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インスタント食品のローリングストックは計画的に賞味期限をずらしながらした方が良いか

昨年、南海トラフ地震への警戒が言われている中で近くのスーパーで一個100円前後でカップ麺が安売りされていることに注目し、いざという時に食べられるように購入しつつ、賞味期限が来る前に日常の食べ物としていただきながら災害に備えるという「ローリングストック」を行なっているのですが、ここ最近でちょっとしたストレスになっています。

というのも、私自身は好きだからこそ日常的にインスタントラーメンやカップ麺を食べないというような、体に気を付けた生活を送っているのですが、先に説明したように、近所のスーパーで格安のカップ麺が売られる時期というのが不定期であるため、自分で見て食べたいなと思ったものを見付けた時、とりあえず複数買いをしてしまうことがそのストレスの原因であることは確かなようです。

同じ時期に購入した製品の賞味期限というのは、同じ商品であれば全く同じ日であったり、かなり日数が詰まっているという感じになっています。先月あたりから、複数個まとめて買っていたカップ麺の賞味期限切れが一気に迫ってきたので、意識して連続して食べるようになり、ここのところ意識して以前に購入したカップ麺の消費期限が切れる前に食べることになってしまって、確実にここ数日は3食のうちどれかにカップ麺を合わせるようなちょっと変わった食事になってしまっています。

こういう感じになってみると、やはりお金の使い方と一緒で、安いから一気に買うというよりも、保管しているものの賞味期限をチェックして、少なくとも月に一度くらい食べるようにしてできるだけ同じ月での購入は避け、バランスの取れた賞味期限の商品を備蓄して回していくような買い方がベストだと改めて思いました。

こうしたデータはスマホで管理可能なので、切羽詰まって一気にカップ麺を食べ続けるような事にならないために、せめて月一回くらいにできるように、購入時にチェックした賞味期限を記録しておいて、店頭でそのデータを見ながら、食べ物を無駄にせず、自分の健康にも影響が出ないような計画的な購入をこれからは目指していきたいと痛切に思っています。

家族がいる場合でも、家族が災害時以外の時期に賞味期限が切れそうだからと残ったインスタント食品を喜んで食べてくれる保証はありません。そうなると、責任はやはり率先して買った人が取らなくてはいけないので、災害に備えて多くの食品のストックを考えている方についても、最初から一気に買うのではなく、時期を置いて少なくとも前回購入したものから一ヶ月以上先に賞味期限のあるものを徐々に買っていくような事も無理なく消費するためには必要ではないかと思います。

防災ラジオについての考え方 おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

大変長くなってしまい、こうした内容に興味のない方には大変申し訳ありませんでした。今回でこのシリーズは終了するので、次回からまたランダムな話題を紹介していきます。

この項目の終わりに書きたいのは、「理想の防災ラジオ」の姿は、常に一つではなく、時代とともに変わっていく可能性が大きいということと、その時代に沿ったものを使っていくことが、スムーズに防災ラジオを使えるということです。

実は、このブログを始めた頃にそれなりのアクセス数を出した投稿というものがありました。それが、下のリンクにある「SONY ICF-B100 の再販を望む」というブログ記事です。

SONY ICF-B100 の再販を望む

このラジオは未だに自宅でテレビ台の中に鎮座していて、今も変わらず使えています。ただ、上記のブログを書いた時からかなりの時間が経過した今となっては、単体での防災ラジオとして単一・単二・単三の電池を全てアダプター無しで使用できるICF-B100が万人におすすめできる防災ラジオであるか? と言われるとちょっと考えてしまいます。ラジオ発売当初は、大きな豆電球で光る懐中電灯で使われている電池が主に単一であった時代で、ラジカセを動かすための電池に単二が使われていたり、乾電池全盛の時代でした。

また、単三電池についても、今のようにデジカメはなく旅の途中で写真を残したいというような場合、レンズ付きフィルム(商品名では「写ルンです」が有名)を旅先で購入して使っていた時代、カメラのフラッシュ用に使われた電池は単三アルカリ電池で、現像・プリントのために写真屋さんに出された後にはほぼ使われていない電池が残ってしまうので、カメラ店の中にはレンズ付きフィルムの中に入っていた単三アルカリ電池を「ご自由にお持ち下さい」的な事をしていた時期もあったように記憶しています。そうした電池を入手できる環境がある時代とはかなり変化してきているのです。

今は、アルカリ単三電池を非常用持出袋に入れることはあっても、日常的にアルカリ電池を持ち歩くという人はいないのではないでしょうか。その代わり、スマホを充電するためのモバイルバッテリーを持ち歩く人は多いでしょう。そうした状況の中で使いやすい防災ラジオの条件は、やはりモバイルバッテリーを接続して充電できたり、バッテリーを外部電源として連続使用できたりするラジオの方が役に立つのでは? と思われます。

そんなわけで、今後の技術の進化が防災ラジオに搭載され、例えば電気自動車を市内走行くらいなら十分走らせるだけの容量を持った大型のキャパシタが実用化されたなら、今の内蔵電池に手回し発電で電気をためるのではなく、モバイルバッテリーから内蔵キャパシタの容量をいっぱいにすれば数十時間ラジオが聞き続けられるような高容量キャパシタを内蔵した防災ラジオが出てくるかも知れません。

