小銭を必要とされない社会はすぐにやってくるか

スマホを使った決済が一般化するにつれ、お店で物を購入する際に支払う方法についても従来の常識だけを持っていると対応できないような状況というものが次第に明らかになってきたような気がします。例えばJRの電車賃について、現金で支払う場合とSuicaで支払う場合の金額が微妙に違っていて(Suicaでの決済は一円単位の運賃)、利用回数が多くなれば多くなるほどSuicaで決済をした方が有利になってきています。

ただし、多くの現金をSuicaにチャージした状態でSuica自体を使わなくなってしまえば、それまで「お得」だと思っていたSuicaの方が、現金を使った場合よりもコストがかかってしまうケースも有りえます。Suicaの場合は電車だけでなく日々の買い物もできますから使い切れないこともないではないかと思うかも知れませんが、貯金通帳に残った僅かな預金と同じように少額でも、ちりもつもれば大きな額になり、わずかに残高が残されたカードが多くなればなるほど、カード発行元が先払いしてもらった資産が増えていくというわけです。これはプリペイドカードに共通の仕組みですが、それがいやだからとかたくなに現金にこだわる人もいるわけです。

先日、最近めっきり増えてきたセルフのガソリンスタンドに行ってきたのですが、そこでも現金にまつわる機械の変更が行なわれていて、支払いをあくまで現金にしたいと思う人にとってはきびしくなってきているなと感じることになりました。

というのも、スタンドで新たに配備された機械にはお札を入れる投入口しかなく、入金できる最低の金額は千円からになっていました。原付の給油などタンク容量の残りによっては5百円もかからずに数百円で満タンになってしまうような場合でも、500円や100円硬貨が使えないとなると、お小遣い前で残金数百円でも原付にガソリンを入れたいとやってきた高校生は、お金を借りたりクレジットカードが使えないとそこのガソリンスタンドでは給油できないということになります。

そうでなくても現金決済派としてはできるだけ財布の中味を小銭で満たしたくないために、あえて紙幣を持っていてもそれを使わずに、細かいお金を出したいと思うケースでも紙幣の利用だけに限定され、さらに小銭入れが膨らんでしまうということになってしまうわけです(^^;)。

こうした最新型のスタンドの姿が、未来の決済の主流になるかどうかはわかりませんが、今後小銭はできるだけ使わないで、基本はクレジットカードや電子マネーということになると、少なくとも電子マネーはどのジャンルのどのお店でも使えるようにしないと、クレジットカードを持つことのできない人がかなり生活しにくい社会になるのではないかという気がします。

さらに、電子マネーの場合クレジットカードに紐付けして自動的にチャージしてくれる機能がありますが、それが新たな消費を喚起するのはいいとしても、月末から月初にかけての支払いが滞る原因になってしまうと、最悪の場合ローンが組めなくなったりすることもあります。プリペイドタイプで使う都度現金をチャージするような電子マネーなら無駄遣いもないでしょうが、日々のお財布代わりとしてオートチャージタイプの電子マネーを使っていると、人によっては現金を使う場合よりも財布の紐がゆるくなるケースも出てくるでしょうから、これまで以上にどうやって自分の収入の範囲で生活費をやりくりしていくかという事について考えなければいけなくなるのではないでしょうか。

私の場合ですが、そうしたオートチャージタイプの電子マネーである「iD」や「QUICPay」は両方持っていますが、これはあくまでも旅先などで財布を無くしたりした緊急事態を想定して持っているに過ぎず、毎日の生活用品を購入するのに使うほど自分の金銭感覚には自信を持てないというのが実情です(^^;)。

ただし、今回紹介したガソリンスタンドのように現金よりもクレジットカードや電子マネーを利用する事を前提で社会のシステムが整っていく可能性もあるので、例えばお子さんにお小遣いをあげるのも、交通費を含めてSuicaで一括して払い、月はじめの一週間で全ての電子マネーを使い切った後の切なさを実感させるような事もたまには必要になるのかなという感じもします(^^;)。

そうすると、自由に使えるお金を増やすため電車を目的地の手前で降りて歩くという技を使ったり、自分でポイントの付くお店やイベントを調べて計画的にお得に電子マネーが使えるように工夫するようになるかも知れません。

ただ、現状では小銭が使えなくなるような感じで社会が変わっていって欲しくないとも思うことがあります。個人的には来たるキャッシュレス化社会に備えながら、現金というものの有難みも感じつつ、無駄にお金を使って後で困らないように今以上に気を付けていければと思っています。


カテゴリー: モバイル関連コラムコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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小銭を必要とされない社会はすぐにやってくるか」への4件のフィードバック

