未来を予見したかのようなJAGATARA「つながった世界」

 自分でも突然という感じなのですが、思い立ってしまったので音楽のカテゴリーを新たに増やすことにしました。というのも、テレビの音楽番組を見ていて、確かに素晴らしい楽曲を流しているのですが、テレビに出てこない音楽にも面白いものはあるんじゃないかということで、そうした思いなどもたまにはここで紹介したいなと思ったのでした。

 これからする話はその思いとちょっと矛盾するようですが(^^;)、先日NHK総合テレビの再放送で、宮城県女川町のコミュニティFM局を題材にした特集ドラマ「ラジオ」を拝見する機会がありました。何の予備知識もないまま見たので、見るのをやめるという選択もあったのですが、最後まで見てしまったのは個人的な理由がありました。先日のゴールデンウィークに東北の東日本大震災の被災地を回ったのですが、岩手県の陸前高田から宮城県の気仙沼へ入り、南三陸町へ入ったところで日没になってしまったので女川へは行けていなかったという後悔の気持ちがあったからかも知れません。

 ドラマの内容はNHKのサイトや他のサイトを見ていただければよろしいかと思いますが、そこで効果的に使われていたのが、テレビの歌番組ではなかなか出てこないだろうと思われる、実にストレートな日本のロックでした。スターリン「負け犬」、ザ・ルースターズ「Let’S Rock」、ソウル・フラワー・ユニオン「満月の夕」、THEイナズマ戦隊「応援歌」……。これらの楽曲はドラマのために選曲されたものではなく、ドラマの原作となったブログを書いていた女子高生アナウンサー(当時)の「某ちゃん。」が選び、実現にラジオでかかった曲だったとのこと。

 音楽の効用というのはいろいろあるとは思いますが、普段ならとても口に出して言えないような青臭い事でもメロディに乗せて歌う事によって違和感なく口ずさむことができるというところもあるのではないかと思います。ドラマの「某ちゃん。」の選曲には私にはない若々しさを感じますが(^^;)、ある程度年を食った私にもおすすめしたい曲はあります。

JAGATARA アルバム「それから」(1989)より「つながった世界 – Fuck Off!! Nostradamus」

 題名の「つながった世界」とは、破壊から再生へと連動して動いているような世界というように私には思えます。ただ、この曲が発表された当時の経済力豊かな日本では、歌詞の内容はちょっと現実離れしていたように思いました。テレビで世界中から配信されるさまざまな悲惨な映像が流れても、多くの人はまさか自分達の身に降りかかってくるとは想像もしていなかったでしょう。

 詞を書いたリードボーカルの江戸アケミさんはそこまで考えて書いたのではないでしょうが、今改めてこの曲を聞き返してみると、現代の日本を予言するかのようなメッセージソングのようにも聞こえてきます。でも江戸アケミさんは決して預言者なのではなく、当時の多くの人が見えていなかったものを見て、その想いをストレートに言葉に乗せて歌ったに過ぎません。

 こういう音楽というのはヒットチャートとは無縁なものであるため、当然テレビの音楽番組には出てこない種類のものですが、1980年代にこんな活動をしていたバンドがあったということは、もっと多くの人に知られてもいいのではないかと思います。今回こんなことを書こうと思ったのは、ブログに動画サイトの映像を埋め込んで、読みながら聴くことができるようになっていることに今さらながら気付いたということもあるのでした(^^)。このカテゴリーは頻繁に更新することは無理だと思いますが、動画サイトから持ってこられるようなものを見付けたら続きを書いてみたいと思っています。


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