対応スマホと通信衛星とを直接やり取りし、テキストメッセージでの送受信を可能にしたauのStarlink Directや、今後それより低い軌道で大きな衛星を使って全国エリアでの通話およびデータ通信を目指す楽天モバイルが、通信衛星とスマホとの直接接続による通信サービスの充実を目指しています。
そういった取り組みはユーザーにとっては有難いものの、いったいどのくらい費用がかかるのか(毎月の利用者のコスト)、さらに衛星は米国の企業のものを借りて運用するということもあり、もし何かが起きたらサービスが続かなくなるのではという不安も出てきます。
まだこの種のサービスを発表していなかったドコモとソフトバンクは、通信衛星でなく飛行機を使うという話をちょっと聞いていて、それで通信衛星と勝負になるのかと思っていましたが、今回ソフトバンクが新たなメッセージとしてメインの空中基地局を飛行船にすることを発表したので、色々と自分でも調べてみました。
飛行船は飛行機と比べると、ヘリウムガスを中に入れて浮力を得ることから、飛行機と比べて少ない燃料で飛べ、基地局として空中に長い期間(一年中空に留まることも想定されているそう)留まるためのソーラーパネルを設置するためのスペースも取りやすいということで、より太陽エネルギーを蓄えやすい形状をしています。
ソフトバンクの発表によると、この飛行船は衛星ほどの高さではないものの、気球が飛ぶようなかなり高くを飛び(高度は高度20kmで一機で200km程度のエリアをカバーできるそう)、とりあえずは災害が起こって通信手段がなくなった場所まで飛んで行ってそこで通信需要を満たすことを考えているそうです。
それこそ、能登半島で地震が起こった時には、現地へ行く道が無くなり、さらには海からも行けないような交通遮断された状況が起こりました。しかし、上空から罹災している人が多く集まる場所まで臨機応変に飛んで行けるというのは大きなメリットでしょう。
個人的に不安だと思ったのは、従来の飛行船の観念でいると悪天候で落雷が発生している場所へ行っても大丈夫なのかという点もあったのですが、上空20kmという高さは雲の上なのだそうで、いったん成層圏まで上がってしまえば天気は関係ないということになります。その状態でもし安定して長期間ソーラーパネルを使った空中基地局を浮かべられるのであれば、衛星のようにロケットで打ち上げなくても良くなるわけで、飛行船でもそれなりに維持コストはかかるものの、衛星よりはさすがに安くなるのでは? と思いますし、それで利用者のコスト上昇を抑えられるのであれば、それはそれで悪くない選択肢であるような気はします。
少なくとも今後、災害対策として使われるものについては、追加料金は請求されないだろうとは思いますが、衛星と飛行船の運用に関する費用にどのくらいの差があるのか、その辺がわかってくれば、また新たな展開も出てくるでしょう。やりようによっては、十分通信衛星によるサービスと対抗できるのではないかと思いますし、逆に飛行船による空中基地局の方が、不具合が起こったら地上に戻して修理してからまた戻すということができるなら、トラブルメンテナンスという観点でも安定してサービスを続けられるという可能性もあると思います。
こうしたソフトバンクの発表を受けて、現在自社契約では料金を取らないものの、サブブランドやMVNOからは多少金額の上下はありますがしっかり利用料を取るau、料金については不明な点のある通信衛星を使う楽天との対抗として、ドコモがどんな手段を提案してくるのか期待は大きいですね。
今回ソフトバンクが非衛星の提案をしてきたので、ドコモは飛行機(今回の飛行船と同じように、私たちが普通に考える飛行機とは違うものかも知れませんが)で行くのか衛星を使うのか、はたまたこちらが全く想像できないようなものを出してくるのか楽しみに待つことにします。