  1. ケイタイオタク

    お久しぶりです。
    キャッシュレス社会が来るかどうかは別としてコインレス社会はそう遠くない未来ではないでしょうか。ガソリンスタンドで硬貨が使えないと言うのは機械のコストの問題ですね。レジスターでもコインが使用可能なモノは40万円以上するのに対してコインが使えないモノは14万円程度だそうです。特に1円玉の識別を可能にするためには随分コストがかかるそうです。
    コインレス社会実現はそう難しい事ではないです。コインは補助通貨であり、元々法定強制力は20枚です。コインの法定強制力を廃止すれば良い事です。これは国会の普通決議で済むと思います。
    現金主義の人はカードだと金銭管理が出来ないからと言う人が多いと思いますが、これを裏返しに考えれば現金以外をそういう人に使わざるを得ない状況におけば現金以上に支出してくれる。デフレ対策には有効です。
    社会インフラのコスト削減と言う観点からもコインレスの効果は大きいです。例えばバスの料金箱。現在のモノはICカードには対応している、最近でこそ磁気カードは無くなりましたが現金、そして両替機とあるので大きなものとなっています。これがICカードだけになれば小さな読み取り機があれば済みます。現金管理も不要になるので管理コストも削減出来ます。
    駅での券売機も紙幣対応のみとすれば券売機のコストも削減出来ます。もちろんスーパーなどのレジも同じであり、会計で財布の中から小銭を探す時間コストも馬鹿にならない。電子マネーやクレジットカード、デビットカードに限定すれば速やかに会計が終わり、待ち時間が減らせるのでレジの数も減らせる。
    一方クレジットカードが持てない人も少なからず存在します。ブラックリストに載ってはカードは作れません。キャッシュレス社会では生活に困ります。その対策がデビットカードではないでしょうか。特にJCBが力を入れていますね。楽天銀行、セブン銀行もキャッシュカード兼用のデビットカードを発行し始めています。ガソリンスタンドなどでは使用できない場合もありますが、多くの場合クレジットカードと同様に使用可能です。
    消費税率の変更にも対応が容易です。消費税率引き上げに合わせてコインの廃止は検討する価値はあるのではないでしょうか。

  2. てら 投稿作成者

    ケイタイオタク さん コメントありがとうございました。一時的にコメントが通らない状態になっていたようでご迷惑をおかけしました。

    たまたま本日の朝、駅構内に置かれたコインの使えない飲み物の自動販売機が紹介されていたのですが、その自動販売機はスマホのアプリと連動し、QRコードを読み取ることで販売予約した飲料を受け取ることのできる仕組みなのだそうです。

    自動販売機とコインの関係は以前あった韓国の500ウォン硬貨を500円玉と誤認させて安く品物を購入する行為が話題になったこともありましたが、確かに新たな偽造技術が現れればすぐに対応しなければならないので、今後も製造コストは上がることはあっても下がることはないでしょう。そういう意味ではキャッシュレスの自販機はこれから増えてくるのかもしれませんね。

    クレジットカードが使えない人のための代替措置としてデビットカードがありますが、現状では意外とMVNOなどネット関連の支払いに使えないところがあるというのが今後なんとかしてほしいところです。私自身も今後、持っているクレジットカードが使えなくなるようなとんでもない事態に巻き込まれる恐れは0ではないので、もしそうなったらいま契約しているMVNOは全て使えなくなってしまう可能性すら出てきます。現状の変更がデビットカードでは無理なら、一ヶ月の利用額を極端に低くすることで、ブラックリストに載った人にもクレジットカードを使えるようにしてくれれば日常生活の最低限の決済が可能になり、首都圏での生活なら本当に小銭入らずの生活が現実味を帯びてくるかもしれません。

  3. ケイタイオタク

    デビットカードも高速道路で使えないとかガソリンスタンドで使えない(楽天銀行のデビットは残高が1万円以上あれば使用可能と聞いています)がMVNO以外では問題ですね。少なくともMVNOでは銀行預金と連動しているデビットカードについては口座振替と同様に考えてシステムを考えてくれると良いのですが。
    MVNOでも楽天モバイルは楽天銀行デビット、スルガ銀行デビット、nifmoは出来な場合がある、と限定されますが、可能な場合もありますね。ただクレジットカードを持てない人は多少不便を強いられるのは仕方がないと思います。それだけ金銭管理が出来ていなかったと言う事だったわけですから。
    おサイフケータイはむしろ地方の方がメリットを感じられるのではないでしょうか。地方だとチャージ出来る店まで行くのが大変です。
    同じように小銭いらずの生活と言うのは地方こそ普及させるべきでは。地方だとつり銭を用意する為に金融機関に行こうとしてもすぐに20㎞~40,50kmとなってしまいます。
    コインレス社会は地方こそ先に充実させるべきではないですか。

  4. てら 投稿作成者

    パソコンを使った在宅での仕事をこなし、スマホやタブレットも使いこなすだけのスキルが有る人にとっては、もはや住んでいる場所が重要ではなく、いかに快適なインターネット環境が整備されているかの方が大切だというところもあるでしょう。過疎化によって町が消滅してしまうことを危惧した地方自治体の中には、光ファイバーを全戸に引くことで新たな転入者の確保に努めているところもあります。

    政府が今後、こうした過疎化が起こっている地方にどのような政策を考えているかはわかりませんが、地域の買い物需要を担っている商店について、ネット網整備に関する補助や、キャッシュレス化を推進するための予算を確保してくれることでも未来は変わるような気がします。

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