現在、私が加入している電力会社は昔からお世話になっている中部電力で、いわゆる新電力会社には入っていません。果たして新しく電気会社を変えた方が良いのかどうかわからない中で、少ない金額で掛けることのできる「少額保険」の案内がメールで来ました。
それが「停電費用保険」というものです。
この保険は中部電力の電気プランに加入している人のみが入ることができる保険なのだそうで、保険料は月々150円とお手軽です。その内容は「5時間以上」の停電で発生すると思われる以下の費用を請求すれば出してくれるということです。その内容は以下の通りです。
・冷蔵庫の中味がだめになった場合の買換費用
・ポータブル電源等の購入費
・非常用照明の購入費
・自宅から避難先への交通費
・乾電池の購入費
・簡易トイレの購入費
・故障した家電製品の修繕費
実際にかかったこれらの費用の「合計額」を「最大1万円」まで補償するということなのですが、冷静にこの保険は便利なのか考えてみることにしました。
まず、日本国内での停電時間はどのくらいなのかということから考えてみます。ライフラインがぼろぼろになるような大きな地震が起きれば別ですが、現在の日本の電力会社は優秀なので、一瞬停電しても比較的早く復旧することが多いです。過去に、私の住む地域で台風がやってきた時、山間部にある送電施設が倒壊し、その事実をしばらく電力会社がつかめなかったことから、半日以上停電が続いた地域がありましたが、私の自宅は無事でした。ただその時は私の職場が停電の被害を受けたので、荷物を運び込むエレベーターが使えずに、人力で一部動かすようなことはした記憶があります。
しかし、私の体験の中で5時間以上の停電があったのはその時だけで、そのために少額であるにしても毎月コツコツと保険料を支払うのかとまずは思いました。
そして、もう一つの問題なのが、実際に出る保険金の額が合計1万円と少ないことです。上に挙げた条件のうち、保険金で賄えそうなのは「冷蔵庫の中味」くらいではないでしょうか? 実際に停電が長引くとモバイルバッテリー・乾電池・照明器具・簡易トイレは容易に手に入るかと言うと、停電が解消してそれらのものが必要なくなった後ではないか? と思います。また、避難場所への移動にタクシーをお願いするとしても、同じ事を考える人は多いと思うので、簡単には利用できないというのが正直なところです。徒歩や自転車で移動しても保険の対象にはならないと思うので、あまり意味がない条件かと思います。
さらに、家電が壊れた場合の修理費が1万円以内で済むかということを考えた場合、それなら火災保険(地震保険)の家財についてしっかり入っておいた方が、買い替えもできる可能性があるので、そちらの方が良いのではないかと思います。
そもそも、5時間以上の停電が起こってから必要なものを買いに行くという考え自体が現実的ではないので、日頃の準備をしっかりしておけば、こうした保険に加入する必要はないと思います。具体的には、自宅の冷凍庫に常に保冷剤を入れておき、いざという時には大き目のクーラーボックスに保冷剤と食材を入れ替えることで、5時間くらいであれば冷凍食品以外であれば何とかだめにせずに食べられるようにできるのではないでしょうか。
また、モバイルバッテリー・ポータブル電源・LED照明・簡易トイレ・乾電池(充電池の方が良いと思いますが)あたりはセールなどで安く買える時に徐々に揃えておき、いざという時に使えるようにしておくことが大事だろうと思います。こうした装備は長く置いていてもそこまで劣化するものではないので、最低限のものは自分で用意する方がこうした少額保険に入るよりは良いのでは? と私は思います。