国内のサッカーや野球、海外のMLBもシーズン大詰めになってきました。すでにチームとしての優勝やプレーオフ出場のためのワイルドカードが決まっていても、個人成績の関係でエキサイティングすることも少なくなく、それが一年通して試合を見ていなくても、にわかファンが楽しめる点だったりします。
現在の日本ではあらゆるニュースを差し置いて、MLBのロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平選手の話題をニュースで出すようなニュース番組の勇み足とも取れる演出には辟易しますが、私自身は生での観戦にこだわっているので、試合の中でとんでもない展開が起こったりすると、やはりエキサイティングします。本日の試合がペナントレースの最終戦となりますが、ナショナルリーグの首位打者が最後までもつれるとは思いませんでした。ただこれは、同じような事が過去の日本プロ野球で起こった場合、ここまで盛り上がることはなかっただろうなと思ったりします。
1982年のセリーグの首位打者争いは最終戦までもつれ、当時大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)の長崎啓二選手(後に慶一と改名)が中日ドラゴンズの田尾安志選手が争い、1厘差で首位に立っていた長崎選手が出場しない中で最終戦は両チームの対決となったのですが、勝てば優勝の中日に対し、何と大洋は田尾選手の全打席を敬遠しました。スリリングな個人成績の対決を起こさず、相手にわざわざチャンスを与えて勝たせてもなお(試合はそうした敬遠でランナーを出せた中日が圧勝して優勝)自分のチームの長崎選手に首位打者を取らせたいという気持ちの方が上回った結果だったでしょう。最終打席で田尾選手は敬遠球をあえて空振し、不穏な空気も流れましたが、その後も日本のプロ野球でそうした行為を見ることになります。
日本のプロ野球での年間ホームラン記録は長く王貞治選手の年間55本でしたが、海外から来た選手がその記録に近づくたびに露骨に敬遠を繰り返す状況がしばらく続きました。バース(阪神)・ローズ(近鉄)・カブレラ(西武)がその標的になり、本来ならもっと早くに日本の年間ホームラン記録は塗り替えられていたはずです。
現在のアメリカMLBでこうしたことが起こらないのは試合を楽しむ人にとっては本当に嬉しい事ですが、こうした背景にはネットによるファンが直接発言できることにより、一度ケチが付いてしまうと一気にそのスポーツの人気にも影響が出ることを恐れているのではないか? とも思ったりもします。アメリカのプロスポーツの中のMLBは、アメリカンフットボールやバスケットに比べるとそこまで人気があるとは言えず、何とか人気が回復するようにあらゆる手段を使う中(ピッチクロックやタイブレーク、チャレンジ制度など)、大谷選手やニューヨーク・ヤンキースのジャッジ選手の活躍により、多少は人気も上向いてきたのではないかと思います。そんな中で、かつての日本プロ野球で起きたようなファンの期待を裏切るような事が起きたら、今までの努力は水の泡になる可能性も高いのではないかと思います。
また、現代は実に多くのスポーツをテレビ中継だけでなくネット配信でも見ることができるようになると、今までの人気にあぐらをかいて、ファンの期待を裏切る行為やグラウンド以外でのトラブルが拡大するような事になると、下手をしたらそのスポーツ自体の人気がどうなってしまうかわかりません。最近その点で懸念するのはサッカーのJリーグですね。有料チャンネル中心の試合視聴が中心で、試合自体とは直接関係ないところでのトラブルを報じるニュースを見ていると、早めにこうした状況を改善すべきでは? という風に私は思えるのですが。