アルコール燃料を使った火器の取り扱いについて

 昨日、とても私の常識では考えられないニュースがありました。大きな鉄製のオイルパンにアルコール燃料(?)を入れて火を付け、その火を消すための防災訓練を行なう予定だったところ、火の勢いが小さい(?)ということであろうことかポリタンクに入ったアルコール燃料を継ぎ足した消防団の人がいたそうです。当然ながら入れたとたんものすごい火柱が上がるほど勢いよく炎が出て、ラジオ体操の後防災訓練に参加しようとしていた子供を巻き込んでの大きな事故になったとのことです。

 最初にオイルパンに入っていた燃料がアルコール燃料だとすると、アルコール燃料が出す火というのは昼間には見にくいので、もしかしたらそれを見誤ってしまったのかも知れませんが、それにしても燃えている鉄製の容器の中に揮発性の高いアルコール燃料を継ぎ足すなんてことは、消防団でない私からしても考えられないことです。こうしたことがニュースになるのは同じようなことは決してしてはいけないというメッセージも詰まっているからだと思いますが、私がこのブログで紹介しているキャンプ用品の中にもアルコール燃料を使うものがあるので、今回はその扱い方について改めて紹介していくことにしましょう。

 アルコール燃料を使うキャンプ用品として多くの人に知名度があるのがトランギアのアルコールストーブで、ストームクッカーという鍋とヤカン、風防がセットになったクッカーは大変便利に使えます。ただこのセット(アルコールストーブ)のウィークポイントとして、注入したアルコール燃料がなくなったら終わりなので、煮込み料理など長時間使ったり、多くの料理を次から次へと作りたい場合は、一工夫必要になります。燃料がなくなったとしても相当熱くなっているアルコールストーブに追加で燃料を注入すると規模は小さいながら爆発するようにアルコールが燃えますので、別にもう一つのアルコールストーブを用意し、ローテーションしながら使うようにするのがいいでしょう。そうでなければ燃料がなくなったら、すぐに継ぎ足しをすることはせず、十分にストーブ本体を冷ましてから燃料を入れるよう心掛けないと安全には使えません。また、消火した際に残ったアルコール燃料はスポイトを使えば回収可能なので、実際には使う予定はなくても多めに最初から入れておくのがいいでしょう。

 今回はアルコールの事故でしたが、同じように灯油やガソリンを使ったコンロでも継ぎ足しは厳禁です。薪や炭を使ったバーベキューでは燃料を継ぎ足しても急に燃えることはないでしょうが、以前火の勢いを増すためにチューブ入りの着火剤をかけたところ同じく盛大に燃えて飛び散り、人的被害が出たことがニュースになったこともありました。安易に液体やゲル状の燃料に頼らず、燃料を継ぎ足しながら長時間使いたい場合は木や炭を使ったものをメインに考えるのがいいでしょう。

 アルコールを使ったキャンプ用品・つり用品として今も変わらぬ人気があるのが火を付けたまま移動できるアルポットというものもあります。こちらの方は燃料を吸い上げた芯に火を付けるので燃料の回収は難しいですが、燃料をケチってお湯が沸かなかったりご飯が炊き上がる前に火が消えてしまったらどうしようもありませんので(^^;)、燃料注入は十分に行うようにしましょう。

 車中泊の旅のためにキャンプ用品を揃えている方の中には、もしかしたら車内でこうした火器を使ってお湯を作ったりすることを想定している方もいるかも知れませんが、もし車内で今回の事故より規模が小さいながらも爆発的にアルコールが燃えるようなことがあったら、車内だけでなく周辺の車にも迷惑をかける可能性も出てきます。この種のニュースを決して自分に関係ないとは考えず、慎重に火を扱うように気を付けたいものです。


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