JTBの「相談料金」は他の業種も追随するか

旅行代理店というのは私自身は事前に調べたチケットを購入するためにしか最近は使いませんが、学生の頃に初めて北海道に旅行に行った時には大変お世話になりました。当時はまだLCCなんて安い飛行機はありませんでしたが、当時のユースホステル協会が企画した商品で、ユースホステルの5泊分の宿泊券と羽田~千歳間の往復航空券がセットになったものがあり、それを使って夏休みに旅行に行ったのです。

ただ、道内の交通費は全く入っていなかったので電車やバスを使って主に道東を回るためにフリープランの一般周遊券を作るために旅行代理店に相談に行き、そこで立てたプランを説明しつつ日程に合わせた移動手段で周遊券を作ってもらいました。現在では周遊券自体がなくなってしまったため、今となってはいい経験になったと思っています。

その後の旅行ではフリーきっぷを使ったり、宿泊については直接宿に連絡をして取ったり(インターネット普及前)していたので、旅の何から何まで聞くということはしたことはありませんが、最近になってネット社会というものの問題が顕著に現われてきたことにより、旅行代理店の中でも最大手のJTBにおいて今までの常識が通用しない変化が出てきてしまいました。

まだ全ての店舗ではないのですが、一部のJTBの店舗において、旅行の相談を受けたものの実際に同じお店でお金を払って旅行の契約を行なわない場合、旅行相談についての相談料を取るということを掲示した店舗があるというのです。相談から10日以内に申し込めば、相談料は旅行代に充てられるものの、11日経っても購入なしの場合、それまでに相談した時間により、国内旅行は30分2,000円(税抜)、海外旅行は30分5,000円(税抜)の相談料金を取るという事がテレビニュースでは出ていましたが、これはJTBの問題と言うよりもお店を利用する人に問題があり、お店がそれなりの損害を被っているということが背景にあるのではないかと個人的な見解としては考えられるような気がします。

どういう事かというと、全く何も知らない所から具体的な旅行の場所と交通手段・宿の情報を聞き出したり見積もりを出してもらい、相談を受けたJTBでは契約せず、その見積もりをJTBが提示する金額より安く提供できないかと他の旅行代理店に持って行って交渉したり、ネットの予約サイトを使って同じ内容でも安く上げてしまおうとしてJTBでの相談を利用しようとする人が実際にいたのであろうことは想像できます。

JTBからすると、旅行内容や宿の提案をするのはそうした提案を理解してもらった上で購入してもらうことで手数料を受け取るビジテスモデルがあるからで、無料で相談を受ける事だけで終わってしまうなら、それこそ従業員の給料も払うことはできないということになるでしょう。あくまで購入することを前提にした相談だから今まで相談には料金を取っていなかったのに、今までは止むない理由で旅行を中止するような場合くらいで済んでいたものが、今は「他に安いところがあればそちらで手配する」というような利用者が普通に出てくるようになった今、その可能性が高いと思われる利用者についてはきちんと報酬をいただくと強い態度に出たわけで、いつまでも無料のものは無料と思って無茶な利用の仕方をした結果だという風に感じることもできるでしょう。

ただ、ネットでの意見を見る中では、以前このブログで書かせていただいた企業サービスの「改悪」という感じで捉えている方もいるように思います。また、携帯電話キャリアの代理店での相談に来るインターネットが使えないシニア層のお客さんに対する批判(一から相談するので待ち時間がかかる原因になる)という観点で批判をされる方もいましたが、今回の相談料が普通にJTBで旅行のための料金を払うつもりで来ている人がした相談から今後も取ることがなければ「改悪」とは違うと思いますし、ネットの使える使えないは個人差があるので、ネットが使える人に向けたお店での新たな対応をJTBに考えてもらうことは今後の課題でもあると思いますが、今回の話とはちょっと別の問題として考えなければならないことだろうと思います。

この問題はJTBや他の旅行代理店だけの話ではなく、他の業種でもビジネスとして相談を受けたり情報の提供を行なっているところについては、今後は相談だけでも相応の料金を請求されることは今後も出てくるかも知れません。例えば最近お店を出して直接契約することができる格安SIMの業者も増えてきましたが、そこで説明を聞くだけ聞いてお店では契約せず、ネット上のキャンペーンやAmazonなどで格安で購入した事務手数料がセットになった加入用パックから加入しようと試みるような人が多く出てくると、さすがにお店の方は家賃も払えずに撤退するような最悪の状況にもなりかねないわけですから、お店で加入せずにそのまま帰ろうとするお客さんについては、契約についての説明自体を有料にするようなところも出てくる可能性は無いとは言えません。

今の風潮としてインターネット万能というような感じで、地元の商店は単なるショーケースのように使って買い物はAmazonや楽天のみという方も少なくないのではないでしょうか。この方式は確かに安く物が買えていいですが、皆が全部そうした方式で物を購入するようになれば地元の商店はたちいかなくなり、さらに日本全国を走る物流業者への負担は増すばかりで、地方の疲弊にもつながりかねません。今回のJTBの措置に対して批判的な意見を持つ方もいるかも知れませんが、自分だけがいいとこ取りをするような事もあまり度を過ぎるとそうした特典自体が無くなってしまう未来が待っていることもあるということを考えて利用すべきではないかと思います。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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