何のために動画を撮るか?

 昨日のNHK総合テレビ・NHKスペシャルで放送された昨年3月11日に関東から東北地方各地で撮影された映像記録は、直接的な被害を受けていない私にとっても大変ショッキングな内容でした。全く自分には津波など関係ないと思っていたり、時間の経過とともに災害の恐さを忘れてしまったような人にとっては映像の威力は大きく、日ごろの注意を怠らないためにもこうした映像を頭に叩き込むことも必要な場合もあるでしょう。しかしながら、視聴者の方々の中にはなぜまた寝る子を起こすような映像を流さなければいけないのか怪訝に思う人たちもいるかも知れません。番組そのものが実際に被害に遭われた方にとってはとてもまともには見られない内容であることも十分理解しつつ、私が番組を見ながら考えた今回の内容を書かせていただきたいと思います。

 番組を見て思ったまず最初の印象は、かなり多くの人たちが携帯電話やスマートフォン、デジカメやビデオを使って今回の地震を記録していたという事実です。しばらく色々な種類の映像を見ていて、記録映像として単に被害状況だけが記録されているのではないという風に感じました。

 とあるホールで公演中に激しい揺れが起こり、客席の様子を撮影したビデオがあったのですが、そこで記録された人たちはあせってすぐ外に飛び出す人や、その場に座り込んで放心状態になっている人ありで、こうした予期せぬ出来事に翻弄されている様子がわかります。大きな揺れに見舞われた人がすぐにビデオカメラを取り出してその様子を記録しているさまは、何故だと思われる方もいるかも知れませんが、その中の一人の方が事後にインタビューを受ける場面があり、何故撮影したのかわからないと答えていました。私が思うに、動画を撮影するという行動でもしないとどうしようもないという事もあったのではないかと思うのです。もし私が大きな災害に遭遇したとしたら、手元にカメラがあればやはりカメラを手にすると思います。なぜかというと、そこで起こっている現実をカメラのレンズを通し、モニターから見る事によって少しでも現実感を無くし、冷静な判断力を取り戻したいと思うからです。

 撮影しながら自分でコメントを挟むことで、自分自身を落ち着かせる効用も多少はあるのではないかと思います。撮影しながら移動する事は危険もあると思いますが、安全にカメラを回せる状況であれば、自分の気持ちを落ち着かせるためにもよくあるTVレポーターのようなコメントを吐いてしまうかもしれません。ただ、そうして撮影した画像を公開するかしないかというのは撮りながら考える必要もなく、客観的に目の前で起こっていることを見つめ、自分及び周辺の人たちの安全を保つための行動を取るためのアイテムとしてカメラが利用できるのではないかと思ったのですね。災害に備えるためのアイテムとして、動画撮影ができるデジカメや携帯電話を用意すべしなんていう災害マニュアルは存在しませんが、とっさの行動に自信が持てない方には、その場での人の動きを客観的に撮影するだけでも持っている意義はあるのではないかと今の時点では私は思っています。


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