政府・金融庁が銀行店舗の平日休業を可能にする規制緩和について検討しているというニュースが報じられました。現在は、利息が付かず小切手のやり取りが企業間の決済に利用される「当座預金」を扱っている場合は土・日祝日および年末年始以外に休めないようになっているそうなのですが、この内容について緩和させることで、平日にも銀行を休みにできるように考えているようです。
これは、少子化も原因の一つとしてあるのでしょうが、人口が都市に偏ることで、地方で人口が減っている地域に支店を持つ金融機関については支店そのものが不採算化している状況に対応したものになるそうです。逆に言うとこうした検討がなされる背景には、この国はもはや少子化に対しての対策を講じきれていないというところもあるのだと思います。この点については見通しの甘さを責めなければなりませんが、現実問題として今や地方の郵便局においても存続することが難しい状況の中、銀行の不採算部門を何の対策もしないでそのままにはできないということになるのだろうと思います。
実際、銀行が平日休みになるというのはどんな風になるのかと考えてみると、例えば地方に多くの支店を持つ銀行は、全ての支店を2つのグルーブに分けてAグループが月・水・金営業に決まったとすると、Bグループが火・木営業という風に分けることで人員をAとBのグループの近くの支店で行き来させることもできるようになります。利用者側としても違うグループの支店が車で行けるぐらいの場所にあれば、いざという時には時間を掛けても開いている支店の方に行くということができます。こうした事ができるようになれば、最近とみに多い地方の銀行や信用金庫で見られる店舗の統廃合の動きを止めて支店そのものは維持することも可能になるかも知れません。
その他にもインターネットによる決済を利用していれば、直接店舗まで出掛けなくても済むわけですし、今まで窓口でしかできなかったことでもネット上で完結させることができたりできるようなら、近くの取り引きのある銀口の窓口が開いていなくても大丈夫な人はそれなりにいるのではないかと思います。
インターネットが使えないような方ももちろんいると思うので、さらに銀行は自店舗がなくても預け入れ払い戻しができるコンビニのATMが使えるようにするだけでなく、その手数料についても無料化を考えるとかすれば、個人のニーズについては十分なところもあるように思います。たまたま見た同じ金融系のニュースによると、郵便局のATMは基本手数料が無料になっていますが、ゆうちょ銀行はコンビニのファミリーマートに置かれているイーネットのATMで郵便局のキャッシュカードを使う場合、来年の1月15日から平日の午前8時45分から午後6時までと、土曜日の午前9時から午後2時までは入出金の手数料を無料にするそうです。
同じように、地方の銀行や信用金庫でもコンビニATMからの入出金が無料の時間帯を作ったり、振込が自行のATMからと同じくらいの手数料で収まるようになれば、あえて支店に人を置いて営業をしなくても済むような状態が生まれてくるのではないかと思います。
個人的にはあえて現金を出さなくても銀行口座やクレジットカードからチャージした電子マネーを全国どこでも簡単に通用させる仕組みを作っていただいた方が、銀行が閉まってしまうことを気にしなくても、夜間休日関係なく手数料を払うこともないのでいいのですが、もし過疎地の商店でも電子マネーが通用するようになったら売上げも即時にお店の持っている口座に移動させることができるようになるわけなので、かなりの人員削減を期待できます。
電子化されたシステムはどうしてもハッキングされてしまう危険性も持っているということで、今の中国のようなQRコードとスマートフォンを連動させての決済というのは難しいのかも知れませんが、人を雇うコストを考えれば、かなり思い切った方法も取れるのではないかと思います。比較的都市部よりも山間部や海辺の町など人口が減っているところを訪れる機会が多い車での旅行者にとっては、財布の中味を気にしなくても安心して旅に出掛けられる状況というものができれば、今よりもっと手軽に旅に出て、土地のものを購入もして、それを電子マネーで払うことができれば、実体がないだけに思わず土地の人情にほだされて余計に買う人も増えてくるかも知れませんし、より地方の良さを認識した人たちが都会から移り住むきっかけになるかも知れません。人口減少で銀行の営業が縮小というとあまり明るい話には思えないかもしれませんが、何事も物は考えようです。
お久しぶりです。
