紙の手帳が今だに使われる状況

昨日、たまたまテレビを付けていて目にしたのが、糸井重里氏が社長をしている「ほぼ日」という会社が運営している老舗のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」から派生した「ほぼ日手帳」を使っている方の様子でした。

会社組織化した「ほぼ日」の稼ぎ頭として多くの人に認知されている「ほぼ日手帳」は毎年一冊購入して利用している人だけでなく用途によって複数の手帳を使い分けている方や、スクラップブックのように押し花や紅葉、旅行の際に使った切符などまで貼り込んで、ものすごく分厚くパンパンになった状態で使っている方もいました。

ここで思ったのは、現代に生きる人たちがスマホなしでは生活ができないほど電子デバイスに影響されていながらも、まだアナログな紙の手帳を毎年使い込んでそれなりにいるという事実でした。糸井さんの会社の作る手帳は他の手帳と比べると高額に思えますが、使っている紙の質も良く、コストに見合った価格であると番組では紹介されていました。さらに手帳の欄外には過去のサイトに掲載された文章から厳選したフレーズが毎日見られるように違ったものが編集されて掲載されており、サイトのファンにとっては嬉しい情報であふれていて、それが人気の秘密であるとも思えました。

紙の手帳をあえて使い込む理由ということについて考えてみると、そこにはデータを電子化することの弱点に気付いて紙の手帳を選択したようにも思えます。自分で過去の事を振り返る必要に迫られた場合、具体的な日時に何をやっていたかということをひもとくためには、デジタル情報というのは読みやすくまとまってはいるものの、その時の雰囲気を改めて思い出すためには、やはり余白にメモを書いていたり色を変えていたり、ちょっとしたいたずら書きのようなイラストがあったりした場合、そうした細かなディテールとともに思い出すことがあるというのはアナログ情報の詰まった紙の手帳の強みです。

さらに一年一冊という形でその年の自分が行なったこと全てが一つにまとまっている手帳という「物」があることもしっかり保管できていれば電子データより便利な部分があります。何しろ起きた年がわかれば必要な年の手帳がすぐに取り出せますし、月と日付によってすぐにアクセスできる利便性さえ兼ね備えているのが紙の手帳ではないでしょうか。

文字や写真を電子データとして保存している場合は、すぐに目的のデータにたどり着くためには、検索に関するノウハウが必要になります。ただ、これは電子データ特有の問題として、そもそも古いデータがスマホ上には残っていなかったり、さらに古すぎて読み込めるアプリが見付からなかったり、画像の変換作業ができなかったりする可能性さえあります。紙の虫食いをメンテナンスする以上に、それまで使っていたアプリを変更した場合、新しいアプリやソフトで、過去のデータに同じようにアクセスできるのかということを定期的に確認しておかないと、必要な時に文字化けしてしまって見られないような事や、OSを乗り換えたり、OS自体の大幅なバージョンアップがあった後だと、そもそもファイルすら開けないような事も起こり得ます。

そして、多くの人が何となく感じていることであると思うのですが、手帳に日記や旅行記を書くのと、スマホのアプリで日記や日々の行事についての雑感を書くのとでは、長文になればなるほどスマホで日本語を入力するためには小さな画面上に現われるキーボードから入力しなければならず、書くだけでストレスになるからではないかとも思えます。

このような手書きでは発生しないものの、デジタル媒体を利用する場合に起こってくる問題として「デジタルストレス」と呼ばれるデバイスを使って書いたり保存することでのストレスがあることを理解し、その対策を考えた上で電子データの保存を考えないと、後になって困ってくることも出てくるでしょう。そうしたデジタルストレスに対しての対応ができないと思ったら、現状ではまだ紙の手帳をメインに使った方がいいのではないかとすら思えてきます。

私の場合を考えてみても、バソコンを使い始めた頃はマックで、その後Windowsに移行したことで、マックで使っていたファイルが使えなくなったり読めなくなったものが多くありますし、今後もしっかり考えた上で保存していかないと、読めなかったり使えなかったりするファイルが増えてしまう可能性は残ります。ただ、私自身はこのようなブログを始めたことで、各種パソコン・スマホのどれでも同じように過去の自分の状況を確認できるようにできました。なぜブログを書くかというのは、本当に自分の過去の事を思い出すためというところもあるのです。ブログに書いたものの他に、ごくプライベートな出来事は別に分けなくてはなりませんが、一部このブログは自分の手帳代わりということにもなっているのです。

ただ文章だけでなく自分で描いたイラストも保存しておきたいような場合には、キーボード入力の方が手書きより楽だと思っても、まだまだ電子デバイスによる記録だけでは満足できないところもあるかも知れません。タブレットの中には専用のペンでイラストが描けるくらいにクオリティが高いものも出ていますが、そうした機能が全てのスマホ・タブレットに装備されない限り、なかなか紙の手帳から乗り換えるだけの決断は下せないのではないかと思います。だから今でも紙の手帳には一定のニーズがあり、ヘビーユーザーはより一層紙の手帳を使い込むような形になっていくのだろうと思います。

そんなわけで、まだまだ需要もあり誰でも簡単に使える紙の手帳と、予定の30分前にアラームで知らせてくれるようなスマホのスケジュール帳や電話帳のような機能とを合わせて使うような形が、現状での記録の残しかたとしてはベストな方法かなと思わざるを得ません。ただし、そうして毎年たまっていく手帳を後でどうするのかという事を考えると、電子化もやむなしということに最終的にはなってくるような気もします。その前に、イラストを描いて残すことはすぐには無理だとしても、マックでもウィンドウズでも、iOSでもAndroidでも、同じように使えクラウドに写真や動画・音声、日記やスケジュールなどをまとめて保存できる画期的なアプリの出現を期待したくなります。それこそ「ほぼ日」の作った電子手帳サービスなんてものが出てきたらどうなるかと考えると、新たな展開も広がってきて楽しみです。


スポンサーリンク

コメントを残す