「軽減税率」と「キャッシュレス」が個人商店にかけるプレッシャー

先日紹介した静岡市のわさび漬け製造「野桜本店」の事業終了について、後日の報道で現社長のインタビュー記事を見ることができました。現状での事業継続は難しいものの、会社組織は残し、支援してくれるところがあれば社長一人ででも保存料などを使わない製法でのわさび漬けの再生産は可能だという話をされていましたので、全く無くなるということではないと信じたいです。それにしても、今後の社会情勢を見ていくと、今回紹介した「野桜本店」のように、創業100年を超える老舗でもお店を続けられない状況が全国で起こってくることが懸念されます。

記事やニュースでは出ていませんでしたが、食品を売る個人商店というのはなかなか大手食品工場、コンビニや大手スーパーのように設備投資を簡単に増やすことはできません。それでも、お店の中で製品を作っているような場合は機械の設備投資についても考えている方々もいるとは思いますが、例えばお店の中でイートインコーナーを開いているようなお店の場合、イートインコーナーを止めるのがセオリーでしょうが、お客さんへのサービスのためにそうしたスペースを残したいと思ったら、「店内での利用」と「持ち帰り」では違ったレジの打ち方をしなければならないので、それに対応したレジに買い替える必要があります。

また、そうした食品製造には直接関係ない設備投資という意味では、購入金額のうちポイント還元を利用者に行なうためにはクレジットカード・電子マネーをお店で使えるようにする必要があります。金銭的には導入は可能でも、そうした機械をうまく使いこなせるのかというところで二の足を踏む方も少なくないのではないかと思います。これからは現金よりもキャッシュレスの時代になるということは頭ではわかっていても、自分の代ではそこまで対応できないということになると、そのために事業そのものを続けられなくなる所も少なからず出てくる可能性も考えていかないとならないでしょう。

また、大手小売業の中では10月をにらんで会社の「減資」を行ないポイント還元率の高い小売業に転換しようとする動きがあるような報道もあります。政府としては後から意図的な減資を行なった事が発覚した場合、補助金の返還を求めるとしていますが、多くの政治献金を出しているような所でそこまでの事ができるのかというのは個人的にはわかりません。大手資本の強さというものを実感すると同時に、今後は中小の零細業者というのは消えていくしかないのではないかと思う経営者の方もいるような気がします。

最初に紹介したわさび漬けの「野桜本店」は小規模な食品の製造販売を行なうお店でありますが、大手の大量生産ではなく保存料などを使わないこだわりの製法を守ってきたことで、多くのファンを持っていました。社会の変化によってこうした「こだわり」が消え、大手の量産化された食品しか普通では手に入らないような状況になってしまったら、それは消費者にとっても選択の範囲が狭まってしまうわけで、単に安く便利になるからいいということにもならないと思います。

特に全国を旅していると、「その土地でしか買えないもの」というのは見付けるのに苦労します。それこそ、大手によって量産化できないようなものを欲しいということもあるので、もし今回の制度変更によって貴重な全国のこだわりのお店が消えることがないように、行政に携わる方々の方からも今後に向けて弱者を助けるような流れになっていていただければと思います。

カテゴリー: 旅コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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