また、ラジオ自体の進化とは違いますが、今後ペロブスカイト太陽電池が普及し、安く提供されるようになると、ラジオの小さな面に付けるのではなく、非常用持出袋を覆うように全てがソーラーパネルのようなバックパックが出現し、そこにラジオ自体を接続することで、野外における晴天時であれば、防災リュックを持ち出すだけで最強の防災ラジオ環境が出来る可能性もあります。そうなることを見越してラジオを購入するならば、内蔵電源を外部電源で充電できるものを買っておけば、新たなバッテリー事情が進化すればその恩恵を受けられるということになります。

実際、大きな災害が身の回りで起こり、電気・ガス・水道が長期間止まった場合、電気については夜を明るくするために確保しつつスマホの充電をするだけでも結構大変になると思うので、スマホの充電を切らさないように大切に使うため、常時テレビ番組やニュース動画などを流し続けるというのはあまり得策ではないと思います。ポータブル電源を使う場合には、情報以外にも照明・冷蔵庫・給湯器(水道が使えて停電のみの場合)・調理家電・扇風機(夏の場合)など使いたい場面が多くあると思うので、少ない電力でも長時間動かせるラジオをずっと付けなながら情報収集するという方が効率的にポータブル電源にためた電気を使えるように思います。

今後、どのような進化を防災ラジオが遂げるかはわかりませんが、電源回りの進化に合わせて、さらに便利な製品が出てくることを期待します。そんな製品が出ましたら、改めて購入した上でこのブログでレポートをさせていただきたいと思っています。

(追記)

今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事

ここまで、私の考える防災ラジオについて色々と書かせていただきましたが、これを書いている2025年3月現在において、おすすめの防災ラジオとしては以下に挙げるような条件を満たすものになりました。ただ、今後の状況によってはその条件は変わる可能性がありますので、その点はご留意下さい。

・FM受信用のロッドアンテナがあるもの。外部アンテナ端子があればなお良い
・イヤホン専用でなくスピーカーが付いているもの
・チューニングは電池持ちを考えればアナログ式。ただアナログチューニングが不安ならDSP(デジタル)ラジオに
・対応バンドはAMとワイドFMの両方が聞けるもの
・使用電池は「大は小を兼ねる」ので単三電池使用のものを
・電源は「乾電池」「手回し」で充分だがコンセントやモバイルバッテリーで動くものもあるので確認を
・手回し充電でためる先は「ユーザー交換不可な充電池」より「スーパーキャパシタ」内蔵のものを
・付加機能のスマホへの手回し充電・本体内蔵のソーラーパネルでの充電機能への過度な期待は禁物

今まで書いてきたことを箇条書きにしてまとめると、こんな感じになると思います。これはあくまでも私のおすすめであって、絶対的な価値観ではありません。ただ、買ってからしまったということにならないように極力自分のおすすめを書いたつもりです。あとは、日常的に持ち出すのか、自宅に置いておいて使うのかによっても変わってきますね。

今回は、一般的な非常用持出袋に入れて家の中だけでなく避難所などでも使うことを想定して書きます。その場合、どうしても見ず知らずの他人と一緒になりますので、様々な対策が必要になる場合があります。あまり考えたくないことですが、ラジオを持って避難していない人にとっては、自由に好きな時にラジオを聞きたいと思った場合、自分の持っている防災ラジオが盗まれてしまう可能性も実際あるようです。そのため、ラジオに名前を書くという対応策があるのだという話もあります。他にはなくなっても探せるようにタグを付けておくとか、各自工夫する必要も出てくるかと思います。

状況によっては、目立たずに自分の身に付けておけるサイズで聞くことを強いられる可能性もあるので、非常用持出袋にはラジオだけを入れないで、ラジオの存在を隠すためにイヤホンを入れておくということは、どんなラジオを購入した場合にも使えるテクニックです。

イヤホンは、スマホ用の有線イヤホンの流用でもいいですし、アナログ機器をワイヤレス化できる機材も売っているので、普段遣いのワイヤレスイヤホンで使うことも可能ではありますが、頻繁にワイヤレスイヤホンを充電することが難しいかも知れないので、素直に有線イヤホンを用意しましょう。

外に多くの人がいる中でラジオを聞く場合、特に避難所では直接大切な情報が入ってくることもありますので、両耳タイプのものでなく、片耳のイヤホンの方が色々便利ではないかと思います。ラジオの付属品の中にイヤホンがある場合もありますので、付属品でイヤホンの有無を購入前にチェックしておくと、後から改めて買い足す手間もなくなります。

こうしたイヤホンは、他の用途でも使うことが可能になります。普段スマホで音楽を聞くのにワイヤレスイヤホンを使っている方は、あえて有線イヤホンを準備しているということはないと思います。より少ない電力でスマホを使いたい場合、災害時においては有線イヤホンの方がやはり便利になりますし、FMラジオ付きのスマホは、イヤホンのコードをアンテナ代わりに使うので、いざという時の二台目のラジオとしてスマホを使うこともできます。普段は使わなくても、避難した場合に使えるようにしておくことで、色々とできることは増えますので、ぜひラジオとイヤホンを一緒に入れておくことをおすすめしたいと思います。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう

