防災ラジオの実力派キュリオムYTM-R100はあえて手回しや乾電池を入れて使わないようにする事で別の味が出る

インターネットでラジオを聞く便利さに今はどっぷりはまっている私ですが、それとは別に物としてのラジオも好きで、コレクションのようについ集めてしまっています。先日は防災ラジオの東芝TY-JKR6を購入してレビューしたばかりなのですが、先日またコレクションを増やしてしまいました。キュリオム(山善のブランド)のYTM-R100です。

私が手回し発電のできる防災ラジオを購入する場合の第一の選択は、ラジオやライトを使うために蓄電する電気を、10年間使わなくても利用可能なキャパシタ(コンデンサー)にためられるかどうかということです。内蔵のニッケル水素電池やリチウムイオン電池という「電池」に電気をためる防災ラジオの場合、化学反応で蓄電する電池の場合、数年使わないと蓄電が極端にできなくなる可能性があるので、残念ではありますが国内のラジオ製造では大手のパナソニック・ソニーの防災ラジオは私の購入の候補には全く上がっていません。

防災ラジオについては、先日購入したばかりで同じ国内メーカーの中で唯一キャパシタを内蔵している東芝の手回し充電ラジオ「TY-JKR6」を持っているのですが、今回購入の「YTM-R100」を含めてまずは2機種の比較をしながら、その性能の使い勝手について具体的に見ていきたいと思います。

まず、ラジオを扱い慣れている人といない人とで使い勝手に大きな差が出てくる点がその「選局方法」にあると言えるでしょう。スマホは画面上のものを含めボタンを押すことでアプリを動かすことが普通な人からすると、このYTM-R100が採用しているダイヤルを放送局に合わせる「アナログチューニング」というのは目的の放送局に合わせるのが難しいのではないかと思います。アナログはデジタルと違ってぴったり放送局の周波数に合わせることはできず、大体の周波数のところにダイヤルを合わせつつ、アンテナの向きを調整しながら一番良く聞こえる場所にラジオを置く必要があります。この選局自体が慣れないと大変なので、いざという時にアナログチューニング式のラジオを使える自信がないという方は、デジタル表示の一発選局ができるタイプのラジオ(今回比較対象のTY-JKR6はそのタイプ)を選ぶべきだろうと思います。また、アンドロイドのスマホを使っている場合、スマホ自体がFMラジオになるアプリと回路がスマホ内に入っている場合があります。その際の操作はアプリの操作でスキャンしてボタン一発選局できるので、全てをスマホ一台で済ませる方が良い可能性もありますね。

では、なぜ古くからあるアナログ式の選局方法のラジオを使うのかということですが、それはデジタル方式のものより同じ容量の電池で長く使えるという、防災ラジオの基本を抑えているからです。TY-JKR6で手回しでキャパシタを満充電した場合、スピーカーからラジオを聞ける時間は、AMでもFMでも連続約15分というカタログ値ですが、YTM-R100では、同じ条件でのカタログデータは、FMで約40分、AMだと約60分とTY-JKR6よりも最大45分も長くラジオを聞き続けることができます。また、電気が切れてきて音が小さくなっても、ラジオのボリュームを上げることによってまさに残った電気を絞り出すように聴取時間を伸ばすこともアナログ方式の良い点です。デジタルの場合、一定の電気がないとどうやっても絞り出すような電気の使い方はできないので、本当に困った時の防災ラジオとしては、アナログ方式のものの方が良いというケースが多いのではないでしょうか。

また、YTM-R100は東芝のラジオに採用されている単四電池2本で動くのではなく、より大型な単三アルカリ電池2本で動くようになっています。ちなみに、TY-JKR6にアルカリ乾電池を入れた場合、AMとFMともスピーカーから連続30時間聞き続けられるのに対し、YTM-R100はFM120時間・AM180時間と桁違いの持続性を誇ります。災害時に電池を入れて使える状況であれば、もう電池切れの心配をしないで聞き続けられるだけの体力をYTM-R100は持っています。それでいて大きさはそれほどTY-JKR6と変わらないので、こまめに手回し、電池交換をするのに問題がなく、一発選局に魅力を感じるならTY-JKR6を普段持ちのラジオにするのも良いでしょうが、災害時を考えると色々考えないで使えた方が私は良いと思うので、YTM-R100の方がより実用的だと思います。

ちなみに、メーカーの方ではエネループのような充電式の単三型電池の使用は感電や故障の原因になるということで、名確にその使用を禁止していますのでご注意下さい。ただ、このラジオは付属micro-Bケーブルとモバイルバッテリー(5V/2A以上・容量5000mA以上を推奨)を接続することで内蔵のキャパシタに充電できるだけでなく、疑似外付バッテリー、さらには疑似ACアダプター(USB出力のある汎用ACアダプターでの利用も可)でも使えるようになっています。

