なぜ人は命がけで山に入るのか?

この表題は危険な行程を行かなければならない登山の事ではありません。私のいる静岡市内でも6月に入って目撃情報が寄せられた「熊」の話です。毎年今頃の時期に山里に降りて来ることがニュースになりますが、車で気軽に出掛ける人についても注意することが大事です。

最近は簡単にスマホで動画が撮影できるので、熊が街に降りてきた時の様子などをテレビのワイドショーあたりでも見ることができるようになりました。先日、海外の動画として熊の様子を見て驚いたのですが、徐行して走行中の車に近づいてきた熊が、何と外から車のドアを開けたのです。走行中にはわざわざドアをロックする人はそうそういないと思いますので、そうしたことを知ってか知らずか外から熊が車のドアを開ける姿には心底ビックリしました。

ここまでの行動ができてしまう理由を類推するに、山を削って駐車場にしたような場所に車を停めていて熊が出没し、何かの拍子にカギのかかっていないドアを開けてしまって中に餌となるような食料を見付けて食べたことが強烈な印象として残ったことで、車を見るとドアを開けようとするようになったのではないかと言われています。これは日本で言えば車だけでなく家まで入り込み食料を食べ散らかして行くニホンザルにも共通することかも知れませんが、車で山の中に入り、駐車する際には気を付けるに越したことはないでしょう。

誰もいない場所でも車から離れる際にはキーロックをし、走行中でもほんの近くにこの種の動物を見付けた時には気を付けるようにしないと、人ならぬ動物のために旅行を中止しなくてはならなくなる破目になるかも知れません。たとえ車であってクマ出没注意の看板が出ているような時には特に、山中の行動には十分な注意を払いましょう。

今年に限っての熊のニュースと言えば、秋田県鹿角市で普通に考えても尋常でない人数の被害者が出る、熊による事故が起きています。普通は山中に入る時には熊よけの鈴を鳴らしたりラジオを鳴らしながら山に入る事がセオリーなのに、被害に遭った人たちはそうした対策をしないまま山に入って犠牲になった方もいるようです。

鹿角市の場合は、山菜として珍重される「ネマガリダケ」が自生する場所に人も熊も集まったのだそうです。さらに興味深い話として、私が見たテレビニュースの取材ではネマガリダケをまとめて採ってくると、40kgが16,000円で業者に売れたこともあるというのです。

ある意味、山の中にお金が転がっているようなものだと考えると、自分で見つけた優良な自生地を他人に荒らされないように、自分の居場所を熊だけでなく他のネマガリダケ採りのライバルに見付からないように忍んで行って熊と鉢合わせしてしまう(当然、山の中で活動する熊にとってもネマガリダケはおいしい餌なのです)ケースなのだと思われます。

もちろん、自分たちで食べるために採っている人もいるでしょうが、これだけ山中への立入りが危険だと言われている中であえて入るのですから、自分の命とお金を秤にかけて、それでもネマガリダケを採りに行くというのはなぜなのか、多くの人が真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

もしネマガリダケを採りに山に入って、リュック一杯で2万円くらいの現金収入になるのなら、今回被害に遭っている高齢の方にとっては、期間限定の貴重な現金仕事になります。こうした事情が図らずも明らかになってしまったことで、今後これは社会的な問題につながってくるかも知れません。

今でも年金による収入だけでは生活できない人がほとんどなのに、これからの社会はさらに年金が減るとなれば、それこそこのニュースによって、すぐ現金に変わる山菜が誰でも採れそうな場所があるということを知ってしまった人の中には、車中泊で遠征をしてまで現金収入を求めに集まってくるかも知れません。2016年はたまたまそれまでなかったような熊との遭遇で自粛ムードが高まっていますが、来年以降に熊と鉢合わせする事がほとんどないような状況になれば、一攫千金を狙う人によって地元の人と遠征してくる人との争いにもなるかも知れません。

そういう事がもし起こったとしたら、地元民から見ると車中泊で鹿角市周辺をウロウロしているだけでも通報されるとか、ネマガリダケと関係なく土地の自然を楽しもうとしてやってくる人にとっても気分を害されるような流れにならないとも限りません。というわけで、今後今回のニュースの現場に車中泊で行こうと思われている方は、普通の場合よりも慎重に土地の人の様子を気に掛けながら行かれることをおすすめしたいと思います。願わくば今回私の心配したことが杞憂で終わって欲しいものですが。


カテゴリー: 地域情報・イベント | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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