テレビへの反逆を演者側がしたら?

 ラジオ番組とテレビ番組の中で、たまたま1つのキーワードでつながったのは実に興味深く思いました。それは、誰もが動画を撮影してアップすることで、素人でもスターになれるYouTubeの存在です。明石家さんまさんは、毎日放送ラジオのヤングタウン土曜日の中で「我々の一番の敵はスマホ」と言い、ビートたけしさん出演のテレビ朝日で放送された「TVタックル」では自分で撮影した動画を公開して広告収入を稼ぐYouTuberにスポットを当てて取材したVTRを番組で流していました。

 スマートフォン中心の生活を送っている人の中にはテレビを見ないで、夜な夜なかはどうかわかりませんが、素人の撮影した面白動画を見て時間をつぶしているという事なのですが、確かにYouTubeを見ているだけならNHKにお金を出す必要もないし、単に楽しむならそれもありだと思います。個人的にはまだ今の多くのテレビで放送しているソフトを凌ぐだけのコンテンツ力はないとは思うのですが、テレビでは放送できなかったり、マイナーすぎてテレビでは取り上げてくれないジャンルのものが意外とYouTubeには上がっていたりするので、テレビ業界もうかうかしていられないというのは本当だと思っています。

 もしこのYouTubeが少し前の日本に存在したら、早くに亡くなってしまった芸人の命を縮めることはなかったかも知れません。1996年にお亡くなりになった漫才師の横山やすしさんは、数々の騒ぎを起こしたことで当時の所属会社から解雇通知を受けました。さらに、その会社の睨みが効いていたため、元所属会社の動向にナーバスになった同業者は横山さんとの接触自体を自粛したことにより、誰かとコンビを組んで漫才の仕事もすることも叶わなくなってしまいました。もしこの時点でYouTubeが今ほどに使える状況であったなら、過去の所属会社やテレビとは全く関係を持つことなく、自分の漫才が無理だったら漫談でも、多くの人たちに直接見せることで横山やすし健在なりということを示せたでしょう。過去に横山さんの活動をご存知の方なら、いったんカメラを向けられた際の面白さは今のカリスマYouTuberよりも確実にあるわけですから、スマートフォン一台だけでも多くの人に影響を及ぼし、家族が生活するくらいの経済的余裕も持てたのではないかと思います。そうなればあそこまで身を持ち崩すことはなかったのではないかと私には思えるのですが。

 で、時計の針を現代に進めて今の状況を見ていく中で、もし今人気絶超の芸人の中で、不本意に干されたりしてテレビの箱の中に収まり続けることに疑問を感じる人がいたとしたら、そこを突破口として一気にテレビからYouTubeに人気コンテンツが移行する可能性があると考えるとちょっと興味深いですね。今ではYouTubeならChromecastを使って大画面のテレビでYouTubeの動画を見ることもできるので、インターネットの知識さえあれば、たった一人の力であっても一部のバラエティ番組を凌駕する可能性を秘めています。そんな中、個人的に今見てみたいと思うものがあります。少し前に芸能界を惜しまれつつ引退したものの、今なお多くの人に慕われている上岡龍太郎さんがYouTubeで今の時代のテレビ批評をやってくれたらと思わずにはいられません。もしそういうコンテンツがインターネットの中で実現したら、本当にテレビのコンテンツの中でぶっ壊れるものも出てくるのではないでしょうか。


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