NHKBSとBS4Kで放送されている番組「ヒーローたちの卒業式」をたまたま見る機会があり、その中でポケットベル(ページャー)のサービスが終了したということで、その現象を「卒業式」ととらえ、その歴史をひもとくような番組構成になっていました。
私自身はディスプレイのない、ただピーピー鳴るだけのポケットベルは使っていませんでしたが、数字がディスプレイされるようになって契約しました。ただ、仕事で持たされたのではなく、あくまで個人契約です。当時からモバイル機器やノートパソコンを持ち歩いて旅行先などで使っていたのですが、携帯電話は維持費も通話料も高くしばらくは移動通信の方法はポケットベルと公衆電話の組み合わせでした。その後、月々の基本料金が安くパソコンや電子手帳(当時は当然スマホなどありません)のモデムと接続して低速の「みなし音声」でパソコン通信やメールができたPHSを持ちましたが、当時のPHSは限られたエリアでしか使えなかったので、外で連絡を取る場合には公衆電話が頼りでした。
その後、ショートメール(SMS)や一定の文字数まで受信無料のスカイメール(PCメール)が月額料金も安く使えるようになったガラケーで使えるようになったことでポケットベルは解約したものの、昔は公衆電話がいたるところにあったので、そこまで焦って携帯電話を持つこともないと思っていました。今回はそうした格安で利用可能な「ポケットベル」と「公衆電話」の利用方法について思い出しながら書いていこうと思います。
まだインターネットのない頃の電子メールはパソコンやモバイル機器と電話回線を使わないと使えない時代もありました。当時のモバイルマシンとして一般的に使われていたのがシャープで販売されていた電子手帳の「ザウルス」で、別売のFAXモデムをモジュラーケーブルで接続すると、モジュラージャックが付いていたグレーの公衆電話からメールの送受信ができました。ただ、今のようにリアルタイムに連絡を受けることはできず、旅先でグレーの公衆電話を見付けたらとりあえず接続してみてそこでメールが来ているようなら受信して、改めて電子手帳やノートパソコンで返信を書いて、それを改めて公衆電話経由で送るという形でした。
また、自宅にかかってきた電話を留守番電話に接続し、もし先方から何らかのメッセージが入ったら、当時の留守番電話機からポケベルを呼び出すこともやっていました。他のメッセージと区別するため、自宅電話からの転送には自局の番号を表示させるようにしていたため、旅行中でももし自宅の留守番電話にメッセージが入ったら携帯電話がなくてもすぐにわかります。
当時のポケットベルは契約した地域のみでしか呼び出せないものが多かったのですが、NTTドコモでは、日本全国でのサービスエリアをセンターに電話することで変更することができるプランがあり、私も契約していました。いつもは関東地区で使っていても、北海道に旅行で行ったような場合、北海道に着いた時点でポケットベルのセンターに連絡してそこからエリア変更を行なえば、ポケベル呼び出しのエリアを変えることができました。これで、日本全国どこにいても自宅にかかってきた電話の内容を間接的にですが(ポケットベル呼ひ出しから近くの公衆電話で留守電の内容聞き)捉えることができていたのです。
さらに、当時の公衆電話はコインの他はテレホンカードの利用が主でしたが、テレホンカードはプリペイドカードのため、残高がなくなれば電話自体ができなくなります。ただ、当時は自宅に固定電話を引いている人限定ではありますが、特別なテレホンカードを発行してもらって、料金は固定電話と同じく後払いにできるクレジット通話の「カードC」というサービスがあり、このカードを持っているとテレホンカードの残高を気にすることなく公衆電話を使うことができたのです。
ちなみに、ネット通信を電話で行なっていた頃は、各プロバイダは全国各地のアクセスポイントを用意していたので、北海道に行けばその地のアクセスポイントがあるので、そこからの通話料は市内通話料金で済むので、そこまで通信料はかかっていませんでした。また、当時の電話は距離が遠くなると料金が上がっていたので、当時出てきたいわゆる「新電電」でもクレジット通話のサービスを行なっていたので、NTTの公衆電話に入れて使えるテレホンカードタイプのクレジット通話カードで留守電にメッセージをくれた上に遠方から電話するような使い分けもしていました。一部の新電電では独自の公衆電話を持ち、特別なテレホンカードを使わなくてもクレジットカードを使って電話を掛けられる公衆電話もありました。今そうした機能が公衆電話に付けば便利だと思うのですが。
通信・通話料の高額さに辟易したのは、話し放題・ネット使い放題の仕組みがなく青天井式に増えてしまう携帯電話の使い始めの頃でした。ただ、公衆電話を使って安くネットに繋ぐ方法を知っていたので、旅先通信でもそこまでお金はかかった記憶はありません。
そうは言っても、今のモバイル通信と比べるとはるかに大変な事も多く、グレーの公衆電話がない場所では、公衆電話とパソコンを「カプラー」という受話器にぴったりと接続した機器でで繋ぐような事もしていましたが、だからこそ今のモバイル通信の便利さが有り難いと思えるのですね。また、通信費についてもそれほど意識することなく安くできるだけの選択肢が用意されているので、実に有り難いですね。
ポケットベルのサービス自体はもうスマホ内のサービスに移行されてしまいましたが、それでもフードコートで注文した食事の出来上がりを知らせるための機器はまさにポケットベルそのものです。こうした技術の進化が来ている中、ついに開催した万国博覧会で未来の世界の姿を具体的に見せるということは難しいだろうなあと改めて思ってしまった今日この頃です。