ここまで、防災ラジオをあくまでラジオの性能という観点で評価してきました。ただ、ラジオを作っているメーカーは災害時に役に立つというさまざまな機能をラジオに付けたものを「防災ラジオ」として世に出しています。今回は、そうした様々な電源回りの機能を紹介するとともに、果たしてそうした機能は役に立つのか? ということにつて考えてみたいと思います。

まず、手回し発電のできる防災ラジオに必ずと言ってもいいぐらい付いているのが「ライト」です。手回し発電初期にはアナログダイヤルを見やすくするためのダイヤルライトで、その明かりを懐中電灯代わりに使っていましたが、消費電力の少ない白色のLEDライトを搭載したことで、手回しで満充電すれば、付けてすぐ消えることなく懐中電灯の代わりとして使えるようになったことで、今ではLEDライトが付いていない防災ラジオは無いのではないかと思います。

スマホの画面や撮影用のライトを光らせて普段遣いしている方からすると、あまり防災ラジオにライトが付いていても使わないという方もいるかも知れませんが、手回しで発電した電力を使って明かりをコントロールできるというのは、いざという時には安心できるような気がします。ラジオによってはスポット光だけでなく、光を拡散させて広い範囲を照らせるようなランタン代わりになるライトを内蔵しているラジオもあります。個人的には、こうした機能については付いていて邪魔にならないと思うので、あって良いと思いますが、他にも色々な機能が付いている防災ラジオの中には、色々付き過ぎてわけがわからなくなっているというのも感じるところがあります。

まず、ソニー初の手回しラジオにも付いていたサイレン(ブザー)機能についてです。人が大声を挙げて助けを求めることをしても、大声を出すという行為自体が体力を消耗するので、防災ラジオのサイレンで自分のいる場所を他の人に伝えることができればと思いますが、そもそも自分の手元にラジオがなければサイレンを鳴らすことはできませんし、充電の関係からずっと鳴らし続けることも難しいでしょう。さらに平常時に誤って鳴らしてしまうと迷惑になるので、個人的にこの機能は必要ないと思えます。どうしても助けを求める事を考えたい場合には、サイレンではなく自分の意志で音を出せる小さなホイッスル(常時身に付けておけるもの)が一つあれば良いかなと思います。

次に、内蔵電池に充電するための方法として本体に小さなソーラーパネルが付いている防災ラジオがありますが、あれも個人的には否定的にとらえています。確かにラジオを鳴らすにはそこまでの電力は必要ないので、本体に太陽光を当てて内蔵電池をうまく充電できれば良いのですが、残念ながらラジオを聞くための電力をソーラー充電で得るためにも、それなりの大きさのソーラーパネルが必要になります。充電するには本体を日に当てなければならないので、結果的にラジオ本体を熱くしてしまう事が心配になります。いざという時の事を考えたら、少し大き目の持ち運びできるソーラーパネルを別に用意し、それでモバイルバッテリーを充電することでラジオで使うためのエネループの充電に使う(乾電池仕様のラジオの場合、充電池の使用は自己責任になります)方が現実的で、晴れている日にモバイルバッテリーに充電できれば、雨の日や夜でもモバイルバッテリーからエネループに充電でき、効率的だと思います。

さらに、手回し発電を使ったスマホへの充電や、本体に入れた乾電池でスマホに給電するような機能についてはどうでしょうか。乾電池をモバイルバッテリーのように使うには、専用の製品がありますが、ラジオ自体にスマホ充電の機能があるというのは、乾電池がたくさんあるもののスマホに充電する機器がない時には確かに助かります。手回し発電でスマホに充電することはちょっと実用的ではありませんが、災害時にすることがなくて暇つぶしのためなら、まあ無いことは無いと思うものの、どちらも極端なケースです。上記で紹介したソーラーパネルで、それなりにモバイルバッテリーの充電ができるなら、こうした機能はあえて使わなくても良いかなという感じはします。

というわけで私的な結論ということでは、ライト・ランタン機能はあっても困らないので付いていても問題ないものの、サイレン機能は誤爆した場合に困るので無い方が有難く、手回しや乾電池でのスマホ充電機能はあくまで気休めだと思っているので積極的に使おうとは思わないので、可もなく不可もなくといった感じでしょうか。防災ラジオ購入の際にはその価格も重要視されると思うので、あまり使わなそうな機能を削ることで故障のリスクを軽減し、価格もリーズナブルでいてさらに実用的なものであった方が良いのではないかと思うことはあります。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)

1997年9月1日と言いますから、阪神・淡路大震災が起きてから大体2年というところの防災の日に発売になったソニーのICF-B200というラジオから、手回し発電でラジオを聞けるというコンセプトのラジオが世の中に出たと言えると思います。その時から28年が経って、もはや「防災ラジオ」と言えば手回し発電機能が付いているものが当り前だと思われるほど、手回し発電ラジオというものが広まっていると言えます。

