私たちは普段の生活の中でテレビや新聞、インターネットで情報を瞬時に取り出すことに慣れきってしまっています。私の住んでいる地方は東日本大震災で直接的な被害はなかったため、特に拡散する放射能についての情報を気象庁のホームページではなく、北欧やドイツのサイトから入手し、直接被害を受けるかも知れない状況に備えていました。もし次に原子力発電所の事故が起きた場合、マスコミはその日の天候から放射性物質の広がり具合の予測を流してくれるでしょうか。
現在、自宅から近い浜岡原子力発電所は運転を休止していますが、燃料棒が水の中に浸かっている状態にあることには変わりはなく、地震でなくても大規模な停電が長時間続くような非常事態が起これば、どうなるかわかりません。まあ、浜岡で何かあった場合は、自分のいる場所周辺での風向きを記録することによってどちらに逃げたらいいかだいたいの判断の基準にはなりますが、今回のようなちょっと離れた場所で事故が起きた場合、放射性物質が流れてくるか否かというのは、日本全体にまで範囲を広げての情報収集が必要になってきます。テレビや新聞、インターネットで情報は入手できるものの、もしそうしたメディアが使えない状況になったらどうすればいいのか、そんな事も考えなければいけないような時代になったのかなとも思います。
写真は、大きな本屋さんに売っている、自分でデータを記入するタイプの天気図です。NHKラジオの第二放送で一日3回放送を行なっている「気象通報」のデータを記入するようになっています。主な都市の天候・風向・風力・気温を延々と読み上げるだけの放送ですが、前線や高気圧・低気圧・台風などの位置や動きも知らせてくれるので、今後の天候の予想もやろうと思えばできます。登山に行かれる方は翌日の天候によっては生命の危険も考えられますので、ラジオの気象通報を聞き、天気図を描きながら翌日の行動を決めるというのは普通に行なわれています。
普段の生活の中ではほとんど利用価値のない情報かも知れませんが、ラジオ以外に情報入手手段がないような状況の時は別です。今住んでいる場所周辺の風向きと風の強さ、周辺の天候と降雨の情報というのは、放射能物質を避けるための命の情報です。今回のようにそうした情報をテレビでも新聞でも出してくれなければ、ラジオからの気象通報を聞いて自分で作るしかないではありませんか。
ラジオ用天気図用紙にはno.1とno.2の二種類ありますが、今回紹介するno.1の方は初心者向けで、写真のようにメモ欄や天気記号が一緒に載っていて、気象通報の内容をいったんメモしておいてからじっくりと天気図を描くことができます。no.2の方はそうしたものがない分、天気図が大きくて見やすくなっています。ある程度スキルのある方ならこちらの方がいいと思いますが、私のようにいざという時のために準備しておくような使い方の場合は、no.1の方がいろいろと役に立ちそうです。
そうは言ってもラジオ以外に情報が遮断されるような状況というのはなかなかないと思います。そこで、車中泊の旅に出て、夜に暇をもてあますような場合、気象通報の時間にラジオを付けてデータを記録し、じっくりと天気図を描いてみるというのも普段の生活とは違った面白い時間の過ごし方ではないかと思います。
なお、天気図の描き方や簡単な予報についての知識はインターネット上から調べてもいいでしょうし、図書館へ行けば入門書も置かれているのではないかと思います。実にアナログで時代に逆行した方法ではありますが、車の中に天気図用紙のコピーを何枚か常備しておいて、暇をもてあました時にいざという時のために天気図を描く練習からしてみようかなと思っています。