スマートフォンとスパイウェア

 携帯電話会社の販売するスマートフォンは今さら言うまでもなくすでにショップの看板商品として売られています。ここまで一般的になってしまうと、買ったままシステムやアプリのアップデートをせずに使い続けるような人も増えてきてしまうでしょう。このままそんな人たちが普通の携帯電話からスマートフォンに移行してきていいのかと漠然と思っていましたが、今後はそんな悠長な事も言っていられなくなるのかなと感じることがありました。

 今までの携帯電話の場合は携帯電話本体を落としたりした場合に知らない人に使われる危険性こそあったものの、携帯電話自体が遠隔操作されてしまうような危険性はほとんど考えられませんでした。しかし、アンドロイドやブラックベリー、iPhoneのようなスマートフォンは小さなパソコンのような形で、さまざまなアプリがお互いに影響をおよぼすようになっていることから、無意識に検査の入っていないアプリをアップデートしたり、ブラウザのリンクをクリックしただけでも外部からスマートフォン内部を覗かれてしまったり、外から自分のスマートフォンをコントロールされてしまう可能性があるという報告アメリカのシンポジウムでなされたことがニュースになって入ってきました。普通のアンドロイド端末に侵入する実験が行なわれ、通話内容の録音、テキストメッセージの盗み読み、電話の場所の追跡に成功したとのことでした。

 そこからさらに巧妙になってくるとしたら、実際に人のスマートフォンの動作している情報をいながらにして覗き見たり、その操作までできる可能性もないとは言えないでしょう。また、多くの人たちに料金の発生する番号へ電話させたりすることができるのだとしたら、以前のダイヤルQ2のように通信料の他に情報料として課金されるような番号に掛けさせることによって、自分の懐を潤すことすら可能になってしまいます。個人を狙い打ちにするようなやり方をすればたちまちばれますが、数千人数万人のスマートフォンをハックし、小額の情報料を使わせるようにすればあまり怪しまれることなく大金をせしめることも可能になってしまいます。もっとひどい場合は電子マネーの受け渡しやネットでの買い物を遠隔操作でやられたとしたらと不安の種は尽きません。

 問題なのは、そうした危険性をつぶしていくようなアップデートがアンドロイドの場合ほとんど行なわれていないということと、そうした危機感を持っている人がそれほど多くないだろうということです。便利だからとさまざまな情報を一台のスマートフォンに集中させると、たとえ本体を落としたり紛失したりしなくても、重要な情報が外部からの侵入によって盗まれてしまう可能性は常にあると考えておいたほうが良さそうです。

 私の場合はさまざまなスマートフォンやタブレット端末はアンドロイドが搭載されているものを持っていますが、状況によってはSIMを抜いたまま使っていたり、通話のできないデータ通信専用カードを入れたりはしています。また、通話自体はスマートフォンではせず、通常の携帯電話にまかせています。今後は重要な情報をやり取りする場合はスマートフォンでなく携帯電話のブラウザからやった方がいいのかとも思いますし、いざという時に備えてそうしたやり方ができるハードウェアをそろえておく必要性というのも感じているところです。できることならスマートフォンを出しているメーカーや携帯電話会社によってシステムやブラウザの脆弱性が発見されたらすぐに告知し、システムアップデートを迅速に実施するだけのアフターケアを徹底して欲しいと思います。そうでなければ、パソコンも使ったことのない人にスマートフォンを使わせるのはちょっと酷ではないかとすら思えてきてしまうのです。


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