TASCAM DR-05

Dr_05

 私たちが未来を想像する時、できればバラ色の未来というものを思い描きたいものです。しかしながらテレビや新聞のニュースでは暗い話題しか出てこず、こちらの気分さえも沈み気味になってしまう今日このごろですが、知らないうちにこんなこともあったのかとびっくりすることもあります。

 昨日のクリスマスイブからクリスマスにかけて他人からプレゼントをもらうことはありませんでしたが(^^;)、自分で自分のためにネットショッピングのボタンをクリックして注文を出してしまったのがティアック(TASCAMはティアックが発売するレコーダーのブランド名)のレコーダーDR-05です。ICレコーダーの範疇に入る製品だけに、このブログでも紹介するのが3台目ということでなぜ同じようなものを買い込むのかといぶかしがる向きもあろうかと思いますが(^^;)、私にとってはそれこそバラ色の未来を実現したような一品だったのでした。

 まだそれほどパーソナルコンピューターが家庭内に普及していない頃、私はおこずかいをラジオやカメラのような機械モノにつぎ込んでいました。個人的な趣味として私的録音の範囲なら演奏収録を許してくれるライブハウスに赴き、ライブの内容を録音し、それを自宅で聴き直すことをよくやっていました。そのためにはまったのが小型の録音機でした。最初はカセットテープを使用したソニーのウォークマンの最高機種、ウォークマンプロフェッショナルと名が付けられたWM-D6Cでした。ドルビーC搭載でメタルテープに対応し、録音レベルのマニュアル設定可、再生スピードの可変も可能でした。当然ラインから直接の録音もできるのでカセットデッキ代わりにも使えるということで、普段はコンポに繋ぎ、出掛ける時は外付けマイクとセットにして持ち運んでいました。当時の価格は65,000円で、それだけ出してもいいくらいに活用していたのを覚えています。

 その後、録音方式はデジタルからアナログになり、それまでは数百万円もしていたデジタル録音機が小型化され、一般に発売されるようになりました。当時は、CDクオリティの音を気軽に録音できるということで、すごい時代になったなあとしみじみ思ったものです。まさにカセットテープからMDへとメディアが移っていった時でしたが、MDはCDに比べると圧縮されているということもあり、圧縮無しで記録できるテープメディアのDATへと録音機は進化していきます。TCD-D3は待ちに待ったポータブルタイプの録音機で、定価は98,000円でした。ただ、こちらの機種は電池がウォークマンプロフェッショナルの電源である単三×4本と比べ、独自の充電式電池で、まともに外で録音するためには予備の電池が必要でした。テープ自体も120分ぐらいが主流で、どこでテープチェンジをしようか考えながら録音していたのはカセットでの録音の時と変わりませんでした。テープ自体も結構な値段がしましたが、本体周辺だけでいろいろ揃えると軽く10万を超えてしまいましたが、何といってもそのままCDが焼けるクオリティを持つ音源を録音できる魅力は大きかったという事でせっせとお布施のようにお金をつぎこんでいたのでした。

 その後、DATは言うに及ばず、MDでさえも廃れてしまい、最後にCDのみが残り、後はメモリオーディオに取って代わられたのはご存知の通りです。録音機についても、数千円で買えるICレコーダーでも高音質のデジタル録音ができる製品が普通になっています。今考えるとまさに夢のような話ですが、今回購入したDR-05は高性能のマイクが内蔵され、ライブ録音などで急に大きな音が出ても、以降は自動的に録音レベルを下げて(大きな音が出ても歪まない)録音できるようなピークリダクションという機能を選ぶことができます。Youtubeで録音した音が聞けますが、かなりのクオリティにびっくりしてしまいます。そして普通のICレコーダーの特徴そのままに、ファイルは直接パソコンで編集でき、そのままCDプレーヤーで再生できるようにできるので、今までのようにカセットからDATへと変わった際に移行をどうするのかというような心配をする必要もありません。電源も単三×2本なのでエネループの予備があれば十分ですし、録音容量についても無料で使えるデータストレージサービス上に保存すれば、闇雲にメディアを買い込まなくてもよく、たとえ買ったとしても、安いマイクロSDカードをいくらでも増やせます。

 今回なぜこれだけ力を入れて紹介するかと言えば、これを書いている現在、プロ仕様にかなり近いと思われる本体がネットの最安値ですと7千円代後半で買えてしまうことに気付いたからで、本当にいい時代になったものです。一昔前ならこの10倍の価格でもおかしくなかったのが、それだけの技術の進歩があったということなのでしょうね。ちなみに、TASCAMブランドではiPhoneに接続して使えるようにした高性能マイクを出していますが、その価格も8千円前後しますので、複数持ちが苦にならなければこちらのレコーダーを手に入れた方が簡単に高音質の録音ができる機材がそろいます。今後、果たしてこれだけのクオリティを持つ状態で録音する機会があるかどうかはわかりませんが、先述の通りいったん録音してしまえば重要なものはデータストレージにアップロードしておけば、以前のように録音されたテープやディスクを探し回らずにすぐ出せますし、つくづくインターネットと融合した今の社会というのはそれほどお金を掛けなくても十分に楽しめるだけのものを用意してくれているとしみじみ思います。

 今回紹介した録音機全般については、現状で音楽の主流がCDの音質を基準に回っている限りは、これ以上の革命的な進歩はそれほど期待できないでしょう。メモリオーディオで聞くものについてはこれ以下の品質でも十分ととらえる人が多ければ、CDに取ってかわるメディアが一般化しないうちはこの辺の録音機を持っていれば十分でしょう。使いこなしている方の中には動画の撮影できる一眼レフにこのレコーダーをくっつけて同時録音し、後から動画に付いている音声をレコーダーからのものに差し替えるようにして高クオリティの音声を持つビデオクリップを製作されている方もいらっしゃいます。単なる旅のメモくらいでは小型のICレコーダーでも十分ですが、旅先で出会った音楽や電車の音などを臨場感あふれる感じで記録しておきたいような場合は、こんなレコーダーもあると便利です。ただし、内蔵マイクは無指向性なので、鳥のさえずりなど狙った方向だけの音をレコーダーに収めたい場合は、外付けの指向性マイクを導入しないとうまく録音できないでしょう。結局そういうところにお金を掛けていくと余分にお金がかかってしまうというのは今も昔も変わらないようですね(^^;)。


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