ネットへの電話帳の転載は是か非か

2017年4月25日付の京都地裁の判決がニュースになっていまして、その内容は下手をするとネット利用者の多くの方にも関わってくるものであると思われますので、ここで紹介させていただきます。

どの検索エンジンでもいいのですが、個人の名前で検索を掛けるとその方の住所および電話番号が出てくる場合があります。これは氏名・住所・電話番号の掲載された「ネット電話帳」に掲載され、世界中の誰でも見ることができるようになっているからなのです。その仕組みは単純なもので、単に現在も発行されている電話帳の内容を電子化しただけのものをそのままネット上でデータとしてアップしている所があるのです。

しかし、こうした情報は使い方によっては実生活の中でもストレスの種になります。迷惑電話が続いたり、住所を特定されて嫌がらせを受けるということになると、電話番号はともかく住居を変えるというのは人によっては大変な事ですから、このままこの種の情報はネットに存在していていいのかという事になって、京都市の男性が情報の削除と慰謝料を求めて裁判を起こしました。その事がニュースになったのが2015年9月ということで、今から1年7ヶ月も前の事です。

たまたま昨日の新聞を見たら、この裁判の判決が記事になっており、地裁の判断は訴えた男性を支持し、業者に情報の削除と5万5千円(産経新聞の報道による)の支払いを求める判決を出したのでした。裁判が起きる前には業者はいかなる削除依頼にも応えないという態度でしたが、もしこの判決が確定すればデータ削除の上金銭の支払いを迫られることになります。

こうして紹介すると、訴訟に直接関わった人はともかく、あまり多くの人に関係ないような感じを受ける人がいるかも知れませんが、もし自分の住所や電話番号が世帯主の名前とともに世界中で誰でも見られてしまうのにあまりいい気はしないでしょうし、もし自分が何かの騒動に巻き込まれた場合の事を考えると、電話帳の情報を使って自宅を特定し、自宅の写真だけでなく自分の姿を晒すような人が現われないとも限りません。そうして出てしまったネット上のデータは完全に消すことはできないため、いつまでもダメージが残ることになります。

逆にブログを書く立場の人間が、誰でも入手して読むことができる媒体から他人の住所や電話番号が特定される恐れのある書き込みをしたとしたら、その内容の削除を求められるだけではなく、直接慰謝料を請求されるような事例にまで発展する可能もあるわけで、今以上に書く内容に気を付けて情報発信をしないといけなくなるでしょう。

今回の電話帳の場合は、インターネットのない昔だったら同じ地域にいれば多くの電話帳に載せている人の個人情報を手にできたとしても、お互いに調べる時だけに使っているだけで、どこかに転載されることまでは考えてはいなかった人が大半だったと思います。当時から今まで、たとえその方々が電話帳に載せることを承諾していたとしても、あくまでNTTが発行するハローページに掲載することについて承諾しただけで、その内容が個人に無断で広く情報がネット上に転載・拡散されるということは承諾はしていない事は明らかです。

こうしたネット電話帳の記載を見ていて思ったのが、例えば事件のニュースでそれが加害者・被害者関係なく「○○県△△市の□太郎さん」というような報道があった場合、その名前でネット検索をして自分のブログやツイッター、facebookのページが出てきてしまうのは自分が好きで出しているのであまり可哀想だとは感じないのですが、ネット電話帳に記載があることで細かい住所や自宅の電話番号が特定されてしまうことになると同情を禁じ得なくなります。

ネット電話帳が全く存在しないような状況でも、わざわざ大きな図書館に足を運び、そこで全国の電話帳を使って調べた情報をネットに上げるような人は出るとは思いますが、ネット電話帳の場合はそうした労力を掛けることなく誰でも簡単にニュースで紹介された一般の人の情報を入手できてしまうという恐ろしさがあります。そうなればネット上でもより多くの場所に個人情報が簡単に晒され、さらに拡散される可能性を増やすだけなので、今回の裁判がなかったとしても、早いうちに何とかしなければならないネット上の課題ではないかと思います。このニュースは今後どんな形で広がっていくかはわかりませんが、このブログではさらに業者が控訴して裁判が今後も続くのかどうかということも含めまして、見守っていきたいと思っています。


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