ただ、このICF-B200で手回しハンドルを回して電気をためる先は、当時のニッケルカドミウム(ニッカド)電池でした。これは、今のエネループでおなじみの「ニッケル水素電池」が普及する前の充電池として売られていたものです。今のエネループと比べると性能は高くありませんでした。ニッカド電池は化学変化によって電気を溜めているため、その性能を維持するのは結構当時からシビアでした。具体的には「過充電」「頻繁に使う」「充電を途中で止めることによってその分しか充電されなくなるメモリー効果」「長期間使わないことによる過放電」がニッカド電池を劣化させる要素と言われていました。これは、一部の不具合について現在の充電池が内蔵されている手回し発電ラジオにも同じような事が当てはまります。

ですから、新品で購入した防災ラジオを非常用持出袋にずっと入れっぱなしにして忘れていたような場合、大きな災害が起きていざ使おうとなった場合、いくら回しても内蔵で自分で交換不可な仕様になっている充電池が過放電により劣化していて、全く充電されないか少し聞けてもすぐ聞けなくなってしまうという事が起こり得るのです。

ですから昔のニッカド・ニッケル水素電池を内蔵している手回しラジオを防災ラジオとして用意したままずっと放置していた方は、もはや手回し発電での利用は控えて、乾電池を入れて使うことをおすすめします。今現在の防災ラジオとしてニッケル水素電池内蔵の手回しラジオを持っている方は、ぜひ定期的に手回しハンドルを回して過放電になることを防止するようにメンテナンスしましょう。

そんなわけで、皆さんが防災ラジオを購入する前に考えていただきたいのが、手回し発電は良いのですが、いつでも手回しで作った電気をためられるような仕組みについて知ることなのだと思います。内蔵している「電池」にためるタイプのものだと、長期間使わないと購入時の性能を発揮できない可能性があるので、せっかく買ってもいざという時に使えないということも起こり得るわけです。これではわざわざ防災ラジオとして手回し発電ラジオを買う意味が疑われてしまいます。

実は、手回し発電した電気をためる方法というものがもう一つあって、それが電池の代わりにキャパシタ(コンデンサー)という部品内にためこむという方法です。電池のように化学反応による蓄電ではないので、ためられる量は少なく、使わないと早く放電してしまう(中味が簡単にカラになる)特性があるのですが、その分電池のようにすぐに劣化することなく、しばらく使っていなくても手回し充電をすれば購入時と同じくらいの性能を発揮します。

現在は、スーパーキャパシタというものが内蔵されているラジオがあり、メーカーでは10年使っていなくても使えるというメリットを紹介しています。ただ、電池と比べるとためられる電気の量が少なく、手回しで満充電させても連続でラジオを聞ける時間は少なくなるというディメリットも併せ持っています。

それでも、いつ起こるかわからない地震など天災に備える防災ラジオなだけに、メンテナンスフリーで使えるメリットの方が大きいので、このブログでは手回し発電の防災ラジオを購入するなら、内蔵電池(ニッケル水素およびリチウムイオン電池)に充電するものよりも、キャパシタに充電するタイプの防災ラジオの方を強烈におすすめします。

あと、これは余談ですがもし充電池を手回しで充電するタイプのラジオにおいて、もしユーザー自身が内蔵充電池の交換ができるような製品があれば、個人的には電池に充電するものであっても使ってみたいという感じがします。かつて、手回しラジオに付いているハンドルと同じものが付いたLEDライトを持っていたのですが、その製品は市販のエネループのような乾電池タイプのニッケル水素電池を入れられるようになっていて、空の電池を入れた場合、充電池に手回しで充電できるようになっていました。私は100円ショップで売っているような安い充電池をそのライトの中に入れて使っていたので、それほど惜しくなく安い充電池を入れて使っていました。

このように、手回しラジオでも安い汎用的な充電池を交換しながら使える防災ラジオが出現したなら、電池自体が使えなくなっても交換して使うことで、ためられる電気はキャパシタよりも多く利用可能になる可能性があります。もちろん、ポータブル電源やソーラーパネルから充電することも可能になるので、かなり使える防災ラジオになるのではないかと思います。メーカーの方々にはエネループを内蔵電池として使用可能な手回し発電ラジオを出してくれないかなと思う今日この頃です。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?

ラジオの電源は、前回紹介したような乾電池を入れて使うことが普通のラジオでは当り前ではありますが、いわゆる防災ラジオについてはそれだけでない聞くための方法が色々と考えられています。阪神・淡路大震災から2年度にソニーから発売されたICF-B200にも乾電池を入れて使えるのですが、何とも目立ったのが、大きな折りたたみハンドルが付いていて、そのハンドルを回転させることで内蔵の充電池に充電し、乾電池を使い切ったり電池の用意がなくてもラジオを聞くことができるというコンセプトでした。

この流れはまたたく間に広がり、もはや手回し発電のない防災ラジオはないとでもいう感じに防災ラジオは手回し発電による利用ができるようになっています。手回しの場合は、回す回数とラジオを聞ける時間の関係が当然乾電池よりも少ないので、あくまでも緊急用という感じにはなりますが、乾電池しか使えないラジオと比べると、使えるケースが増えるという点で、防災ラジオとしては使いやすくなります。

また、ちょっと大き目のいわゆるホームラジオの場合、ACアダプターやメガネ型のACケーブルをラジオ本体に差すと、家庭用のACコンセントから電源を使ってラジオを聞き続けることができるものがあります。こうしたコンセントにつながるラジオは、停電時には全く役に立たないと思われるかも知れませんが、最近になって状況が変わってきました。

