訪問販売の被害は金額の大小は関係ない?

最近は「押し売り」という言葉もあまり聞かなくなりました。刑務所を出たばかりでお金がないからゴム紐を買ってくれなどと、過去にはテレビドラマやコントでその手法がデフォルメされて演じられた事からそんな人が家にやってきたという体験を持っている方はそんなにいないのかも知れません。

私の場合はそのような知らない人を自宅のドアを開いて迎え入れることはありませんでしたが、かなり昔には毎年季節の変わり目になるとやってくる行商のおばあさんがいて、そういう方からは土地の名物などを購入することはありました。価格的にもそれほど高くなく、持ってくる品物も安心して食べられるものが多かったので、来てくれるのが楽しみだった頃もありましたが、今ではさすがに行商して歩く人というのは置き薬のメーカーの人くらいで、その他の人というのはどうしても胡散臭い目でみてしまいます。今の世の中というのは行商に出るというよりも、運ぶ人と売る人が分かれてきたことで、昔のような行商人のような職業は成り立ちにくくなったのだと思われます。

そんな時代の中でも自宅を訪問して物を売ろうとする人はなくならないようです。何よりもまず、こうした訪問販売が困るのが、そこに購入者のニーズが発生してない中でやってくるということです。過去に物干し竿売りを装い、物干し竿を法外な値段で売り付ける事件がありました。これは物干し竿くらいなら買ってもいいと思ってドアを開ける善良な消費者の行動を逆手に取り、声を掛けたこと自体が悪いかのように思わせて大切な消費者の財布の中味をのきなみ抜き取って行くのです。

最近、静岡県の東部で被害が出た事例として、「みかん」「オレンジ」の訪問販売についてのトラブルが小さなニュースになっていましたので、同様な事例が全国で起きないとも限りませんし、ここで詳しく紹介させていただきたいと思います。

今回の事例ではかなり強引な手法が特徴なのだそうで、最初は「オレンジ一箱2千円だから」と安い価格を提示し、いざ代金を払う段になって、1万8千円という金額を請求されたケースもあったとか。この手法はまさに現代の「押し売り」の手口で、財布の中味を確認してから「売り値」を決めていたのかも知れません。

もう少し知能犯になると、一箱では2千円に間違いないものの、普通ではとても売りものにならなそうな柑橘類を大量に押し付け、5箱で1万円という風に強引に売り付けるような場合もあるかも知れません。自宅の中での事とは言え、購入する側がお年寄りの一人暮らしだとしたら、なかなか断ることもできずに相手に押し切られてお金を払ってしまい、さらに被害にあったことを誰にも相談できないことも多くあったのではないかと思われます。

このフルーツ販売が地方紙といえども注目されるニュースになったのは、多くの被害者がいたであろう中、勇気を出して警察や役所、消費者生活センターに相談することで事件となったからでしょう。これだけのひどいことをしている業者なら過去に同じような事で摘発されている可能性もあるので、業者の特定も可能になる場合もあります。もちろん、購入側でも領収書をもらったり、車に屋号が付いていたらメモや写真を撮るなどして控えるなど、お金を払ってしまった後でも対策はやりようがあります。さらに脅し取られたように支払ったお金についても、誰かにすぐに相談することで今の日本には消費者を保護するための「クーリングオフ制度」があり、大体購入後8日間までに届け出れば制度の対象になります。今回の事例でもこの制度を使って業者に品物を返し、代金を返してもらったケースもあったそうです。というわけで、できれば支払ってしまったとしても諦めずに相談に行くことが大切だと思います。

しかしながら、このようなニュースにならない強引な押し売り的手口によってお金を払ってしまって悔しいと思っている方はまだまだ存在しています。こうした訪問販売のトラブルというのは、金額が低いからといって許すことができるものでもありません。購入した人が支払いの段になった時にこれは危ないと思えるような高額請求でもなく、相手の物腰も柔らかく、まさかこういう人が自分のお金をかすめ取っているとは考えにくいケースもあります。それは例えば、和菓子・洋菓子・珍味など数百円から数千円などのものを売りに来るような人たちであったりするのではないでしょうか。

この種の人は私自身も遭遇したことがありますが、地方の家や事務所などを回っているようです。もし食品を買って欲しいと自分が言われた場合、消費者的にはスーパーやコンビニで自分の好きなものを好きな時に買った方がいいので、価格も自分からお店に行けば安く済むからと、今食べたくないと一切の購入を断っています。また、地元では買えない地方のお菓子ということで売って歩くケースもよく聞くのですが、それならネットで注文した方が確実にその地方のレアなお菓子をいただくことができますし、一切購入しませんが、一個で数百円なのでと泣かないでも健気に購入を頼まれるとつい購入してしまう人もいるのでしょう。そういう人がいるのでこういう商売が成り立つのかも知れません。

多くの方は振り込め詐欺の手口についてはテレビのワイドショーなどでその手口を知ることはあると思いますし、地元の警察や銀行では注意喚起も行なわれているとは思いますが、訪問販売についてはそこまで告知されていないというのが実際のところなのではないでしょうか。

そんな訪問販売でもあからさまに昔の「押し売り」のような体でやってくる人は話題にしやすくニュースとして登場することもしばしばありますが、そうでなくあくまで普通の販売をするような感じで押し付けるように少量の食べ物を売る輩というのは、ちょっと厄介です。実際に摘発されることを考えた上でのマニュアルもあるのでしょうが、購入者の善意につけこんで押し売りのような事をするケースについても、多くの人が情報を共有すべきだと思います。それでも買いたいという人を除いて、お金を払いたくなく自分のために使いたいと思っている人には、いくら健気に進められても自分の生活というものもあるわけですから、無理に買ってあげる必要というものは決してないと私は思います。悪質な業者に遭遇したらすぐに相談するのと同じように、その場での毅然とした対応が自分の身を救うことになるでしょう。


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