TV番組「路線バスの旅」が魅力的に復活する可能性はあるか

タレントの太川陽介さんと漫画家の蛭子能収さんにゲストの女性という3人組で日本全国の特定の都市から都市へ、高速バス以外の路線バスで移動ができるかどうかという「路線バスの旅」において、主役の2人が番組から去ることになり、先日その25回目の旅をようやくBSジャパンで見ることができました。

この番組はかなり以前から楽しんで見ていたのですが、なぜ今回人気があるのにメインの二人が番組を去ることになったのかという点をめぐって二人の仲が悪いからではないのかというようなきな臭いネット記事も出ているものの、普通に見ていて思うのは、今のままでは遅かれ早かれ番組自体が成立し得なくなる可能性が高いことが挙げられます。第一回の旅は東海道の旅だったのですが、一回目から路線バスが現在の静岡市内で途絶える区間があったのですが、その区間であるJR由比から興津まで(さった峠の区間は路線バスが元からないのです)の区間は当然のようにタクシーを利用するという旅のルールについての緩さがあったものの、回を重ねるごとに出演者の体力的な限界とは関係なく「バスの区間がない場合は歩く」というルールを作ってしまいまい、このルールが仇となったと言えるでしょう。

番組としてのメリハリを付けるために少しぐらい歩く姿を見せるというのもいいかも知れませんが、バス旅も回を重ねるにつれて、路線バスの区間がどんどん閉鎖され、歩く距離はどんどん増えて行きました。中年というより高齢者に近くなっているレギュラーのお二人がバスがつながっていない区間を歩いて移動することが増え、路線バスの旅なのか歩く旅なのかわからなくなってきてしまい、笑うどころか見ていて気の毒としか思えなくなったというのが番組を見ていて変わってしまったと思う点でした。出演者の年齢の事もありますし、そこまで厳密なルールを作るべきではなかったのではと個人的には思うのですが。

さらに、番組開始当初から比べるとかなり増えたと思うものに、路線バスの代わりに移動手段として利用できる「コミュニティバス」の存在があります。日常の足に困っている地域住民のために路線が作られているもので、公共の乗り物には違いありませんが、こうしたコミュニティバスの中には時刻表があるものもあり、そうしたバスには番組出演者や普通の観光客が乗れるわけですが、全てがそんなわけではなく、電話で住民が呼び出した時だけ動かすというような形のものも結構あります。さらに平日と土曜日曜で運行スケジュールの差が激しく、本来番組を見た視聴者が同じコースを辿りたいと思っても、土曜日曜が運休ならどうにもなりません。その点でもテレビの旅をそのまま辿ることができない可能性もある旅というのはどうかという感じもします。ですから、テレビ東京でも新しいレギュラーを決めて路線バスの旅を再開するにしても、すでにスタッフが解いたバスルートを発見できるかというような興味でしか見ることができなくなるようなら、あまり続けても意味がないように思えるのですが。

今後も日本の人口は減少傾向にあり、過疎が心配される地域は今後もどんどん増えています。そんな中で、全国の道路を切れ目なく結ぶ路線バスの継続自体が難しく、自分で車を運転することができない人が気ままな旅に出るにも、きちんとした時刻表のある鉄道やバスが有る所までしか行けなくなるというのは寂しいことです。まだ自動車が運転できない学生や、免許を返納した人を中心に、行ける範囲が狭まることもあって多くの年齢層が自由に旅に出る機会がこれからどんどん減っていくのではないかと心配でもあります。

ただ、この番組続く可能性というのもないわけではありません。先日のニュースで、国土交通省が「道路運送車両の保安基準等改正」という発表の中でハンドルもブレーキもない自動運転の車が公道を走ることについて認めるという発表をしたことがニュースになっていました。その内容については短いので国土交通省のホームページから該当箇所を引用します。

(引用ここから)

・自動走行車の公道実証実験を可能とするための措置の実施
自動走行に係る車両について、公道実証実験を可能とするため、ハンドルやアクセル・ブレーキペダル等の保安基準を緩和できることとします。これにより、これら装置を備えない車両についても、速度制限、走行ルートの限定、緊急停止ボタンの設置といった安全確保措置が講じられることを条件に、公道走行が可能となります。

(引用ここまで)

恐らくこの種の自動運転車というのは今のところテーマパークを一周するようなそれほどスピードを出さない感じのもので、普通の車と一緒にすれ違いが難しそうな場所を走ることは難しそうな気がします。恐らく2車線以上ある道路のどちらかをゆっくり走るようなものになるでしょうが、それでもこうした試みというのは特定の地域だけやるということでなくて、全国で同じ乗車システムの同じような無人運転車が動くような仕組みを作り、公共交通機関のみでも県境を通過できるような路線づくりを行なってくれれば、主に公共交通機関がとだえた所を中心に、整備されていく可能性はあります。

全国でこうした交通システムが動くようなら、例えば全国で同一の乗車用カードを通すことで全国の同種のバスにも使えるようになるかも知れませんし、無人運転ということで定期運行が実現すれば、時刻表を調べまくって利用する交通機関のひとつとして、日本のいろんな所に行きたい若年層やシニアの旅行を後押しできます。そうして少しずつではありますが日本中に人が出掛けて動くような流れができれば、今まで減るだけだった場所でも新しい魅力を感じた人たちが訪れたり移住してくるような事も起こるかも知れません。もちろん路線バスの旅もかなりいろんな所へ向かえる可能性も生まれてきます。

過疎地域は時代の流れととらえ、交通機関の消滅とともに限界集落はなくなっても仕方ないという考え方もありますが、今ある住居を利用して都市から地方に移り住むことで、お金を都会ほど使わなくても生活できるようになるなら、あえて今ある集落を消すこともないでしょう。地方には地方の良さもありますし、そうした都市でない場所で生活するにあたっての情報格差というものについてはすでにあるインターネット網を利用すれば良く、買い物についても送料無料のネット通販を利用する選択肢もあります。問題なのが、実際に人が移動する交通機関の整備だということをもっと多くの人に考えていただいて、今回紹介した無人運転車のシステムが全国共通のような形で広まっていくように、エールを送らせていただきたいと思います。


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