試したところ手持ちのエネループを入れても使えました。これはあくまで自己責任の上で行なうことなので、個人的にオススメできる使い方かどうかは何とも言えません。そんな感じでエネループを入れて使うことに躊躇される場合には、モバイルバッテリーを接続しての利用ができるのも実はこのラジオを使う場合の大きなポイントです。取扱説明書にある「5V/2A以上・容量5000mA以上」のモバイルバッテリーはスマホを充電する場合、比較的早く使い切ってしまいますが、ラジオの充電および連続使用に使うのであれば、乾電池以上に長く使える可能性があります。そして、価格についても安価に購入できるでしょう。

モバイルバッテリーを接続してこのラジオを使い続ける場合、過充電になってしまうのではないかという危惧を覚える方もいるかと思います。この点については説明書にそうした恐れについての記載がない事に加え、このラジオについてのレビューをネットで検索してほぼ唯一きちんとしたレビューとして出てきたブログ「もうこんな時間なの!?」では、外部電源orACアダプタで内蔵キャパシタを充電した場合、およそ3分でほぼ満充電、7分で満充電になるだろうというUSBチェッカーを使ったデータ込みの調査結果や、バッテリーやACアダプタをラジオとつなぎっぱなしにしても、恐らく問題ないのではという見解が書かれています。もちろん、外部から充電するため、バッテリーやACアダプタをつないだまま使うとノイズが乗る恐れもあるわけですが、私が使ってみた場合はそこまでナーバスにならなくても何とかバッテリーを接続した上で使えました。

写真のように、バッテリーと空になったYTM-R100を接続すると、モバイルバッテリーのランプが付いて充電が始まります。上記ブログで書かれている通り、大体3分ぐらいでモバイルバッテリーからの給電が終了しました。データ通りこれだけで手回しで充電しなくてもキャパシタにモバイルバッテリーから給電を繰り返せば普通に使うにはまず電源に困ることはないでしょう。このラジオは満充電された状態でラジオを聞いている時には、本体のバッテリーマークのLED(緑)と周波数の同調マークのLED(赤)が両方点灯しますが、そのまま電源に接続しないで使っていると、半分くらい使ったところで赤の同調LEDが消え、その後、ラジオは聞けるもののバッテリーマークの緑LEDが消えたら充電のタイミングになります。上の写真のようにラジオ本体とモバイルバッテリーを接続して充電するようにすれば、スマートに使い続けられるようになるわけです。

さらに、私が用意した持ち出し用災害対策グッズの中にリュックの中に入る小さめのソーラーパネルがあるのですが、ラジオを使わない時にそれを使ってモバイルバッテリーの充電ができます。ラジオ自体それほど大きな電力を必要としないため、モバイルバッテリーの電力使用量もそれほど多くありません。スマホをモバイルバッテリーで充電するのと比べると、ラジオだけならソーラー発電でも短時間で使用分の補給は可能でしょう。使わなくなったモバイルバッテリーをラジオ用として一緒に持っていれば、あえて乾電池を用意しなくても長時間停電の際でもラジオの利用が可能になりますので、このラジオを購入した方はそうした準備をして持ち出すことを個人的にはおすすめします。

実際、避難所でラジオを聞きたくても、夜間などは手回しで発生する音が周りの迷惑になるかも知れませんし、バッテリーに接続して3分で空のキャパシタが満充電されるなら全く周りに迷惑がかかりません。満充電の上スピーカー利用でも大体一時間くらいはラジオを鳴らせるわけですから、就寝時の自動スリープタイマー付きのラジオとしても日常的でも災害時でも便利に使えるようになりますので、応用範囲も広いですね。今回改めてモバイルバッテリーと直結しながら使っても、非接続時との極端な違いは感じなかったので、結論として乾電池も手回し発電も使わないで使うやり方で外に持ち出し用のラジオとして今後使ってみたいと思います。雨の時など、ケーブル接続を使えない場合に外で使いたい場合には雨が入らないように端子の部分のゴムカバーはきっちりすることだけ気を付ければ、十分実用になります。

今回は、製品の大きなポイントである手回し発電を使わないというやり方で、このラジオの使い方が相当化けるという結果になりました。昔の技術であるアナログチューニングの小電力消費と大容量キャパシタ、さらに疑似ACアダプタやモバイルバッテリーからの充電が可能という機能が合わさったことで、現代のスマホ回りの電源関係グッズと相性が良いという稀有なラジオになっていることはもっと多くの方が知って欲しいと思います。

カテゴリー: ラジオ | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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