というのも、防災意識の高いご家庭では、停電時でも家電製品が使える「ポータブル電源」を用意している場合があるので、ポータブル電源のコンセントにラジオを繋げば、電池の減りを気にすることなくラジオを災害時でも流し続けることができるようになったからです。

また、一部の防災ラジオには、本体上のほんの僅かなスペースにソーラーパネルを付け、そこから内蔵電池に充電できるというものがありますが、いくら消費電力が少ないラジオと言っても、太陽の力だけでラジオを聞けるようにするのは難しいと思います。そうした装備の付いたラジオを買うよりも、ポータブル電源およびそれなりの大きさのソーラーパネルをセットで用意し、晴れたら一気にポータブル電源を充電してしまうことで、かなり実用的に使うこともできます。もしすでにポータブル電源とソーラーパネルをセットで持っている場合、あえてAC電源で使えるラジオを防災用ラジオとして選ぶということもそう悪くない選択肢になるのではないかと思います。

また、私が先日購入したキュリオムのYTM−R100は、疑似ACアダプター(USB出力)が使える本体内蔵充電キャパシタへの給電機能があります。USB出力だけでなくUSB入力ができるので、USB端子の付いたACアダプターだけでなく、モバイルバッテリーを直接接続することでラジオを鳴らせるので、手回しよりも楽で早く使え、まさにスマホの充電をするようにモバイルバッテリーを使ってラジオを鳴らせるようになっています。

スマホ用のモバイルバッテリーをラジオの給電に使えるということになると、大きなポータブル電源は必要なくなるので、もしソーラーパネルから充電するにしても、バックパックに展開させるような小さなソーラーパネルでも何とか充電が可能になります。そうした機能のない防災ラジオを使う場合でも、本体にソーラーパネルが付いた防災ラジオよりも、別に購入したより大きなソーラーパネルを使って、あくまで自己責任にはなりますが、エネループのようなニッケル水素電池を充電して使うことも可能になるので、そちら方面への投資(USB接続で充電できるニッケル水素電池の充電器とソーラーパネルの組み合わせなど)を考える方が合理的だと私は思います。そもそも、本体内蔵のソーラーパネルから直接屋外で太陽光を当てるという行為は、ラジオの回路や内蔵電池へのダメージが出るほど本体が高温になってしまうのではと思うので、私などはとてもそういうラジオを買う気になれません。

実際にラジオを使う場合、乾電池でどのくらい使えるかということも大事ですが、手回しだけでなく、様々な外部電源を使っての利用が考えられている防災ラジオもあるので、今持っている防災グッズがあればそれに合わせて充電が可能であれば、その活用を考えてもいいでしょう。何もない状態で一からの購入の場合は、ここまで書いたことを考えた上で、できるだけ動かせる電源回りの数が多い製品を選ぶということも考えてみて下さい。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?

今回はラジオに使う電池(内蔵充電池でなく乾電池)について書いてみようと思います。この電池問題というのは、過去の大きな地震が起きた際に色々な問題があったので、その記録としても書いておこうと思います。

今から30年前の阪神大震災の時には、今あるような防災用のラジオというのは無かったのではないかと思います。ラジオ創生期にはテレビの代わりに家に置かれていたホームラジオの時代でしたが、第二次世界大戦後にラジオは一家に一台から一人一台という形に変化し、ラジオも乾電池で動く「トランジスタラジオ」が大いに普及しました。

その後、通勤ラジオとして電車の中でも聞けるようなものであるとか、ラジカセを持ち出すとかはあったものの、災害用ということでは、乾電池式のトランジスタラジオを災害用に流用するような形であったように思います。

それが、阪神大震災が起きそこでのラジオの重要性を感じたメーカーが出してきたのがまだ手回し発電がない頃の防災用ラジオでした。その歴史はソニーのラジオが時代を作ってきたようにも感じます。まず阪神大震災が起こった年1995年9月1日に出たのがICF-B100というモデルで、電池で動くのですが、電池ボックスの形状が変わることによって「単一」「単二」「単三」それぞれ2本あればどの型の電池でも使えるというものでした。さらに電池が切れた時のために、長期間性能を維持できるリチウム電池を常時セットできるようになっていて、4種類の電池が使用できました。実際、大きな地震が起きた場所ではお店から単三電池が一気になくなったということが起きていて、単三電池のみしか使えないラジオを持っていても使えなかったという意見をくんだ製品であったろうと思います。

翌年に単三電池しか使えないものの、別にリチウム電池をセットして使える後継機のICF-B50が出ましたが、さらに翌年(1997年)ついに今に続く手回し発電機内蔵のICF-B200が発売されたのですが、手回し発電のラジオについては改めて稿を設けることにして、今回は今主流となっている小型ラジオ用の電池の中で「単三」か「単四」のどちらを選ぶのかという点について色々と書いていきたいと思います。

