災害で土地を離れても続けられる「仕事」「学校」の必要性

先日、また震度4という大きな余震が起きた熊本地方ですが、その直後に記録的な大雨が降り、死傷者も出る災害となってしまいました。今後も大雨が降る可能性があるとの事ですので、現地で生活している人にはできるだけ土砂災害の恐れがないような場所に逃げて安全を確保して欲しいのですが、今回はそうした災害に対峙する際の行動にまつわる事について考えてみます。

少し前の事ですが、建築家で車中泊にも通じる「モバイルハウス」を利用した0円生活を提唱する坂口恭平氏の熊本地震に遭遇した際のコラムを読む機会がありました。この方は元々東日本大震災で福島第一原発事故が起きたことで、それまで住んでいた横浜から実家のある熊本に移り住んだという事でも知られています。

当時東京近郊に住んでいる方の中でも、放射能汚染を恐れ、放射能汚染の心配のない地方へ移住する方はいたようです。坂口氏はその主張として、自分の家を持たず、土地にも執着しない生き方を実践しておられたことは存じ上げていたので、あの地震の後どうしたのかと思って興味深く読ませていただいたのですが、今回の熊本地震における逃げっぷりも見事という他なく、最初の地震が起こった4月14日から数えて5日後の4月18日には熊本から横浜に居を移してしまっています。

今後も坂口氏家族はさらなる逃避行をされるのだと思いますが(元々放射能の影響が恐ろしくて熊本に逃げてきたという事ですから)、これから坂口氏の子供が大きくなるにつれ、現在と同じようなペースで家族で逃げ続けることができるのかという事は少々気にかかります。幸い坂口氏はツイッターやコラム、著書などによる発信を今後も続けていかれると思うので、その動向について今後も注目していきたいと思っています。

ただ、全ての人が坂口氏とその家族のように身軽に逃げられるわけではなく、普通に一つの場所に留まらざるを得ない一般の人がいるという事も確かです。私ですら今いる場所を完全に捨てて車上生活をしながらでも逃げられるかと言われるとちょっと考えてしまいます。

それでも、できることなら余震に怯えることない場所まで逃げたいと思っている人は少なくないでしょう。さまざまなしがらみがある中で、安全な場所に避難できる環境を整えていくことが大切だとしみじみ思います。

今回のように地震のショックも冷めない中で、大雨の影響による土砂災害で命を落とす人が出てしまうというのは大変ショックなことでした。何とかして余震や土砂災害の心配をしない場所へ多くの人が避難できる方法がないものでしょうか。

現実問題として家族が生活の基盤として根ざした場所から離れる場合、新しい土地に移り住むためにはいったんやめたり諦めたりしなければならない事があります。それは仕事だったり子供の学校だったり、長い間お付き合いをしてきた近所の方や友人との絆だったりするわけですが、連日のように余震が起き、夜中に揺れていないのに目が覚めてしまうような精神的な影響を生むよりも、山や川を超えて、それほど余震や土砂災害の影響の少ない所に車で移動して、そこで車中泊するだけでも違ってくるでしょう。しかしそれができないというのが多くは生活の基盤が災害の被災地を中心にして存在しているからだと思われます。

避難生活が長期化する中、学校をどうするかを考える時、例えば正式な越境入学でなくても災害の影響が少ない所にできた避難場所で現地の教諭が勉強を見てあげることで学校に行ったのと同様な就学の仕組みを作るとか、逆にタブレット端末を配るなどしてテレビ電話システムを使った大学予備校のようなビデオオンデマンドによる授業を先生と生徒を結んでどこでも受けられるという方法も考えることができるでしょう。仕事についてもそもそも会社に毎日出社するのではなくて、電話およびモバイル通信とパソコンを使ってある程度距離のある場所でも打ち合わせは電話で行ない、細かな資料などはデータ通信で送ったりという在宅勤務の仕組みを作り、出社は毎日でなくても大丈夫な働き方を容認するとか、できることはあるはずです。

学校や企業だけでなく政府や地方自治体がそうした取り組みに助成するなどして、普段からある程度の在宅でもできる仕事や学習をこなせるような業務を当り前のものとして、いざという時に遠くへ逃げても仕事や学習が続けられるような仕組みがあれば、だいぶその後の暮らしは変わってくるはずですし、小さな子供を家で世話をしながら仕事ができるといというような事ができれば、災害が起こっていない平常時の生活すらも劇的に変える原動力になるかも知れません。

今回の熊本の場合、土地から離れることのできない農業に従事している方も多く、単純にモバイル通信を使った方法だけでは物事を解決できない部分も出てくるかと思いますが、サラリーマン所帯だけでも人が被災地から移動すれば、残った人もできる限り危険の少ない場所を選んで避難生活が送れるようになり、被災地でのストレスという点でも軽減が期待できます。

さらに、完全に在宅のままでネットが繋がってさえいればできる仕事が一般化すれば、そもそもどこに住んでいても仕事として成立するわけですから、日本全国に散らばる社員を電話とネットだけで結ぶ会社があってもいいような気もします。まずは熊本の被災地で避難生活を続ける方々が、今後の余震が続くかも知れないという状況で、災害の不安だけでなく仕事や学校についての不安を解消していけるような取り組みが行なわれることを期待します。


カテゴリー: 防災コラム, コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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