先日、山梨県にシダレザクラや一本桜を見に行った事を紹介させていただきましたが、調べてみたら私の住む静岡市内にも樹齢300年を超えるのではと思われるシダレザクラの巨木があるということで、お昼を食べてから出発しました。山道を長いこと走るものの、車で1時間かからずに到着することができる場所に咲いている桜です。
場所は静岡市葵区栃沢にある「栃沢のシダレザクラ」です。全国にある一本桜は、地元の方々が長い間守ってきているものの、どういう理由で植えられたのか、それとも鳥や動物が種を運んできて自然と芽吹いたものなのかというのはなかなかわからないものも多いと思うのですが、この栃沢のシダレザクラは植えられている場所に特徴があります。

この写真の桜がそうなのですが、左側にある家と手前にある茶畑が大きなポイントになっています。この家は古くから続く米沢家の家で、恐らくそのお家の方が植えたのだろうと思います。実はこの米沢家、中国から命がけの航海で日本にお茶の種を持ち帰った円爾(えんに・後の聖一国師)という鎌倉時代中期の臨済宗の僧で、この米沢家の出身なのです。
ここ静岡では「お茶の祖」として有名ですし、福岡では博多祇園山笠の産みの親としても知られています。食べ物でも福岡の名物であるうどんも円爾が中国から持ち帰ったという説があり、現代の私たちの生活とも関わりのある人物なのです。
家の前にはその円爾が持ち帰った茶の実から栽培したものだろうと思われるお茶(この地域は本山茶の原産地)畑があり、家の横には聖一国師生誕の地の石碑もあります。
さらに、写真でもわずかに見えていますが、桜の木の下には祠があるのですが、これが何と、日本三大八幡宮である九州博多・筥崎宮(はこざきぐう)の日本唯一の分社になっています。静岡と博多祇園山笠には実際に静岡の代表の方々が聖一国師の生家の水をくみ、その水を福岡に空輸し、追い山笠でその水を静岡の方がかけるという流れで参加をしているのです。まさに聖一国師が取り持った縁とでも言えましょうか。
桜と筥崎宮分社との関係もかなり古くからあるのだろうと思います。この桜の樹齢は300年ということですが、そうなると桜が植えられたのは江戸時代中期で、町人文化も発展しそうした中で桜・祠・茶畑というようなものが形作られていったのではないか? と思いながらこの桜を楽しんできました。静岡市中心部からも近い一本桜、機会がありましたらぜひどうぞ。