災害時に備えるための乾電池というのは、以前であれば「単一」や「単二」を使ったラジオや懐中電灯が普通に使われていたのですが、今では乾電池を使うにしても「単三」か「単四」という感じに落ち着いてきている感じがします。かつては、単三はみんなが使っているので買い占められることによって非常時および、災害に不安を感じる人たちが買いに走る状況の中では手に入れるのが難しいという面がありました。実際、東日本大震災でも震源地から離れた私の住む場所でも普通のお店で単三電池が無いという話がある中、単四電池は入手できたので、支援物資として単四電池とそれで動くラジオ(手回し発電用)を現地で被災した友人に送ったりしました。そんな経験もあり、以前は単三と比べると比較的入手しやすい単四電池を使ったものの方が良いと考えていたこともあったのですが、今は水やポリタンクは無くなっても電池はそうそう無くならないという感じもします。

最初に結論じみた事を言ってしまうと、現代では乾電池については「大は小を兼ねる」ということが言えると思います。単四電池を使うタイプのラジオを持っている人のところに単三電池があっても、その電池はラジオを聞くのに使えません。しかし、単三電池を使うタイプのラジオを持っている人のところに単四電池が届いた場合は、あるグッズを利用すれば単四電池を使って単三仕様のラジオを聞くことは可能になります。

それが、単四を単三でも使えるようにする電池アダプター(スペーサー)です。こういったものは100円ショップでも見ることができると思いますが、私は家電量販店で購入しました。こんなものでも、一般的に2本の電池で動くラジオであれば、このスペーサーを2つ持っていれば、単三2本で動くラジオを持っていれば、単三電池が入手できない場合でも単四電池をアダプターに入れてラジオを使えるということになります。

もちろん、単四電池を使ったラジオの方が本体をより小さくできるわけですが、単三と単四と容量を比べると単三使用の方が長時間放送を聞き続けることができますし、いざという時に単四電池も使えるということになると、あくまで防災用という点で考えればその優位性は明らかでしょう。

過去には単一や単二を使って長時間鳴らすことができるラジオが主流ではあったものの、エネループが普及している状況の中で、電池といえば今は多くの電池は単三・単四電池に寄っているということもあるので、このブログでは防災ラジオで乾電池が使えるものについては、単三でも単四でもスペーサーを使えば使える可能性のある単三電池採用のものを推しておきます。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か

ここまで、色々書いてきましてロッドアンテナ・スピーカー付き、アナログorデジタル(DSPラジオ)については個人の好みというところまで書いてきましたが、今回はラジオで聞けるバンドについて書いてみたいと思います。

多く販売されているラジオは「AM専用」「FM専用」なんてものもありますが、最初から結論を言ってしまうと、できればAMとFMの両方が聞けるラジオの方がどちらかが聞けなくなったような場合には別の放送で急場凌ぎができるので、ここは素直にAMとFMの両方が聞けるラジオを用意した方が良いと思います。

また、多くの人にはあまり関係ないとは思いますが、AM・FMとは別に「短波放送」も聞けるラジオというものもあります。短波というのは遠くまで届くので、海外から発信したものが日本でも聞けたり、その逆もできますので、海外旅行にラジオを持って行く際に短波の聞けるラジオと簡易的なアンテナをセットにすれば、NHKが海外にいる日本の方向けに放送しているラジオジャパンを現地から直接聞くことができます。インターネットのない時代は、ラジオからの情報が大切だったので、世界のラジオ局がどんな発信をしているかということを、短波の聞けるラジオを使ってニュースソースにする「ラジオプレス」という通信社もあります。かつては日本国内で短波放送を聞くことが趣味として流行ったこともありました。

ただ、今の時代はインターネットが旅行先でも使えるので、そこまで短波放送にこだわることはないと思います。国内用の短波放送としては、ラジオnikkeiが全国をエリアにした放送を行なっています。昔は株式市況か競馬が主でしたが、最近では他の放送もあり、Radikoでも聞けるので、興味のある方はどうぞ。

ラジオnikkeiは、もし地元の放送設備が全て天災で使えなくなってしまった場合にそうした広エリアで利用できる短波放送の需要もあるかも知れませんが、FM局なら災害中継車を出すことでも電波は出せますし、そこまで今の時代は短波放送にこだわることもないでしょう。ただ、海外からの放送を直接聞けるというのもラジオの醍醐味ですので、興味のある方は短波放送の聞けるラジオを防災用として準備するのも、ちょっと防災という観点からは逸脱しますが、短波の聞けるラジオは外部アンテナ端子も付いていたりしますので、小さなラジオではうまく放送局が入らないようなケースでは一つの候補にはなり得るのではないでしょうか。

話は戻って、AMとFMに関する話になりますが、昨今のニュースで見たり聞いたりされている方もいるかと思いますが、民放のAM局が将来的に維持コストのかかるAM放送を止め、放送をFM波に引っ越すことになっています。現在すでにFMでの同時放送をしていますので、もうFMラジオしか聞かないという人もいるかも知れません。NHKの二波は2026年に統合され一波での放送になるとは言え、AMでの放送はしばらくは残ると思いますが、設備の老朽化も激しいので今後もずっと続く保証はありません。そんなわけで、近い将来AM放送で聞ける局が激減し、FMに移行するのは確実だろうと言われています。そのため、以前はアナログテレビに割り当てられていた周波数に多くの民放AM局が入ることになったため、いわゆる「ワイドFM(108MHzまで)」が聞けるラジオを用意すべきです。古いラジオでもアナログ選局で「テレビの音声が聞ける」ことを売りにしたモデルは、アナログchの1~3まで目盛りが広がっているものなら、ワイドFMが聞けると思いますので、持っている方は試してみましょう。

