東京オリンピック延期で変わってほしいこと

ようやく日本政府もIOCも現実的な対処を行なったということでしょうか。翌年に東京オリンピックを延期にするなら、そもそも今後確執を生むと思われる男女マラソンの選考レースを順延したり、聖火関連のイベントを強行することもなかったのではないかと思いますが、すでに代表を決めている選手も、まだ決まっていない選手についても、とりあえずは新型コロナウィルスに感染しないということを第一に考えて行動するようにできるということは素直に良かったと言えると思います。

今後はいろいろなことが変わっていくでしょうし、かなり厳しい現実も突きつけられることも出てくると思いますが、今回はちょっと趣向を変えて、今回のオリンピック延期を明るい方向で考えてみたいと思います。発生がアジアからだったということで、これだけ悪くなったアジア圏のイメージを払拭するだけのパフォーマンスを競技ではもちろんですが、改めて日本でのアートや音楽についても、今後何を世界に発信するのかということを改めて考えて欲しいと思ったりします。

今年オリンピックが開催されるなら、日本のアニメやアイドルグループ、ポップミュージック、それにNHKでずっと流してきた「パプリカ」あたりで開会式閉会式を盛り上げ、クールジャパンをアピールするようなイメージだったと思うのですが、特にこれだけ昨年のうちに流行りのピークを迎えてしまった「パプリカ」のようなイメージソングが来年までその勢いが持つのか甚だ疑問です。昔から日本の祭りというのは疫病をやっつけるためにハイテンションで一気に駆け抜けるようなものも多くあるので、折角なら今からでもオリンピックの開会式閉会式の企画を変えてでも、その日本らしい力がほとばしるような人たちを檜舞台に挙げてほしいと思うわけです。

上の動画はデビュー30年を過ぎてようやく世界から見つかって、EUライブを成功させた「人間椅子」というバンドのUKでのライブの様子ですが、ほとんど現地の人たちが、全編日本語の曲に大きな喝采を送っているのを見ると、改めて世界に通用する芸術というものが海外ミュージシャンへのリスペクトだけではなく、演じている彼らの土着性にあることがわかります。

人間椅子のデビューからのオリジナルメンバーである和嶋慎治氏と鈴木研一氏は、ともに青森県弘前市出身で、隣の青森市で行われる「ねぶた祭り」とは違う「ねぷた」のリズムがその根底にあることでしょう。どちらかというと「ハネト」と呼ばれる踊り手と立体的な山車が注目され、明るく飛び入りもできそうな(私自身実際に青森の知り合いにお願いして、ハネトの中に入ったことがあります)「ねぶた」とは違い、扇形の山車に描かれた絵と、ともに繰り出す囃子や掛け声を楽しむ「ねぷた」のちょっと怪しい世界を人間椅子は表現しているようにも見えます。

もちろん、「ねぶた」も「ねぷた」も海外からも大勢の観光客が来るお祭りなのですが、広く受けそうなねぶたよりも、日本人にとっても怪しげな日本のリズムが、かえってインターナショナル的な魅力を持って2020年の現代、海外からも支持されていることも事実です。まだ新型コロナウイルスの影響で、多くのミュージシャンがライブ活動ができないのが残念ですが、この騒動が収まったあとで今回紹介した人間椅子のような人たちが、こうしたパフォーマンスを世界に発信する機会が今回の大会延期によってできてくれればいいなと思ったりします。


カテゴリー: 音楽コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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