東京都の「シルバーパス」値下げのニュースを受けて感じる「地域格差」と高齢者ドライバーの問題

対象年令にならないとあまり気にならないのが、ある程度年を取ってから受けることのできる国や地方自治体が圃場して利用できるサービスについてです。今回はたまたま漫画家のすがやみつるさんがXの発言として挙げていた、東京都の「シルバーパス」(満70才以上の東京都在住の方が購入可能な公共交通機関が利用できる交通パス)の値下げのニュースに地方在住者としてびっくりしました。

ニュースによると、現在は年間20,510円(月にすると約1,709円)で利用できているのですが、新年度となる2025年10月からは約4割値段が下がり、年間12,000円にするということです。

ふるさと納税の影響で、東京都をはじめとする都市部の税収は減っているという話がありますが、都はそれ以上に高齢者自らが自分で外出して、健康状態の維持や社会参加につなげることにより、将来的な医療費の支出を減らそうという意図があるということです。東京都内はバスだけでなく、都電や地下鉄も利用可能になるので、日常の買い物だけでなく、シルバーパスを使ったちょっとした旅行も可能になるということで、シルバーパスを使っての旅について書かれたエッセイ『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』もあるので、この話題に敏感に反応したのだろうと思います。

公共交通機関のバスについては、運転手の労働問題によって便の減少が都市部でも起こっているのですが、その結果高齢者の外出の機会が減るだけではないかと思っていたところ、そうした状況に逆行するような東京都の対応に、同じ日本に住んでいてもその地域差というものをどうしても感じてしまいますね。

もっとも、地方で公共交通機関が発達していない場所は、東京と同じようなシルバーパスを作ったとしても乗ることのできるバスが無いというような事も起こり得ます。地方はその反動として家族一人に一台というような自動車が普及していった面もあるのですが、ここに来て、高齢者がハンドルを握ることは加齢による反応がにぶることで、事故の危険性も増し、高齢者自らの意志で免許返納をすることが推奨されていますが、公共交通機関が発達していない地域の場合だと、それこそ家に引きこもって寝たきりになってしまう高齢者も増えてしまうことが予想されますので、この問題については多方面から様々な対策を考えなければならないと思います。

まずは、都市部以外でも必要な時に車を持たなくても移動ができるようなシステムを作ることです。個人的にはこの点については運転手を雇う必要のない無人運転の車をスマホアプリで呼び出し、高齢者であれば無料とはいかなくても日常的に利用できるくらいの「無人タクシー用シルバーパス」を作ることを意識して地方の交通インフラを再構築する必要があると思います。それだけの社会的インフラが整備されれば、買い物やお出掛けを自家用車がなくてもできるようになってくると思うので、地方でも状況は変えられる気がします。

ちなみに、私の住む静岡市では市の方でこうしたシルバーパスに対する効果を認識していないので、市や県が補助しない状態で地元のバス会社が高齢者パスを出していますが、割高で私の知っている人に聞いても利用している人は多くはないようです。今後、東京都の高齢者医療費が減るような形で推移してくれば、安い価格で公共交通を高齢者が使えるパスの効果を今までやってこなかった地方公共団体も感じてくれるようになると思うのですが、果たしてどうなるのでしょう。個人的には自分がそうしたパスの対象年令になった時に、それなりに使えるものが出ていて欲しいものですが。

カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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