なものに接するようになりました。本物と偽物を見分けるのはなかなか難しいものですが、それでもできるだけ本物に近いものをここでも紹介できるようにしていきたいと改めて思います。