格安リゾートホテル利用の松本・浅間温泉への旅(4)商業施設と松本

お蕎麦屋さんからの帰り、市営駐車場の向かいが2023年にできた新しめの松本市立博物館だったので、涼みがてらミュージアムショップに入ってみました。そこで見付けたのが、何だか見たような缶に入った「ソーダドロップ」でした。

この缶の裏側は、松本に住む人の嘆きというか本音というか、そんな事が印刷されていました。その内容が面白くてつい買ってしまったのですが、せっかくなのでその内容を書き出してみます。

(ここから引用)

「空港はあるけれど 新幹線は北を リニアは南を 通り過ぎていきます どうなる松本 どうする松本」

「長野県ではなく信州です 100年続く 長野市への一方的な ライバル意識と 松本プライド」

「論多くして まとまらない様子から 「松本のすずめ」と 言われる松本人 おっしゃる通りです」

(引用ここまで)

同じ県でもライバル都市ということで言えば、私は現在は県庁のある静岡市住みですが、以前は松本と同じような立場の前橋を県都とする群馬県の高崎市にいたことがあります。旅でも全国49都道府県は全て回りましたが、松本市の印象はそこまで悪くありません。むしろ人口もそう多くはないのに、歴史もあり生活をするのにも便利で、どこかへ行きたい時にも車だけでなく電車やバスの便が多く、中心街はそれなりに盛えています。

駐車場を出てから時間があったので、浅間温泉のホテルに入る前に時間調整をしながら、他の場所も訪れてみました。といっても当日は最大気温が35℃に達するくらい暑かったので、室内で涼めるところということで二ヶ所訪れました。まず行ったのは外から見てもすごいと感じられた草間彌生さんの作品で溢れている松本市美術館でした。

このように、巨大な作品が建物をキャンバスにしたかのように並んでいました。また、中庭にも草間彌生さん特有の模様が並んでいました。

自動販売機もアート作品のようになっていて、これらを見るのには館内へ入らなくても良いのでお金は掛かりません。ただ、街の中はどこも混んでいてゆっくりお茶をすることもできなかったので、美術館内にあるカフェへとお邪魔し、冷たい飲み物を飲みながら比較的ゆっくりさせていただきました。市内中心部に美術館や博物館、今回は行きませんでしたが芸術館(まつもと市民芸術館)もあります。

コンサートは事前にチケットが必要ですが、有名なサイトウ・キネン・オーケストラが生で聴けるというのは本当に羨ましく、場があることで身近に色んな音楽を感じられる松本の方々は幸せだろうなと思います。

美術館から出ても、もう少し時間があったので、美術館の裏に広大な駐車場を備えるイオンモールにもお邪魔してきました。本当は街ブラをしながらお土産を買うつもりでしたが、とにかく日差しが強かったので、同じ歩くなら店内にウォーキングのためのコースまである大規模小売店で時間を潰そうと思って駐車場に入りましたが、私の住む静岡市の方が人口が多いのに、こんな大きなイオンモールは無いという事実に愕然としました。

特にこのイオンモールは中心街から近いので、松本市民の生活をすごく便利にしているのではないかと思います。松本市の大規模小売店というと、2025年以降ににイトーヨーカドー、パルコ、井上百貨店が撤退する予定になっていることがニュースになっています。私がまだ学生の頃、駅前のバスセンターにもイトーヨーカドーが入っていたと思うのですが(現在はアルピコグループの商業施設になっています)、そうしたお店の撤退はやはりイオンモール出店の反作用なのか? という感じがします。

というか、イオンモールに入ってわかったのですが、梅雨明けで最高気温が35℃を超える中で、街中には観光客の姿は見るものの、地元の人は日曜日にどこへ出掛けているのかと思っていたのですが、イオンモールの中に入って納得できました。広大な駐車場には車があふれ、しかも平日5時間まで無料(土日休日は3時間まで無料)ということになると、ちょっとしたお買い物、映画、暇つぶしなど用がなくても地元民であればイオンモールに行ってしまうわけで、地元民とおぼしき人たちでイオンモールは混雑していました。車で訪れる方が多そうなので、松本市民だけでなく周辺の地域から来ている方もいそうです。その分、撤退するお店も増えてしまうわけですが、この辺は大型ショッピングモールを誘致することのディメリットという風にも言えると思います。

ただ、松本は古くからの城下町ですし、観光客もお城があるので多く国内外から訪れるので、地元民の生活といった観点から見ると、車を使って行動している方であれば、駅前周辺に色々ある大型小売店舗を回るよりも、外に出ないで一ヶ所で済んでしまうイオンモールの方が良いという人もいるでしょう。パルコや井上百貨店が無くなることで寂しさを感じている方もいるかも知れませんが、実際のところ私自身も静岡にあるパルコで行くところと言えば「無印良品」や「ダイソー」、「ロフト」のあるフロアが多かったりしますし、そうしたテナントは、もしパルコが無くなったりしても別の商業施設に出店すると思います。

その地域ごとに、どのような街作りをするのかという事は当然あると思います。今回思ったのは、私たちが昼ごはんを街中にある有名なお蕎麦屋さんで食べた時、炎天下や雪の降りしきる中で外でじっと待たなくてはならないような状況から、ショッピングモールに多くの有名店が出店するようになると、空調が効いて待つにしてもそこまで大変ではなくなります。さらに、今の技術を使えば、発券機を置くようにすれば、室内で買い物をしながら待てる(整理券発券システムを使えば待ち時間を利用して色々楽しめそう)というような方向に変えることも可能です。前回紹介したお蕎麦屋さんの店主さんも、お客を長く炎天下の中で待たせることについて、申し訳無さそうでした。こういったことは、技術を活用することで何とかなりますので、もしそうした改革を行なうことができたら、観光客だけでなく地元民の満足度は上がるだろうということです。

特に私の住む静岡にはイオンモールのような大型の商業施設も、コストコのようなお店も、古くからの反発がある地域性の中で出店が叶わなかったために、コンパクトにまとまってはいるものの利便性には劣るような感じの生活をしてきてしまったゆえの感想になりかも知れません。

最初に紹介したソーダドロップに書かれた新幹線もリニアも通らないからどうする? という点については、新幹線を通したら在来線をJRは手放すし、リニアを通したら松本の観光資源と言って良い水資源が枯渇するかも知れませんが、それでもいいの? と逆に質問したくなります。特急や高速バスで東京にも名古屋にも行きやすい街で、市内や周辺に温泉やリゾートも点在する松本市は、観光客だけでなくそこで生活する人たちにとっても良い街なのではないかと私は思います。観光地としての魅力を持ちつつ、そこに住む人にとっても住み良い街へと進化を遂げて欲しいと、若干の羨ましさを感じています。

(4)おわり

カテゴリー: 旅日記 | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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