さらに、以前にも書きましたがより地域に身近な情報をラジオを通して提供してくれるのは、大きな民放ではなく地域コミュニティの中で発信している「コミニュティFM局」であり、災害時の生活情報はやはりコミュティFMを聞き続けることが大切です。ということで、あえてAM・FMのうちでどちらが大切かと問われれば、やはりFMをきちんと聞けるものが好ましいということが言えますね。

ただ、オワコンのAMについてもNHKが放送を止めるまでは聞けるようにしておく意味があります。AMは短波ほどではないものの、かなり広い範囲で放送を聞けるような特性を持っています。NHKの第一放送と違って全国同じ内容を放送する第二放送については、秋田送信所・熊本送信所(500kW)や大阪送信所(300kw)という大出力の放送がされており、場所にもよりますが、普通のラジオで昼間でもその内容を遠方からでも聞けるようになっています。NHKの一波統合後も高出力での送信は続くと思いますので、災害時の貴重な情報源として秋田や熊本からの電波を全国で聞くような事もあるかも知れません。

また、AM放送は複雑な受信回路を必要とせずとも聞くことができるので、古い技術である「鉱石ラジオ」(「ゲルマニウムラジオ」)でもアンテナを工夫すれば地元局ぐらいなら聞くことができます(注・FM用のゲルマニウムラジオも存在しますが、実際に聞くことを考えるとAM用のものの方が一般的なのでここではAM用のゲルマニウムラジオについて書きます)。このゲルマニウムラジオは電池を必要とせず、クリスタルイヤホンからささやくような音で電波が来ている限り聞くことができるので、これはもう究極の災害用ラジオだとも言えるかも知れません。もし以前に学習用にゲルマニウムラジオを作っていて、まだ家のどこかに眠っているという方がいたら、ぜひ探してみて改めて今使えるかどうかを試してみてはいかがでしょうか。

そんなわけで、改めて今回の結論ということで言いますと、防災ラジオとして使うのは主にFM局になり、将来のためにもワイドFM対応でAMと2バンドのものを用意すれば間違いないと思います。短波が聞けるラジオについては、趣味で使われている延長として使われるのが良いかと思います。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか

ここまで、私が考える防災ラジオについてロッドアンテナがあり、スピーカーがあるものということで書いてきました。次に考えたいのは、チューニングをする場合の違いについてです。その方法については大きく2つに分かれるだろうと思います。

ひとつが、昔からのラジオではおなじみの、ダイヤルを回して表示されている周波数のところにダイヤルを合わせ、選局する「アナログ方式」で、もう一つが液晶画面があり、画面に直接周波数が表示される「デジタル方式」の二つに分類されます。あと、細かいことを言うと、デジタル方式の中でも、内部の回路をICチップにして全ての処理をデジタル化した「DSPラジオ」をデジタル方式のラジオとして紹介するこします。そこで、従来のアナログ方式のラジオとの違いについて簡単にまとめてみることにします。

DSPラジオは、アナログラジオのように複数の部品を組み合わせるのではなく、一つのICチップに全ての機能が入っているので、アナログラジオと比べて故障しにくく細かな調整が不要です。さらに、混信も少なく本体も小さく作ることができます。そして、選局もデジタル表示・オートチューニングができるので、ラジオ局の周波数がわからなくても、聞こえる局だけダイレクトに同調でき、よく使う放送局をプリセットしておけば、放送局をいちいち探さなくても一発選局できます。今まであまりラジオを使ってこなかった人にとっては、アナログと比べて使いやすいラジオになっています。

逆にアナログラジオは、長く使っていると部品の不具合が起き、故障する可能性があるとか、使い慣れていないとそもそも放送局の選局ができない(ちょっとでもずれているとうまく受信できないため)とか、デジタルと比べるとアナログの悪い面が際立つようなところがあります。ここまで読んで、「アナログラジオはめんどくさそう」と思った方は、素直にデジタルの「DSPラジオ」を防災ラジオとして選択するのが良いだろうと思います。

ただ、デジタルのDSPラジオにもウィークポイントはあります。まずアナログラジオと比べて電池食いであることです。これは、乾電池を入れて使っている場合には感じにくいかも知れませんが、容量の少ない内蔵の充電池(手回し発電でためるところ)で利用できる時間がアナログと比べて短くなります。同じ回数回しても、満充電に手回してして聞ける時間が少なくなり、それが実用に耐えないと思う方もいるかも知れません。

また、音量について、アナログではボリュームを微調整することができますが、DSPラジオはテレビと同じで音量を数字で示すような感じで変化していくので、無音(0)と鳴りはじめ(1)の間がありません。アナログラジオの場合は微調整することによって、0.5とかの音量を出すことができますが、DSPラジオの場合はそういうことはできません。枕元でスピーカーを使って聞いたり、イヤホンで聞いている時も、音量1でも大きいと思ったとしてもそれ以下の音量になるような調整ができないのです。

