先日、たまたまTVerで北海道ローカルのテレビ番組で、サンドウィッチマンが出演する「熱烈!ホットサンド!」(STV)を見ていたら、北海道でも有名な観光地である登別温泉にあるわさび漬けのお店に取材に入っていました。
なぜ北海道に「わさび漬け」が? と思ったら、先代がお店を開く際に良質なわき水を見付けたことでわさびの栽培を思い付き、こちら静岡から職人を呼び寄せてわさびを栽培してわさび漬けを売るお店を作ったということで納得しました。
今でも私の住んでいる静岡では山奥の「有東木(うとうぎ)地区」でわさびの栽培が続けられており、徳川家康公にお茶とともに献上されていたという古くからの土地の名産品として今も多くのわさび漬けを販売しているお店があります。
そんな中でも静岡地区で最初にわさび漬けを作ったお店は「田尻屋」さんで、このお店は何と創業が宝歴3(1753)年という昔から営業をしているのですが、このお店は地元でも知る人ぞ知るお店で、売っている量も少なく賞味期限も短いこともあってなかなか私も食べられないのですが、運よく売っていた時には買ってすぐに冷凍庫に入れて少しずつ楽しむようにしています。きちんと作るわさび漬けというのは、わさびの含有量が多いため相当辛いのですが、それが逆にくせになったりするのです。
そんな江戸時代から続く老舗の一つとして、県外の人にお土産として持っていく場合の定番としていたのが、こちらも安政5(1858)年というから相当に長く営業している「野桜本店」のわさび漬け「激辛口」でした。この激辛口はわさびの含有量が約36%と多く、さらにちょっと凝った缶に入っているので、特に日本酒が好きな人にお土産として買っていくには、田尻屋ほど入手が難しくなく本格的なわさび漬けが買っていけるので(駅ビルの中に販売店が入っていたので)、結構利用していて、今後も活用させていただきたいと思っていた矢先、この野桜本店が2019年8月一杯で営業を終了するというびっくりするようなニュースが入ってきたのです。
結局の所、私のように本物指向でお土産として買ったり家庭で食べるような食習慣が変わり、さらにお店で製品を作るために良質のわさびや酒粕を入手するのにもコストがかかり(恐らく10月からの消費税値上げも堪えたのではないかと思います)、もう一つの決定的な要因として、わさび漬け製造のための機械が古くなり、新たに設備投資をかけることもできないという八方塞がりの状況の中での苦渋の決断だったということのようです。
私自身もこの話を聞いたのは地方のローカルニュースからだったので、全く知らなかったのでかなりショックが大きいというのが正直なところです。
ただ、最初に書いた通り静岡で主に作られていたわさび漬けは、遠く北海道まで広がっていき多くの方の口に入っていくようになったものであるので、一つのお店の終焉ということで考えると残念ではあるのですが、きちんとした作り方で作ったわさび漬けの味が消えないように静岡だけでなく全国の業者さんが力を合わせて守って行って欲しいと思いますね。
ちなみに、静岡のお店ではこの8月31日で販売を終了するということですが、野桜本店と長く付き合いがあるという、横浜高島屋において翌月の9月4日から10日までの間、最後の販売会を行なうということです。関東近辺の方はわざわざ静岡まで来なくても最後の購入の機会がありますので、興味のある方はどうぞ行ってあげて欲しいと思います。