蛇口盗難は単なる窃盗ではなく水を外で飲もうとする人の心も萎えさせる

2021年の東京オリンピックは本当に開かれるのか? という事は気になるものの、もし今回の世界的な感染症騒ぎがなかったとしても、東京で7月下旬からオリンピックを開催し、その後にパラリンピックを開催して本当に大丈夫か? という懸念は当然あります。それが、東京の「暑さ」という問題です。

男女のマラソンが東京の暑さを避ける形で札幌開催に変更されましたが、札幌市も夏は暑く、今年は特に5月から暑いので、このまま高温の日が続いていくと、地熱の影響で気温が上がりやすくなり、昨年以上の猛暑になるのではないかという事が、もし本当に東京でオリンピックを開催した場合には気がかりです。

これは、競技者だけでなく、何とまだ観客を入れての開催や、学生や生徒を動員する計画もあるなんて話を聞くと、感染症の対応だけでなく熱中症対策は大丈夫なのかとも心配になりますね。熱中症でダウンしてしまうと当然免疫力も落ちると思いますので、そこから雪崩的に多くの人の体調が悪くなるようなことも無くはないので、感染症の心配と同じくらい熱中症に対してのケアを十分に行なえるようでないと、競技場や客席でバタバタ人が倒れてしまうような惨状が起こらないとも限らないでしょう。

そんな中、外出時に水分補給をする手段の一つである、公共の場所に設置されている「水道の蛇口」が次々と盗まれていることがニュースになっています。テレビで被害に遭った水飲み場や花壇のそばにある蛇口の様子を見ると、かなり乱暴に蛇口の部分だけ切り取るように持って行っているようです。このままだと、盗難が集中している地域においては十分に水分が補給できずに体調を崩す人が増えることも考えられます。しかし何故今こんな事があるのでしょうか。

実は現在、銅の価格が上がっていて、少し前には1kg4~500円だったのが、これを書いている現在でキロ1,000円くらいまで上がっているということです。蛇口には銅がかなり含まれているという事で、公共の場所にある蛇口が狙われるということなのだそうです。問題はそうして盗んできた銅を含む金物を買う業者がいるということだとも思うのですが、普通は公共物を盗むよりも粗大ゴミの中から探す(実はゴミにも所有権があるので、勝手にゴミを自分のものにしてしまう事は処罰の対象になりますので真似をしないで下さい)という事が先に行なわれるものなのではないかと普通は考えます。しかし、「探す」よりも「あるものを盗む」方が手っ取り早く目的の品物が手に入ると、明らかな犯罪行為に手を染める人がいて、それがニュースになるほど頻発しているのが現代の社会かと思うと、本当に悲しくなってしまいます。

かつて、橋の名前が書かれたネームプレート(橋名板)が大量盗難に遭った事件が思い出されますが、これもブロンズ製の橋名板を処理業者に持ちこみ、そこから銅を精製するための転売目的に盗んだ疑いがあり、実は今年に入っても橋名板の盗難事件が起こっています。ただ、橋名板についてはブロンズ製から安いステンレス製に徐々に変えるなど、盗難対策も行なわれているようです。そうした対策の結果が橋名板から水道の蛇口へと方向転換が行なわれたのかとも考えられますが、もしそうだとしたら本当にやるせないですね。

今回のオリンピックでは開催されたとしても海外からの観客は来ないので、直接蛇口が盗まれた惨状を見ることにはならないと思いますが、どちらにしても現代の日本はそうしたなりふり構わない盗難事件が起きるほど、目の前の生活に追い詰められている人たちがいるという現状があることは確かです。そうした状況も考えないと、オリンピックを開催するにしてもうまく行かないのではないかと本気で心配になります。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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