また、アナログラジオはDSPラジオと比べて少ない電力でも動きます。アナログラジオを使っていて、手回し充電で満充電にした場合の持続時間が長くなるだけでなく、充電池が空になる前に音量が小さくなったとしても、無理にボリュームを上げることで、電池の切れるギリギリまで何とかラジオを鳴らす時間を伸ばすことも可能です。特に手回し発電しかできないようになってしまった場合の使い勝手(電池持ち)はアナログラジオの方が良いと言えるでしょう。

選局についてはデジタル一発選局と比べると難しいですが、これは慣れもあると思います。旅行などで地方に行った場合、適当にダイヤルを回しながら良く聞こえる局を聞く(場所によっては全く予期しない遠方のAM局が聞こえることもあります)ような事はアナログラジオならではの楽しみだと私は思うのですが、これは個人差があるのでその事からアナログかデジタルかを選ぶ理由にはならないと思います。

最後に自分なりの結論として、アナログかデジタルかを決める目安について書いておきます。防災用という観点からすると、同じ電池を入れたり、同じように手回しした場合により長くラジオが聞けるアナログの優位性はありますが、そもそもいざという時にラジオを使えないと意味がありません。アナログのチューニングが難しいと思うなら、素直にデジタルのDSPラジオを選ぶのが良いと思いますし、日常的に使いながらアナログラジオの操作方法を自分のものにしたいと思えるのであればアナログラジオの方を選ぶとか、その人のニーズに合ったラジオを選ばれるのが良いでしょう。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく

防災ラジオについての考え方 その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう

防災ラジオと言葉では言いますが、何をもって防災ラジオなのかという定義というものは実際のところありません。ということは、家に普通に聞けるラジオがあれば、それを災害時に使えるように準備しておくというのも立派な防災用ラジオの準備の仕方であると思います。ただここでは、最低限どんなラジオを防災用に用意すべきかということについて考えてみます。

前のエントリーで、ラジオにはアンテナが大事だと書きましたが、ラジオの大きさとアンテナの関係にはAMとFMで二つの考え方があります。AMの場合はラジオが大きければ大きいほど性能の高くなるバーアンテナが内蔵されていますが、FMについては、アンテナは伸ばすロッドアンテナにしろ、イヤホンをアンテナの代わりにするような形にしろ、アンテナが長くなればそれだけ色々な放送局が入る可能性があります。超小型でイヤホン専用のラジオなんてものもあり、片手で隠れてしまうような超小型のFM専用ラジオを防災ラジオとして常時持ち歩いていて、ウォーキング時に使っているような方もいると思います。

ただ、災害時のあらゆる状況を考えてみると、イヤホン専用のラジオというのはどうしても一人で情報を独占するということになるので、避難所で夜に一人で聞くのには良いのですが、複数人で同じ放送を聞くことができないので、その点が残念になります。さらに、ロッドアンテナの代わりにイヤホンコードをアンテナ代わりにするイヤホン専用ラジオは、それなりにコードを伸ばさないと良く放送局が入らないので、寝ながらイヤホンで聞こうとしてもうまく放送が聞けない可能性もあります。

ということで、防災ラジオとして用意するならイヤホン専用でアンテナの代わりにイヤホンコードを使うタイプのラジオよりも、短くてもロッドアンテナがあって、スピーカーもちゃんと付いているものの方が様々な場面で能力を発揮しやすいのではないかと思われます。もちろん、スピーカー付きだからと言って、イヤホン端子のないもの(あるのか?)を買ってしまったとしたら、一人で静かに聞くことができなくなりますので、そういうのは避けて、イヤホンもセットの中に用意しておくと良いでしょう。

スピーカーの場合、実際に出てくる音が自分にとって聞きやすいかどうかというのは、実際に聞いてみなければわからない所もあります。今の世の中ではなかなかラジオの試聴というのも難しいと思いますが、ネットの口コミなどでそうした点に触れているレビューを見ながら、普段遣いでも聞いていて疲れないようなものが理想ではあります。逆に家にあるラジオがあれば、それを聴き比べてみて聞きやすいものを基準に新しいラジオとの比較をしてみるのも良いでしょう。

イヤホンで聞ければいいと思っている方で、一人でしか聞かないという方でも、ずっとイヤホンを付け続けるというのは特に災害時にはストレスになる可能性があります。そんなわけで、災害用にラジオを用意する場合には、「ロッドアンテナ付き」「スピーカー付」のラジオをまずは選ぶようにしましょう。

※今回の一連の投稿をリンク付きでまとめてみました。まとめて読みたかったり、前後の内容を確認したいという方がおりましたら、ぜひともお役立て下さい。

☆防災ラジオについての考え方

前説 なぜあえて防災ラジオについての知識が必要なのか
その1 そもそも小型ラジオには外部アンテナの有無が大事
その2 イヤホン専用ラジオよりスピーカー内蔵のものを買おう
その3 チューニングはアナログ・デジタルどちらにするべきか
その4 AMとFMのどちらが防災ラジオとしては大切か
その5 使用電池は「単三」と「単四」ならどちらが便利か?
その6 使用できる電源パターンにはどんなものがあるのか?
その7 内蔵電源は充電池よりキャパシタ(コンデンサ)
その8 電源回りの機能とその限界について認識しておこう
その9 使わなくてもイヤホンは一緒に持ち歩くことが大事
おわりに 時代とともに理想の防災ラジオのスペックは変わっていく