2024年の9月に、レバノンのイスラム教シーア派組織であるヒズボラの構成員が持っていた通信機やページャー(ポケットベル)が爆発し、ヒズボラ構成員だけでなく市民を巻き込んで計3千人以上の人が死傷したというニュースがありました。当時からこの爆発にイスラエルが関わっているのではないかという話が出ていましたが、先日改めてニュースがあり、この爆発とイスラエル政府の関係があり、イスラエルのネタニヤフ首相がこの作戦にゴーサインを出したことを認めたとのことでした。これは、個人的にはとっても恐ろしいニュースではないかと思っています。
かなり昔の話になるのですが、友人がアメリカに旅行してきた際のお土産として、恐らくプリペイド携帯だと思うのですが、現地アメリカで利用可能な当時は2GのTモバイルの小型フィーチャーホンをいただきました。日本では使えませんが、こうしたものはなかなか日本国内では入手することはできなかったので、コレクションとして解約した端末とともに一時期手元に置いていました。
今回のヒズボラに支給されたページャーは、スマホを常時利用しているとバックドアを仕組まれた場合、自分の位置情報を敵に対して晒してしまうことになり、ピンポイント爆撃の標的になってしまう恐れがあるので、持っているだけでは居場所を特定されないように最新のスマホはあえて持たず、昔の技術を使ったページャーを持つようになっていたのです。もちろんそこには、イスラエルの作戦でスマホにより場所を特定されないようにするためのヒズボラの戦略があったわけですが、その作戦を承知の上でヒズボラに配布するページャーに爆弾を仕込むというのは、相当の根気と執念(怨念?)があると言わねばならないでしょう。まさに映画になりそうな作戦であると言えます。
今回は直接ページャーの中に爆薬を仕込んでページャーを遠隔操作で爆発させるような事を行ないましたが、今後こうした技術を進化させると、ハード的に爆発物を仕込まなくても、リチウムイオン電池内蔵のハードであれば、それこそ遠隔操作で通常では起こしてはいけないような電力消費をハードに行なわせ、内蔵のリチウム電池を発火・爆発させるような事もできるかも知れません。これだと、空港の保安検査でも痕跡を見付け出すことは困難でしょうから、もはや電子機器を使うこと自体に危険が伴うでしょう。
さらに怖いのは、紛争中の当時者が使う予定であったり、実際に使っていたハードが発火・爆発する前に中古ルートに流れ、土地の一般市民であったり物好きな観光客が購入した後で作戦が実行された場合、この日本国内でも命の危険を伴うような電子機器の爆発事故が、実は某政府諜報機関の構成員撲滅作戦だったなんて事も起こってしまうかも知れません。
考えてみると、今の私たちは便利ではあるものの、もし悪い事を企んでいる人に自分の持っているものが乗っ取られて暴走してしまったら、単にデータが消えるということだけでなく命の危険のある状況に今の世界はなってきているということも言えるわけです。今後の世界情勢はますます混迷の状況になってくることが予想されますが、少なくとも自分で新品でない電子機器を購入する場合には出所がはっきりしたもので、中古店の赤ロム保証があるものを入手するようにし、PSEマークや技適マークの付いているものを確認して購入するくらいの事を行なっていくことの大切さを改めて実感した次第です。ネットでは日本未発売の興味深いハードの紹介記事も見ることがあるのですが、国内未発売のものというのは手元に置かないようにすべきではないかと今は考えているところです。