ヒッチハイクを甘く見ない方が良い

先日このブログでも紹介しましたが、NHK総合テレビの「ドキュメント72時間」で名神高速道路の草津パーキングエリアに密着した際、本線への入り口のところで車に乗せてもらおうとするヒッチハイカーにも取材していました。

びっくりしたのは、単に交通費節約のために乗せてもらうのではなく、自らの行動を生配信することが目的でヒッチハイクをしている人がいたことです。その方は男性でしたが、髪を長く伸ばしていて、遠目から見ると女性に見えることで、男性のドライバーを騙すと言っては何ですが、あわよくば自分の姿を見てドライバーがどんな変化を見せるかということをあわよくば配信して自分のチャンネルを見てくれている人を楽しませようとしているフシがありました。

こうした事はユーチューバーの鏡というべき演出方法なのかも知れませんが、お金の無い若者の移動を援助しようと思った人の心をないがしろにさせてしまう可能性もあるので、事前事後に十分な説明があって運転手がその演出意図に理解を示した場合なら許されることもあるかも知れませんが、生配信ではすでに世界中に向けて先に流れてしまうので、後からいくらフォローしても許されないという可能性も出てきます。

私自身はそういう事に巻き込まれるのはあまり好まないので、番組を見た後には今までケースによっては乗せてあげてもいいかなと思っていたところもあったのですが、今後は慎重に相手を観察した上で誰でも乗せてあげるようなことは慎もうと思えてしまいました。他の方はわかりませんが、いきなり自分の車の中で生実況を始められたら、相当の違和感を感じるというのが普通ではないかと思うのです。

そんなヒッチハイカーについて、前々から言われている「車に乗せる方のリスク」がそのまま事件になってしまったニュースが有りました。40代の女性が自宅付近まで送って欲しいと通り過がりの車に乗り込み、降りる際に助手席にあった運転者のカバンを掴み、半ば強奪するような形で降りた強盗の疑いで逮捕されたという事です。運転者に気付かれないように置き引きをするのではなく、相手に抵抗されることを見越しての行為は、下手をすると運転者が怪我をしたり最悪の場合は命を落とす可能性もあります。こんな事が普通に行なわれる社会にこれからの日本がなっていくのだとしたら、正直怖いですね。

私自身は見知らぬ人との間でヒッチハイクをしたこともされたことも経験はないのですが、まだ車を持っていなかった学生の頃、男女別相部屋というとほ宿とかユースホステルを利用していた時には、たまたま知り合った車で来ていた社会人のお兄さんに私ともう一人いた旅行者の人が車に乗せてもらい、電車やバスでは行けない観光地へ連れていってもらったことに感謝し、逆に自分が車で旅をするようになって同宿になった人と団体行動をする際に複数の車に分乗してプチ団体旅行のように楽しんだことはいい思い出です。ただ、その場合は事前に宿で食事をしたり談話室でお話しをする中でこの人は、翌日に車に同乗させても大丈夫なのか判断することは可能でしたし、もし何か問題があった場合は宿に宿泊者のデータを聞けばその人の素性は明らかになったので、お互いに納得の上で車に同乗させたりさせられたりという付き合いをしていましたが、今ではちょっとそんなことはできないかも知れません。

そんなことを考えながら書いていて、小説家の坂口安吾のエッセイ「エゴイズム小論」の事を思い出しました。童話の赤ずきんちゃんが親切心から森のお婆さんをお見舞いに行ったものの、その先でおばあさんに化けていた狼に食べられてしまう(最後には狩人によってお話では助け出されますが)という、話を引き合いに出して「親切」という行為について書いています。その中で心に残っているところを今回ご紹介します。

(ここから「坂口安吾/エゴイズム小論」からの引用)

親切にしてやったのに裏切られたからもう親切はやらぬといふ。そんな親切は始めからやらぬことだ。親切には裏切りも報酬もない。(中略)親切のおかげで殺されても仕方がないといふ自覚の上に成立ってゐる絶対の世界なのである。

(引用ここまで)

確かに、自分の今までの行動というものを顧みるに、ほいほいと知らない人の車に乗るのもこちらから知らない人を車に乗せるのも、ある程度は性善説に基づいて行動をしていますが、最悪の場合にとんでもない事件に巻き込まれる危険はあっただろうと思うものの、基本的には恩に着ることはあっても着せたことはありませんでした。まさに「情けは人の為ならず」の精神だったように思います。

今後、車にどうしても乗せてほしいと頼まれた場合、もし最初からの同行者がいた場合は自分の判断で何らかのトラブルに巻き込んでしまう危険性がないとも言えないので、同行者の方から乗せてあげてほしいと強く頼まれない限りはヒッチハイカーは乗せないと思います。一人で運転中にそんな場面に出食わした場合は、紹介したニュースのように貴重品を見えるところに置かないで、簡単に車内の荷物を盗まれないように、事前に車内の座席に物を置かないようにするなど(こうした心掛けは車上荒らしの被害防止にも役立ちます)の対策は今後必要になると思います。くれぐれも軽い気持ちでヒッチハイカーを乗せることは避け、自分なりの結論というものを見付け出してみることをおすすめします。


カテゴリー: 車中泊での心構え | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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