フィンテック革命が金融機関に及ぼす影響は個人に無関係ではないですね。日本は世界でも比類なき現金社会ですが、それがフィンテック革命が及ぼす金融界の変化に日本社会が対応を難しくさせている事がわかっていない人が多い。
フィンテック革命は金融界に大幅なコスト削減を求めるものですが、金融機関で最も大きなコストが発生するのが現金を取り扱う業務と言う事は金融機関の幹部も言っています。
地方での金融機関の削減は避けられない。ただですら人口減少で維持が難しいのにコスト削減など支店などの削減無くしては考えられない。となればコンビニですら探すのが大変な地域では現金主義を維持する事は不可能。むしろ地方こそ電子マネー特におサイフケータイ機能の普及が必要だと思うのですが、地方の保守的な高齢者はITなど受け入れようとはしない。だったら滅びなさいとさえ言いたくなる。
極論すればキャッシュレス社会を受け入れるか消滅かでないでしょうか。
キャッシュレス化して電子マネー、クレジットカード、デビットカードに対応すれば補助金を交付するくらいに施策が必要だと思います。
ATMの共通化を妨げているのは通帳の規格がバラバラで統一できていないからです。新生銀行が自前のATMを廃止してセブン銀行のATMに置き換えられたのは通帳を発行していなかった事が大きい事は新生銀行の幹部も認めていると言う。預金者のATM使用料を負担してもATMを自前で設置するよりコスト削減になるそうです。
メガ銀行では業務削減と人員削減を打ち出していますが、次には通帳の廃止を打ち出すのではないでしょうか。問題はネットバンキング出来ない預金者をどうするか。年間一度くらいは入出金記録を無料で郵送するが、毎月などの場合には有料化する。実質的に口座維持手数料を徴収するようになるのではないでしょうか。
あるいは事前に登録したアドレスには暗号化したメールで送信してワンタイムパスワードなどで閲覧、印刷出来る様にするのではないかと思っています。
ケータイオタクさん コメントありがとうございます。
日本の社会システムの行き詰まりというのは、電子マネーの問題と未だに有線の回線に依存する状況にあると今では考えるようになってきています。ADSLは2023年に終わると発表されていますが、光回線が通じない一部の地域ではADSLを続ける可能性は残るのだそうです。私を含めてですがなぜADSLに依存しているかというと、とにかく光回線にすると手間を掛けた割にはADSLと変わりばえがせず、何より料金が高くなるということです。それまでのISDNによるインターネットがメタル回線を使ったADSLに駆逐されたのは、そのクオリティとともに何しろ料金が安かったからです。
過疎地で光回線が届かないところでは無線技術を使って(5Gや衛星携帯電話)を使ってサービスを提供すればいいだけなのに、日本では既得権益を守る人たちがいるのかどうかわかりませんが、光回線に固執しすぎなような感じがしてなりません。お隣の中国ではとにかく国土が広すぎて有線のネットワークを維持することは無理だと諦めて、ラジオは短波で伝達し、電話は早くから携帯電話が普及しました。日本と比べると過疎地ほどスマホが普及しているのかも知れません。
それと同時に電子マネーについてもQRコードをスマホにかざして決済する、つまり「おサイフケータイ」の技術がなくても使える電子マネーが普及しているのが大きいでしょう。中国では物乞いをするにもQRコード経由で電子マネーを恵んでもらったり(^^;)、お賽銭を上げるにも賽銭箱にQRコードが貼ってあるほどに電子マネーが当り前に普及しています。山間部の秘境で商売をしていても、スマホでインターネットさえ利用できれば電子マネー決済ができるので、今の中国ではどんな田舎でも電子マネーが使えるところがほとんどで、その点では日本のシステムはとても太刀打ち出来ないでしょう。
今の日本でも月500円+税を払えば、ラインモバイルでデータ通信SIMが使え、利用料金は銀行口座から充当できるのでクレジットカードは作りたくない人でも簡単に持てます。あとは中国のような専用の機材のいらない電子マネー決済の方法を一本化するだけでいいわけです。買いにくる観光客のほとんどが電子マネーでの決済しかできないのであれば、タブレット一台に安いSIMを入れれば、やろうとさえ思えば日本でもできるはずです。
あと、話題は違いますが、いよいよ日本でもグラミン銀行が日本でも営業を開始するそうです。個人でなく何人かを束ねたグループでまとめて借入の相談をして、グループ全体で返していくことで無責任に返さない人を排除し、無担保でも数十万円くらいから貸していき、返済実績によって貸出金額を増やして行くそうですが、そうなると別の意味で日本の銀行の存在意義が問われることになります。